表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Elysion Online ~ドラゴニュートと召喚師~  作者: とんし
魔導船と魔王バエル
399/1718

#380 影の女王と弟子入り試練

俺がダーレーから降りると声をかけてきたNPCも高い木からあっさり地面に着地した。マーカーでは敵ではないようだが…


「すまんな。怒りに満ちた声が聞こえたものでな。ちょっと興味が沸いて戦闘を見学させて貰った。見事な戦いぶりだったな」


「はぁ…どうもーーッ!?」


大人の女性はいきなり槍で刺してきた。俺は咄嗟に避け、間合いを詰めると殴る。すると手で弾かれ、蹴りを放たれるが足で防御する。だがぶっ飛ばされ、なんとか片足で踏ん張った。


「うむうむ。読みの深さに武術の心得、体幹の良さもある。この私に遠慮なく殴りかかって来たのは中々おらぬぞ?」


「いきなり槍で刺してきたのはあなたが初めてですよ」


「ふふ…はは! 愉快な男だ! 良かろう。素質は申し分ない。ついてこい。私の屋敷でお前たちを持てなそう」


「いきなり襲い掛かっておいてなんなんですか! あなたは!」


イオンが抗議するとみんなも抗議する。だが、大人の女性が指を鳴らすと全員が召喚石に強制的に戻された。うそ!?


「叫ぶことしか出来ない子供は嫌いだ。悪いが強制的に帰させて貰ったぞ。お主なら私の屋敷に来る利点ぐらい理解できるであろう?」


「はい」


ウッドドラゴンは森の奥にしか出ないみたいだから森の中にワープが出来る場所があったほうがいい。それにこの女性の正体を俺は知っている。


俺は女性の後をついていくと直ぐに目的地に到着した。そこには立派な屋敷があった。


「そういえば自己紹介がまだだったな。私の名はスカアハ。ここで馬鹿者どもに色々教えてやっている者だ」


「どうも。召喚師のタクトです」


やはりそう来るよな。スカアハは日本ではスカーサハの名で有名かも知れない。アルスター伝説に登場する武芸者であり、影の国という冥界を統べる女王でもある。


武芸者の学校で教師をし、有名な大英雄クーフーリンを弟子にして、様々な技と伝説の槍ゲイボルグを与えた存在として有名だな。


すると屋敷から人が出てきた。


「その馬鹿者には俺は入っていないよな? 師匠」


「お前は乱暴者だから大馬鹿者に入っておるぞ。クーフーリンよ」


「…ちっ」


ヤバい…アルスターの大英雄のご登場だ!すると屋敷からまた二人現れる。


「クー…師匠に失礼だぞ」


「…わかったよ。フェル」


フェルはフェル・ディアドかな?クーフーリンのゲイボルグを股間に食らった人だ。クーフーリンの兄弟子でもある。


「師匠…その者は?」


「ノイシュよ。新たな弟子候補だ」


俺って弟子候補だったの!?いや、なんとなくわかってたけど!それとノイシュはデオドラとの恋物語で有名だな。三人ともスカアハの弟子として有名だ。


「おいおい冗談だろ? そんなひょろい奴を弟子にするのかよ。俺は反対だぜ」


「ほぅ…他の者はどうだ?」


「クーと同じ意見です」


「私もです」


するとスカアハの目が光った気がした。


「そうか…では仕方ないな。決闘で決めるとするか。お前たちがタクトに負ければ、文句は無かろう」


「おいおい。俺たちが負けるとかなんの冗談だよ」


「まぁまぁ。師匠がそう言うなら、それで構いませんよ。ノイシュはどうしますか?」


「私も構わない」


いやいや、この三人と戦って勝つとか無理だから!


「タクトがもし勝てたら、一人につき一つ好きなスキルを教えてやろう」


「…どんなものもですか?」


「あぁ。竜穴、魔力切断、縮地を教えてやろう」


バレバレか…そういえばスカアハは予知能力があったな。


「わかりました。お受けします」


「へぇ…ガッツはあるみたいだな。いいぜ。最初は俺が受けてやるよ」


いきなり最強の存在が来るのはどうなんだ?するとスカアハが決闘フィールド発生させる。


決闘

対戦者、タクト、クーフーリン

審判者、スカアハ

ルール、制限時間は10分。


制限時間があるから勝機はそこだな。事実上10分逃げ切れってことだろうからな。


「武器はどうする?」


「無しでお願いします」


「へ! 上等だ! 俺も無しでいいぜ」


そして決闘が始まる。その前にスカアハが言う。


「そういえばお前たちの負けたときの罰が決まって無かったな」


三人がビクッとする。


「そうさな…十年間片手小指逆立ち生活にするか…」


「う、うぉおお! マジだ! マジでぶっ殺してやるぜ!」


わざとクーフーリンを本気にさせたな。さて、俺は構えを取る。


「いつでもどうぞ」


「ーーッ!?」


クーフーリンが俺の雰囲気を感じとり、警戒する。


「では両者準備はよいか?」


「はい」


「おう!」


「では、始め!」


クーフーリンがよつんばいになり、姿が消える。そこ!


「うぐ!?」


俺の蹴りがクーフーリンに命中し、連打で繋ぐ。


「連続蹴り!」


最後に連続蹴りで纏めるが参ったな。アルスター最強の戦士は伊達じゃないらしい。どこを攻撃しても固く、まるでダメージを与えた気がしない。結構ステータスポイントを筋力に使っているんだけどな…所詮は召喚師の筋力。相手になるはずがないか。


「ペッ…随分弱い攻撃だな」


俺は構えを取り、手で挑発する。それを見て、クーフーリンは筋が浮かぶ。


「上等だ!」


クーフーリンが襲い掛かってくる。だが、俺は攻撃を見切り、クーフーリンの攻撃を利用して投げる。


「な!?」


俺は深追いせず、構えのまま佇む。クーフーリンは更に怒りに任せて飛び掛かってくるがその度に投げる。


「クー! 何をしている! 十年間片手小指逆立ち生活になるぞ!」


「うっせ! わかってる! だが、こいつ。妙な体術で」


「後一分~」


「だぁああ! このババア! 目が本気だ! ちくしょおおお!」


するとクーフーリンの両手足が光る。何か来る!


「もう加減はなしだ!」


クーフーリンの動きが急加速した!身体強化か!やばい!タイミングがずらされた!


「おら!」


クーフーリンの拳を躱す。至近距離で大型トラックが通り過ぎたような錯覚を俺に与える。


「まだまだ! うお!?」


俺は姿勢を低くしてタックルし、クーフーリンを倒すとそのまま、寝技に持ち込む。


「馬鹿な奴だ。クーにそんなものが通用するはずがない」


「我々の中でも最も筋力がありますからね。ほらあっさり抜かれましたよ」


「馬鹿はお前たちだ。タイムアップ! 試合終了だ」


「「「な!?」」」


ギリギリだったな。俺の下手糞なタックルと寝技はただの時間稼ぎだ。プロの格闘家でも恐らく勝てないクーフーリンに時間稼ぎ以外でこんなことはしやしないさ。


ふぅ…全盛期のクーフーリンじゃなくて良かった。恐らく設定ではこのクーフーリンはスカアハに弟子入りしたばかりぐらいだろう。ワンパターンで力任せにしか攻めてこなかった。最後の技を最初から使われていたら、確実に俺の負けだった。


そのクーフーリンは現在、頭から木に刺さっている。ババアと呼んだら、そうなるよな。


「さて、次はどちらがタクトと対戦する?」


「…私が相手をしよう。一応クーの兄弟子だからな。武器は剣で相手をしよう」


「では自分も剣で」


「武器は公平のために私が用意してやろう」


スカアハから剣を受け取り、構える。そして、試合が始まる。最初は互いに剣を構えたまま、距離を詰める。


「はぁああ!」


フェルが上段で斬りかかってくる。貰った!俺はフェルの剣に絡めるようにして巻き、フェルの剣を上に打ち上げる。巻き技と呼ばれる技だ。本来なら竹刀じゃないと出来ないと思うが、このゲームでは普通の剣で出来るみたいだ。


「な!? く!」


フェルがジャンプし、剣を取ろうとする。させるか!俺の突きがフェルの股間に炸裂した。お前の弱点は知っているんだよ!


「ぎゃああああ!?」


俺はフェルを倒し、剣を刺したまま、フェルの股間をタイムオーバーまで蹴り続けた。


「…」


「フェル? 生きているか? …ダメか」


「鍛え方がなっておらんな」


「あの惨劇を見て、それだけですか…師匠」


最後はノイシュだ。ノイシュの武器は盾と槍。俺は剣だ。


互いにちょくちょく打ち合いダメージはないまま、時間を消費する。スカアハは欠伸するほど、つまらない試合だ。


だが、最後にノイシュが槍を投げてきた。俺は避け、間合いを詰める。ノイシュは盾を構え、挑発する。それは俺には通用しない!


俺は盾を殴り挑発を解除し、強引に盾を持つ手を剣で刺し、距離を取るとタイムアップ。俺の勝ちだ。互いに最後の時間でどちらが一撃を入れるかの勝負となった。


しかしスカアハの評価は厳しかった。


「ノイシュ…ヘタレたな」


「…なんのことかわかりません」


「そうか…ノイシュ、お前には裏メニューで特訓をつけてやる! その腐った根性、叩き直してくれるわ!」


「師匠! 師匠! ちょ、待ってください!」


ノイシュは屋敷に連れて行かれた。あの…俺は?するとスカアハが戻ってきた。


「タクトよ。お前を私の弟子として正式に認めよう。ワープゲートの許可もしたからいつでも来れるはずだ。約束のスキルは夜に教えてやる。召喚獣たちを安心させてやれ。ただし連れてくることは許さん」


子供は嫌いなんだな~。ならお言葉に甘えて帰らせて貰うか。


帰るとリリーたちが不機嫌で大変だった。まぁ、あんな仕打ちは初めてだったから仕方ない。リリーたちに御馳走を作るとあっさり機嫌が直る。さて、俺にはログアウトする前にやることがある。


「イクス、悪いがトレーニングルームを使わせてくれ。俺はそこで月輝夜と話がある」


「問題ありません。マスター」


「え、えと…タクト? リリーたちも」


「ダメだ。月輝夜を召喚したのは俺だ。俺が召喚師として話さないといけないんだよ」


というわけで俺はエクスマキナの船のトレーニングルームで月輝夜を召喚する。月輝夜も怒られることがわかるのかしゅんとしている。


「…まず俺が怒っている理由から話そうか。月輝夜…俺は俺なりに皆に最善の指示を出しているつもりだ。それぞれ個人的に譲れない戦いをしたいなら俺はそれを尊重したいと思っている。だけどなウッドドラゴンについては俺は全員で戦うべきだと判断した。だけど月輝夜、お前は自分だけで勝てるつもりでいたんだよな?」


月輝夜が頷く。


「お前がそう判断したなら、別にいい。俺も自分の指示が全て正しいと思っているわけじゃないからな。だけどな…お前のあの戦闘は仲間を危険に晒す危ない戦闘だった。それだけは召喚師として絶対に許可できない」


月輝夜にも自分の過ちが気が付いたようだ。やはりあの時の俺たちの声は聞こえていたんだな。聞こえていながら、戦闘を優先してしまったんだ。


「一対一での戦いは悪いことじゃない。自分の力を教えてくれて、相手の強さを一番感じることが出来るからな。そこから学べることが多いことを俺は知っている。だけどな、仲間がいるときは仲間のことを考えてくれ。オーガは本能で暴れまわると書かれていたが、今までお前は仲間と一緒になって戦ってきた。オーガがそう言われているなら月輝夜、お前が変えてみろ。お前ならそれが出来るはずだ」


「グオォォ!!」


どうやらわかってくれたみたいだな。


「俺のお説教は終わりだ。これからもよろしく頼むな。月輝夜」


俺たちが拳を合わせてリープリングに戻った。


「月輝夜! タクトは怖かった?」


「それは男の秘密だよな?」


『えぇ~!?』


リリーたちならきっと大丈夫だろう。もし間違えたなら、叱るのが俺の役目だ。だからこのことは秘密にした。


それでも往生際が悪いリリーたちが月輝夜に未練たらたらに料理を出したことには流石に驚いた。リリーたちにとって、怒った俺がどれだけ怖いのか知ることはそれほど重要だったらしい。


名前 タクト 情愛の召喚師Lv19


生命力 88

魔力  234

筋力  80

防御力 40

俊敏性 60

器用値 144


スキル


格闘Lv15→Lv18 蹴り技Lv20→Lv23 杖Lv35 片手剣Lv30→Lv32 槍Lv20 刀Lv15→Lv18 

投擲Lv10 高速詠唱Lv39 召喚魔術Lv39 封印魔術Lv26 騎手Lv33 

錬金Lv23 採掘Lv28 伐採Lv33 解体Lv42 鑑定Lv32 識別Lv39 

疾魔法Lv3 炎魔法Lv4 地魔法Lv5 海魔法Lv4 暗黒魔法Lv3 神聖魔法Lv11 

雷魔法Lv32 爆魔法Lv33 木魔法Lv27 氷魔法Lv29 時空魔法Lv41 

獣魔魔法Lv3 遅延魔法Lv9 連続詠唱Lv10 水中行動Lv15 俊足Lv4→Lv8

読書Lv16 料理Lv40 餌付けLv8 釣りLv20 シンクロLv17 連携Lv8



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
最新作『動物保護をしている少年は異世界で虐げられている亜人を救います』を連載開始しました。
以下のリンク先で連載中です。


動物保護をしている少年は異世界で虐げられている亜人を救います
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ