#350 ディザスター・キマイラ討伐戦
ストラに乗り、ディザスター・キマイラの正面に降り立つ。
「レギオン召喚!」
俺のメンバーはリリー、イオン、セチア、恋火、イクス、ノワ、リビナ、リアン、和狐、セフォネ、グレイ、コノハ、虎徹、チェス、ゲイル、白夜、優牙、黒鉄、アラネア、ロコモコ、狐子、ルーナ、雪吹、ミール、ヒクス、ディアン、ストラ、月輝夜、スピカだ。
リアンが歌う。最初はセチアだ。
「やるぞ! セチア、ルーナ、ミール!」
「「「はい!」」」
セチアが詠唱に入る。するとディザスター・キマイラは気がつき、身体中から触手を飛ばしてくる。
「迎え撃て!」
グレイたちの一斉攻撃を浴びせるがびくともしない。ダメか…予定変更!
「イオン!」
「はい! タクトさんたちには指一本触れさせません! 竜化!」
海竜となったイオンが降臨する。そして魔方陣を正面に四つ展開する。
『クワトロシースパウト!』
四つの水の竜巻が放たれ、触手とぶつかり合うが触手を切り刻み、そのままディザスター・キマイラに向かう。だがイオンのクワトロシースパウトもディザスター・キマイラの障壁は壊せなかった。
俺はエントラストをセチアに使い、MPポーションを使う。
するとキマイラの目が光り、赤い閃光が走る。イオンが咄嗟に俺たちを庇う。直撃したイオンだが、イオンにも光の壁が発生していた。ロコモコの守護だ。
『ッ! ロコモコさん! 力を貸してください!』
「メ~!」
天の加護が発動し、イオンが息を吸い込む。
『ドラゴンブレス!』
神聖属性も加わったイオン渾身のドラゴンブレスが放たれる。ディザスター・キマイラの障壁にぶつかりヒビが僅かに入ったところでイオンが力尽きた。
イオンのドラゴンブレスでもダメか…だがヒビが入ったならいける!
「リリー!」
「うん! 竜化!」
リリーが竜化する。
『いっくよー! シューティングスターライト!』
リリーのシューティングスターライトがディザスター・キマイラに降り注ぐが、ディザスター・キマイラの障壁はびくともしていない。それどころかイオンが作ったヒビも直ってしまった。出鱈目過ぎるだろう…あれを突破するにはさっき以上の攻撃を使うしかない。どんな反動があるか分からないが覚悟を決めるしかないな。
「詠唱完了しました!」
「少し待ってくれ。ここはリリーにかける!」
『リリー! エストオラシオンの力を使ったドラゴンブレスであの障壁をぶっ壊してくれ!』
『任せて! タクト! エストオラシオン、リリーに力を貸して!』
竜化したリリーが更に輝きを増し、地上を明るく照らす。そしてリリーが息を吸い込むと空から星の光がリリーの口に集まっていく。
それを見たディザスター・キマイラが初めて動きを止め、リリーを見た。そしてディザスター・キマイラも息を吸い込む。
ディザスター・キマイラの行動が意味することはリリーの攻撃が危険と判断したことを意味していた。
二人のブレスがぶつかる。するとリリーがやや押される。
『むぅぅ! お願い! エストオラシオン! リリーの願いを叶えて! いっけぇぇぇー!』
エストオラシオンの力かリリーの力かわからないがリリーのブレスの火力が上がり、ディザスター・キマイラのブレスに押し勝った。ディザスター・キマイラの障壁にぶつかるとその障壁を貫き、ディザスター・キマイラの肩に直撃した。
爆風と共に初めてディザスター・キマイラが悲鳴を上げ、障壁の全てが砕け散った。とりあえず第一関門突破だな。
それを待っていた者がいた。ジンだ。
「分不相応の力だが、いい一撃だったな。これは俺も本気にならないと魔神の名が廃るな!」
ジンが見たことがない魔方陣を両手に展開すると風がジンの魔方陣に集まり、紫電が走る。そして魔法を解放する。
「魔神の暴風!」
ジンの両手から放たれた破滅の暴風が迫るとディザスター・キマイラもドリルを回転させ、同じ暴風で相殺しようとしたが、片腕では威力が足りなかったようだ。ジンの攻撃が無事だった片腕に直撃し、消し飛ばす。
「チッ! 片腕だけか…だが、これで俺の力は使いきっただろ…やれ!」
「セチア!」
「はい! 精霊召喚!」
巨大な真っ赤な魔方陣が展開され、その魔方陣から火が吹き出し、火の中精霊が降臨した。上半身裸の男の精霊だったが、鍛え抜かれたその身体は歴然の勇者を彷彿とさせた。
セチアが願う。
「お願いします! あの敵を」
『願いは不要なり』
何?
『汝らの戦い…見させて貰った。森の子よ。よくぞ、我を呼んだ。汝らの願いと戦いに応え、本気を見せよう!』
火の中精霊が空に手を掲げると空が真っ赤に染まる。
『災厄の獣よ。神の火に焼かれて死ぬがいい! メギド!』
天から一条の赤い閃光がディザスター・キマイラに落ちる。次の瞬間、ディザスター・キマイラを呑み込む程の大爆発が起き、ディザスター・キマイラは黄金の炎に焼かれて、完全消滅した…勝ったのか?
『やはり我では倒しきれぬか…気をつけよ。森の子と召喚師よ。復活するぞ』
そう告げると火の中精霊は消えてしまった。あの攻撃は火の中精霊の渾身の一撃だったのだろう。
それよりも復活?だって消し飛んで…俺がディザスター・キマイラが死んだところを見ると黒い光の粒子が発生し、集まると触手を発生させていた宝石が作り出された。宝石が黒く光ると黒い光の粒子がディザスター・キマイラの姿を形取り、ディザスター・キマイラが完全復活してしまった。
「ちょっと待てよ…なんだよ…これ」
俺はそう言わずにはいられなかった。すると予想外の声が聞こえた。
「しっかりしいや。復活には代償は付き物どす。今までの攻撃は無駄じゃあらへんよ」
「そういうこった。現に俺様たちをここに来させた。それだけで十分評価出来るぜ」
恋火と和狐だが、この声はまさか…
「稲荷さまに九尾さま!?」
「久しぶりどすな。今日は散々配下の子らを苦しめた奴さんにお灸をすえに来たんどす」
「俺様は来るつもりはなかったが、嫁たちのためなら仕方ねぇ…日頃の鬱憤の解消をかねて久々に暴れさせて貰おうか!」
「ウチもやらせて貰います。この子らには負担が大きすぎるけど、堪忍してな」
え?どうなるの?俺の心配を他所に二人は獣化する。
天を貫く蒼炎の火柱から出現したのは美しい輝く白毛に太ももには深紅の紋様に十の尾、首には勾玉の数珠がある狐だった。
空天狐?
? ? ?
同じく天を貫く黒炎から出現したのは金色に輝く黄金の毛に額に深紅の紋様に九の尾、首にはしめ縄がある狐だった。
金毛九尾?
? ? ?
この世界で最強クラスの二匹の狐が降臨した。それを見たディザスター・キマイラは目を赤く輝かせると二匹が次々爆発する。あんな攻撃もあるのか。だが、相手が悪かった。
空天狐が蒼炎、九尾が黒炎を纏い佇んでいた。全くの無傷だ。
『…こいつ今、俺たちに喧嘩を売ったのか?』
『…みたいどすな。ほないこか』
『あぁ! まずは俺様が相手をしてやるよ! 貴様が災厄なら俺様は天災だ! 格の違いを思い知りやがれ! 天変地異!』
一瞬で空の雲行きが黒雲に包まれると特大の黒雷がディザスター・キマイラに降り注ぎ、ディザスター・キマイラを破壊していくがディザスター・キマイラも直っていく。
するとディザスター・キマイラを上回る見たことがない巨大竜巻に襲われ、ディザスター・キマイラの巨体が空に上がる。しかし一瞬で巨大竜巻がなくなり、黒雲が晴れる。
お、終わりか?い、いや…なんだあれ…
晴れた夜空から飛来したのは、ディザスター・キマイラの大きさを上回る巨大隕石だった。ボロボロのディザスター・キマイラは逃げることが出来ず、必死に攻撃して隕石を壊そうとするが規模が違いすぎた。
巨大隕石がディザスター・キマイラに直撃し、そのまま地表に落ち、超爆発する。そして爆風と共に衝撃波が来る。し、死んだ。
すると俺たちの前に壁が出現し衝撃波を防ぐ。
『まだまだヤンチャやね~』
『うっせ。命は沢山削ったんだから文句はねーだろ』
『そうやね』
いやいや!普通あの規模の隕石がぶつかったら、星終わってるから!ゲームだからと言われたら、それで終わりだが、生きた心地がしなかった。まさしく天災だ。
しかし、ディザスター・キマイラはまた無傷で復活する。だが、復活しないほうが良かったかも知れない。ディザスター・キマイラを囲むように白銀の魔方陣が地面と空に展開される。
『うちがお手本見せたるわ。命はこう削るんや。空天煉獄!』
下からディザスター・キマイラを一瞬で消し炭にする火炎が放たれる。間髪入れず、上から同じ火炎が放たれ、ループする。えぐい…
『おっかね~』
九尾と意見が一致した。暫く続いたがやがてループが終わる。
『…どうやら目的を達成したみたいやね。ほな、終いどす』
そういうとディザスター・キマイラを結界で閉じ込め、結界の中で連鎖爆発が起き、ディザスター・キマイラは爆散するが、復活する。
『もう限界みたいやから帰るで。九尾』
『おう。約束忘れんなよ』
『分かっとるわ』
「あの…さっき目的って」
俺が聞くと空天狐が教えてくれた。
『うちらが主犯どもを殺さなうちらが支配する地獄に落とせないんどす。せやから奴等の魂だけはうちらが消滅させる必要があっただけやよ。ほな、おきばりやす~』
そういうと二匹の獣化が解ける。すると恋火と和狐が倒れる。確認すると意識を失っており、ステータスは全て1になっていた。
さっきの空天狐の話…狙いは暗黒召喚師たちってことか?そう言えばジンも奴等の声がするって言ってた。これって…
すると通信が来る。
『今の何!? 死んだと思ったんだけど!』
全員から抗議が来る。なんだったんだろうね…俺も初めて見たし、死んだと思ったよ。だから聞かれても困る。
とりあえずみんなにさっきの話を聞かせると回答が来た。
『これはあの怪物が餌にした命の数だけ復活する感じだね』
『こういうタイプのボスは殺す度に弱体化していくものです。実際に最初の死から障壁を使っていませんでした。目視で確認したところ、奴の触手が少なくなり、体の部分もところどころ無くなっています』
『弱点は心臓付近にある宝石ね。最初に復活しているし、間違いないわ』
メル、与一さん、トリスタンさんの話でやるべきことが見えた。ディザスター・キマイラを足止めして、心臓付近の宝石を集中攻撃すればいいわけだな。ならば、やるだけやってやる。
『このことをみんなに通達してくれ。俺はこれからノワの竜化で奴の動きを止める! それと同時に全員心臓付近の宝石を狙ってくれ』
『了解!』
頑張ったリリーたちを戻し、再びエリクサーラピスを目指し出したディザスター・キマイラに再び仕掛ける。
「ノワ! 頼む!」
「…任せて。竜化!」
竜化したノワの気配を感じ取ったディザスター・キマイラはノワを見る。リリーやイオンはそこまで警戒しなかったのに…やはり弱体化しているのが原因か。
ノワが魔法を発動させようとした瞬間をディザスター・キマイラが狙う。だが、こちらもそうはさせない!
「黒鉄! アラネア! 月輝夜! やれ!」
黒鉄がロケットパンチを宝石目指して放ち、アラネア、月輝夜も樽を宝石に向けて投げつけた。最初に黒鉄のロケットパンチが宝石に命中すると大爆発をし、宝石周りが火炎に包まれる。どうだ。これが必殺爆炎ロケットパンチだ。黒鉄に樽爆弾を持たせることで可能にした必殺技だ。
まぁ、殺せていないし、ただ樽を持たせただけのものだが、テンション的にそう言いたかった。
それを知ったディザスター・キマイラはアラネア、月輝夜が投げた樽を触手で破壊する。すると爆発せずに液体がディザスター・キマイラの触手や体に降りかかる。そんなにも一人でたくさん樽爆弾を作れるわけないだろう。
「狐子! 月輝夜! 合わせろ! ファイヤーブラスト!」
俺のファイヤーブラストと狐子の邪炎、月輝夜の火ブレスがディザスター・キマイラに当たると一気に燃え上がる。だが、ダメージが弱い…というより回復してやがるな。だが、時間稼ぎは済んだぜ。
『ドラゴニックプリズン!』
ノワの竜魔法が発動し、ディザスター・キマイラを空に固定させる。ここだ!
「全員一斉攻撃! イクス!」
「イエス! マスター! エネルギーブラスター発射します!」
エネルギーブラスターが宝石を飲み込み、破壊すると宝石は復活する。これで一回目!復活する場所はノワの魔法の効果範囲で復活しては逃げられない。だが、ノワにも限界がある。早く決めないと拘束が解かれる。
次はセフォネが仕掛ける
「ゆけ! 妾の軍団よ! 触手やスキルを封じるのだ!」
セフォネが影召喚でディザスター・キマイラのスキルを呪滅封印で次々ダメージを与えながら封じていく。触手の攻撃を全て封じたところで、グレイたちが飛びかかり、至近距離から大技を使い、ダメージを与えたが、仕留めるにはいかなかった。
しかしリビナとセフォネが既に準備を終えていた。
「セフォネ! いっくよー! 魔弾!」
「うむ! これで壊れるのじゃ! 闇波動!」
リビナがでかい魔弾を放ち、セフォネの闇波動と合わさり、宝石に直撃。見事に破壊した。これで二回!宝石が復活する。
すぐさまスピカとヒクスがディザスター・キマイラに迫る。それぞれ騎乗しているメルとシフォンが輝く剣を構える。
「いくよ! シフォンちゃん!」
「はい!」
「「パラディヌスブロウ!」」
聖なる光の纏った光の巨剣がバツ字に放たれ、宝石を斬り裂いた。あれが聖騎士の必殺技か。これで三回!
今度はスピカが光る角を回転させて、宝石に突っ込むが破壊出来ない。スピカが離れ、今度はヒクスが暴風を纏い、突っ込み宝石にヒビが入った。すかさずヒクスが距離を取るとスピカに騎乗しているトリスタンが矢を構えると黄、赤、緑、青色の光が矢に宿る。
更にリサが両手に別々のオーラを宿し、手を構えるとあのオーラが混ざり、塊となる。
「エレメントバースト!」
「魔気波動!」
基礎魔法の四属性が宿った矢とリリーたちと同じような波動が放たれ、トリスタンさんの矢が狙いを違わず、宝石に命中する。四つ色が炸裂し、そこにリサが放った波動が加わり、宝石を破壊した。リサの奴、あんな技おぼえていたんだな。これで四回目!
更に続くようにアルさんがレッサーグリフォンを操り、宝石目指して突っ込む。その後ろでは鉄心さんが居合いの構えを取り、刀から紫のオーラが放たれる。
「妖魔裂斬!」
ディザスター・キマイラを横一閃に斬り裂く。これで障壁斬れなかったのか?
すると今度はディザスター・キマイラの地面に新たな魔方陣が二つ現れ、合体する。アルさんのワイアームの上でレッカとレッカが推薦した人が杖を合わせる。
「「融合魔法! フレアトルネード!」」
ファイヤーストームを大きく上回る火炎旋風がディザスター・キマイラを焼く。だが、宝石を狙っていないためかダメージが思った以上に弱い。がっかりしているとアルさんのワイアームの上で輝きが増す。アーレイとカイだ。
「後は俺たちに」
「任せておけ!」
何故だろう?全然任せる気になれない。
「古来より化物を倒すのは勇者の努め!」
「勇者の本気を見ろ!」
「「ロードカリバー!」」
二つの閃光が合わさり、ディザスター・キマイラに迫る。ここでアクシデントが発生する。
『…もう限界』
ノワの竜魔法が解けて、空中に固定させていたディザスター・キマイラは地表に落下し、二人の必殺技は宝石ではなく、ディザスター・キマイラの顔に当たる。その間に鉄心さんとレッカたちが与えたダメージがどんどん回復してしまっている。期待を裏切らない奴らだな。
「「あ…」」
ディザスター・キマイラが怒りの目をアーレイとカイに向ける。すると触手の先端が光り、空を飛んでいる人たちにレーザーが多数放たれる。
更にディザスター・キマイラが叫ぶと、体から何かがたくさん現れた。
キマイラ・トークン?
? ? ?
キマイラ・トークンたちがこちらを見る。グレイが俺を見る。
「あいつらの相手は任せる。全滅させてやれ」
『ガァアア!』
グレイたちとキマイラ・トークンがぶつかりあった。見てみると強くない…というより、グレイたちが一方的に倒していっている。キマイラ・トークンもレーザーを撃ったりしているのだが、グレイたちに全くついていけない。全滅は時間の問題だな。
するとストラの上から与一さんたちが魔導銃を構える。
『リミットブレイクショット!』
宝石に限界を超えた六つのエネルギー砲が命中し、宝石を破壊する。あの距離でディザスター・キマイラの攻撃を避けながら動き回るストラの上から六人全員がピンポイント射撃…すげー。これで五回目!俺も負けていられないな。
「エントラスト! ノワ! ぶっぱなせ!」
『…ん! ドラゴンブレス!』
ノワのドラゴンブレスが直撃し、宝石がボロボロだ。なのに再生しない。これはさっきの与一さんたちの攻撃で再生スキルがなくなったのか!
するとスピカ、ヒクス、ストラが攻撃を加え、最後に雫ちゃんのエクスプロージョンで宝石が破壊される。これで六回目!
「花火! 竜化だ!」
「任せなさい! 竜化!」
タクマの花火ちゃんが竜化する。
『あいつらには負けられないのよ! ドラゴンブレス!』
花火ちゃんのドラゴンブレスが命中するが破壊には届かないがアロマのフォールンエンジェルの漆黒の槍が貫き、破壊する。これで七回目だが、全員必殺技を使って満身創痍だ。グレイたちもキマイラ・トークンを倒している。ここで撤退しないと犠牲者が間違いなく出るな。
『みんな! 撤退だ!』
『了解!』
それぞれ、ワープゲートでその場から撤退していく。
「アラジンとジンも戻ってくれ。後は俺たちでなんとかするよ」
「わかった! じゃあ、ネフェルに戻ろうか! ジン」
「そうだな」
俺はアラジンたちに礼をいい、ワープゲートで撤退した。




