#343 コナッツ村とネフェル襲撃
コナッツ村は所々に火の灯りが見える村だった。近付くと村の状態がよくわかるようになった。
村からは焦げた独特の臭いがした。家屋は黒ずみ、崩れている家があった。ここの名産と聞いたココヤシの木はほとんどが焼けて、黒ずんでいた。
「酷い…」
「あんまりです…」
リリーたちもこの惨状に戸惑っている。あの情報は間違いないみたいだな。
「…にぃ。人が来る」
ノワに教えて貰い、振り替えると杖をついた老人が歩いてこちらに向かってきていた。たぶんこの村の村長だろう。
「旅のお方かね?」
「はい」
「すまんのぅ…今、この村には旅人を持て成す余裕がない…本来なら名産のココナッツで持て成すんじゃが…見ての通り全て失ってしまった」
「お気になさらずに…あの、お辛いとは思いますが…何があったのかお聞かせ頂けませんか?」
老人が石に腰をかける。
「この村はつい先日、賊に襲われたのじゃ…奴等はいきなり現れ、村に火矢を放ってきおった」
そこは賊だしな。脅すとかして食料とかをゲットするならわかるが…やはりこの襲撃は変だな。賊っぽいただムカついてやったというなら理解できるが、計画性を感じる。
「家や備蓄してあった食料や水…名産のココヤシの木まで焼かれて失ってしもうた…」
賊の攻撃で失ってしまったのか…つまり賊の目的は食料とかじゃなく、村を襲撃していなくなったなら村そのものでもない。なら奴らの狙いはなんだったんだ?
「あの…賊の被害は村や食料だけですか?」
老人が頭を抱える。辛いと思うが、答えて貰うしかない。
「いいや…奴等の目的は若い村人たちじゃ…妙な首輪をつけられて連れてかれてしまった…この村の宝である子供たち全てじゃ…」
奴隷の首輪…亜人種に使うものと考えていたが人にも使えるアイテムなんだな。
それにしても子供たち全て…相手はロリコンでショタコンなのか?
俺は違うよ?称号であるのはロリコンだけだから!言ってて、悲しくなってきた。
バカなことを考えるのはやめよう。今は子供を狙う賊の意図だ…労働力や戦力とは思えないんだよな…それなら子供より大人を連れて行くはずだ。訓練させて育てることも考えられるが、それもないだろう。
一応老人に質問をするが知らなかった…当然だな。わざわざ自分たちの目的は話さないだろう。当たり前だがアジトの情報も無かった。これで振り出しに戻ったな。
「わかんないな~」
『わかんないな~』
リリーたちが俺の真似をする。真似をするな。大体情報が少なすぎるんだよな…すると村人の声が響いた。
「た、大変だ! ネフェルの町の方から煙が上がっているぞ!」
何!?まさか賊がネフェルを狙ったのか!?あそこにはカロさんのキャラバンやアラジンが…子供を狙っている?しまった!ワープゲートを使用するが、ネフェルに行けなかった。くそ!
「急いでネフェルに向かうぞ!」
『うん!』
ヒクスを全力で飛ばす。間に合ってくれよ!
モンスターを全て無視して急ぐとネフェルの町が見えて来た。すると町を周りを何かが飛び回り、町に攻撃を加えていた。識別する。
キメラ?
? ? ?
キメラは合成獣とも呼ばれているモンスターだ。合成召喚で召喚できると思っていたが、あれがそうなのか?
他にも鎧を来たゴーレムと白い巨人、それと戦っている危険な気配を放つ青い巨人がいた。識別する。
武装ゴーレム?
? ? ?
ホムンクルス?
? ? ?
ホムンクルスだと?あの白い巨人がそうなのか?確か錬金術師が作り出す人造人間の名前だったはずだが…明らかに人ではないぞ。そして青い巨人は予想通りだ。
ランプの魔神ジン?
? ? ?
とにかく戦って町の被害を減らさないと俺は槍を構える。するとインフォが来る。なんだ?まだ何もしていないぞ?
『イベント終了時間となりました。強制ログアウトを実行します』
あ…今日はイベント最終日だった!まずい!
体が消えていく…おい!ちょっと待てよ!これだけでも戦わせてくれ!
しかし問答無用で俺は強制ログアウトさせられた。
現実のベッドで目が覚めた俺は思わず、ベッドを殴り付ける。
「くそ!」
こんな仕打ちは始めてだ…時間を見ると確かに深夜の0時を過ぎていた。時間を考えなかった俺のミスでもあるが脳裏にあの光景が離れない…これは寝るのに時間がかかりそうだ。それに明日はログイン出来ない…最悪だ。