#39 セチアの実力とつくねショック
さて、気になる樹魔法についてセチアに聞いてみよう。
「セチア、樹魔法ってなんだ?」
「樹魔法は森の守護者たる私たちエルフのみが扱える特別な魔法です」
エルフのみってことはオリジナル魔法ってこと?凄くね?
「ただ強力な反面、詠唱時間が長く、魔力も多く消費してしまいます」
「まぁ、リスクは存在するか…」
俺がそう言うとセチアが提案してくる。
「宜しければご覧になりますか?私では初歩の樹魔法しか使えませんが」
「そうだな。確認したいからちょっとフィールドに出るか」
さて、こうなると問題は編成だ。セチアを入れると誰かを抜かないといけない。リリーとイオンは候補から外す。だって、二人が察知しているのか、じっと見てくる。連れて行くからその視線攻撃はやめなさい。
しかし時刻は夜だ。夜の狩りで必須なのはグレイ。となると候補は虎徹かコノハとなる。本来ならセチアと同じ魔法を扱うコノハを抜くんだが、ここは虎徹を抜こう。理由はやはり貴重な空中戦力を抜くのが痛いからだ。
というわけで自己紹介を済ませ、いざ始まりの草原へ向かう!
最初の相手はボアの大群。お手頃の相手だろう。
「セチアは樹魔法を頼む。リリーは数を減らしてくれ。全滅はさせないようにな」
「わかりました」
「任せて」
「イオンとグレイはセチアの護衛だ。頼むぞ」
「了解です」
そしてリリーがいつもどおり吹っ飛ばし、近付いてくる敵を俺達が各個撃破する。ラスト1体になったところでリリーを下がらせ、イオンに相手をしてもらう。イオンならボアの攻撃を躱し続けることが余裕で出来るからね。
そしていよいよ樹魔法のお披露目だ。
「フォレストウォーリアー!」
セチアが唱えると森緑の魔法陣が地面に描かれ、そこから人の姿を模した木が現れる。手には木剣と木盾を装備している。これはもしかして召喚したのか?
俺がパーティーメンバーを確認するとパーティーメンバーが7名となっており、フォレストウォーリアーが追加されていた。へぇ~パーティーの上限とは別枠で召喚されるのか。凄いな。さて、戦いぶりを見ている。
ボアがフォレスト・ウォーリアーに突進するとフォレスト・ウォーリアーは木盾でそれを受け止め、木剣でボアを攻撃。その攻撃でボアを倒した。おぉー、結構使えそうだな。
と思ったのだが、セチアが俺に倒れこむ。
「おい!?大丈夫か!?」
「大丈夫です…魔力を一気に使った反動ですから」
確かに魔力を使うとだるさを感じることがあったが倒れるほどの反動は初めてだ。セチアの魔力をみると30もある魔力が0になっていた。うわー、これは酷い。
「立てそうか?」
「ちょっと無理ですね」
「やれやれ、仕方ないな」
俺がセチアをおんぶする。
「あー!セチアちゃん、ずる~い!」
「動けないんですから仕方ないじゃありませんか」
「そうだけど、うぅ~」
リリーが唸る。そしてイオンはと言うと…
「…」
無言の圧力、視線攻撃です。
「こうなることは事前に話そうな」
「言ったらおんぶしてくれましたか?」
「樹魔法は禁止していた」
「そうなると思い、わざと言いませんでした」
悪戯な笑みを浮かべ舌を出すセチア。くそ…可愛いな。
「さっきの以外にも使える魔法はあるのか?」
「ツリーウォールがあります」
「お!壁魔法か?」
「はい。大樹を召喚する壁呪文です」
レベル1で壁呪文か…強いな。しかも大樹は俺の中で硬いイメージがある。ユグさんが苦戦していたからね。かなり期待して良さそうな魔法だな。
それにしてもさっきからセチアが匂いを嗅いだりしてきて、リリー達の視線攻撃が続いているわけだが…やめる気配が一向にない。本当に一筋縄では行かない子だよ。俺はそう思いながら宿屋に戻った。
宿屋に着くと日課の焼き肉を作る。どうやらセチアだが肉は苦手な様子。本人曰く、主食は野菜でお魚も食べるらしい。というわけで俺が作ったつくねを出すとそれを目ざとく発見したモッチさんが聞いてくる。
「それ何?」
「これはつくねって言う料理です。アブラハヤを使って作りました。結構美味しいですよ」
「アブラハヤが美味しい?そんな馬鹿な~」
といいながら、焼きあがったつくねを食べるモッチさんが叫ぶ。
「何これ!?うま!?」
焼肉を作った時を思い出すな。
「これって本当にアブラハヤなの?」
「そうですよ。鑑定すればわかるじゃないですか」
「そうだね…本当だ…これってアブラハヤがあれば作れるの?」
あぁ、この流れはもしかして…
「手間暇かかりますが、作れますよ」
「お願い!今から大量に買ってくるから作ってくれないかな?」
「いいですよ」
「ありがとう!あ、ちゃんとバイト代に上乗せするからね」
それはありがたいのだが。
「そんなに売れますかね?」
「絶対に売れる!これは事件だよ」
事件って大げさな。
「タクト君は分かってないよ!あの苦くて食いもんじゃないって言われてるアブラハヤが食べれるんだよ!しかもこんなに美味しく!主食がボア肉の私達からしたら大事件なんだよ!」
あぁ~それを聞くと納得するな…じゃあ、町の皆さんのために頑張りますか。その後、大量のアブラハヤを買ってきたモッチさんが魚屋さんのおっさんを連れて帰ってきた。どうやらモッチさんがつくねのことを話したらしい。俺は早速料理を開始して、魚屋さんのおっさんにつくねを出す。それを食べたおっさんの反応とモッチさんの会話が面白かった。
「マジか…」
「アブラハヤの値段は上げないでね?」
「く!?」
流石だよ。モッチさん。そしてモッチさんがどうして魚屋さんのおっさんを連れてきたか狙いが判明する。おっさんもつくねは事件だと認識して急いで知人に知らせにいった。この店でつくねが食べれると…モッチさん、策士過ぎます。
その後、大量のつくねを作って、料理スキルがアップした俺はログアウトした。
名前 タクト 召喚師Lv15
生命力 24
魔力 54
筋力 17
防御力 10
俊敏性 15
器用値 32
スキル
素手Lv5 蹴り技Lv6 杖Lv6 召喚魔術Lv11 錬金Lv6 採掘Lv6 解体Lv7 鑑定Lv7
識別Lv4 風魔法Lv5 火魔法Lv6 土魔法Lv5 水魔法Lv5 闇魔法Lv5 光魔法Lv5 雷魔法Lv3
爆魔法Lv2 木魔法Lv2 氷魔法Lv2 時空魔法Lv3 読書Lv4 料理Lv8→Lv9 餌付けLv3 釣りLv5
とりあえず樹魔法の紹介でした。エルフの知識については後日紹介します。
ここで更新の報告をいたします。22日に2話、23日に3話同時更新いたします。更に24日にはクリスマス記念で書いた本編とは別のリリー達のクリスマスの話をアップいたします。サンタ衣装のリリー、イオン、セチアが登場いたしますので、よければ読んで見てください。
さて、次回の2話の内容はとあるイベントの開始とイベントの説明となります。タクト達にとって重要なイベントとなるので、お楽しみにです。