#346 賊のアジト発見
夕食を食べ、約束の時間にログインするとみんな集まっていた。
今回はホームにいるメンバーに火影たち、侍の鉄心さんたち、アロマのような上位の召喚師プレイヤー、ゾンビイベントで油を作ってくれた錬金術師のプレイヤーたち、他にもフリーティア所属のプレイヤーたちが集まった。
「…随分集まりましたね」
『レベルアップイベントは見逃せないから!』
レベルアップイベントは確定なんだ。だが、それだけじゃないみたいだ。
「冒険者ギルドや獣魔ギルド、錬金術ギルドからクエストが発生したのよ。タクト君が進行しているクエストに関係するものよ」
あぁ…俺が動いた結果かな。個別に報酬が貰えるそうなので、報酬の話は無しになった。
俺は改めてこれまでの流れの説明と敵の情報を話す。
「…一人でよくもまぁ、ここまでしたものね」
「本当だよ…攻略だけじゃなくてギルドは動かすし、敵の弱点の情報まで集めるなんて、絶対に変だからね?」
「そうか? そんなことより本題に入るぞ」
メルが抗議の視線を向けるがスルーする。
「さっき話した通り、まだ敵のアジトには行っていない。だからあまり作戦らしい作戦は立てられないが聞いてくれ」
全員が頷く。
「まずこれからアジトまで行く必要がある。恐らく簡単には行かせてはくれないだろう…敵の罠や奇襲、待ち伏せが予想されます。そこで…ノストラさん」
「あ、あたし!?」
「敵の罠や襲撃を予知できますよね?」
「あ…それなら出来るわね」
これが出来るか出来ないかではだいぶ違う。
「ノストラの予知があれば敵は的です。トリスタンさん、与一さんたちお願い出来ますか?」
「そこは私たちの出番でしょうね。任せてちょうだい」
「えぇ。一人たりとも逃がしません」
罠についてはグレイのような召喚獣と罠の専門家である火影たちに任せた。
問題はアジトだろう。規模がわからないが恐らくかなりでかい。見張りとかもしっかりしているだろう。ならばだ。
「アジトでは大きく二手に別れましょう」
「外で暴れる囮のメンバーと侵入するメンバーだな?」
「はい。俺はキメラの相手を」
『待った!』
な、なんだ?
「これはタクト君が進めたクエストなんだからタクト君が中にいかないとダメだよ。奴隷の首輪を開錠する装置もタクト君が持っているんだよ?」
そういえばそうでした。
「キメラならなんとかして見せますよ。空飛ぶ敵も我々からしたら、的ですから」
「そういうことよ。これでも強くなっているのよ? 任せてちょうだい」
するとみんなも言い出す。
「ならホムンクルスは私たち錬金術師に任せてください。ギルドの依頼がそれなので」
「なら召喚師はゴーレムですね」
「スピードが売りだから負けられないよね」
「なら私たち騎士の相手は暗殺者のNPCだね」
みんな…ならお願いしようかな?
「ならお言葉に甘えようかな。俺の識別スキルでも全然データが見えない敵だったから気をつけてくれ」
『え…』
全員が固まってしまった。大丈夫。みんな強くなったんだもんね。アジトの侵入はぶっつけ本番だな。会議が終わり、ルインさんに声を掛ける。
「ルインさん…」
「私たちは参加出来ないけど、準備はしておくわ」
「お願いします…行こう!」
俺たちはネフェルの町に来た。全員問題なく来れた。俺は追跡の風見鶏を取り出し、アラジンを設定すると光が伸びる。
成功だな。俺たちは敵のアジトを目指して出発した。
「兄ちゃん! このサンドボード欲しい!」
「ダメ。自分で買え」
「ケチ~」
ケチじゃない。するとノストラさんが警告する。
「待って! 砂の中に隠れている敵NPCがいるわ」
「了解。どこら辺か教えて。あぶり出すわ」
トリスタンさんのアローレインが隠れている敵に降り注ぐ。たまらず敵が現れる。そこをフリーティアから支給された魔導銃を構えた与一さんたちが狙う。
「撃て!」
『ストライクシュート!』
魔導銃の一斉射で敵が倒される。これはたまらないな。
その後、ノストラさんとトリスタンさん、与一さんたちコンボが炸裂した。
岩場に隠れていても、トリスタンさんはスキルで曲がる矢を放ち、正確に狙い撃っていく。
他にも罠があったが、チロルや最初の頃に交流会でフレンドになったコゼットとララのモフモフ大好きプレイヤーたちのウルフ軍団が全て見つけ、火影たちが解除した。
するとコナッツ村とは異なる渓谷を見付けた…どうやらあそこがアジトみたいだな。イクスを召喚して調べて貰ったが見張りや渓谷の外にいる敵の数がわかっただけだ。それでも情報を集めに行く火影さんたちには最高の情報になった。
火影さんたちが情報を集めて、帰ってきた。それによると渓谷の入り口は四方に四つあるそうだ。
「目の前とその反対側は目視でわかるでござるが残り二つは隠してあるようでごさる」
「もし敵が逃げ出すならそこを使うよな」
「そのための仕掛けでござるからな」
だよな…しかしその隠し通路は二つのルートから攻めてきた敵から逃げるために作られたものなら、逆にその通路を通れば見えてるルートにいる敵は相手にすることはないかも知れない。
「それは…そうでござるな。盲点でござる」
「じゃあ、侵入組は二手に別れることになるかな?」
「だな…メルたちとシフォンたち、火影さんたちはこちらから。反対側からは俺と鉄心さんたちで挑もう」
メルたちが頷く。鉄心さんが言う。
「君と戦えるとは光栄だな…よろしく頼む」
「こちらこそよろしくお願いします」
次は外で暴れる囮組だな。こちらも二手に別れたほうが良いだろう。
「まずは正面から最初は仕掛けましょう。恐らくキメラが最初に来ると思います」
「なら俺たちと」
「私たちの出番ですね」
というわけで満月さんたちと与一さんたち、フリーティアのプレイヤーたちが担当することになった。
足が遅いホムンクルスや武装ゴーレムを担当する錬金術師や召喚師たちは反対サイドから攻めることになった。恐らくこいつらは守りに入るからな。敵NPCが邪魔になる前に奇襲して倒すに限るだろう。
お互いに戦闘の詳細を詰め、いよいよアジト攻略が始まる。
名前 イクス アモールエクスマキナLv6
生命力 108
魔力 108
筋力 108
防御力 108
俊敏性 108
器用値 108
スキル
飛行Lv8 機人兵装Lv25 暗視Lv4 鷹の目Lv8 射撃Lv10 詳細解析Lv5→Lv6
演算処理Lv4 行動予測Lv4 索敵Lv18 投擲操作Lv6 連射Lv8
換装Lv6 リンクLv14 魔力充電Lv10 リミッター解除Lv1