#355 褐色の少女と蛇女
昨日深夜に騒いだ俺たちは寝不足で昼寝や欠伸を連発して先生に怒られた。姫委員長たちもしているのに怒られない理不尽さを感じながら、学校が終わり、ゲームにログインする。
するとベッドの中に誰かがいる気配がした。また誰かが潜り込んだのか…誰だ?
「すー…すー…」
布団を退かすと見ず知らずの黒髪の褐色の肌の少女が俺に抱きつき寝ていた。布団を閉じる。
ふぅ…落ち着け。いくらなんでもいきなりこんなことが起きるはずがない。まずは少女を脳内検索…ヒットなし。思い当たることもない。
ど、どうすればいい?すると布団から少女が顔を出す。
「やっと起きたのね。遅いからあたしまで寝ちゃってたわ」
あれ?声に聞き覚えがある。あ、心当たりがあった。
少女はベッドから降りる。そこで少女の姿を改めてみるとアラブの踊り子さんの衣装だった。
後で海斗に聞いたら、ベリーダンスという踊り子の衣装らしい。ちょっと過激だ。
「さてと、まずは自己紹介しましょうか。あたしは魔法の指輪に封じられていた魔神よ。今は力のほとんどを失っちゃって、魔人になっているわ」
やっぱりあの時、聞こえた声の子だ。
「俺は召喚師のタクト。一応この家の持ち主だよ」
「良いところよね。庭にモンスターがたくさんいて、物々しくはあるけどね」
確かに窓開けたらモンスターだらけは問題あるよな。でもここではそれが日常でもう慣れてしまったんだよな。
「ま、あたしは別に嫌いじゃないわ。あなたたちの戦闘も良かったわ」
「それはありがとう。それで本題は?」
「わかっていると思うけど、あたしと契約して欲しいのよ」
まぁ、そう来るよね。
「本来あたしの契約は出来ないけど、あなたには素質がある。あたしの声が聞こえたのがその証拠。まぁ、覚醒してないとはいえ邪竜や吸血鬼、淫魔までいるんだから当然なんだけどね」
確かに闇の子は多い気がする…これはまさか将来魔王になる感じか!
「はぁ? 魔王なんて雑魚でしょ? あなたがこのまま上手く成長したら、神々が震え上がる存在になるわよ」
魔王って雑魚だったんだ…そして俺はこのまま進むとヤバいことになるみたいだ。しかしよく考えると神様の使徒倒しているし、今更だ。
「俺がどうなるか分からないが俺たちは冒険を続けるだけだ」
「ふふ。それでいいわ。さて、契約に行きましょうか」
「あぁ」
というわけで獣魔ギルドに来ました。そこにはアウラさんがいた。
「新しい女の子キター!」
アウラさんが飛びかかろうとした瞬間、魔人から殺気が放たれ、アウラさんが止まる。
「あたしは認めた人間以外、関わらない主義なの。これでも元魔神だからね」
「…元魔神ちゃんなのね…道理で半端ないわけだわ。タクト君、一体どういう星の下に生まれたのよ…」
そんなこと言われてもきっと普通に生まれたはずだ。
「あのね…魔神はヴァンパイアと同じ上級種なのよ。しかも破壊力なら亜人種最強と言われているわ」
「最強かどうかはわかんないわよ。あなたたちの亜人の定義に神が入るなら、最強じゃないわね。あたしは神に負けたからね」
「神様に負けたのか?」
「そうよ。もっとも強かったから、指輪に封印するしかなかったみたいだけどね」
そういう流れになるのか…ということはジンも同じということだな。
流石にこのまま契約するわけには行かず、カインさんとグラン国王様に許可を貰った。しかし当然普通の魔石では無理だった。しかも素材もない。すると魔法の指輪を解体したら、素材が手に入ると魔人の子に言われ、ヘーパイストスが解体して、暗性石を貰った。
これで魔石に失敗したら、洒落になっていないな。なんとか成功し、契約する。
「さぁ、あたしに名前を頂戴」
歩き回っている間に考えた。
「ファリーダなんてどうだ?」
「いい名前付けるわね。気に入ったわ」
あ、意味知っているな。ファリーダはユニークなどの意味の言葉だ。この子は魔法の指輪の魔神…この世界で無比の存在だと思ったから名付けてみた。
暗魔石がファリーダの中に入り、契約完了だ。インフォが来る。
『魔人ファリーダと契約を結びました』
ファリーダが微笑む。
「これで契約完了ね。改めてよろしくね? タクト」
「あぁ。よろしくなファリーダ」
さて、ファリーダのステータスを確認する。
名前 ファリーダ 魔人Lv1
生命力 54
魔力 66
筋力 85
防御力 45
俊敏性 75
器用値 60
スキル
斧Lv10 魔拳Lv10 舞踊Lv10 投擲Lv10 妖気Lv10 暗黒魔法Lv10
時空魔法Lv10 集中Lv10 誘惑Lv10 物理破壊Lv10 魔力妨害Lv10
魔弾Lv10 魔素解放Lv1
あのアウラさんを止めるほどだからヤバさは感じていたがこれが最初ってヤバくないか?全然違うぞ…するとファリーダが言う。
「強い存在はそれだけ強くなるのに時間がかかるわ。そこだけは覚悟しておいてね?」
レベルが上がりにくいってことね…まぁ、そこは仕方が無いだろうな。そして斧は…ミノタウロスの斧、解体しちゃったね。ごめんなさい。
そして気になる魔素解放。これってシルフィ姫様を苦しめているやつだよな。聞いてみよう。
「あたしをキラキラした目で見ていた姫様…やっぱり魔素に侵されていたのね…人間が魔素の侵食に耐えるなんて普通じゃないわね」
うん。それは知っている。問題は治せるかどうかだ。
「残念ながら今のあたしでは無理ね。魔神になったら、可能だけど普通に治したほうがいいと思うわ。騎士たちの反応からしてもね」
確かにいい雰囲気じゃなかった。いくら違う存在でもシルフィ姫様と同格の存在と見ているかも知れない。こればかりは少しずつ解決していくしかないだろう。
その後、俺は色々進化したから合成召喚の間で確認をすると予想外の組み合わせを発見してしまった。それがこちら。
ユルルングル
スクブス
さて、どうするかな。シンスは殆ど戦闘させていない…困ったぞ。するとファリーダから予想外の言葉が来る。
「召喚して本音を聞いてみなさい。本人たちの意志が一番大切…違うかしら?」
その通りだな。召喚して、魂の回廊が発動する。サビクとシンスの意思は決まっていた。
「わたしは強くなりたいわ…悔しいけど、今のわたしじゃ力不足だから…サビクさんには悪いけれど」
『謝らないで…ボクはマスターや仲間のために力になりたいと思う。シンスが強さで悩まなくて済むようになるならボクは喜んで力になるよ』
サビクはシンスが悩んでいたのを知ってたんだな…俺は気付けなかった…ダメダメ召喚師でごめんなさい。
「お父様は落ち込まないで…お父様が優しいのはみんな知っているわ。過保護過ぎるとは思うけどね…戦闘中、わたしの位置をいつも気にしていたし」
ギクッ…バレてたのか。
『あはは! ボクが首に巻き付いても、結局容認してくれたからね。やっぱりマスターはいいマスターだよ』
懐かしいな…ブラックマンバの時までサビクはずっと俺の首にいたんだったな。
「それでも今回のことを反省するさ。悪かったな…シンス」
「別にいいって言ってるのに…」
『そこがマスターのいいところなんじゃないかな?』
「…否定はしないわ」
あれ?シンスの顔、赤い?確認しようとしたら、逃げられた。
「もういいでしょ! 早く終わらせて!」
『やれやれ。マスター…今まで育ててくれてありがとう。マスターたちとの冒険はいつも楽しく輝いていた…ボクの誇りだよ』
俺はサビクを撫でる。
「サビクにはピンチを何度も救われたな。隠れているゴブリンやエルフたちの襲撃…本当にたくさん世話になった。サビクと過ごした日々は絶対に忘れない」
『うん…じゃあ、マスター。合成召喚をお願い。シンス…マスターやみんなのこと、お願いね』
「えぇ!」
二人が召喚石になり、魔方陣に吸い込まれる。
「合成召喚!」
魔方陣が合わさり、新たな召喚獣が召喚された。
その姿は下半身が蛇で上半身が女性の蛇女…ラミアだった。胸は蛇皮で隠れているので、セーフみたいだ。
「新しいわたしに名前を頂戴。お父様」
あ、話せるんだ。声はシンスのままだ。名前…どうするか…必死に名前を検索する。やはりメデューサの伝説が過る。メデューサの伝説で出てこなそうな名前…あ。
「クリュスはどうだ?」
「クリュス…いい名前ね。気に入ったわ。それにシンスの名前を使ったわね?」
「バレバレか…」
「お父様は分かりやすいもの」
分かりやすいんだ…クリュスの言う通りだ。メデューサが倒された時に生まれたのが有名なペガサス。それともう一人、黄金剣を持った巨人クリューサーオールも生まれたとされている。
このクリューサーオールとシンスを合わせてみた。そのままだと男の名前だし、蛇サイドの名前だったから、どこかにシンスの名前を入れたかった。
では、ステータスを確認する。
名前 クリュス ラミアLv1
生命力 150
魔力 125
筋力 90
防御力 80
俊敏性 110
器用値 96
スキル
吸血Lv10 締め付けLv10 猛毒尾Lv10 致死毒Lv10 吸血爪Lv10
猛毒ブレスLv10 水ブレスLv10 地魔法Lv1 暗黒魔法Lv1 土潜伏Lv10
熱探知Lv10 誘惑Lv10 恐怖Lv10 罠設置Lv10 人化Lv10 幻影Lv1
雨乞いLv1
まぁ、ギリシャ神話に登場する怪物だし、スピカと同じ通常第三進化と合成第二進化の組み合わせだ。これぐらいの強さは納得だな。
これは余談だが、帰った後リビナと衝突した。結果胸の大きさで負けたリビナに俺は恨まれることになった。
「なんてもの召喚してくれたのさ! タクト!」
「お父様に八つ当たりはいけませんよ。リビナお姉様」
「ふんだ! その大きさじゃあ、タクトのベッドには入れないじゃん!」
リビナがそういうとクリュスが変化する。そこには成人女性となったシンスそっくりのクリュスが現れる。衣装はシンスの頃の物だ。
「残念でしたね。このくらいは当然出来ますよ?」
「う、うわーん!」
完全敗北してしまったリビナだが、セチアによるとシンスに色々自慢していたらしいので、自業自得だ。
名前 タクト 情愛の召喚師Lv15
生命力 82
魔力 222
筋力 72
防御力 40
俊敏性 60
器用値 138
スキル
格闘Lv15 蹴り技Lv20 杖Lv30 片手剣Lv30 槍Lv19 刀Lv15
投擲Lv9 高速詠唱Lv37 召喚魔術Lv37→Lv38 封印魔術Lv24 騎手Lv32
錬金Lv22→Lv23 採掘Lv28 伐採Lv33 解体Lv40 鑑定Lv31 識別Lv38
疾魔法Lv2 炎魔法Lv3 地魔法Lv2 海魔法Lv4 暗黒魔法Lv3 神聖魔法Lv10
雷魔法Lv31 爆魔法Lv29 木魔法Lv27 氷魔法Lv29 時空魔法Lv40
獣魔魔法Lv2 遅延魔法Lv3 連続詠唱Lv4 水中行動Lv12 俊足Lv4
読書Lv14 料理Lv39 餌付けLv8 釣りLv20 シンクロLv16 連携Lv7