#371 メンバー選びと最初の島
イクスのスキルに反射スキルがずっとないのを見つけたので、修正しました。
夕飯を食べて、ログインする。みんなが集まる前に生産作業をする。まずはいつもの生産作業をする。イベント前の準備は大切だからな。すると徐々に集まり出した。
今回はフレンドの人たちも集まって貰っているので、庭で会議をする。流石に一部屋に入りきらないからな。すると部屋にイオンが入っている。
「タクトさん、皆さん集まりましたよ」
「あぁ、ありがとう。イオン」
下に降り、みんなでイベントについて話し合う。まずはメンバー選びだ。これについてはルインさんが話す。
「申請が山のように来ているわ。ギルドやレギオン、パーティー、ソロと様々ね。最初の問題は編成をどうするかよ。みんなの意見を聞かせてくれないかしら?」
まず大まかな編成について、意見が割れる。大体俺たちが事前に話していた感じだ。とりあえず戦闘職200を必須という意見は一致したので、まずはこれを募集して、島を視察することにした。
次に戦闘職の枠組だ。その前にユグさんから重要な情報を貰う。船の種類についてだ。
「師匠に聞いたら、船の種類は魔導船、砲船、高速船、工作船、補給船の5つあるんだって!」
詳しく性能を纏めるとこうなる。
魔導船…攻守共に最高峰の船。魔導エンジンを積んでおり、燃料は必要なし。他にも船によって様々な特殊な能力がある。ただし値段は一番高い。
砲船…大量の大砲を搭載できる船。二番目に値段が高い。大砲の弾は自作する必要がある。
高速船…スピード重視の船。スピードでは最高峰。値段はお手頃。しかし大砲は一つしか搭載出来ない。
工作船…気配遮断がある船。最も耐久値が低い。値段は一番安い。
補給船…インベントリ機能がある船。工作船の次に耐久値が低く。値段は高速船より高い。沈められるとアイテムを全て失うので、注意が必要。
ユグさんの話ではこのゲームでは普通の船は木造船らしい。更に大型、中型、小型と選べるそうだ。
大きくなれば当然お金も高くなるらしい。これは当然だな。後は色々カスタマイズ出来るそうだ。大砲の数や魔導エンジンをいいものにするとスピードが上がるといったものだ。これは以前大工のお兄さんから聞いたな。
この説明を聞いた瞬間、弓術師と錬金術師の重要性は急上昇した。大砲が攻撃手段なら弓術師は必須だし、大砲の弾を自作するしかないなら錬金術師が必須だ。
ただ大砲ばかり気にして弓術師で固めるのは危険という意見で一致した。そこで与一さんが提案をする。
「ライヒ帝国の銃士ギルド『流れ星』から依頼来ていませんか? 私が知る限り最大の銃士ギルドのはずです。キマイラ戦では見事な射撃と連携でした」
「ちょっと待って…あぁ~! たくさんあって、面倒臭いわね。検索機能付けなさいよ」
「ルイン姉…口から出てるよ」
「あら? 失礼…あ、来てるわよ」
与一さんの見立てなら間違いないだろう。更に決めていくと重要な意見が満月さんから出る。
「朝や昼に行動できるメンバーも揃えたほうがいいのではないか? 今回は休みではないぞ?」
完全に失念していた。確かに平日でのイベントだから朝、昼に行動出来る人を集めないとヤバいかも知れない。それから問題は召喚師だ。
「タクト君が召喚師を否定するとは予想外だったわ」
「否定しているわけじゃないですよ。ただ船の護衛がメインになると思っただけです。運搬船がある時点で護衛は必須でしょう」
「えーっと…ボクたちは水中タイプの召喚獣いませんよ?」
「島での攻略もあるし、ルークの場合はゴブリンたちが大砲使えるだろ」
俺がそういうとルークが苦笑する。するとチロルが言う。
「昨日ルークはゴブリンアーチャーの契約解消したばかりだよね…スノーマン欲しさで」
「うぐ…で、でも! 他にもたくさんいるから問題無いですよ!」
ルークの奴…大丈夫だろうか?ろくなことにならない気がする。まぁ、ルークが選んだ道だ。俺が関わるわけにも行かないよな。
というわけで召喚師は今回少なめ、水中戦力がいる人優先という意見になった。それから満月さんとアーレイ、鉄心さんが一致してライヒ帝国から大ギルドを選び、メルたちとトリスタンさんがフリーティアから大ギルドを選んだ。
ルインさんはヴェインリーフからクロウさんがいるギルドを選んだ。火影さんたちからは忍者仲間を紹介され、ある程度メンバーは決まった。
後は細かい調整だな。俺?推薦できる人いないよ~。関わりがある人は少ないから…言ってて悲しい。
こちらの要請で各ギルドから受諾が来て、とりあえずイベントで最初の島に行くための条件を満たしたので、島で話し合うことにした。
俺たちは全員島に転移すると絶句する。そこの島はまっ平らの何もない島だった。これは酷いな。
すると次々プレイヤーが転移してくる。そして、この光景に絶句する。そうなるよな。
「とりあえず自己紹介からしましょうか…まずは私たちからね」
俺たちフリーティア勢がそれぞれ自己紹介する。
「『リープリング』リーダーのタクトです。幼女サモナーとか呼ばれています。今回のイベントではよろしくお願いします」
「フリーティアギルド『ティータイム』リーダーのユキです。タクトさんたちがまだギルド登録していないので、フリーティア最大のギルドになっています。よろしくお願いします」
おおぅ…ごめんなさい。でも人数が足りないんだよね。それから選んだ人たちが自己紹介する。
「ライヒ帝国ギルド『流れ星』リーダーのシリウスです。うちは星の名前で統一しているので、ツッコミは勘弁してください。先日のキマイラ戦、ありがとうございました」
「同じくライヒ帝国ギルド『鉄鋼師団』リーダーの帝だ。一応リーダーだからそう名乗っている。申請を受けて貰えて光栄だ。今回のイベントではよろしく頼む」
「ヴェインリーフ生産ギルド『女ドワーフが救い』リーダーのクロウだ。ギルド名はヴェインリーフの状況から察してくれ」
クロウさんのギルド名、初めて知った。どれだけ苦労しているんだろう。自己紹介が終わり、話し合う。
「まずはこの島ね…どう思う?」
「拠点として使えるようにしろってことだろうな…石工師はうちにいるから連れてくる」
そんな職種いるんだ。因みに鍛治職の亜種でゾンビで大ダメージを受けたライヒ帝国の城壁を直したりして、復興に活躍した職種らしい。するとクロウさんが石工師を連れてきた。
「石工師のウィルだ。話はクロウから聞いたが一週間で拠点を作るのは厳しいぞ? そもそも石を運ぶだけでも苦労するんだ。出来ても小さな拠点だろう」
ん?石を運ぶだけで苦労した?何でだ?
「すみません。なぜ石を運ぶだけで苦労したんですか?」
「あのな…巨大な石を運ぶのがどれだけ大変だと思っているんだ?」
「え? ゴーレムで運べば楽じゃありません?」
沈黙が流れる。
「…出来るのか?」
「はい。古の島で普通にしてましたよ?」
「あ。あぁ~…そういえば運んでたな」
「おい! ふざけんな! 今までの苦労はなんだったんだ!」
どうやら相当苦労したみたいだな。そりゃ手作業していたなら、その苦労は計り知れないだろう。
「すまん。取り乱した…ゴーレムで石運び、積み上げが可能ならかなりの拠点が作れるだろう。無論石工師の人数によるがな」
「ゴーレムを召喚できる召喚師はどれだけいるかしら?」
俺、烈空さん、アルさん、タクマ、アロマがいた。更に雷電さんがコロッサスをテイムしていた。他にも猛獣使いでコロッサスは人気があるらしい。
どうやら古の島で黒鉄が活躍したのが原因でホースとゴーレムは結構な召喚師が召喚しているみたいだ。
「それだけいるなら十分ね」
「あぁ。石工師は俺が集めよう。メンバーは決まっているのか?」
そこをまだ決めていないな…みんなが話し合っている中、俺は許可を貰って、周囲を見てから釣竿を出し釣りをする。さて、ヒットするか?
俺の予想通り、鯖がヒットした。つまり海から食材の調達は可能なわけだ。
「釣れたかしら?」
「釣れました。俺からシャローさんたちとキマイラで一緒に戦った錬金術師のニックさんたちを推薦させてください」
「彼等を? 大砲の弾だけではないわね…何を企んでいるのかしら?」
バレバレか…俺はウィルさんに話す。
「堤防を作る場合は海岸から離れて二段構えで作れませんか?」
「可能だが…わざわざ海岸から離すのか?」
「はい。海岸近くに作ると水中にいる敵を攻撃しないと行けません。そうなるとこちらが不利です」
「なるほど。防衛するなら陸に上げてからが理想か…なら二段構えは何故だ?」
俺が答えるより先にみんなが答える。
『罠だね』
バレバレか…でかい壁で挟んで上から攻撃するのはよくある戦法だ。火計も有効だから錬金術師の力が必要だと思ったのだ。それに彼らは武器の大量生産のスペシャリストだ。投げて自在に動かすことも出来るそうだから色々、有利になりそうな気がする。
「なるほど…この状況で直ぐに防衛の策を考えてしまうんですね」
「イベントのクリア率が高いのも頷けるな」
「相変わらずだな…タクトの奴。いや、以前より凄みが増したか?」
なんか評価されている。結構えげつない策だから心配だ。それから協議をして、メンバーが決まった。俺たちの編成はこうだ。
重装歩兵60、槍使い20、騎士45、剣士40、格闘家5、魔導師40、銃士40、弓術師50、召喚師20、猛獣使い10、忍者40、聖職者5、錬金術師30、鍛治師15、石工師20、木工25、革職人5、料理人10、漁師10、その他10
戦闘職375、生産職125で挑むことになった。重装歩兵や騎士が多いのは拠点防衛で必要と考えたからだ。格闘家や聖職者は人数が少ないことと既に取り合いが発生しているのが原因だ。
この中にはお昼に行動出来る強いソロプレイヤーやパーティーを募集することになった。そういうプレイヤーはライヒにたくさんいるらしく、『流れ星』や『鉄鋼師団』の人たちが動いてくれることになった。
生産が少なくなった原因は案外、生産スキルを取っている人が多いことが判明したためだ。特に料理スキルの人気は凄かった。その他は主に情報収集と作戦指示をする役割になった。ルインさんやサバ缶さん、ナオさんなどがここに入っている。早速サバ缶さんから情報が出る。
「ウィザードオーブに特殊な造船イベントが確認されました。どうやら大型の魔導船を作製するイベントのようです。検証組はこのクエストがイベントクリアの鍵だと考えています」
「どんなクエストなんですか?」
「難易度はAでそのクエストを出しているNPCの名前がノアというそうです」
なるほど…それは鍵だと言われて納得だ。ノアはノアの方舟で知られている有名人だ。そんな存在が作る魔導船ならそれは凄いものだろう。
すると全員が俺に視線を向ける…これはまさか…
「タクトさん、ウィザードオーブに行けませんか?」
「い、行けるよ…」
思わず、小声になるのは仕方無いだろう…
「行けるんですね! ではこのクエストを受けてくれませんか? クエスト情報なら買いますから」
いやいや。ちょっと待って…難易度Aだよ?無理だろ。
「ウィザードオーブに行ける人も少ないのよ…お願い出来ないかしら?」
どうやら現状ウィザードオーブには魔導師しか行ける人がいないらしい。ならレッカが行けばいいじゃんと思ったが魔導師パーティーで難易度Aなんて無理ゲーという話だ。
「はぁ~…やるだけやってみますが期待しないで下さいね」
「わかってるわ。拠点化や食料の調達は任せておいて」
というわけで俺のウィザードオーブ行きが決まった。どれだけ時間がかかるかわからないから急いでアクアスに向かい、魔法の国ウィザードオーブに行くための手配をして、ログアウトした。