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Elysion Online ~ドラゴニュートと召喚師~  作者: とんし
魔導船と魔王バエル
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#367 水樹の町アクアスとハーフエルフ

関所を通り、水樹の町アクアスに入った俺たちが目にしたのは、ヴェネツィアそっくりの町並みだった。


細い水路が町中に流れており、NPCたちがゴンドラで移動している。やはりこういう光景は否応なくテンションが上がるな。


ただヴェネツィアと決定的に違う点がある。それが町の中央にある大きな木だ。恐らくあれが水樹なのだろう。あれがあるだけでファンタジーっぽく感じるからな。


するとNPCの人に声をかけられた。


「ん? これは驚いた。まさかマングローブの森を抜けてきたのかい?」


「あ、はい」


「それは若いのに大したもんだ。ようこそアクアスへ。船ならそこにつけるといいよ」


「ありがとうございます!」


言われた通り船をつけ、アークヴルムをインベントリにしまう。ついでに冒険者ギルドの場所を教えてもらい、冒険者ギルドに向かった。


冒険者ギルドでこの町の話を聞く。するとこの町はエリクサーラピスに入っているがフリーティア、ウィザードオーブ、パラディンロードと接している交通の要所の町だった。当然ウィザードオーブとパラディンロードにはここから行けるらしい。


更にここでは魔導書を作れるみたいだ。図書館で作り方を教われるそうなので、お昼を食べたら、向かってみることにした。



お昼を食べて、ログインする。水樹の町アクアスにワープして早速図書館に行く。せっかくなので、お金を支払いゴンドラに乗せて貰った。ゴンドラに乗りながら眺める景色は格別だな。


図書館に入るとフリーティアと違って木がメインに使われている建物だった。これはこれで中々のファンタジーだ。


早速受付で話をするとやはり素材が重要のようだ。主な素材は革、紙、インク、筆だ。


紙と筆はある。インクは専用の魔法のインクと自分の血を混ぜて使うそうだ。


後は革…これは色々ある。強いモンスターの革を使えば、当然強くなるそうだ。どうしようかな。


「革について、お困りですか?」


声を掛けられ振り返るとそこにはエルフがいた。うそ!?


「ふふ。あなたも驚くんですね。私はリーシャ。この町の町長で水樹を管理しているハーフエルフです。ハーフと言っても私のご先祖様のエルフはずっと昔なんですけどね」


ちょっと待て。理解が追い付かない。


「…俺のことを知っているみたいだな」


「それはもう。エルフの間では有名人ですよ。何せエルフと契約を結んだ召喚師ですから」


それだけじゃないだろうな。エルフから俺のことを聞いているなら俺がしたことも知っているはずだ。


「警戒しないでください。私はエルフとは余り良い関係ではないんです。ハーフですから」


人間の世界でもそういうことがあるからな。警戒を解く。


「はぁ~…それで俺に何か用か?」


「はい。私のことも含めて、私の家でお話します。悪い話ではないと思いますよ」


「わかった」


リーシャの家は巨大な水樹の中だった。凄いな。


「では、まず私のことから説明します。先程言いましたが私はこの町の町長をしています。と言ってもこの水樹を管理出来るのが私だけだから町長をしている感じです。この町の水は全てこの水樹から出た水なんですよ」


それは凄いな。だから水樹の町なんだな。


「私があなたのことを知っているのはエルフから話を聞いたからです。というのもエルフはこの水樹の水欲しさによく来るんです。私が小娘だからかいい態度じゃありませんね。その辺りは想像付くんじゃないですか?」


わかるな。しかし疑問がある。


「わざわざここの水樹の水を欲しがるのか?」


「はい。歴史が違いますから。何せ世界で最初の水樹はこの水樹と言われています。その水樹から作る水は世界最高クラスです。水樹だけでこの町が出来上がるほどなんですよ」


それを聞くと凄いな…というか欲しいぞ。ポーションに使いたい。ん?


「気付かれましたか? この町の財源は水樹の水なんです。ポーションなどの薬、聖水、農作物などに水は使われています。世界最高クラスの水は他のところにもありますがどこも危険なところです」


「安心安定で最高の水が手に入るならみんな取引をするか」


「その通りです。しかし今、この町は危機的状況に置かれています。この町の交易はアクアスの大瀑布の影響でマナのバランスが崩れて魔法はおろか空を飛ぶことが出来ません。杖の武技は使えますが、それだけではどうしようもないんです」


杖の武技で攻撃出来たんだね…言われてみれば魔法ではないよな。見た目は完全に魔法だと思うが、そこで俺は疑問を口にする。


「時空魔法も使えないのか?」


「それは出来ますが、時空魔法を普通の商人たちが使えると思いますか?」


「…それが出来ていたら、馬車とか必要ないか」


「そういうことです。よって船で交易を行っているのですが、アクアスの大瀑布に凶悪なモンスターが住み着いて交易を妨害されています」


あの滝が原因で魔法が使えなかったのか。そして凶悪なモンスターね…なんだろう?


「ヒュドラを退治してくれませんか? もちろんお礼はします。これでどうでしょうか?」


インフォが来る。


「依頼クエスト『アクアスの大瀑布のヒュドラを討伐せよ』が発生しました」


依頼クエスト『アクアスの大瀑布のヒュドラを討伐せよ』難易度:B

報酬:水樹の苗木

アクアスの大瀑布に住み着いたヒュドラを討伐せよ。


相手はヒュドラか。報酬は水樹の苗木。俺の心は既に決まった。欲しいよね。水樹。


「水樹の苗木なんていいのか?」


「ヒュドラを退治してくれるなら構いません。エルフや他の国は退治してやるから水を無料にしろとかずっと言ってきてうんざりしているんです。ヒュドラの皮なら魔導書の素材にはかなりいいものとなります。引き受けてくれませんか?」


あぁ…それは酷いな。水が入らなくなって困るのは自分たちも同じだろうに…それで退治してやるから水をただにしろは酷すぎだ。この娘なら了承するだろうと考えているとしか思えないな。


魔導書の革の素材に水樹の苗木なら断る理由はないな。他の国がどう思うか知らないが知ったことか。俺は水樹の苗木が欲しい。


「お受けいたします」


「ありがとうございます!」


というわけでアクアスの大瀑布に向かうことになった。

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