#392 スクナビコナ出航
夕食を食べて、風呂を済ませてからログインする。すると城壁付近でドンパチしていた。ルインさんに通信をする。
「タクトです。これから出陣します」
『わかったわ。ミュウたちをお願いね?』
「出来るだけ頑張ります」
リリー、イオン、セチア、恋火、イクスを召喚する。みんな水着装備でやる気満々だ。
「いくぞ!」
『おぉ!』
そういうがリリーとイオンに支えられながら向かう…情けない。
港に行ける城壁の入り口に向かうとミュウさんたちがいた。するとクロウさんが言う。
「野郎共! 戦場に水着の女神たちが降臨したぞ!」
全員がこちらを見る。いや、戦闘に集中してください。
『うおぉおおおお!!』
「幼女サモナーの出陣だ! 開門!」
「「おぉ!!」」
なんの羞恥プレイだ。これは…
門が開き、敵が来る。識別する。
シーフロッグLv8
イベントモンスター 討伐対象 アクティブ
クレイフィッシュマンLv8
イベントモンスター 討伐対象 アクティブ
シャークマンLv8
イベントモンスター 討伐対象 アクティブ
キャンサーマンLv8
イベントモンスター 討伐対象 アクティブ
シーフロッグは普通のカエルだ。海は無理だろう。
クレイフィッシュマン、シャークマン、キャンサーマンはそれぞれザリガニ、サメ、カニに手足があるモンスターだ。特撮でこんな怪人がいた気がするな。さてと。
「リリー、やれ」
「うん! グランドスラッシュ!」
ぶっ飛ぶ雑魚ども。更にリリーの攻撃は止まらない。空を飛び、翼を羽ばたかせる。
「星雨!」
星の雨が降り注ぎ、敵は全滅した。盛り上がっていたプレイヤーたちはモンスターの惨状に絶句だ。
「終わったよ! タクト」
「お疲れ様。イオン、一応水中を警戒してくれ。敵がいたら、倒していい」
「はい! あ」
そんなことを言っていると海から雑魚がわんさか現れる。面倒だな。一掃するか。
「レギオン召喚! こい! ディアン!」
突然のヒュドラの出現に雑魚たちが固まり、ディアンの叫びが響く。
「ディアン、雑魚どもを一掃しろ!」
ディアンの五つの猛毒ブレスが雑魚たちに降り注ぎ、一瞬で全滅する。
「後、クロウさんを食べていいぞ」
ディアンの首全てがクロウさんを向く。
「ちょ!? 悪のりしただけだろう? なぁ、みんな!」
クロウさんが壁を見ると誰の姿もなかった。
「お、お前ら…」
「まぁまぁ、タクトくん。早く行かないと」
「はぁ~…そうですね。イオン、ディアンは水中を頼む」
「はい! ディアン、いきますよ!」
イオンがディアンと共に安全を確保し、船を出す。更にレギオン召喚でノワ、リビナ、リアン、和狐、ブラン、セフォネ、ファリーダ、グレイ、コノハ、虎徹、チェス、ゲイル、白夜、優牙、アラネア、ぷよ助、狐子、ルーナ、伊雪、ミール、サフィ、クリュスを召喚する。
そして役割を決める。
「イオンはチェス、ぷよ助、ディアンと船の護衛。リアンはサフィと索敵と遊撃を頼む」
「「はい!」」
次はスクナビコナだ。
「大砲はセチア、イクス、リビナ、ファリーダ、ミールが頼む」
五人が頷く。
「俺は動けないから舵はノワ。機関室は和狐、頼めるか?」
「…任せて」
「お任せどす」
これでよし。
「タクト! 魔導砲はリリーだよね!」
「何を言うのじゃ! 妾に決まって」
「魔導砲は切り札だから使わないぞ。俺は動けないから恋火、ブランは二人の監視を頼むな」
まさかの任命に二人は慌てる。
「一番難易度高いです!?」
「恋火さんの意見に同意します。主が監視するのが適任かと」
「じゃあ、恋火は和狐のサポート、ブランはノワのサポートを頼む。二人は俺の近くで待機だな」
リリー、セフォネはブーブーいっているがこの二人は何をするか分からないから怖い。
「グレイたちは敵が来たら、迎撃を頼むな。折角の機会だから魔法をメインに使ってくれ」
『ガウ!』
ミュウさんたちに聞くといつでも行けるみたいなので出発するとしよう。
「出航だ! リリー、錨をあげてくれ」
「わかった!」
リリーが嬉しそうに錨をあげる。
「和狐、エーテル魔導エンジン始動!」
『はいな』
スクナビコナが動き出す。俺は魔導コンパスを出し、ノワに進路の指示を出す。
こうして魔導船スクナビコナは最初の島を出航した。
二時間後、俺たちは問題なく第一の島に到着し、運搬船から料理した物を送り届けた。するとルインさんから連絡が来る。
『第二の島でボスと戦闘に入ったそうよ。ボスはイプピアーラで出現したモンスターは半魚戦士に半魚戦士長、デビルマーマンらしいわ。半魚戦士は剣や槍、盾持ちの戦闘タイプ、デビルマーマンは魔法使いタイプだそうよ』
イプピアーラ?聞いたことがないな。出てきたモンスターから考えて半魚人だと思うが…それより半魚戦士って、さっきいたシャークマンたちは半魚じゃなかったのか?
「他に情報はありませんか? 敵の攻撃パターンとか」
『基本的には船を狙ってくるそうよ。半魚戦士たちは海から飛び出して船にも乗ってくるらしいわ』
うむ…それなら船に乗せたほうが楽だな。
「了解しました。こちらは第一の島に到着して、これから第二の島に向かいます」
『わかったわ。気をつけてね』
俺はリリーたちを見る。
「どうやらこれから本番のようだ」
「作戦はどうしますか? タクトさん」
「基本的にはディアンを起点に攻める感じにしようと思うがエーテルシールドはあえて張らないでいこう」
「え!? スクナビコナが攻撃を受けちゃいますよ」
イオンの心配は最もだ。だが俺は断言する。
「スクナビコナは普通の攻撃を受けてもびくともしないさ。傷がついても自己修復するし、問題はない。それより船に上げたほうが全員が攻撃出来るから招待してやろう」
リリーたちに作戦の指示を出して、第一の島を出航した。途中でイプピアーラの討伐報告が来る。メルたちが倒したようだ。やるね。するとリアンから連絡が来る。
『タクト先輩、敵を捕捉しました! 正面から沢山来ます!』
「わかった。ディアンは猛毒ブレス。イオンとリアンは作戦通りに」
『『はい!』』
俺はミュウさんたちに報告する。
「敵を捕捉しました。スクナビコナ、前に出ます」
『お願いね~』
スクナビコナが速度を上げ、前に出る。
水中では半魚戦士長が部下を連れて、スクナビコナを補足した。
半魚戦士長Lv18
イベントモンスター 討伐対象 アクティブ
半魚戦士Lv15
イベントモンスター 討伐対象 アクティブ
デビルマーマンLv15
イベントモンスター 討伐対象 アクティブ
半魚戦士長が話す。
「でかい船だな…きっと奴らの旗艦だ! 沈めるぞ! マーマンたちは魔法の準備。戦士たちは俺についてこい!」
『おぉ! ん? ぎゃあああ!?』
半魚戦士たちにディアンの猛毒ブレスが炸裂した。
「戦士たち!?」
「戦士長! ブレス攻撃です!」
「おのれ! 盾装備の奴はブレスを食い止めろ! マーマンたちを狙わせるな! 戦士たちは俺に続け!」
『おぉ!』
半魚戦士たちはスクナビコナに襲い掛かる。だが、近付くにつれて甘い良い匂いがしてきた。ミールの花蜜だ。
「戦士長! あの花からいい匂いが…」
「う、うむ…いや、惑わされるな!」
戦士長は罠に気が付いた。だが、欲には勝てないものだ。
「あ、花が船のデッキに上がっていきます!? 戦士長!」
「追えぇえええ!」
『うぉおおおお!』
半魚戦士たちが海から飛び出す。真っ正面から飛び出したから彼等が見たのは向けられたエーテル魔導大砲だ。いらっしゃいませ~。
「撃て」
『ぎゃあああああ』
漏れ無く全員、爆散。だが次々、半魚戦士たちは飛び出して来る。しかし待っているのはグレイたちの魔法攻撃だ。結局スクナビコナに乗せることすら無かった。
『マーマンたちの処分、終わりました。タクトさん』
イオンたちにはマーマンたちに側面から奇襲を任せた。ディアンの猛毒ブレスに対処しながらの奇襲だ。どうしようもないだろう。
「お疲れ様。こちらも終わった。敵の警戒を続けてくれ」
『はい!』
その後、敵襲は受けるが同じ戦法でことごとく全滅させ、第二の島が見えてきた。
次回も戦闘を続けるので、ステータスは次回にまとめます。