#423 島完成とリリーの提案
会議後、俺はみんなに予定を聞く。
「みんなは今後、どうするつもりだ?」
すると武器一式揃えたメルが答える。
「私たちはサンドウォール砂漠とホークリバーの攻略かな? 出来ればミノタウロスの試練もクリアしたい感じだよ」
烈風さんが答える。
「俺たちはこいつらの船探しだな」
「ん? エクスマキナの船を探すのか?」
「あぁ…なんでも暗黒大陸にあるらしくてな。向こう側の攻略だ」
グッドラック!頑張ってくれ!因みにイクスの武器は船が違うため装備できないらしい。厳しいな…しかもこれは暗黒大陸の攻略も進めろという運営からのメッセージでもあるな。
ルインさんたちはこれから俺と一緒に島に行く。それからは島開発をしつつお店を切り盛りする感じだ。おっと、チロルに言っておかないとな。
「え!? あの沈没船の調査をタクトさん、抜きでするんですか!?」
「俺はこの有り様だから無理だ。みんなイベントでレベルが上がっただろう? 気にしなくていいから攻略してくれ」
「わ、分かりました!」
これでよし。それじゃあ、俺はサフィにノワスタイルで島まで連れていって貰おうとしよう。リリーたちに乗せてもらうと当然のように上から寝そべるノワ。
「…至高」
俺のローブがノワに効果抜群だ。しかしこうなるとリリーたちが全員乗ろうとするので、ノワを下ろす。
サフィに運ばれてきた島はイベントの最初の島と同じだった。こんな島でどうしろと?そう思っていると説明のインフォが来た。
どうやら画面の操作でベースとなる島の設定や鉱山などを配置していくようだ。ルインたちと協議の結果まずは普通の地質の島を選択する。
生産するのに岩がゴロゴロある島を選んだりはしないだろう。戦闘にはいいかも知れないけどな。
決定すると島が変化する。
『おぉ~』
画面通り普通の島だ。するとミールが大興奮だ。
「タ、タクト様! この島は自由にしていいんですか!」
「自由というか、まぁ、俺たちの土地になるのかな?」
「これは凄いですよ! 島の自然を一から作れるなんて最高です! さ、早速セチア様と案を練らないと!」
セチアと二人で色々決めていく。
「まず中央に水樹は決まりですね」
「はい。水樹の周りには浄化草を殖えて、こちらにはアカシアの木、それからカカオの木、ココヤシの木、バオバブの木はこことこことここでしょうか?」
「カカオの木は沢山植えないとチョコレート一日一食が達成出来ませんよ」
「それはダメですね! じゃあもっと増やして」
ルインさんたちも含めて、全員完全に置いてきぼりだ。とはいえ二人は大切なことを忘れている。
「鉱山や野菜とかのことも考えてくれよ」
「「あ…」」
おいおい…するとセチアが考える。
「タクト様、鉱山はどんなのでしょうか?」
「ん? 試しに中央に設置してみるか?」
「お願いします」
セチアにお願いされ、中央に鉱山を設置する。結構なサイズの山だな。それでも島自体大きいから生産には問題ないだろう。
でかくなったサフィに乗り、鉱山の頂上に移動する。木に縛られながらサフィに乗るのはスリリングにも程があった。
俺がダウンしている間にセチアとミールが確認する。
「地質は問題ないですね」
「はい。高さもそこまでないですし、ここなら水樹を植えても問題ないです」
話を聞くとどうやら二人は鉱山の上に水樹を植え、川を作り島中に水樹の水を行き渡られる作戦のようだ。ルインさんたちは完全にお任せ状態だ。
「エルフとドライアドの言うことなら、まず間違いないわよ」
確かにね…というわけで二人の指示通りに地形を設定していく。更に湖と洞窟、海岸の場所を決めて、大体の島が完成する。
後はどこに何を殖えるかだ。これはみんなで決める。基本的にはやはり山を中心に東西南北で役割を決める感じがいいだろう。わかりやすいからね。
というわけで北が決闘エリア、東が野菜エリア、南が森エリア、西が釣りエリアとなった。まぁ、恐らく西のエリアは木に占領されそうな気がしてる。主にカカオの木にね。
「東エリアで結構スペースを貰えませんか?」
「もちろんそれは構わないけど、何を植えるつもり?」
「実は米と小麦、大豆を狙っていまして。設定で田んぼや畑を作れるみたいだし、みんなも強くなりました。そろそろ本格的に上級クエストにチャレンジして行っても大丈夫だと判断しました」
この三つは残念ながら、ポイントの対象にはなっていなかった。恐らくこれからも手に入ることはないだろう。欲しければクリアしろと言うならやってやるだけだ。
「タクトさんが燃えている!」
「そういうことなら結構いるわね。ユウナ」
「うん! だいぶいると思う!」
だよな。この三つは俺たちの食生活を劇的に変えることになるだろう。俺たちは神様に勝った。ならきっと上級クエストもクリア出来るはずだ!
「タクト様…本当に燃えてますね」
「そんなにいいものですか?」
そうか…二人は小麦粉の偉大さを知らないか…ならば教えて進ぜよう。
「小麦から作る小麦粉はな…料理の世界では魔法の粉と呼ばれているほどのものなんだよ。種類によって変わるが、主にうどん、パン、パスタなどに使われるものでな…何より人類史上最高のデザートと言っていいケーキの素材なんだよ」
「「それは必要ですね!」」
やはりケーキの衝撃は凄いものだろう。セチアやミールからしたら、きっとパンの衝撃も凄いと思う。他には揚げ物に使ったり、本当に小麦粉のあるなしはだいぶ違う。何はともあれこれで島の地形設定は完了!
後は素材を使っていくだけだ。
さて、早速ミールが水樹の苗木を殖える。すると水樹の苗木から水が湧き出てくる。湧き出した水は川を通り、湖や島中に流れていく。完璧だな。三人でハイタッチをした。汲んだ水を鑑定してみる。
水樹の水:レア8 素材 品質B
水樹から湧き出た水。ミネラルが豊富でこの水だけで枯れた土地を復活させることができるほどの水。回復アイテムの素材にも使用され、様々な国がこの水の恩恵を受けている。
やはりアクアスの水には及ばないな。まぁ、それはこれからだろう。重要なことはポーションの味が改善される可能性が高いこと。ここ凄く重要。
俺たちはそのまま鉱山に設定した鉱洞の中に入る。説明によると山にささげるのではなく、鉱洞の中に採掘ポイントを作るようだ。地形を設定して上に二層、地下に二層の全五層構造の鉱洞にした。
鉱洞を進みイベント報酬でゲットしたニトロ鉱石、リン鉱石、銀鉱石、浮遊石を捧げる。ルインさんたちは俺が気になっていた暗性石、聖性石、疾性石、炎性石、地性石、海性石と俺が交換したものを捧げてくれた。立派な鉱山になれよ~。
次に洞窟に入る。この洞窟も普通の洞窟を選んだ。他にはイベントにあった鍾乳洞のような洞窟に設定することができたが結局普通にした。
洞窟には星晶石、イオン結晶、ルインさんたちが交換したサファイアなどの宝石類。ダイヤモンドは残念ながら無かった。恐らく特別なクエストをクリアしないとゲット出来ないアイテムだという話だ。根気よく行くしかないね。
海岸にはアコヤガイ、ルインさんたちがその他の魚介、海草類を捧げて貰った。
最後にミールが手に入れた苗木を殖えて、終わりだ。するとセチアからリクエストされた。
「タクト様、エアリーさんを呼んでいただけますか? エアリーさんなら木を植えることも育てることも出来るはずです」
完全に忘れていた…エアリーを呼び出すとミールの指揮の下、苗木や野菜を植えていく。植え終わるとミールが雨を降らし、後はどんどん育てて行くだけだ。グロウを使っていると予想外のことが起きた。
「ヴェ~」
エアリーが叫ぶと緑のオーラが放たれる。すると苗木が見る見る木になり、まだ小さいながらも実やバナナを付けた。これは…エアリーの豊穣スキルか!早速集めると一応俺は釘を刺しておく。
「くれぐれもカカオの木ばかりにはしないでくれよ?」
「「…」」
笑顔で無言。返事をしましょうね…二人とも。
これで島は完成だ。あれ?なんか別のゲームしている気がする。俺がそう思ったのは全てが終わった後だった。
疲れたので、俺はリープリングのベッドで休むことにした。
「タクト~。暇~」
俺のベッドの上でゴロゴロ転がり、遊んでいるリリーが早くも暇と言い出した。
「俺も暇だが、何も出来ないだろう? リープリッヒに行ってきたら、どうだ?」
「う~ん…あ!」
「うぐ!?」
リリーが何かを思いだし、立ち上がる。リリー!そこはダメだ!仰向けで寝ている男の上に乗ったら、いけないところ!
「タクト! 決闘がしたい!」
「決闘? 誰と戦いたんだ? 俺は無理だぞ? イオンか?」
「ううん! ずっと前にしたとーなめんとってやつ! 考えてみたら、ずっとコノハが一位なままだよ!」
あ…あぁ~。そんなことをしたな。あれは確かフリーティアに来る前に誰が一番強いか決めたんだったな。
あの時は空を飛べるのがコノハとひよりだけで夜にしたからコノハが有利だったんだよな。最後はイオンとコノハが戦い、結局空を飛べるコノハが勝ったんだった。
するとミールと話し合いをしていたセチアが言う。
「いいんじゃありませんか? しかしリリーお姉様。ただトーナメントをするのでは味気無いですよ?」
「え? 何をするの?」
「ずばり優勝者にはタクト様になんでもお願いを聞いてもらえる権利を与えるのはどうでしょうか?」
また変なことを言い出す。
『乗った!!』
みんなが部屋中から現れた…リープリッヒに行っていると思っていたら、かくれんぼで遊んでいたようだな。しかしこうなったら、止まらない。それに俺もどうせ何も出来ないし、今のみんなの全力戦闘を見るいい機会かもしれない。
「わかったわかった。じゃあ、明日トーナメント表とルールを決めるからそれでいいか?」
『うん!』
というわけでリリーの発案で急遽リープリング最強召喚獣トーナメントがこっそり開催が決まったのだった。
名前 セチア ホーリーエルフLv3
生命力 140
魔力 288
筋力 122
防御力 93
俊敏性 116
器用値 266
スキル
杖Lv22 魔法弓Lv31 鷹の目Lv26 射撃Lv25 木工Lv24
採取Lv35→Lv36 調薬Lv20 刻印Lv11 宝石魔術Lv5 宝石細工Lv5
封印魔術Lv10 連続詠唱Lv8 同時詠唱Lv8 魔力操作Lv8 風魔法Lv12
火魔法Lv25 水魔法Lv28 土魔法Lv20 闇魔法Lv13 神聖魔法Lv10
雷魔法Lv15 爆魔法Lv16 木魔法Lv21→Lv22 氷魔法Lv12 樹魔法Lv18
罠設置Lv2 森林操作Lv5 ホーリーエルフの知識Lv26 精霊召喚Lv8
精霊結界Lv4 精霊魔法Lv2 列石結界Lv4 使役Lv8→Lv9 料理Lv20
名前 エアリー ヘイズルーンLv1
生命力 150
魔力 118
筋力 118
防御力 80
俊敏性 134
器用値 110
スキル
角擊Lv25 激突Lv1 登攀Lv4 危険察知Lv16 跳躍Lv10
疾走Lv18 木魔法Lv3 光魔法Lv18 植樹Lv1→Lv3 採乳Lv18
守護Lv7 祝福Lv8 豊穣Lv5→Lv8 蘇生Lv1 狂戦士化Lv2
封印魔術Lv10 列石結界Lv10 森林操作Lv1 天撃Lv1 星の加護Lv1
名前 ミール ネロハマドリュアスLv3
生命力 126
魔力 161
筋力 78
防御力 84
俊敏性 100
器用値 132
スキル
土潜伏Lv27 森林操作Lv22 俊足Lv10 風魔法Lv7 土魔法Lv12
木魔法Lv10→Lv13 水魔法Lv7 光合成Lv17 譲渡Lv6 花蜜Lv12
花粉Lv8 採取Lv31→Lv32 植栽Lv16→Lv18 株分けLv7 水流操作Lv4
聖水Lv6 雨乞いLv1→Lv2 洪水Lv2 超再生Lv2 状態異常無効Lv1
寄生木Lv18 罠設置Lv18 植物召喚Lv5 水樹の加護Lv6




