#469 台風襲来と大豆製品完成
翌日は朝食を食べてログインする。
外に出ると雲行きが既に悪くなってきていた。この分だと昼以降は厳しいかもな…リープリッヒに向かい今日はお昼前にお店を閉めるように指示をする。雇っている人たちはみんなうちのホームに来るように言った。
多分ギルドかホームが一番安全だろうからな。大切な従業員に何かあったら、大変だからね。そこで色々レシピを教えよう。
ホームに帰ると床で伸びているノワの頭に千影が移動した。するとノワが起きる。
「…ん?」
「カー」
「…ん」
ノワはまた伸びる。なんだったのかわからない。分かることは千影とノワは相性が良さそうということだ。
さて、今日は実は以前仕込んだ大豆製品が完成する日だ。まずは醤油。醤油樽にある蛇口を捻ると醤油が出てくる。感無量である。鑑定してみる。
醤油:レア度8 食材 品質B+
大豆を発酵させて作った調味料。つける、かけるなど使用方法は様々で料理の味付けに使用される。
お次は味噌。味噌樽を見るといい感じの味噌が出来ている。鑑定してみる。
赤味噌:レア度8 食材 品質B+
大豆を発酵させて作った調味料。食材につけて食べても美味しいが水に溶かすなど様々な料理で使用される。
ちょっと味見すると当然塩辛いが完全に味噌の味だ。ダメだ…味噌汁が飲みたくなってきた。というわけで、味噌汁を作ろう。
その前に作るものがある。薄切りにした豆腐を油で揚げる。ただそれだけで完成するのがこちら。
油揚げ:レア度7 料理 品質B
薄切りにした豆腐を油で揚げた料理。料理に使用する際は油抜きをすることが多い。油抜きしないと油で料理がダメになることがあるので、注意が必要。
完璧だ。これで豆腐、油揚げがあるから味噌汁を作れる。
まずは油揚げは熱湯をかける。これが油抜き。その後、昆布と鰹節で出汁を作る。
その後、豆腐と油揚げを切り、出汁の中に入れて、煮詰める。その後、味噌を加えて完成する。
味噌汁:レア度8 料理 品質B+
効果:満腹度40%回復、一時間状態異常耐性
豆腐と油揚げが入った味噌汁。
もうね…不味いわけがない。これぞ味噌汁だよな。みんなも飲んだが中々感触は悪くない。
さて、今日で醤油と油揚げを作れたので、俺は作らないといけないものがある。
材料はこちら。油揚げ、醤油、砂糖、水樹の水だ。本来ならみりんを使うんだが、無い以上仕方無い。
まずは熱湯に油揚げを入れて、軽く茹で油抜きをする。そして醤油、砂糖、水樹の水で作った液の中に入れて、適度に裏返しながら中火で煮詰める。水分がなくなったら出来上がり。鑑定してみる。
油揚げの甘辛煮:レア度8 料理 品質B+
効果:満腹度30%回復、一時間状態異常耐性、魔力20回復
油揚げを甘く調理した料理。油揚げを食べると甘い味が染み出てくる。狐モンスターの大好物。
きつねうどんに使われる油揚げだ。これを作ったら、食べさせないといけないのが三人いる。恋火と和狐、狐子だ。
「「「はむ…ッ!?」」」
尻尾が大変なことになっています。
「お、美味しいです! タクトお兄ちゃん! あたし、これ大好きです!」
だろうね。説明にも書いてあるし、そうだろうと思ったから作ったものだからね。
「これは…反則級やわ~タクトはん」
「もはやこれ以外ご飯はいらないレベルね」
凄い絶賛だな。とりあえず恋火と和狐にレシピを教える。
「毎日作るのはやめてくれよ」
「「…」」
「お返事は?」
「「…」」
笑顔でガード。余程気に入ったんだろうな。
まぁ、作りたくても作れなくなるだろう。大豆はやはり消費が激しいからな。するとイオンが来る。
「タクトさん、雨が降ってきました」
遂にか…するとリープリッヒの従業員やオルレアンベーカリーをしているジャンヌが来た。更にルインさんが来た。おや?ギルドにいるはずだが。
「雨が降ってきてから時空魔法のコミュニケーションが使えなくなっているのよ。メールは出来るんだけどね。直接島に行く予定を伝えに来たわ」
またか…ということはこの雨は普通の雨じゃないわけだな。本当に勘弁してくれ。雨なんて農作物ダイレクトじゃないか。
「あら? この匂いはどこかで知っている気が…」
「きつねうどんに使う油揚げを作ったんですよ」
「あぁ、納得がいったわ」
ルインさんにも味見して貰おうと思ったが、無くなっている。
そこには紙が貼られ、凄い達筆で書かれていた。
『うちが全部頂きどす。空天狐』
何をやっているんだ…あの狐の神様は。
「す、すみません! タクトはん!」
「空天狐様はたぶんあたしたちが食べたの見ていたから…ごめんなさい!」
「和狐や恋火が謝らなくていいよ。しかしこの様子だと直接取りに来たのか?」
「「た、多分…」」
空天狐様、余裕だな…こっちは結構やばい気がしているんだが…その後、みんなに色々な料理を教えるついでに油揚げを作り、一旦ログアウトした。




