#381 スカアハの特訓と更なる強みへ
夕飯を食べてからログインする。俺はワープゲートでスカアハの屋敷に来た。そしてノックして許可を貰って入る。
するとクーフーリンが片手小指逆立ちをしていた。本当にするんだ。
しかもフェルには股間に重しがあり、ノイシュはフェルの倍の重しがあった。
「よぅ。来たな新入り! お前の兄弟子のクーフーリンだ。よろしくな!」
「あ、召喚師のタクトです。よろしくお願いします。クーフーリン先輩?」
「やめろ…気色悪い。俺に勝ったんだし、クーフーリンと呼べ。変なしゃべり方もしなくていい」
「わかった。クーフーリン」
俺がそう言うとクーフーリンは満足げだ。それにしてもクーフーリンの弟弟子ってめちゃくちゃ凄いよな。
「戦闘の時とは雰囲気が全然違うな! まぁ、よろしく頼むわ。ところで二人に何があったんだ?」
「「聞くな!」」
どうやらクーフーリンには秘密にしているんだな。なら話すのはやめておこう。スカアハの居場所を聞き、スカアハに会いに行った。
「うむ。来たな…早速スキルを教えてやりたいが先に説明をするか。まず竜穴だが、これは通常のスキルではない。特定の条件を満たし、実際に行うことで取得できる武技だ」
料理スキルの乾燥と同じ感じだな。
「条件はドラゴンスレイヤーの称号を持っていることと格闘スキルが20以上が必要だ。後はドラゴンを竜穴で必要数一撃で倒す必要がある」
「称号は大丈夫ですが格闘スキルは2足りません」
「うむ。そのくらいなら竜穴を覚える訓練で簡単に上がるだろう。では次の魔力切断は刀スキルが20以上と魔力操作がいる」
「刀スキルは足らず、魔力操作はまだ取ってないです」
まさかの魔力操作か。くそぅ…
「それは自分で覚えたほうがいいだろうな。魔力が操れるのはだいぶ応用が効くから魔法を使うなら覚えて損はないぞ? 最後に縮地は俊足を20になると自然に覚えるな…さて、どうする? タクトはすぐにでも強くなりたいのだろう? 望むなら縮地の代わりに私の特別な魔術を教えてやってもいい。クーフーリンが使っていたものだ。覚えておいて損はないぞ?」
それってルーン魔術かな。クーフーリンが使っていたとは最後の強化だな。興味深いし、普通では覚えられないなら是非覚えたい。
「お願いします!」
「ふふ、よい返事だ。では付いてこい!」
スカアハについていくと屋敷の地下に案内された。そこには訓練場があった。うちと同じじゃないか。
「では、竜穴の特訓を始める。とはいえやり方は知っているようだし、習うより慣れろだ」
スカアハが指を鳴らすと訓練場に俺と同じくらいの大きさのドラゴンが沢山現れた。識別する。
レッサードラゴンLv30
共通モンスター 討伐対象 アクティブ
あの…これってまさか…
「レッサードラゴンを100匹竜穴で仕留めろ。な~に心配するな。失敗したら、増やしてやる。それに竜穴が決まればレッサードラゴンなら一撃で倒せるはずだ。死んでも蘇生させてやるから思う存分戦え」
はは…そりゃ楽に覚えられるわけないよな。クーフーリンたちの訓練を見て思っていたさ!いいぜ…やってやるよ!こいや!ちっこいドラゴンども!
「竜穴!」
俺の拳が当たり、ケロッとしているレッサードラゴンと視線が合う。やば、ミスった。パクっと食われました。
その後、レッサードラゴンを全滅に要した時間はおよそ三時間。死んだ回数多すぎて不明。何回噛まれて、何回ブレスに焼かれただろうか…だがやりきった!そしてインフォが来る。
『職業召喚師のレベルが上がりました。ステータスポイント2ptを獲得しました』
『職業召喚師のレベルが上がりました。スキルポイント1ptを獲得しました』
『格闘スキルが20に到達しました。格闘【ジョルト】を取得しました』
『一度の戦闘で50回蘇生しました。称号『不死の理』を獲得しました』
『ドラゴンを100匹倒しました。称号『ドラゴンスレイヤー』が『ドラゴンキラー』になりました』
『格闘でドラゴン属を100匹一撃で倒しました。格闘スキルに【竜穴】が追加されました』
『職業レベルが20レベルに到達しました。クラスチェンジが可能です』
戦闘だからレベルが上がった。そしてクラスチェンジが来たな。後は称号を色々覚えたな。仕方無い…それでも酷い訓練だった。まずは俺の残りスキルポイントは27ptになり、ステータスポイントは魔力にした。
名前 タクト 情愛の召喚師Lv19→Lv20
生命力 88→90
魔力 234→240
筋力 80
防御力 40
俊敏性 60
器用値 144→146
スキル
格闘Lv18→Lv25 蹴り技Lv23 杖Lv35 片手剣Lv32 槍Lv20 刀Lv18
投擲Lv10 高速詠唱Lv39 召喚魔術Lv39 封印魔術Lv26 騎手Lv33
錬金Lv23 採掘Lv28 伐採Lv33 解体Lv42 鑑定Lv32 識別Lv39
疾魔法Lv3 炎魔法Lv4 地魔法Lv5 海魔法Lv4 暗黒魔法Lv3 神聖魔法Lv11
雷魔法Lv32 爆魔法Lv33 木魔法Lv27 氷魔法Lv29 時空魔法Lv41
獣魔魔法Lv3 遅延魔法Lv9 連続詠唱Lv10 水中行動Lv15 俊足Lv8→Lv15
読書Lv16 料理Lv40 餌付けLv8 釣りLv20 シンクロLv17 連携Lv8
どれだけ頑張ったかわかってほしい。ひたすら俊足でレッサードラゴンの背後に回り、竜穴を繰り返したこの苦労。
竜穴はぶっちゃけピンポイントパンチだ。動く敵にピンポイントパンチは本当に難しい。しかもレッサードラゴンは危険察知か何かを持っているようで何回外したか覚えてない。外したら、死ぬの確定だから俺は考えるのをやめた。
次に称号を確認する。
称号『不死の理』
効果:特定の職業の解放
一度の戦闘で50回蘇生した者に贈られる称号。
称号『ドラゴンキラー』
効果:特定の職業の解放、ドラゴンに特攻(極)
ドラゴンを100匹以上倒した者に贈られる称号。
『不死の理』は多分使わないだろうな。ドラゴンキラーは超有能だな。
「覚えられたようだな…それにしてもなぜわざわざ後ろから竜穴をしていたんだ?」
「…え?」
「ん? 正面でも竜穴はできるだろう? ちょうど喉仏を狙えばいいから楽だぞ。まさか知らなかったのか?」
「…早く教えてくださいよ。師匠」
それが本当ならこんなに苦労する必要無かったじゃん。
「すまんな。知っていると思った。因みにお前さんがやったように武器でも出来るぞ。それとどんなドラゴンでも効果があるわけではない」
「え!? どんなドラゴンでも効果があるんじゃないんですか!?」
それなら俺は頑張る必要があったのだろうか?という問題だ。
「落ち着け。流石に上級以上のドラゴンを一撃では倒せん。タクトもウッドドラゴンとの戦いで実感しただろう? それでも通常よりダメージは与えるし、一定時間動きも封じられる。これはスキルでは防げん効果だ。覚えたことは無駄ではない」
それなら良かった…まぁ、どんなドラゴンも一撃で倒せる程の完璧な技じゃないか…確かにウッドドラゴンには最初の攻撃は通用しなかったな。
「では、次はルーン魔術を教えるとするか。いや、その前にクラスチェンジをするといい」
わかるんだね。じゃあ、お言葉に甘えてクラスチェンジを確認する。なんかたくさんあった。
寵愛の召喚師
英雄の召喚師
ネクロマンサー
精霊召喚師
大魔導師
竜騎士
まぁ、たくさんあっても、召喚師を選ぶわけだけどね。一応確認しよう。
寵愛の召喚師…召喚獣を特別に大切にし、愛する召喚師のみなることが出来る職業。召喚獣と愛で結ばれることで召喚獣と共に奇跡を起こす。情愛の召喚師の上位職種。
英雄の召喚師…召喚師で国から英雄の称号を貰った者がなれる職種。ステータスが大幅に上昇し、ワールドクエストで特攻が発動する特殊な職種。
ネクロマンサー…不死の理の称号を持っている召喚師、猛獣使いが慣れる職種。アンデッドモンスターを召喚、テイムすることが出来るが、アンデッドモンスターしか仲間にすることが出来ない。
精霊召喚師…妖精召喚師の上位職。精霊と一体契約することが出来る。ただし精霊と出会う必要があり、精霊と契約出来るかどうかは精霊次第。
大魔導師…魔導師の上位職。魔法のスペシャリスト。最上級魔法を覚えることができ、殲滅能力は全職種でトップクラスを誇る。
竜騎士…ドラゴンキラーの称号を持つ者がなれる特殊な職種。ドラゴンを倒すことにおいては右に出るものはいないとされる。自らもドラゴンの能力を使い、他を寄せ付けない強さを誇る。
召喚師だけでも結構あるな。普通に行くなら寵愛の召喚師だな。英雄の召喚師は説明を聞く限りでは俺のみの強化な気がするし、ワールドクエストに特別こだわっているわけじゃないからな。
ネクロマンサーは論外。精霊召喚師も俺から少し外れているから却下。ただ精霊と契約結べるのはでかいよな。エルフしか出来ない感じの話だったが、どうなるかは気になるな。このままいくとルークがこの職種になるはずだ…大丈夫か?俺にはルークが苦労する未来が見える。
大魔導師は俺が知らない更に強力な魔法を覚えるなら殲滅能力がトップクラスなのは当然だろうな。
竜騎士はちょっと惹かれるものがあった。ドラゴンの力を使えるならかなり強いだろう。しかしリリーたちの魅力には遠く及ばないな。リリーやイオンも竜騎士のようなものだからな。
結果、寵愛の召喚師になることにした。ではクラスチェンジだ!体が輝き、目を瞑る。
目を開けるとそこはスカアハ師匠の屋敷ではなかった。周囲を確認する。地面は淡く輝き、上を見ると綺麗な星空だ。リリーたちの試練と同じなんだろうけど…どうすればいいんだ?
「とうとうここまで来たね」
背後から声がして、振り返る。すると立派なローブに自分より遥かに大きい杖を持った少年が岩に腰かけていた。顔はローブで見えないが少年で間違いないだろう。
それにしてもさっき周囲を確認したがいなかったぞ。普通にホラーだ。
「確かにボクは死んでいるから幽霊ということになるかな」
な、なにぃ!?ゲームの中で幽霊だと!?うん?つまりこいつはモンスターか?
「あはは! 戦ってみる? 全部の禁呪は使えるし、最終進化の召喚獣を全部召喚できるけど?」
「…ごめんなさい」
ひでぇ…なんだこのチート幽霊。
「あはは。確かに強さではこの世界で最強クラスだね。気を取り直して自己紹介するね。ボクはケストル。この世界で最初の召喚師だ」
お、おぅ…それは強そうだな。
「まぁ、最初だから大したことはしていないよ。召喚獣と最初の契約なんて料理をねだられたのが、始まりだったりしね」
心当たりあるね…俺のような人がいるのは初だ。
「もっと話していたいけど、あいにく時間がないんだ。今からボクの力を君に託すよ」
そういうとケストルが杖を振ると光が俺に流れ、クラスチェンジをする。そしてインフォが来る。
名前 タクト 情愛の召喚師Lv20→寵愛の召喚師Lv1
生命力 90→120
魔力 240→270
筋力 80→120
防御力 40→70
俊敏性 60→90
器用値 146→176
スキル
格闘Lv25 蹴り技Lv23 杖Lv35 片手剣Lv32 槍Lv20 刀Lv18
投擲Lv10 高速詠唱Lv39 召喚魔術Lv39 封印魔術Lv26 騎手Lv33
錬金Lv23 採掘Lv28 伐採Lv33 解体Lv42 鑑定Lv32 識別Lv39
疾魔法Lv3 炎魔法Lv4 地魔法Lv5 海魔法Lv4 暗黒魔法Lv3 神聖魔法Lv11
雷魔法Lv32 爆魔法Lv33 木魔法Lv27 氷魔法Lv29 時空魔法Lv41
獣魔魔法Lv3 遅延魔法Lv9 連続詠唱Lv10 水中行動Lv15 俊足Lv15
読書Lv16 料理Lv40 餌付けLv8 釣りLv20 シンクロLv17 エンゲージLv1
連携Lv8
『寵愛の召喚師になりました。リスト召喚から合成召喚の一部が出来るようになりました』
『寵愛の召喚師になりました。リスト召喚に第1進化、第2進化の全ての召喚獣が解放されました』
『寵愛の召喚師になりました。エンゲージスキルを獲得しました。エンゲージスキルに【エンゲージバースト】を取得しました』
『寵愛の召喚師になりました。シンクロスキルに【シンクロビジョン】を取得しました』
『寵愛の召喚師になりました。召喚出来る召喚獣の数が5つ増えました』
『全プレイヤー中、初めて最上位のクラスチェンジを実行しました。称号『最上位職の先駆者』を獲得しました』
相変わらずインフォが多いな。とりあえずいつも通り称号からだ。
称号『最上位職の先駆者』
効果:スキルポイント10pt、ステータスポイント10pt獲得
初めて最上級職にクラスチェンジした者に与えられる称号
多い!やったぜ!これで俺の残りはスキルポイントは37pt。ステータスポイントは悩んだが、筋力にした。契約できる召喚獣は10体となった。
それからスキルの確認だが、エンゲージ?これって…まさか…俺がケストルを見るとケストルは左手を見せる。そこには薬指にダイヤモンドの指輪があった。俺はカインさん、アインシュタインさん、ニュートンさんの姿が過る。こういう意味か!
俺が頭を抱えているとケストルが来る。
「頑張ってね。お兄ちゃん」
何?俺が元に戻る瞬間、ケストルの顔が見えた気がした。
「クラスチェンジは済んだようだな…ん? どうかしたのか?」
「…え?」
スカアハ師匠に言われて、初めて目から流れている涙に気が付いた。やば…涙なんて小学生の時以来だ。というかなんで流れたんだ?ゲームの演出か?
「意外に可愛いところがあるんだな」
「違う!」
これはゲームの演出だ!くそ、むきになると余計に弄られる負の連鎖だ。無心だ…無心になるんだ。
「もう手遅れだぞ?」
「うがー!」
これだから年上の女性は嫌いなんだ。俺はずっとスカアハ師匠にこのネタで弄られ続ける未来に絶望した。
散々弄られた俺はスキルポイントを使うことにした。取るのは魔力操作、消費スキルポイントは25pt。魔力切断のためだ。使うとしよう。
『魔力操作を取得しました』
これで現在残りスキルポイントは12pt。後は刀スキルをあげて、取得するだけだ。そしてスカアハ師匠にルーン魔術を教わる。
「魔術の才能があるからルーン魔術はスキルスクロールで覚えられる。後は説明と使い方を教えればいいだろう」
良かった…試練はないみたいだ。もしあったら、タイムオーバーだった。
「まずルーン魔術はルーン文字を物に刻むことで発動する魔術だ。簡単に言うと物を使った遅延魔法と言った感じの魔術だ。最初に覚えられるのは力のルーンと速さのルーン。クーフーリンが使っていたものだ」
最初はやはり純粋な強化か。
「利点を説明するぞ。まず詠唱が必要ない。それと通常の魔法とは別の強化となり、重ね掛けが可能だ。後は魔力妨害などの影響は受けず、遅延魔法のように時間切れも存在しない」
魔法がいつでも使えるアイテムを作り出す魔術って感じだな。
「次に欠点は強化時間は短時間で一度使った物は使い捨てになる。同じアイテムにルーン魔術を複数仕込むことは出来ず、他のアイテムに再利用も出来ない。後は手持ちで持っている必要がある。本来はクーフーリンが見せたように体に仕込んで置くのがベターだな。最後に通常魔法ほどの火力はない。こんなところだろうな」
「奇襲や不意打ちに向いている魔術って感じですか?」
「そうだな…ほれ」
スカアハ師匠は木片を投げてくるといきなり木片から稲妻が放たれ、俺の顔の真横を通り過ぎた。
「まぁ、モンスターより対人に有効な魔術だ」
「無かったことにしないでください。でも、理解しました。後、質問があるのですが」
「エルフの刻印との違いか?」
俺は頷く。するとスカアハ師匠が教えてくれた。
「察しているとは思うがルーン魔術はエルフの技術を人間が真似した魔術なのさ。エルフは強化に特化していて、効果持続。人間ではまだこの領域に到達していない。だが人間が開発したルーン魔術はさっき見せた雷のルーンのように攻撃が出来、更に狙ってルーン魔術をかけることができる。まぁ、負け惜しみだ」
なるほどね。確かに刻印で攻撃魔法はないな。それに重ね掛けはかなり強いだろう。クーフーリンがそれを証明したからな。
「覚えるか?」
「はい」
その後、俺はスキルスクロールを渡される。俺は広げるとスキルを獲得する。
『ルーン魔術のスキルスクロールが使用しました。ルーン魔術を取得しました』
スカアハ師匠が確認してくる。
「取得できたか?」
「はい! ありがとうございます!」
「まだ覚えただけだぞ? 今からルーン魔術の基礎を叩き込んでやるから覚悟しろ!」
「はい!」
というわけでルーン魔術の使い方を教わった。まず木片や石を用意する。そしてルーン魔術で使用すると文字が刻まれる。これで使用可能になる。
後は頭で指示すると発動する。
「(速さのルーン)」
試しに走ってみると一つで俊足並みの加速だ。だがすぐに切れる。本当に短時間だな。
「初めてだから当然だ。後はさっきも話したがルーン魔術を物にしかける魔術だから靴や武器にも仕込める。クーフーリンがしたのは靴に仕組んだものだ」
「その場合はどうなるんですか?」
「一度使えば二度とルーン魔術は仕込めない。つまりあいつは靴を買い直しになると言うことだな」
なんか悪いことしたな。そこで俺はルーン魔術を見て、疑問を口にする。
「あの…これって石から俺に能力が発動してますけど、石から物に発動出来るんですか?」
「もちろんだ。例えばこういうのがある」
スカアハが石を取り出すとスカアハの靴に羽が生まれ、空を飛ぶ。凄いな…そして俺は予想以上にこのルーン魔術が使えることを知った。魔法で物の強化は出来ないからな。
「ふふ。悪戯小僧の顔をしておるぞ?」
「すみません。ですが元々そういう魔術なんですよね?」
「まぁな。では最後の訓練をするか」
最後の訓練?何かあったか?スカアハ師匠が深紅の槍を取り出し、訓練場に降りると深紅の槍を構える。
「クラスチェンジをして、強くなったんだろう? 私自ら試してやるからかかってこい!」
マジで!?というあの槍、絶対ゲイボルグだろう!?勝てるか!
「因みに拒否権はない! 私の弟子になったのだから私も楽しませろ」
「さっきまで散々遊んでいたじゃないですか!」
「それはそれ。これはこれだ」
大人って嫌いだ…俺は訓練場に降り、スカーレットリングとファミーユを取り出す。もしあれがゲイボルグならミノタウロスの斧以来の伝説の武器との戦闘になる。死に戻りはないし、どれ程のものか知るにはいい機会だ。
とはいえゲイボルグは色々な逸話がある武器だ。投げれば30の鏃となって降り注いだり、雷の速さで敵全てを貫いたりする逸話がある。突けば30の棘となって破裂したり、毒が全身に回ったり、傷が直らなくなったり、当たれば即死などがある。とにかく触れられてはダメな武器だ。
とにかく投げさず、触れずに接近戦を挑むしかない。スカアハはスカーレットリングを見て笑む。
「ふふ。その魔法剣を使ってくれるか」
「その武器に見合う武器はこれしかないもので」
「で、あろうな。制限は無しだ。本気で来い!」
「はい!」
俺とスカアハ師匠は決闘が始まる。
「「アクセラレーション!」」
俺がアクセラレーションで加速するとスカアハ師匠もルーン魔術で加速し、深紅の槍の突きが放たれる。
俺はスカーレットリングで弾くと深紅の槍が伸び、あり得ない軌道で俺に襲い掛かってくる。俺はバックステップで躱すと追尾してくる。なら!
「(速さのルーン)!」
瞬間的に加速し、深紅の槍を無視してスカアハ師匠に迫る。
「はぁああ!」
「ふん!」
深紅の槍は一瞬で元に戻り、俺の渾身の一撃が防がれる。俺はつばぜり合いを避け、すぐさま突きを放つが躱される。
距離が詰まった俺にスカアハ師匠が蹴りを放つ、俺はバックステップ躱すと深紅の槍の突きが来る。ここ!
「「アクセラレーション!」」
俺は深紅の槍を躱す、スカーレットリングを深紅の槍に滑らせながら、斬りかかる。するとスカアハ師匠は深紅の槍を手放し、距離を取る。俺は追撃しようとしたが咄嗟に横に飛ぶ。
俺がいた所に深紅の槍が通り過ぎる。あっぶな…深紅の槍の気配を感じなかったら、やられてた。
「今のをよく躱したな…だが終わりだ」
スカアハ師匠が深紅の槍を手に構える。不味い!
「敵を殺せ! ゲイボルグ!」
やっぱりゲイボルグかよ!ゲイボルグは投げられると30の鏃となり、降り注いでくる。しかも動きに不規則で襲い掛かってくる。捌けるか!こんなの!
くそ!壁魔法も通用しないし、これしか手がない!
『『ダウンバースト』』
「「エクスプロージョン!」」
ダウンバーストでゲイボルグを地面に叩き落とし、その僅かな時間にエクスプロージョンを撃つ。だが、俺の起死回生の一手はスカアハ師匠の指を鳴らしただけで砕かれる。エクスプロージョンの魔方陣は粉々になり、ダウンバーストの効果が切れた槍が俺に殺到する。
『『アクセラレーション』』
「はぁああ!!」
俺は意地で数発弾いたが、全身貫かれた…凄く痛い…また泣きそうだ。
「ほぅ…まだ息があるか。数発弾いた甲斐があったな」
「どーも」
「何か言いたいことあるか?」
「肛門は刺さないで」
ここ重要。心臓を刺されてブラックアウトした。
その後、俺の死骸がどうなったかは知らない。きっと全身から棘が飛び出したことだろう…もうやだ。まぁ、スカアハ師匠は満足行くバトルだったらしく、ルーン魔術の素材をたくさんくれた。
「ありがとうございました!」
俺が踵を返すとスカアハが声をかけてきた。
「私の弟子なら龍の試練を乗り越え、魔王を倒して見せよ。それが出来たら、祝いぐらいはしてやる」
「楽しみにしています」
俺はリープリングに帰ると倒れる。流石にレッサードラゴン100匹狩りとスカアハ師匠との決闘は効いた。
「タクト!? 大丈夫!?」
「あぁ…ちょっと秘密の特訓をしてきただけだ」
「私たちをほったらかしにして、一人だけ特訓していたんですか…」
やば。イオンに見つかった。すると和狐が来た。
「まぁまぁ。タクトはんがいつもウチたちのために行動してくれますからきっと大切なことだったんやと思いますよ? イオンはんならわかっているんやありまへんか?」
「もちろん分かっていますけど…」
俺はイオンの頭を撫でる。
「悪いな…これは俺に必要なことだったんだ」
「…はぁ、わかりました。でも埋め合わせはしてくださいね? これは決定事項です」
「あぁ。明日またウッドドラゴンを倒せたら、埋め合わせをするよ」
「言いましたね? 約束破ったら、ずっとタクトさんのベッドで寝ますからね!」
なんだ。その罰ゲームは…そして結局全員と約束することになったのは言うまでもない。
名前 タクト 寵愛の召喚師Lv1
生命力 120
魔力 270
筋力 120
防御力 70
俊敏性 90
器用値 176
スキル
格闘Lv25 蹴り技Lv23 杖Lv35 片手剣Lv32 槍Lv20 刀Lv18
投擲Lv10 高速詠唱Lv39 魔力操作Lv1 召喚魔術Lv39 封印魔術Lv26
ルーン魔術Lv1 騎手Lv33 錬金Lv23 採掘Lv28 伐採Lv33
解体Lv42 鑑定Lv32 識別Lv39 疾魔法Lv3 炎魔法Lv4
地魔法Lv5 海魔法Lv4 暗黒魔法Lv3 神聖魔法Lv11 雷魔法Lv32
爆魔法Lv33 木魔法Lv27 氷魔法Lv29 時空魔法Lv41→Lv42 獣魔魔法Lv3
遅延魔法Lv9 連続詠唱Lv10→Lv11 水中行動Lv15 俊足Lv15→Lv16 読書Lv16
料理Lv40 餌付けLv8 釣りLv20 シンクロLv17 エンゲージLv1
連携Lv8