#462 砂漠最強の使徒
夕飯を食べ終えて、ログインする。
キャンプから出るとファリーダからセトの使徒について聞く。
「セトの使徒は基本的には砂嵐を起こしてくるわ。後は雷や風も操るわね。これだけ聞くと魔力を封じれば勝てると思うけど、セトの使徒は格闘戦も強いわ。私の場合は格闘戦になって、ギリギリ勝てたのよ」
「タクトお兄ちゃんみたいな人ですか?」
恋火よ。その質問はどうなんだ?
「そうね。タクトはどちらかと言うと剣術よりだけど、セトは格闘よりな感じね」
肯定された…いやそうかも知れないけどね。これは白黒はっきりつけるべきか?
「タクトお兄ちゃ~ん。ダメですよ」
「タクト…セトの使徒を舐めすぎよ」
「わたしはマスターの指示に従います」
恋火に叱られた…イクスはブレないな。
しかし時間は夜…というわけで編成はノワ、ブラン、セフォネ、ファリーダ、ヒクスにした。
ブランを選んだのがこの谷にはミイラや幽霊が大量発生するらしいからだ。のんびりしていたら、囲まれて大変な目に合うらしいので、ブランの中天使の加護とヒクスで強引に突破することにした。
という訳で砂漠王の谷にいたら、もうミイラと幽霊だらけだった。移動手段がないと相当きついぞ。これ。
強引に砂漠王の谷を突破した。すると目の前にアガ・ジンベル神殿に似ている神殿が現れた。そしてその前に男が一人佇み待っていた。
「…来たか」
ヒクスから降りる。
「…久しぶりということになるのかしら?」
「その姿のお前とは初見だな…随分弱体化したではないか」
「あなたたちが崇める神様たちのお陰でね…不満があるなら神様たちに言ってちょうだい」
「まさか。不満などあるはずがない」
セトの使徒が俺を見る。
「…まさかこの世に私と同じような人間がいるとは驚いた」
「同じにしないでくれるか?」
「ならば試してみるとしよう!」
セトの使徒の姿が消える。俺はしゃがむ。
「足払い!」
蹴り技初歩の武技を使うとセトの使徒は飛んで躱す。縮地中に移動出来るのか!?しかし飛んだ後はどうするよ。
「…冥波動!」
「暗黒波動なのじゃ!」
「ふん!」
ノワの冥波動を杖で弾き、セフォネの暗黒波動を手で弾いた。そしてセトの使徒は着地する。
「いい連携だ」
「…うそ」
「こやつ妾の暗黒波動を素手で弾いたぞ!?」
「流石に素手では無理だ」
セトの使徒の手には魔素が集まっている。魔素で覆えば手で弾けるのか?
「魔素は生物に対して絶対的な攻撃手段であると同時に防御としてもつかえるのよ。あれは魔素を手に集中させて、反射スキルで強引に弾いた感じね」
「俺の授かっているのはセト様の加護。セト様は上エジプトの守護神にして、王の武器の主人! 悪魔蛇神アポピスを打ち倒す偉大なる強さを持つ神だ。このぐらいの芸当など他愛ない」
「…にぃ、ノワは無理」
アポピスの名前が出て、ノワは早々にリタイア宣言。相性の悪さを悟ったみたいだ。因みにセトはホルスの宿敵で兄オシリスを殺した神様でもある。
とはいえ、こいつはあくまで使徒だ。セト神ではない。現にこいつは俺の足払いをわざわざ飛んで躱した。自らの力の誇示とも思えるが、俺には転ぶのを嫌ったように見えた。
俺は無銘を構える。
「ほう…東方の武器か…」
「俺はこいつのほうが得意でね…」
「ではその腕前を見せて貰おうか! は!」
セトの使徒の杖から雷が放たれると俺は斬り裂く。更に縮地で移動する。
「ふ…」
セトの使徒は足払いを仕掛ける。俺は躓く…だが刀は振りかぶっている。
「む!」
セトの使徒が杖でガードをする。結果転ばず、接近戦だ。杖で防御し続けるものならやってみろよ!
しかしセトの使徒は見事な杖捌きで俺の攻撃に対処してくる。面白い!ならばこちらも本気で行くぞ!
刀を片手持ちに切り替え、セトの使徒が両手でガードする隙をついて顔面を殴る。
「ぐ!? な…」
俺は剣術と武術を組み合わせて、セトの使徒を追い詰める。
「舐めるな! そんな体術で私が負けるか!」
セトも体術にシフトするとこちらは剣術にシフトする。悪いが刀と長い杖では接近戦の優位性は絶対的だ。更にこいつは綺麗な体術をしている。それでは俺には勝てない。
俺はセトの使徒の足を思いっきり踏みつけ、半回転するとセトの使徒を背で背負う。そして肘打ちからの裏拳を放つ。護身術の連携技だ。突然の反則技にセトの使徒は対応出来ない。更に半回転し、無銘の突きをセトの使徒の股間に放つ。
「ぎゃあああああ!? き、貴様!? なぜ俺の弱点を」
セトはホルスとの戦闘で敗れた際に睾丸と片足を失ったと言われている。それぐらい戦う前に調べはするさ。
「どうやら俺とお前は違うみたいだな…俺はお前と違って、いい子じゃないんだよ」
俺が無銘を刺したまま、その場から退くとファリーダが構える。
「さようなら」
「ま、待て!? どこを狙って」
「ローリングスマッシュ!」
容赦なく、ファリーダ渾身のローリングスマッシュが刺したままの無銘の頭を斧の側面で打ち付け、セトの使徒は無残な最後を遂げた。
俺は無銘を抜くとブレスレインで綺麗に洗う。ごめんな…無銘。
「出番が無かったのじゃ…」
「…ん」
「私もです」
「気持ちはわかるけど、タクトに任せて正解よ。まともに戦っていたら、私たちは全滅していた可能性もあったのよ。セトは守護神でもあり、破壊神でもある。盾は当然、不死ぐらいなら簡単に突破して殺してくるわよ」
ファリーダの発言を聞き、全員があっさり手の平を返すのだった。しかしこんなことになるならジークたちを選べば良かったな。
それではセトの使徒を解体しよう。
ウラエウス:重要アイテム
聖なる蛇コブラを象った太陽属性の護符。悪しき存在から身を守り、状態異常にならなくなる。
ターコイズ:レア度6 素材 品質B-
独特の青色の宝石で宝石の中では最も古い宝石と言われている。魔除けの効果があり、身につけるとモンスターの出現率が下がる効果がある。
状態異常なんてしてないからわからなかったな。
ターコイズは日本ではトルコ石と呼ばれている宝石で一二月の誕生石だ。因みにトルコと言っているがトルコ産という意味ではない。ヨーロッパに輸入される時にトルコを経由することから間違って付けた名前だ。日本ではこういう名前ミスが結構あったりする。
さて、これで条件である全てのアイテムが揃った。時間もあるし、神殿探検でもしますか!
名前 タクト 寵愛の召喚師Lv6
生命力 130
魔力 295
筋力 120
防御力 70
俊敏性 90
器用値 190
スキル
格闘Lv33→Lv34 蹴り技Lv30→Lv31 杖Lv38 片手剣Lv40 槍Lv28
刀Lv32→Lv33 投擲Lv18 詠唱破棄Lv24 魔力操作Lv11 魔力切断Lv9
召喚魔術Lv40 封印魔術Lv35 ルーン魔術Lv13 騎手Lv38 錬金Lv25
採掘Lv35 伐採Lv36 解体Lv49 鑑定Lv41 識別Lv46
疾魔法Lv13 炎魔法Lv7 地魔法Lv9 海魔法Lv11 暗黒魔法Lv9
神聖魔法Lv16 雷魔法Lv41 爆魔法Lv44 木魔法Lv31 氷魔法Lv35
時空魔法Lv49 獣魔魔法Lv6 遅延魔法Lv14 連続詠唱Lv29 水中行動Lv23
縮地Lv11→Lv12 読書Lv16 料理Lv42 釣りLv20 シンクロLv28
エンゲージLv8 連携Lv14
名前 ファリーダ 魔人Lv12→Lv13
生命力 68→70
魔力 100→102
筋力 130→134
防御力 60
俊敏性 92
器用値 92
スキル
斧Lv16 魔拳Lv22 舞踊Lv10 投擲Lv12 俊足Lv6 重量操作Lv6
妖気Lv27 暗黒魔法Lv10 時空魔法Lv14 集中Lv25 誘惑Lv14
物理破壊Lv22 魔力妨害Lv21 魔弾Lv22 闇波動Lv3 衝撃波Lv3
魔素解放Lv12
名前 ヒクス グリフォンLv22→Lv23
生命力 106
魔力 170→172
筋力 197
防御力 74
俊敏性 231→234
器用値 114→116
スキル
飛翔Lv39 雷爪Lv20 羽投擲Lv7 騎乗Lv28 暴風Lv28
防風壁Lv17 旋風刃Lv18 疾風Lv22 放電Lv9 残像Lv25
風魔法Lv16 雷魔法Lv18 雷ブレスLv14 火ブレスLv11 威光Lv5
騎手強化Lv27 黄金の加護Lv16