#337 砂漠の町ネフェルと魔神と友達の少年
俺はカロさんたちと別れ、町を散策する。この町はネフェルと言うそうだ。町の特産はバオバブの木から取れる木の実や葉、樹皮を使ったものらしい。お店で売られていたのがこれ。
バオバブのローブ:レア度6 防具 品質C
効果:生命力アップ(中)、自動回復(中)
バオバブの樹皮から作ったローブ。生命の力が宿ったローブと呼ばれている。
バオバブの杖:レア度6 杖 品質C
効果:回復魔法効果アップ(中)、闇魔法効果アップ(中)
バオバブの木から作った杖。生命と悪魔の力が宿った杖と呼ばれている。
バオバブポーション:レア度6 回復 品質C
効果:生命力70回復、30分自動回復(中)
バオバブの樹皮を煎じて作製した薬。
バオバブの茶葉:レア度6 食材 品質C
バオバブの葉から作られる茶葉。柑橘類の爽やかな酸味がする。
バオバブ飼料:レア度6 食材 品質C
バオバブの樹皮から作った飼料。フルーツ好きの動物に人気がある。
バオバブパウダー:レア度6 食材 品質C
バオバブの実から作製した粉。柑橘類の爽やかな酸味がする。
バオバブ祭りだ。どれだけ愛されているか分かるな。バオバブ飼料、バオバブの茶葉とバオバブパウダーを記念に購入した。
バオバブ飼料は頑張ったスピカとダーレーたちのお土産。バオバブの茶葉とバオバブパウダーは知らなかったから買ってみた。
とりあえず茶葉でお茶を作ってみた。
バオバブ茶:レア度6 食材 品質C
効果:満腹度10%回復、生命力75回復、一時間自動回復(大)
バオバブの茶葉から作ったお茶。柑橘類の爽やかな酸味がする。
効果凄くね?まぁ、いいや。勿体無いが飲んでみた。
むむ!これは…グレープフルーツに似ている味だな。効果も凄いし、バオバブやりおる。
次はパウダーを食べるがやはりグレープフルーツと同じ味…これはジュースやヨーグルト、隠し味に使えるかも知れない。
「強いお兄さん。ボクにもバオバブ茶をくれないかな?」
誰?そこには少年と歪な雰囲気の放つ長身の人間がいた。
「ッ!」
俺は咄嗟に構える。この感じ…ネフィさんの死神よりヤバい気配だ。すると少年が笑う。
「あはは! やっぱりジンが見えるんだね!」
ん?ジンだと?何処かで聞いたことがあるような…なんだっけ?
「俺様がそう言っただろうが、アラジン」
アラジン!?この少年が?そしてジンを思い出した。アラブで精霊や妖怪、魔人などの総称だ。つまり魔法のランプの魔人もジンと考えられている。この世界ではどうやらランプの魔人の名前がジンと言うみたいだな。
「そうだけど、ジンが見える人は初めてなんだから、仕方無いじゃん」
どうやら警戒しなくていいみたいだな。
「ふふ。あっさり警戒を解くんだね。やっぱり面白いね。お兄さん」
「お前はもっと警戒しろ。こいつは名持ちの悪魔や星獣を倒し、天使や聖獣と契約しているんだぞ」
色々バレ過ぎじゃない?
「大丈夫さ。ジンがなんとかしてくれるでしょ?」
「こいつは…」
流石は名コンビで有名なアラジンとランプの魔人だな。話しているだけで仲がいいのが伝わってくる。
「俺に戦う気はない。そのジンに勝てると思うほど、馬鹿じゃない。殺気を放ったことは謝る」
「ほぅ。ま、それほど強かったら、馬鹿ではないか。謝罪はいらん。俺様は寛大だからな」
「ねぇねぇ。それよりバオバブ茶をくれないかな」
「別にいいぞ」
俺はバオバブ茶をアラジンとジンの分を入れる。
「あぁ~美味しい!」
「…まぁまぁだな」
「ジンのまぁまぁは凄い美味しいって意味だよ」
「余計なことを言うな!」
本当に仲がいいな。
「それで? バオバブ茶が飲みたいだけじゃないだろ?」
「もちろん。お兄さんはこの砂漠の外から来たって本当かな?」
「あぁ。フリーティアから来た」
「フリーティア? それがお兄さんが住んでる国なんだね!」
そういえばアラジンは広い世界を見にヒロインと冒険をするんだったな。
「外の世界に興味を持つことはいいが、俺たちは試練を突破しないと外に出れないことを忘れてないだろうな?」
「う…」
ん?試練だと?
「試練ってなんだ?」
「この砂漠には砂漠の試練という神々が暇潰しで作った迷宮がある。俺たち、砂漠に住む人間はそれをクリアしないと外には出れないんだよ。忌々しい限りだぜ」
あれ?でも奴隷のセリアンビーストたちは…あ、彼らはもしかして砂漠の住人じゃなかったってことか?
「ボクとジンはチャレンジしているんだけどね。全然ダメなんだよね~」
「お前が弱いせいでな!」
どうやらこの魔人、相当苦労しているようだ。
「魔法の絨毯で逃げ回れって言っているのにどうして死んでいるんだ!」
「あんな化け物どもから逃げられるわけないでしょ! だからしっかり守ってって言ってるじゃないか!」
「守ろうとしたら、いつの間にか死んでるじゃねーか!」
「ジンが守ってくれないからだろ!」
どんなことが起きたのかなんとなく分かるな。
「そ、そんなことよりお兄さん。外の世界のこと聞かせてくれないかな? お兄さん以外の人は悪い人で何も聞けないんだよ」
ちょっと待て。
「それは構わないが、俺以外にもこの砂漠に来ている人を知っているのか?」
「当然だ。俺を誰だと思っている? この砂漠のことならなんでも知っているジン様だぞ」
「お兄さんたちが悪い人を倒したことも知ってるよ」
本当になんでも知っていそうだな。
「言っておくが奴隷の首輪や外の奴等の住処とか言えないからな」
それはそうだろうな。しかし既に情報をもらったな。
「へぇ。外の奴等は複数居て、住処があるんだな?」
「…ち」
ジンはしまったという顔をする。それを見てアラジンが大笑いをする。
「あはははは! ジン! 情報しゃべっているじゃん! あはははは! 面白い!」
「笑いすぎだ! この!」
その後、情報料として外の世界を話す。
「はぁ~。やっぱり外の世界に行きたいな」
「そう思うなら俺様レベルに強くなれ」
「いや、無理だからそれ。そうなったら、ボクは人間やめているから」
かなり強力な魔法を使う俺はアラジンから見たら人間なのだろうか?真剣に思ったが聞く勇気はなかった。
お昼なので、アラジンたちと別れ、ログアウトした。




