#459 新たな魔導書とパン作成
学校が終わり、スーパーで買い物してからゲームにログインする。するとお腹に違和感を感じる。
「きゅー…きゅー…」
ジークが丸くなって寝ていた。あれ?昨日はリリーと寝たはずなんだけどな。
するとみんなが騒いでいる声が聞こえてくる。どうやらジークを探しているようだ。
「おーい! ジークならここにいるぞ」
俺の声で全員が集める。どうやらずっと探してたようだ。
「なんでタクトのベッドで寝てるの~」
リリーが抗議の声を上げるとジークが起きる。そしてリリーを見るとリリーから隠れるように俺の後ろに回る。たった一日の間に何があったんだ?
「あ、あれ? ジ、ジーク? なんで隠れるの?」
「ギ~…」
相当警戒しているな…ジークに聞いてみるとジェスチャーで教えてくれた。抱きしめて寝る…からのスリーパーホールドを喰らったようだ。よく抜け出せたな。
「リリー、そんなことしてないよ!?」
「きゅ…」
ジークがフッとした顔をした。あれを味わった者の気持ちなんてわからないさという顔だ。
「まぁ…ジークの言っていることが正しいでしょうね…」
「ジークさんがタクトお兄ちゃんのところにいるのも納得です」
「ひ、酷い…」
酷いのはリリーだぞ。リリーのパワーでスリーパーホールドは俺なら即落ちする自信がある。
さて、ハプニングはあったが今日は遂に小麦の収穫日だ。その前に前回失敗したファイヤーバードの召喚に挑む。
一度目は失敗。二度目で魔方陣が赤く光り、ファイヤーバードが召喚される。
「ピィー!」
召喚されたファイヤーバードは俺の肩に止まると擦り寄ってきた。人懐っこいな。じゃあ、名前を付けよう。
「コーラル…なんてどうだ?」
「ピィー!」
気に入ってくれたみたいだな。因みにコーラルは珊瑚だ。宝石としても知られているものだが、コーラルでは来ないと予想する。珊瑚のほうが日本人には馴染み深いからな。ではステータスを確認しよう。
名前 コーラル ファイヤーバードLv1
生命力 30
魔力 20
筋力 22
防御力 16
俊敏性 25
器用値 20
スキル
奇襲Lv1 飛行Lv1 鉤爪Lv1 風魔法Lv1 火魔法Lv1
猛火Lv1
まぁ、鳥系は大体こんな感じだよね。これで俺が召喚出来る数は7となった。
では、改めて小麦刈りをしよう。昨日ルインさんから借りた鎌を持ち、島に向かう。
すると昨日ユグさんから聞いていたのだが、風車が完成していた。
風車:レア度8 建物 品質B+
効果:防霜、粉末化
アカシアの木から作られた風車。風を常時発生させることで常時色々な生産を行うことが可能。更に霜から野菜を守る効果がある。風車の中はホームにすることが出来る。
この説明からすると風力発電とかも出来そうだな…まぁ、これは現在ある素材、技術で出来るかが問題だけどね。
さて、みんなで小麦を収穫する。しかしリアルではコンバインなどの機械で収穫するが、このゲームではまさかの手作業だ。当然時間はかかるし、リリーたちもすぐに飽きる。
しかしこれもお菓子のためだと考えるとリリーたちも頑張り作業を終えた。
後は小麦を小麦分離機を使い、小麦の藁と粒に分ける。どんどん稲を入れていくと次々、藁と粒をゲットする。
小麦:レア度7 食材 品質B
イネ科の植物。正式にはパンコムギと呼ばれる。小麦の実から作れる小麦粉は多くの料理に使用され、主にパン、麺類、お菓子などに使用される。また藁は燃えやすく、紙にすることも出来る。
じゃあ、作業をしていこう。まず稲分離機で粒と藁を分ける。
粉にするために小麦の粒を風車に運び、挽砕作業に入る。これで小麦粉が作れるはずだ。
風車で小麦粉を作っている間、藁はパルプ製造機で藁のパルプを作る。完成したのがこちら。
藁パルプ:レア度7 素材 品質B
小麦の藁から作ったパルプ。藁の紙を作ることが出来る。
そのまんまだ。これは大量に作り、紙製造機で新しい紙が誕生した。
藁の紙:レア度7 素材 品質B
小麦の藁から作った紙。ほんのり小麦の香りがするのが特徴。
これを大量に生産する。これでだいぶ余裕が出来たから、セチアとリアン、ブランのための魔導書を作りたいな。他にもギルドに所属している魔法使いの人たちは当然欲しがるだろうな。今回は大量になるから余った分は欲しい人に渡せそうだ。
そしてその間に小麦粉が大量に完成する。完成したのがこちら。
小麦粉:レア度7 食材 品質A-
小麦の粒を粉末にしたもの。パン、麺類、お菓子などに幅広い料理に使用される粉。
遂に小麦粉が作れた!感無量である。品質A-なのは恐らく風車の効果だろう。ユグさんに感謝だ。後はこれを必要に応じて、粉変換機で変えてやればいい。試しに強力粉を作ってみた。
強力粉:レア度7 食材 品質A-
小麦粉の一種。主にパンなどに使用される。
うむ。完璧だ。後はこれを繰り返していく。するとサバ缶さんたちが会いに来た。
「ギルマス。どうですか?」
「あぁ、完璧だよ。ほら」
「見事に小麦粉ですね…これで食生活は変わりますね」
「あぁ。これから試しにパンを作るつもりだよ。そっちはダイナマイトか?」
すると全員が残念な顔をする。どうした。
「いえ、どうやら作り過ぎて生産が進んでいないので、今日は別の物を作るつもりです」
ありゃ。まぁ、危惧していたことだが、やはり使ってばかりいると生産は進まないよな。
「今日作るものはなんですか?」
「煙玉です。リン鉱石は少し余裕がありますから今のうちに作成レシピを完成させようかと」
元々はその為のリン鉱石だったな。
「そうですか。頑張ってください。完成したら使わせてください」
「もちろんです。ではリン鉱石を使わせて貰いますね」
それから暫くすると大爆発が発生したが、きっと大丈夫だろう。
では、俺は小麦粉を作ってパン作製をしよう。
使うのは強力粉、塩、砂糖、バター、牛乳、ドライイーストだ。
まずはボールに牛乳、砂糖、金羊毛のバターを入れて、温い温度になるまで温める。温めたら、バターを溶かし、ドライイーストを入れて混ぜて、暫く放置する。この間に強力粉、塩を混ぜる。
そしていよいよ生地作成に入る。先に作った強力粉、塩を混ぜた粉の中に放置して作った液を加えてこねる。生地がくっつかなくなったら、発酵を使用する。すると生地が大きくなった。一応生地の真ん中に指でプスッとさしてみる。生地が戻ってこなかったので、成功。
後は優しく押してガス抜きをして、好きな形に成形する。今回は初めてなので、食パンを作る。成形が済んだら、濡れた布巾を被せ再び発酵を使うと膨らむ。
これを竈に入れて、焼くと完成する。
食パン:レア度8 料理 品質A-
効果:満腹度70回復、1時間魔力自動回復(特)
最も一般的なパン。表面はサクサクで中はもっちりしており、パンの香りも良い。
試しにナイフで切るとふかふかの生地が現れる。完璧かな。早速出来立てをみんなで食べる。セチアとミールはカルチャーショックを受けている。
「な、なんですか…これ」
「美味しい…香りも味も素晴らしいです。タクト様」
そうだろうそうだろう。しかし他のみんなは美味しいけど、リアクションが微妙だ。しかしパンはこれだけではない。リリーたちを唸らせるものなんてすぐに作れるさ。
食パンを切るとその上に竜肉で作った生ハムをスライスした物や鰹の刺身を乗せて、食パンで挟む。完成したのが、こちら。
ハムサンドイッチ:レア度8 料理 品質A-
効果:満腹度80回復、1時間魔力自動回復(特)、1時間筋力アップ(特)
竜肉のハムを食パンで挟んだシンプルな料理。味付けに鰹の魚醤が使用されている。
フィッシュサンドイッチ:レア度8 料理 品質A-
効果:満腹度80回復、1時間魔力自動回復(特)、1時間筋力アップ(特)
鰹の刺身を食パンで挟んだシンプルな料理。味付けに鰹の魚醤が使用されている。
これだとあっさり手のひらを返すリリーたちであった。
俺は夕飯のために一旦ログアウトする。
再ログインするとセチアとリアン、ブランの魔導書製作をすることにした。三人と共にアクアスで製作する。
セチアの素材は水晶竜の鱗と藁の紙、魔法のインクとセチアの血、フェニストの筆ペン。リアンの素材は吹雪竜の鱗と藁の紙、魔法のインクとリアンの血、フェニストの筆ペン。ブランの素材が星虹竜の鱗と藁の紙、魔法のインクとブランの血、フェニストの筆ペンを使う。
魔導書は簡単に出来たが、文章を悩むセチアとリアンとブラン。俺の方をチラチラ見ながら、俺から見えないように文章を書く。俺はその間に名前を考える。
すると魔導書から緑色の光と青色の光、七色の光が発生し、魔導書が完成する。そしてやはり名付けは俺だ。という訳でそれぞれ名付けた。
「スコーゲンタクトとスノーダンスタクト、ブライトタクトなんてどうだ? 安直だとは思うが」
「タクト様の名前を付けていいんですか?」
「俺を散々見ていてそれを聞くのか? 一応意味はスコーゲンは森、スノーダンスは雪の踊り、ブライトは明るいという感じだな」
スコーゲンはエルフから連想してスウェーデン語にした。スノーダンスはマイナス的な吹雪を明るい言葉に変えてみた。ブライトは虹の意味で明るい未来という意味があるところから取った。
「いいかどうかは三人は決めてくれ。俺は別に構わない」
三人は視線を合わせる。
「主がそういうなら文句などあるはずがありません」
「私もです! タクト先輩の名前の魔導書大切に使います」
「私もタクト様の名前のこの魔導書。大切にしますね」
というわけで完成したのがこちら。
スコーゲンタクト:レア度9 魔導書 品質A+
重さ:40 耐久値:150 魔力:50
効果:無詠唱、複合詠唱、光属性魔法効果アップ(極)、火属性魔法効果アップ(極)、土属性魔法効果アップ(究)、木属性魔法効果アップ(究)、魔法反射障壁、星の加護
太陽と星、土、木の力がある透明な緑色の魔導書。魔法を反射する障壁を張ることが出来る能力まで持っている魔導書。
スノーダンスタクト:レア度9 魔導書 品質A
重さ:30 耐久値:140 魔力:50
効果:無詠唱、複合詠唱、光属性魔法効果アップ(極)、火属性魔法効果アップ(極)、風属性魔法効果アップ(究)、氷属性魔法効果アップ(究)、極光、星の加護
太陽と星、風と氷の力がある白い魔導書。極光の能力まで持っている魔導書。
ブライトタクト:レア度9 魔導書 品質A
重さ:30 耐久値:130 魔力:50
効果:無詠唱、複合詠唱、光属性魔法効果アップ(極)、火属性魔法効果アップ(極)、全属性魔法効果アップ(究)、閃光、星の加護
太陽と星、全ての属性を強化する力がある虹色の魔導書。閃光の能力まで持っている魔導書。
三人とも、強いな。ただ地味に重いのな…竜の鱗の代償だな。丈夫で能力は高いが重たいということだろう。まぁ、重さは浮かせば意味はないから大丈夫だろう。
「なんというか…主より強い武器を持っていると申し訳なくなりますね…」
「タクト様の悪い癖です…いつも言っているのに…はぁ」
結構自分を優先しているつもりなんだけどな…するとセチアが言ってくる。
「タクト様がお願いしてくれないと前みたいに動きますよ?」
ん?そんなことあったっけ?
「…これは和狐さんと協議する必要がありますね」
あ、マントとかくれたときのことか…思い出した。というかまたマントを作る気なのか?それはちょっと困るな。
「…せめて靴と手袋にしてくれ」
「いいましたね?」
しまった…トラップだ。しかしこれはいずれ頼むつもりだったものだからいいか。
さて、せっかく小麦粉が手に入ったから色々な料理を試したいがリープリッヒの人たちを呼んでパンの作り方を伝授しよう。
というわけでリープリッヒで要件を伝えるとジャンヌが食いついてきた。
「パンをこれから作るんですか!?」
「そうだが…どうしたんだ?」
「いえ…いつも神様から貰っていたのがパンでしたので、人に作れるとは思えなくて」
ほうほう…神様からパンを貰っていたのか。よろしい。神様が作ったパンとやらを超えてやろうじゃあーりませんか。
まずはパン生地を作る。発酵が終わり、生地を取り出すと生地をクルクル回して、円状に伸ばす。
「わぁ…」
「なんですか? これ?」
「曲芸か?」
まぁ、そう見えるよね。ぶっちゃけしなくていいし。そこらへんはちゃんと教えておいた。
次はソース作り。ユウナさんから貰ったにんじん、玉ねぎとルインさんから買った鶏肉を切り、鍋に入れて水樹の水を加えて、ブイヨンを作る。
次にトマトと玉ねぎ、ピーマンを刻んで鍋に入れて、炒める。暫く炒めたらブイヨンを加えて、塩で味を整える。とりあえずこれでトマトソースが完成。味を確認するが、やはり首を捻ってしまう。やはり素材が足りなかったか…ピザ作りは早かったかな。
まぁ、このままいってみよう。
伸ばしたパン生地にトマトソースの塗り、バジルと金羊毛のチーズを乗せて、竈で焼いていく。完成したのがこちら。
マルゲリータ:レア度8 料理 品質A-
効果:満腹度90回復、2時間魔力自動回復(特)、二時間蘇生付与
トマトソース、バジル、金羊毛のチーズで作ったピザ。シンプル故にピザ本来の味を楽しめる料理。
みんなで食べる。みんなは美味しいと言ってくれるが俺は首を傾げる。やはりトマトソースが失敗しているのが、致命的だな。それでもジャンヌの衝撃は相当のようだ。
「あの…これもパンなんですか?」
「もちろん。さっき生地がパンなのを見ただろう?」
「そうですけど…これがパンだとは」
信じられないか?ならば普通のパン料理で勝負する。先ほどリリーが食べたサンドイッチを作る。
「は…はむ! …美味しいです」
アイムウィナー!
「パンでこんな生地とは思えません。もっとカチカチで食べにくいものだと思っていました」
「それは多分作り立てのパンじゃないからだ。もしくは作り方に何か問題があるかどちらかだな。パンの作り方を教えてやるから作ってみるか?」
「は、はい! お願いします」
それからジャンヌはパン作りをマスターした。ついでにフランスパン、クロワッサンを教えた。これを食べたジャンヌはカルチャーショックを受ける。特にクロワッサンを気に入ったようだ。フランスパンじゃないんだね。
後は簡単なアップルジャムとオレンジジャムを教えた。これでパン作りはひとまずオッケーだろう。
「作りすぎちゃいましたね…」
「早速お店で売ってみるといい。自分が作った料理で人が笑顔になるのは格別だぞ?」
「…はい! 明日から売ってみます! 教えてくださりありがとうございます」
いい顔だ。最初の頃とはだいぶ違ってきたな。
『パン…』
セチアたちが見ていた。
「俺が焼いた分でいいか?」
『はい!』
やれやれだ。その後、匂いにつられてリーゼがやってきて、一緒に食べた。明日からお店で並ぶことを話したからきっと大騒ぎになるだろうな。
時間を確認すると今日はここまでだな。ログアウトすることにした。




