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Elysion Online ~ドラゴニュートと召喚師~  作者: とんし
梅雨イベントと砂漠の奴隷解放イベント
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#309 赤い花の女の子

俺がリリーたちと宿屋で休んでいるとアーレイたちもやって来た。


「だー! なんだ! あのババアモンスター!」


「口が悪いよ。アーレイ君」


「イラつく気持ちはわかるけどね」


どうやらアーレイたちもバーバヤーガに出会ったらしいな。


「その様子だとそっちもバーバヤーガに出会ったんだな」


「タクト君も出会ったんだ?」


「あぁ。なぁ? そっちはバーバヤーガから攻撃を受けたか?」


「え? 受けてないよ。斬っても斬っても水の分身で悪口を言われただけかな?」


ふむ。やはりおかしいな。


「3人はバーバヤーガについて、知ってるか? 俺は全く知らなくてな」


「ゲームで出てくることはあるが詳しくは知らないな」


「あたしはさっぱり」


「私は知ってるよ! 確かロシアで登場する子供を攫って食べちゃう悪い魔女さんだったはずだよ」


典型的な悪い魔女だな。森に誘導したのはその為か?しかし最初に見せた水の竜巻…あんなことが出来るなら相当強い…いや、あの水の竜巻は攻撃ではなく、まるで自分の存在を俺たちに伝えているような…


「リリー、最初のバーバヤーガの魔法。危険予知しなかったよな?」


「ふぇ? うん。何も浮かばなかったよ。タクト」


ということはやはりあの攻撃は俺たちに攻撃するためのものじゃなかったわけだな。しかしシフォンの話とさっきのバーバヤーガがどうしても一致しない。


「俺はログアウトして、ちょっとバーバヤーガについて調べてみる。3人はポイントを稼いでくれ」


「いいの?」


「あぁ。このまま戦闘しても戦闘に集中出来ないからな。バーバヤーガについて、調べるだけならそこまで時間はかからないし、手分けしよう。その前に俺たちが戦ったモンスターの情報を教えるな」


俺が話すとアーレイが言う。


「ウーパールーパーデビルは被害者続出だろうな」


「水泳スキルなんてほとんどの人、覚えていないもんね」


「あたしたちが相手に出来るのはウォーターリーパーデビルまでね」


3人には是非ともポイント稼ぎを頑張ってもらいたいものだ。


というわけで俺は先にログアウトし、バーバヤーガについて調べる。シフォンの言う通り、スラブ民話の悪い魔女として書かれているが必ずしも悪い魔女ではないようだ。


色んな話を探っていると一つの民話を見付けた。


「鷹フィニストの羽根」


俺がこれに注目したのは最初の物語にヒロインが赤い花を欲しがるというエピソードから始まる物語だったからだ。


そう…アーレイが出会った女の子だ。更にこの話では三人のバーバヤーガが登場し、ヒロインに道具を渡している。


微妙に今回のイベントの主旨にかすっている気がする。なら行動あるのみだな。再度ログインするとアーレイたちがいた。


「お! 何かわかったか?」


「あぁ。とりあえずお前がぶつかった女の子のところに行くぞ」


「え? あ、あぁ」


道中俺が見付けた話のあらすじを三人に話す。


「そんな話があったんだね…」


「確かにこれを聞くと物語に似ている気がするわね。ただバーバヤーガは手助けしてないけど」


「まぁ、民話をそのまんま再現はしないと思うぜ? そもそも悪魔とか出てきてないしな」


アーレイにしては鋭いな…そう。この物語には悪魔は登場していない。意地悪な姉は出てくるけどな。問題は悪魔がどう関わってくるかだ。


そしてアーレイが見付けた女の子を発見する。アーレイが見付けたので、代表してアーレイが声をかける。


「へいへい。そこの彼女。俺たちとちょっと話さない?」


なぜナンパ口調なんだ?こいつは?


女の子は海斗の前で立ち止まり‐‐


「はぁ…」


ため息をして去っていった。


アーレイは固まり、地面に手を付いた。


「スルーされるより辛い…」


まぁ、キツかったな。


「って、女の子が行っちゃうよ! ま、待って! そこの赤い花を持っている女の子」


シフォンが声をかけると女の子が振り返った。


「私のことですか?」


「うん! 私たちは怪しい者じゃないよ」


それは怪しい者が言う台詞だ。女の子の視線が完全に怪しい人物を見る目に変わる。


ミランダの指示でシフォンに代わり、俺が対応する。


「俺たちは冒険者だ。ほら、ギルドカード」


俺がギルドカードを見せたことで女の子の疑いの視線がとりあえず無くなる。


「冒険者ギルドの方が私になんの話ですか?」


「実は君が持っているその赤い花について、聞きたくてね。その花は誰から貰ったんだ?」


「父からですが?」


民話通りだな。


「そっか…いつも赤い花を持ち歩いているのか?」


「…いえ。最近持ち歩くようにしています」


「どうして持ち歩くようにしたんだ?」


「それは…ほっといてください!」


女の子は走り出し、どこかに行ってしまった。ダメか~。


「フラれたな。タクト」


「ため息された奴に言われたくない」


とはいえこれで手詰まりになってしまった。


「あの…すみません」


声を掛けられ全員が振り返るとダンディーな人がいた。


「私はあの子の父です。少しあの子のことで相談をさせてくれませんか?」


どうやら詳しい話が聞けそうだ。良かった。


「父親に今までのやり取りを見られていたって、普通アウトよね」


ミランダの発言にダメージを受けた俺たちだった。


俺たちは赤い花の女の子の家に案内され、改めて父親から話を聞く。


「さて、どこから話したものか…皆さんはあの花について知っていますか?」


「いえ。何かあるんですか?」


本当は知っているが物語の流れをゼロから知りたい。


「はい。私はあの子がどうしても欲しいというあの花を探し、プレゼントしたのですが、あの花はとある国の王子が大好きな花で最近まで娘と王子が会っていたようなのですが、数日前から王子が現れなくなり、娘は赤い花を持ち歩くようになりました」


うむ。微妙に違う気がするな。ちょっと確認するか。


「その王子が来なくなったことに心当たりは無いですか? 例えば他の姉妹が何かしたとか」


「はは、私の娘は一人ですよ。それと理由については本当にわからないのです。だからこそ、あの娘もああすることしか出来ないのだと思います」


なるほど。ここが違うわけか…本来の話なら意地悪な姉たちが窓に細工をして、王子が来れなくするのだが、悪魔のことを考えると悪魔が王子に何かをした流れかな?


「あのままでは娘が不憫で…王子…フィニスト王子を探してくれませんか?」


インフォが来る。


『イベントクエスト『フィニスト王子を探し出せ』が発生しました。お受けしますか?』


イベントクエスト『フィニスト王子を探し出せ』:難易度E

報酬:イベントポイント

行方不明のフィニスト王子を探し出せ。


これでこのイベントは民話を参考に作られたもので確定したな。俺が三人に確認すると当然頷く。


「わかりました。俺たちでフィニスト王子を探してみます」


「ありがとうございます」


これでこのイベントの流れは掴んだ。後は攻略していくだけだ。

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動物保護をしている少年は異世界で虐げられている亜人を救います
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