#36 義姉妹とのゲーム
ギリギリまで釣りを楽しみ。リターンで宿に戻る。リターン超便利です。そしてログアウトして夕飯を食べて、再びログイン。さて、これから義理の姉妹である佳代姉、理恋、未希と広場で待ち合わせだ。俺が待っていると他のプレイヤーが何人もこっちを見ている。リリーとイオンは目立つからな~
と横から殺気。
「とわーーー!」
俺に放たれたドロップキックをかわす。すると俺の代わりに犠牲になったプレイヤーが一人。南無。
「あー、もう。リサちゃん!こんなことしちゃダメだってあれだけ言ったでしょ!ごめんなさい。大丈夫ですか?ほら、リサちゃんも謝りなさい!」
「ごめんなさい」
大人の女性が犠牲になった男性プレイヤーに謝り、ドロップキックした大人の女性が謝っている。あれってそうだよな?
「兄様」
俺に声をかける大人な女性…兄様と言うことは…
「あー…リアルネームを言うのはダメなんだよな」
「うん。でもメッセージ越しに会話はできる。例えば」
彼女がそういうとインフォが流れる。
『ミライさんからメッセージが届きました』
俺がそのメッセージを開いてみる。
『未希だよ』
あぁ、やっぱり未希なんだな。じゃあ、あっちの二人…謝っているのが佳代姉でドロップキックしたのが理恋だな。
「こっちではミライって名前なんだな。確かその名前は」
「私の名前を決めるときに最後まで悩んでいた名前って聞いた」
確かに未希の両親がそう言っていたな。リサって名前もそうだ。っと二人が来た。
「兄ちゃんが避けたせいで怒られたー」
「俺とも分からないまま、ドロップキックをするのはどうかと思うぞ」
「わかるよ。あまり見た目変わってないもん」
すみませんね。君たちと違ってランダムで適当に作ったものだからね。
「あー…リサとミライはだいぶ弄ったんだな」
「背が低いとゲームで不利だからね!」
「兄様と背が一緒なのは変な感じ…」
「私はあまりいじってないよ!」
「ソウダネ」
確かに佳代姉はあまり変わってない。ただ一箇所を覗いて…明らかに胸がでかくなっている。まぁ、コンプレックスにツッコミは入れないであげよう。
「とそういえばこっちの名前はまだ知らないな」
「私はメルだよ。よろしくね。タクト君」
く…わざと名前いいやがった…おちょくってるな。
「メルはフランス語で海だっけ?」
「よく知ってるね。大学でたまたま習って、可愛い名前だし、つけてみたの。タクト君は指揮者の棒からかな?」
「よくお分かりで」
「タクト君は色々考えて名前を付けそうだからね。召喚師から考えた名前ってことを考えたら、自然とね」
分かりやすい名前の付け方で悪ぅございました。
「それよりもその子達がタクト君の召喚獣かな?」
「そうだよ。リリー、イオン挨拶して」
「リリーだよ!」
「イオンです。よろしくお願いします」
二人が挨拶すると佳代姉もといメルが二人に飛びつく。
「か~わ~い~い~!あ、お姉ちゃんのことはお姉ちゃんって呼んでね」
「おばさんって呼んでやれ」
俺がそういうとメルが怖い視線で射抜く。
「何か言ったかな?タクト君?」
「いえ、別に何も?」
誤魔化す。ついうっかり言ってしまった。
さて、怖いメルから逃げるようにリサとミライを見ると
「「むー」」
むくれていた。何事?
「二人はリリーちゃんとイオンちゃんに妹ポジションを取られた気がして、むくれているんだよ」
あぁ、なるほどね。
「違うもん!」
「違う!」
どうやら当たりみたいだな。さて、俺は二人をなだめながらフレンド登録する。というか俺のフレンド女性ばかりな気がする。男性ってクロウさんだけじゃね?…気付かなかったことにしよう。
俺は広場を移動しながら三人の職業を聞いてみるとメルが騎士、リサが格闘家、ミライが聖職者だった。聖職者はクレリックとも呼ばれる職種で回復特化らしい。綺麗に前衛2、後衛1に別れた形だ。というかリサのやつ、格闘家になったからドロップキックしたんじゃないだろうな。
「綺麗に前衛2後衛2で別れたね」
「俺の場合は特殊な後衛になるけどな」
「でも兄ちゃん、魔法使えるでしょ?」
「どんな魔法使えるの?」
「基礎と複合全部使えるよ」
俺がそう言うと三人が固まる。
「魔法スキルコンプした変人って兄ちゃんのことだったのか」
誰が変人だ!
「兄様、すごーい」
ミライの言葉が心を癒してくれる…いい子だよ。
「じゃあ、中ボスを初めて倒したのも、タクト君なのかな?」
「そうだよ」
「じゃあ、もうガチの攻略組だね。私たちも頑張らないとね」
「「うん!」」
三人が盛り上がっているが俺がガチの攻略組?いやいや、ガチの攻略組が釣りなんてしますかね?
「ひょっとしてレベル上げに適したスポットとか知ってる?」
「俺達がよく行くところならあるよ。敵は強いけどね」
「どんなモンスターかな?」
「デスニアって言うでっかいピラニア。今は安定して狩ってるけど、最初は苦労したな」
最初は杖で陸に投げ飛ばしていたのが懐かしい。今ではイオンがデスニアを狩っている。これはイオンの水中行動スキルに因るものだ。このスキル、水中で呼吸出来る上に泳ぐスピードも上がるスキルだった。そしてこのデスニアとイオンの戦いはまさにリリーと戦った時の再現だ。スピードでデスニアを圧倒、俺に攻撃を許さないほどのフルボッコ。水中特化のドラゴニュートの力を見せつける結果となった。
「そんなモンスター狩ってるならレベルが先行するのも納得だね」
「それで今日はレベルアップに付き合う予定だったけど、どうする?」
「レギオンを組んで若木の森に行こうと思うの。夜はモンスターが多いみたいだけど実績があるボディガードがいるからね」
色々知られているな…掲示板情報怖いな。
次回はメル達とのレベル上げの話しです、お楽しみに