#386 魔導船クエストクリアと指輪依頼
現実に戻った俺たちはまずリリーにエストオラシオンを返す。
「エストオラシオンにはちゃんとお礼を言っておくんだぞ。リリーのために頑張ってくれたんだからな」
「え? う、うん! ありがとう。エストオラシオン」
エストオラシオンが光る。多分これでリリーはエストオラシオンを使いこなせるはずだ。あ、それとちゃんと言っておかないとな。
「後、聖輝龍王様は大丈夫だとは言っていたがエストオラシオンの宝玉解放使ってしまったから、気をつけてくれ」
「うん! って、えぇ!? まだリリー、使ってないのに! 酷いよ! タクト!」
ほほぅ。リリーの頬を伸ばす。
「俺がどれだけ苦労したと思っているんだ? 浄化の丸薬を主食にするぞ」
「ご、ごふぇんなはい…」
全く…これが後、最低二回あると思うと気が重い。するとセチアが聞いてくる
「その例えはどういう意味でしょうか? タクト様?」
「浄化の丸薬を食べてから聞こうか。素材は集まったし、ノアの所に行くぞ」
俺はスカアハの屋敷の方向にお辞儀して、ノアの所に向かった。俺が試練をクリア出来たのはスカアハ師匠のお陰だからな。
ノアの所に向かい、クエスト達成の報告をするとインフォが来る。
『依頼クエスト『竜木を集めよ』をクリアしました』
『特殊イベント『ノアの夢の船』をクリアしました』
これでノアのクエストはクリアなんだな…間に合って良かった。
「ありがとう! これでボクの最高の船が完成出来るよ! あ、大砲とかどうする? お金があるなら最大10門は載せれるよ」
「じゃあ、最大で」
「…即答だね」
「ノアの夢の船を作るのに協力する約束だからな。最大乗せないと達成されないだろう?」
俺の言葉にノアは目をぱちくりしてから笑顔を見せる。
「そうだったね! 後は任せてくれて大丈夫だよ! 明日の夜までには完成させるから楽しみにしててくれよ!」
意外にギリギリだったみたいだ。
「あぁ。楽しみにしているよ」
俺はそういって、ノアの家を去った。
リープリングに戻った俺はみんなにクエストクリアのメールを送り、ログアウトした。
夕飯を食べ終えた俺は先にお風呂に入り、疲れを癒す。予想以上に疲れているようだ。
お風呂から出て、ゲームにログインする。バトルシップのトレーニングルームで進化したリリーの強さを確認する。まずは能力確認からだ。
星鎧は身体を光の鎧を纏い、防御力を向上させる能力のようだ。魔法に対して特に防御力があるらしく。かなり強力なスキルだ。
星壁は光の壁を作るのは一緒だが守護より範囲も強度もでかい。お世話になりそうだ。
星雨はリリーが羽を羽ばたかせると無数の光弾が打ち出された。羽投擲の光弾バージョンな感じだな。普通に強い。
聖櫃は結界のような聖なる光の壁で相手を閉じ込めるスキルだ。結界との違いは闇属性の敵の能力を封じる力があるようだ。リリーはノワたちの天敵になったな。
逆鱗は恋火たちの血醒と同じだな。最も強化の度合いは違うだろう。起死回生はピンチになった時に全回復させ、更に強化も入るらしい。ドラゴンはこの二つを同時に使っていたわけだな。
星読みはわからないらしい。なら訓練で確かめよう。
「じゃあ、久々に訓練をするか」
「うん! タクト、勝っちゃっていいよね?」
「あぁ…俺も本気でいくぞ」
「スカーレットリングを使っても、もう通用しないよ!」
だろうね…だからこそ強気なんだろうからな。さて、リリーがどれだけ強くなったかな?
決闘
対戦者:タクト、リリー
制限時間:30分
勝利条件:戦闘不能、タイムアップ
審判:イオン
決闘が始まり、互いに剣を構える。俺とリリーは中段に構えて、動かない。それだけでも驚きなのだが、リリーはわざと隙を見せて攻撃を誘って来ている。
「…いつものように突っ込んで来ないのか?」
「いつまでも昔のままだと思ったら、大間違いだよ! タクト!」
「…そっか」
俺はそんなことを言うリリーの姿に笑む。今までの苦労が報われた気がする。進化して治るなら俺の訓練はあまり意味がない気がするけどね。
「じゃあ、俺からいくぞ!」
俺が間合いを詰め、斬りかかるとリリーは合わせて来る。
「星剣!」
エストオラシオンが光輝き、振るわれるが俺はエストオラシオンを滑らせ、斬りかかろうとしたがリリーの対応が速かった。エストオラシオンを直ぐに引っ込め、片手で突きを放って来る。
「星剣!」
弾こうとした瞬間、エストオラシオンの突きのコースが変化する。これが星剣の効果か!さっき対応が速かったのはこれが原因か!俺は辛うじてスカーレットリングを当て、突きのコースを変えるがリリーは左手を握る。
「星拳!」
マジで!?防御、間に合え!
リリーの拳がコースが不自然に変わり、俺は吹っ飛ばされた。壁に当たり、大の字に倒れる。これは効いた…光剣と光拳は直線の攻撃で変化が無かったから対処は出来ていていたが星剣と星拳は直線ではなく、一度変化するようだ。
リリーが剣を引っ込めるのが速かったのも突きのコースが変化したのはこのためだ。これは対処するのはかなり大変なスキルだぞ…何せ変化を警戒すると直線で来るかも知らないんだ。
「やった~! タクトに勝った~!」
「…まだ終わってないぞ」
「え?」
俺は起き上がる。あぁ~…腹痛い。俺は足や体の調子を確認するとやはり影響はあるか…俺はリリーに斬りかかる。
「わわ! むぅ!」
最初は驚いたリリーだが俺の剣術に対応してきて、互いに剣撃の打ち合いが続く。それを見ていたイオンたちは話す。
「タクトさんとリリー…楽しそうですね」
「リリーお姉ちゃんは…多分タクトお兄ちゃんより強くなっています。タクトお兄ちゃんの剣に対処するなんて信じられません」
「進化して完全にリリーの才能が開花したわね…タクトは言っていたんじゃないかしら? いつか自分が越えられるって」
ファリーダに言われてイオンは思い出す。最初の頃、確かにタクトは言っていた。いつか自分より強くなると…その時がどうやら今日のようだ。
「リリーお姉様がタクト様を押していますね」
「違うわ。リリーが焦りだしたわね」
「え? どうして焦るの? リリーがタクトを押しているのに…」
リビナの疑問はもっともだ。現在リリーは攻撃の手を速くして、なんとかタクトを崩そうとしているが、タクトは崩されない。
「今のリリーお姉様が理由もなく、焦るとは思えませんね」
「リリーは多分未来を見ているわ。タクトの攻撃に対応出来ているのはこれと超感覚の効果ね。そしてタクトはそれに気付いてスキルの能力を測っている」
「リリーはタクトさんの攻撃を食らう未来を見て、される前に何とかしようと足掻いているってことですか?」
「そういうことね…スキルに馴れていないからこれは仕方無いわね。今のリリーは未来を信じきってしまっている。タクトに攻撃を当てたこと、タクトの攻撃に対応出来ていることがそうさせてしまったのね…タクトが仕掛けるわよ」
俺が準備を整え、リリーの攻撃を躱し、攻めに出る。
「「アクセラレーション!」」
「ッ!? 星剣!」
リリーもアクセラレーションの加速に対処する。だがアクセラレーションの加速のほうが速い!
「星鎧!」
リリーがガードを固める。そうするしかないよな。アクセラレーションが切れて、すかさずリリーがスカーレットリングを上空に弾く。お返しだ!
「ボディブロー!」
「ッ!? 星壁!」
俺のボディブローは星壁に防がれ、星壁は消滅する。ダメか…
「リリース」
俺の手にスカーレットリングが戻る。ファミーユを使い、遅延魔法でアポーズをストックしておいたのだ。
リリーに斬りかかるとリリーは慌てて防御する。俺の攻撃はリリー、お前の未来の上を行くぞ!
『イリュージョン』
俺の攻撃が透かされ、全く異なる斬撃がリリーを捕らえる。
「タイムアップです! 勝者リリー!」
スカーレットリングのリリーに当たる直前で止まる。星鎧で粘られたのが余分だったか…そこでインフォが来る。
『俊足スキルのレベルが20に到達しました。俊足スキルが縮地スキルに進化しました』
お!縮地を覚えた!しかし負けは負けだ。
「リリー…お前の勝ちだ。よくやったな」
「え……や、やったぁ! やったよ! イオンちゃん! タクトに勝った!」
思った以上にヤバかった。超感覚と星読みのコンボがえげつない。超感覚でフェイントはまるで効かないし、俺の攻撃は全て察知されたからな。更に星読みでこちらの手がバレていたのがきつかった。最初の攻撃はリリーが事前に未来を見ていたのだろう。すべての技を確認しなかった俺のミスだ。
何よりリリーは今回、大振り攻撃は少なかった。大振りしても次のことをしっかり考えていた…俺の役目は終わりだな。
「リリーはこれで俺の訓練は卒業だな」
「やった~! ……え?」
「えじゃないだろう? 元々強くなるまでの約束だったはずだ」
「そうだった気がするけど…イオンちゃ~ん」
リリーがイオンに助けを求める。
「私はタクトさんにまだ勝ってないですから。訓練お願いします」
「あたしもまだです!」
「二人ともずるい!」
そうは言うが二人も進化したら、卒業だろうな。
「リリーもタクトと戦いたい!」
「俺よりイクスと本気で戦ってみろ。いい勝負をするはずだ」
行動予測と星読みバトルは中々興味深い。
「マスター…リリーを押し付けないで下さい。それよりわたしもマスターとの訓練を」
「却下だ。イクスも卒業だから卒業生同士で訓練してくれ」
「「むぅ~」」
むくれてもダメです。するとファリーダが来る。
「タクト…さっきの戦い本気で戦っていたのかしら?」
「もちろん本気だったぞ?」
「セチアからでっかい牛をタクトがぶっ飛ばしたとか聞いたのだけど?」
確かにルーン魔術は使っていない。正確には使えなかったのだが…それを聞いてリリーが騒ぐ。
「そうだよ! タクト、本気で戦ってなかった! だから」
「俺が本気で戦っていたことはリリーが一番理解しているはずだろ?」
「う…で、でも~」
未練たらたらだな。
「全く戦わないとは言わないから、しばらくはイクスと訓練してみろ。お互い学べることは多いはずだ」
「うぅ…わかった」
するとナオさんからメールが来る。今、お店にいるそうなので、初めてナオさんのお店に向かった。
「お邪魔します」
「タクトさん、いらっしゃいませ」
お店を見ると銀のアクセサリーがたくさんあった。示し会わしたような感じだな。
「銀のアクセサリーが多いですね…」
「ゾンビイベントでインゴットが出回りましたから。お陰でスキルレベルが急上昇したんですよ」
あぁ…俺もインゴットを貰ったな。あれが原因か…
「それで依頼はなんですか?」
「実はこれを使って銀の指輪を作って欲しいんです」
俺がダイヤモンドを出すとナオさんが驚く。
「ダイヤモンドじゃないですか!? あれ? ダイヤモンドでシルバーリング?」
まぁ、バレるよな…
「クラスチェンジして必殺技の条件で必要なんです。あまり触れないでいただけると嬉しいです」
「ということはやっぱりそういう意味なんですね! ま、任せてください! 全力で素敵な指輪を作って見せます!」
あれ?反応が変だな?聞いてみると女の子らしい回答をされた。
「エンゲージリングは女の子の夢ですから。それにリリーちゃんたちを見ているとNPCには見えなくて、やっぱり幸せになってもらいたいって思っちゃいますよ」
プレッシャー…いや、エンゲージリングを贈るということはそういうことなのだろう。
「デザインのリクエストとかありますか?」
「えーっと…竜化したリリーって知ってますか?」
「はい。綺麗なドラゴンですよね。デザインはそれで?」
「お願いします。後、三つ追加させてください。普通のシルバーリングとイオンの竜化した姿と自然をイメージした感じで」
ナオさんに笑われる。デザインの注文だけで誰に贈るかバレバレだ。するとナオさんが提案してくる。
「シルバーリングはタクトさん用ですよね? 普通のシルバーリングでは味気ないですからエンブレムを使ってみたら、どうですか?」
確かに一応特別なリングだ。無地は酷いか…本来なら名前とか入れるみたいだが多いからな。リープリングのエンブレムがふさわしいか。
「それでお願いします」
「わかりました! 時間についてですがシルバーリングは直ぐに作れますが、ダイヤモンドの指輪は少し時間を下さい。デザインはもうイメージ出来ているのですが、なにぶんダイヤモンドは初めてでエンゲージリングは緊張しますから」
「わかりました。時間については大丈夫です。ただこのことは秘密にしてください。苦手なので」
「ふふ…わかりました。では出来上がったら、メールでお伝えしますね。ダイヤモンドは加工済みなので…明日の夜には二つ届けられると思います」
意外に速いな。聞いてみたら、毎日銀ばかり使っているから馴れているからだそうだ。
お金は後払いになり、指輪の依頼は終わった。
今日は疲れたからもうログアウトして、明日に備えよう。
名前 タクト 寵愛の召喚師Lv1
生命力 120
魔力 270
筋力 120
防御力 70
俊敏性 90
器用値 176
スキル
格闘Lv26 蹴り技Lv23 杖Lv35 片手剣Lv33→Lv34 槍Lv20 刀Lv20→Lv22
投擲Lv11 詠唱破棄Lv1→Lv3 魔力操作Lv3 召喚魔術Lv39 封印魔術Lv26
ルーン魔術Lv5 騎手Lv34 錬金Lv23 採掘Lv28 伐採Lv33
解体Lv42 鑑定Lv32 識別Lv40 疾魔法Lv4 炎魔法Lv4
地魔法Lv5 海魔法Lv4 暗黒魔法Lv5 神聖魔法Lv11 雷魔法Lv32
爆魔法Lv37 木魔法Lv27 氷魔法Lv29 時空魔法Lv43 獣魔魔法Lv4
遅延魔法Lv10 連続詠唱Lv15 水中行動Lv15 俊足Lv20→縮地Lv1 読書Lv16
料理Lv40 餌付けLv8 釣りLv20 シンクロLv17 エンゲージLv1
連携Lv8
名前 リリー ドラゴニュート・ホープLv1
生命力 160
魔力 160
筋力 276
防御力 120
俊敏性 130
器用値 122
スキル
星拳Lv10→Lv11 飛翔Lv28 片手剣Lv38→Lv39 大剣Lv33→Lv35 鎚Lv13
危険予知Lv7→Lv8 超感覚Lv1→Lv3 竜眼Lv1→Lv3 星読みLv1→Lv3 物理破壊Lv1→Lv3
星鎧Lv1→Lv2 星壁Lv1→Lv2 星雨Lv1 聖櫃Lv1 星光Lv1 連撃Lv14
集束Lv1 超再生Lv1 星気Lv32→Lv33 光魔法Lv12 星波動Lv10
逆鱗Lv1 竜技Lv13 竜魔法Lv3 竜化Lv7 ドラゴンブレスLv5
起死回生Lv1 星竜の加護Lv6




