#372 氷河の魔法剣と刀依頼
翌日、学校で海斗が珍しくスマホを使い、真剣に調べものをしていた。
『罠の作り方』
物騒だな…しかも動物に対する罠がヒットしているし、因みにこいつはゲームで勇者です。
「お前が知りたいのはブービートラップとかじゃないのか?」
「それだ! いや~名前を中々思い出せなかったんだよ」
「それはよかったな。それでそっちはどんな感じだ?」
「今はどんな拠点を作るかとか堤防の罠で話し合いしてるよ。なんか忍者屋敷するとか城を作るとか話していたぞ」
めちゃくちゃだな…大丈夫だろうか?いや、みんな俺よりしっかりしているし、大丈夫だろう。一部が暴走してもルインさんに封殺されるだろうからな。
「あ、昨日召喚師から意見があったんだが、空を飛んで島を攻略するわけには行かないのか?」
「それが出来るなら船を用意する必要はない。まぁ、第三…俺なら第四に飛行戦力を用意するな」
「どうしてだ?」
「恐らく第一、第二はそこまで敵は強くないだろう。問題は第三以降だ。どんな敵がくるか知らないが今回のゲームは敵に拠点を奪われるとモンスターが増加する仕組みになっている」
これが戦略的にポイントになるだろう。
「第一、第二は乗っ取られてもみんなのレベルなら巻き返しが可能だろう。問題は第三が敵に取られた時だ」
「あ、強い敵がわらわら出てくるわけか?」
「そうだ。更に第四の飛行戦力も加わるといよいよ厳しいことになる。まぁ、俺の想像だけどな」
「凄い現実味がある話だったぞ…一応さっきの話をみんなにしておくな?」
海斗に頼み、俺は授業のため席に着いた。
学校が終わり、スーパーで買い物してからゲームにログインする。下に降りるとイオンが飛んできた。
「タクトさん、出来ました! 私の魔法剣が!」
セチアのデスペナで延期していたものが完成したみたいだな。イオンに手を引かれてヘーパイストスの所に行くと冷気を漂わせた刀身まで青い魔法剣が置かれていた。
「あ! タクトさん、イオンさんの魔法剣が完成」
「早く名前を付けてください! タクトさん」
イオンの奴、やたらハイテンションだな。ヘーパイストスも苦笑してる。とりあえず落ち着かせ、名前を決める。実はとっくに決まっていたりする。
「ツイングレイシャー…なんてどうだ?」
「どういう意味ですか?」
「ツインは個別に二つあるものでグレイシャーは氷河だ。イオンは別々の魔法剣を二つ使うことになるし、この剣の素材はイエローオッサの雪山で手に入れた素材だ。氷河は言い過ぎだと思うが、どうだ?」
「いえ。気に入りました! 今日からあなたの名前はツイングレイシャーです。よろしくお願いします」
名前が決まると白い冷気が一気に吹き出す。寒いがそれでこそ名前を決めた甲斐がある。では鑑定をしよう。
ツイングレイシャー:レア度8 魔法剣 品質B
重さ:50 耐久値:100 攻撃力:50
魔法剣効果:氷属性アップ(超)、詠唱破棄
宝玉効果:氷結、魔法再時間短縮(大)、宝玉解放
刻印効果:水属性アップ(超)
サファイアの宝玉を組み込んだ氷の魔法剣。他の氷の魔法剣を遥かに凌ぐ性能を有している。
剣の鍔にはクラン『リープリング』のエンブレムが焼入れされている。
スカーレットリングとほぼ同じ感じだな。若干重くなって、攻撃力が高くなったな。スカーレットリングが火ならツイングレイシャーはまさしく氷の魔法剣だ。そしてちゃっかり水属性を強化するセチアは流石だな。
イオンがツイングレイシャーに見とれている間に次の依頼をヘーパイストスにする。だがイオンの魔法剣の準備が出来ていない。
イオンは別に気にしないとの事で恋火の刀の作製依頼をする。使う素材は玉鋼と太陽石だ。だが本格的な刀を作るのが初めてのヘーパイストスには流石に酷だったので、最初は俺に普通の刀を注文したら、恋火が飛び込んできた。
「そんなのダメです!」
「恋火、動けるようになったんだな」
「はい! じゃなくて! タクトお兄ちゃんはちゃんとした刀を持たないとダメですよ。最初の刀は私が使います」
え…だけどそれじゃあ…と思ったら、イオンが追撃を加えてきた。
「タクトさんは私たちのリーダーなんですから、ちゃんとしたものを持たないと示しが付きませんよ。そういうことですよね?」
「はい! その通りです」
そんなもんか…まぁ、恋火がそういうならそうするか。俺も刀には拘りたいしな。というわけで細かく注文するとヘーパイストスはパニックに陥った。
「ちょっと待ってください! いきなり言われても困ります!」
「あ、あたしも良いですか?」
まさかの便乗である。とりあえずヘーパイストスには俺と恋火のリクエストを紙に書いて渡しておいた。
時間は最初の刀は一日、恋火の刀が三日、俺の刀は二日となった。俺の刀はイベントに間に合わないな。
「しかし随分早いな」
「タクトさんたちにどれだけ鍛えられていると思っているんですか…ただ刀の作製は慎重さが要求されますから、どうしても一日は掛かっちゃうと思います」
俺が知らない間にヘーパイストスはかなりレベルアップしているようだ。頼もしい限りだ。
その後、ウィザードオーブにリリー、イオン、恋火、リアン、ブランを連れて向かうことにした。セチアには浄化の丸薬の作製を頼んだ。
「色々、試してもいいぞ」
「いいんですか? 失敗するものも出てきますよ?」
「構わないさ。試さないといいものはできないだろう?」
「わかりました! 頑張ります!」
まぁ、本心はウィザードオーブに連れて行きたく無かったからだ。ウィザードオーブは魔法剣とイクスに興味がある国だ。いい国かわからない以上下手に連れていくべきじゃないだろう。
馬車の中でイオンがツイングレイシャーをずっと見つめながらいたのが印象的だった。よほど楽しみにしていたんだな。ウィザードオーブに着いた頃には夜だったので、町探索は後にしてログアウトすることにした。
名前 セチア ハイエルフLv24
生命力 83
魔力 210
筋力 73
防御力 53
俊敏性 66
器用値 199
スキル
杖Lv16 魔法弓Lv26 鷹の目Lv16 射撃Lv17 木工Lv19
採取Lv33 調薬Lv14 刻印Lv10→Lv11 宝石魔術Lv4→Lv5 宝石細工Lv4→Lv5
風魔法Lv8 火魔法Lv19 水魔法Lv24 土魔法Lv15 闇魔法Lv5
神聖魔法Lv7 雷魔法Lv9 爆魔法Lv7 木魔法Lv17 氷魔法Lv8
樹魔法Lv14 罠設置Lv1 ハイエルフの知識Lv24 精霊召喚Lv8
使役Lv3 料理Lv18