#430 リリーたちとの買い物
お昼を食べてからログインするとみんなに急かされる。
「早く行こう! タクト!」
「時間は有限なんですよ!」
はいはい。先にナオさんのところに行く。
『お邪魔しまーす!』
「い、いらっしゃいませ! タクトさん、今日はどうしたんですか? リリーちゃんたちも一緒で」
『デート!』
ナオさんが俺を見る。まぁ、間違いじゃないな。
「そうなんですね。じゃあ、たくさんタクトさんにたくさん買って貰わないとね」
『うん!』
ナオさん、自分の商品を買うように誘導してないか?すると早速みんな商品を見ていく。するとリビナが疑問を口にする。
「おねーさん。これしかないの?」
「ごめんね…イベじゃない。バエルとの戦いで私の評価が物凄い上がっちゃって、品薄なんだ」
「そうなんですか?」
「はい…リリーちゃんたちの指輪を私が作った事がバレちゃいまして、売っていたものは即売れしました…こんなこと初めてですよ」
あちゃー、バレちゃったのか…そしてリリーたちの効果凄いな。しかし品薄ならどうしようもないな。現在島で生産中だからこれが安定すれば解消されるだろう。
ナオさん一人で作らないといけないから物凄い重労働になると思うけどね。
数時間後…リリーたちの買い物という名の暴走は止まらない。手当たり次第、お店を見ていく。しかしリリーたちのお眼鏡に叶う物がなかった。
ただ随分人が増えた気がする。後で判明したことだが、俺が原因のようだ。正確には島だ。これからフリーティアに最新の素材が安く安定的に手に入る情報を得て、プレイヤーたちがフリーティアに流れてきたのだ。
そしてこの中には当然俺たちのギルドに所属するために集まってくれた人たちもいる。特に鍛冶職は必要不可欠だ。クロウさんからルインさんに抗議のメールが来たらしいが、他国で連携相手じゃない人にはルインさんは容赦無かった。
そして俺たちの買い物は結局獣魔ギルドに来た。
「タクトさん、皆さんを連れてどうしーー買い物ですか?」
リリーたちの様子からネフィさんは何かを感じ取ったようだ。
「えぇ。頑張ったリリーたちにご褒美を」
『いらっしゃいませ!』
一気にギルド内のお店が活気づいた。流石商売人…じゃあ、服から見ていこうか。
『毎度、ありがとうございました!』
服屋さんたちはホクホクだ。全員の普段着、外出用の服、パジャマを買ったら、そりゃホクホクになるよ。俺は全員から感想やら選ばされたり、もう生命力がない…実際は満タンだけどね。
そして、次はアクセサリーを見る。俺が見つけたのは桜デザインのアクセサリーだ。
「これは?」
「それは桜にゃ! 和の国桜花のシンボルでとっても綺麗なピンクの花を咲かせるようにゃ!」
俺はリリーに合わせると似合っていた。
「リリー! 新しい髪飾り、これなんてどうだ?」
「わぁ! 綺麗な花の髪飾り! タクト! 欲しい!」
決まりだな。ここではお洒落なネックレスや髪飾りを中心に買った。バフ効果のものもあったが微妙だったんだよな。
「宝石や結晶はここら辺じゃ滅多に取れないのが原因にゃ。どうしてもウィザードオーブに負けちゃうんにゃ」
納得した…以前ウィザードオーブでそういうお店を見つけたのが原因だったか。次、行った時は色々見て回ろうかな。いや、島が軌道に乗ればそういうのとは無縁になるか…つまり打倒ウィザードオーブだな。
次は珍しくノワのリクエストで雑貨屋に来た。ノワの目当てはクッションだった。
手当たり次第、クッションを抱き締め感触を確かめる。
「…モフモフ。ん! にぃ、これが欲しい。至高」
一番高いからそうだろうな!するとリリーも部屋の飾りを買っていく。俺も探すか…するとフクロウの木彫りを見つけた。
「タクトの部屋にはあれがいいよ!」
「どれだ?」
リリー…部屋の飾りで俺と同じくらいの金色の竜の像ってどうなんだ?するとみんな自分と関係がある物を薦めてくる。
やめてくれ。サキュバスやエルフ、マーメイドの像が部屋にあったら、俺はヤバい奴だろう。結果、何も買えなかった。
その後、武器屋を見るとリビナが騒ぐ。
「あ! 鞭があるよ! タクト!」
「レザーウィップにウッドウィップ…これは?」
「初期の鞭装備だ。鞭は不人気でほとんど出回らない武器でな。いいものが中々手に入らないんだ」
「えぇ…」
リビナががっかりする。俺は鞭について聞いてみた。
「鞭には色々あって、主にモンスターの皮から作る動物タイプや蔓や木から作る植物タイプ、金属タイプがあるな」
「特徴とか教えてくれませんか?」
「いいぞ。大雑把だが、モンスターの皮は最もオーソドックスだ。耐久力もあり、しなりと固さもあるから縛る、叩く両方出来る。ただ特化しているわけじゃねーから良くも悪くも普通だ」
まぁ、それが普通だからな。ということは残りは特化になる。
「植物タイプは縛り特化だ。動物タイプや金属タイプにはないしなりで使い手の思うように鞭を操れる。但し攻撃力はない」
叩かれると痛そうに見えるが…実際に見ると確かに皮より自在に動いている。これなら守りにも強いだろうな。
「最後に金属の鞭は叩く特化だ。丈夫で攻撃力はあるがしなりがない。一番使いにくい武器だな…まぁ、素材でだいぶ違うみたいだが」
なるほど…話からすると植物か皮が良さそうかな?
「トゲトゲの鞭で縛られたいなんて…あぁ~! 待ってよ! タクト! 冗談だって!」
全く…動物で皮ならヒュドラが今のところ最高かな?植物はセチアによると杉、檜、松がいいとのこと。微妙だな。まぁ、ヒュドラでいいか。
リビナに約束すると納得する。情報を教えて貰ったから、ちょっと高い短剣を買った。
「毎度あり~」
最後に馬具でお世話になっているお店に来た。
「いらっしゃい! 今日は何かな?」
「みんなの分を一新しようと思ったんですが…これは?」
俺が見付けたのはこちら!
鉄のバーディング:レア度4 防具 品質C
重さ:60 耐久値:150
馬などに装備する鎧。弓矢や銃撃でもものともせず、突進することができる。
博物館か何かで扱かわれていそうな馬の鎧があった。
「これは馬用の鎧だよ! 筋力がないと装備出来ないけど、装備出来たら矢とかの攻撃から守ってくれるからレベルが高い馬は装備するんだよ」
「召喚獣でも出来ますか?」
「もちろん! ただ好き嫌いがあるからちゃんと聞いてあげてね」
みんなを召喚するとダーレーとヒクスは好きみたいだが、他は嫌みたいだ。
スピカに至っては競馬で優勝した馬の首にかける優勝レイというものに興味を示した。やめて…それはなんの意味もない物だよ。
因みにサフィは召喚した瞬間、ネフィさんに拉致された。ネフィさんは癒し系が好きだから、サフィはツボに入ったみたいだな。
これならヘーパイストス作れるかな?覚えておこう。さて、全員のコードバンを一新する。買ったのはこちら。
名馬コードバンの鞍:レア度6 防具 品質B
重さ:20
追加效果:騎乗時、バランスが安定する、俊敏値+10
サラブレッドの皮を使用したコードバン。乗馬する際の必須装備。馬の背に装備することで安定して乗ることができる。
名馬コードバンの鐙:レア度6 防具 品質B
重さ:20
追加效果:騎乗時、姿勢が安定する、俊敏値+10
サラブレッドの皮を使用したコードバン。騎乗戦闘する際の必須装備。バランスを崩すことなく武器を扱えるようになる。
また馬に乗る際にも便利。
名馬コードバンの手綱:レア度6 防具 品質B
重さ:20
追加效果:騎乗時、馬への指示が可能になる、、俊敏値+10
サラブレッドの皮を使用したコードバン。騎乗する際の必須装備。左右への旋回、止まれの指示などが可能になる。
名馬コードバンのシート:レア度6 防具 品質B
重さ:20
追加效果:騎乗時、バランスが安定する、騎乗時、姿勢が安定する、俊敏値+10
サラブレッドの皮を使用したコードバン。大きすぎるモンスターに騎乗する際の必須装備。多くの人数が乗れるように席が複数あり、固定用のベルトで安全に乗ることが出来る。
合計俊敏値40アップはかなりでかい。その分値段はしたが後悔はない。
サフィは中サイズで合わせた。それと大サイズの何人も乗れるシートを買った。代わりに大サイズの時には鞍、鐙がないことになる。これで装備は大丈夫だろう。
最後にギルドカードを提出すると橙色になった。インフォは無し。
「魔王に神を倒したなら当然の評価ですよ。しかもエーテルビーストにウッドドラゴンも倒してしまうとは凄いですね」
更に冒険者ギルドでも更新して、橙色になるとインフォが来た。
『冒険者ギルドのランクが橙に到達しました。スキルポイントが4増えました』
これでスキルポイントは17ptとなり、エーテルビースト、ウッドドラゴンの討伐報酬でお金を貰った。かなり減ったからお金を貰った時は嬉しかった。
これで買い物は終わった。そのあと、みんなのファッションショーに付き合うことになったのだが、大変だったがみんな似合っていたので、結局買い物して良かったんだろう。
「セチア」
「リリーお姉様たちのアクセサリーに刻印ですね?」
「あぁ、頼む。トーナメントが終わっているファリーダやセフォネから頼む」
「わかりました」
これでよし。夕飯のためにログアウトするとしよう。




