#2 チュートリアル
翌日、ちょうど休みだったので、ゲーム開始と同時にログインした。
そして何もない部屋で早速キャラ作成をするわけだが、面倒なのでランダムを選択。そしてステータスと職業はどうやらランダムではなく、最初から決められていた。
俺の場合は召喚師だった。モンスターとか召喚するやつだな。別にゲーム攻略を優先するつもりはないし、のんびりモンスター達と世界を旅できるならそれはそれで夢があると思う。結果オーライというやつだ。
インフォメーションに従い、召喚師としてチュートリアルを受ける。
《Elysion Onlineにようこそ。このゲームはVRMMOです。皆さんに異世界を体験していただくために作られたゲームです》
最初の挨拶が終わり、そこから説明が始まる。
まずこのゲームは最初の町からスタートし、そこからフィールドに出て、モンスターと対戦する典型的なVRMMOだった。
《色々な国やNPCと関わりを持つことが出来ますので、積極的に関わりを持ってみてください。ただし過度な接触などが発生した場合は通報されますので、ご注意ください。またプレイヤー同士で発生した場合はGMコールでお知らせください。運営側で適切に対処いたします》
セクハラなどは禁止なわけだな。これは当然だろうな。俺には海斗が牢屋にぶち込まれる姿が見える。
まず戦闘についてだが、これについては自由だった。殴ろうが蹴ろうが現実でダメージが入る攻撃は全てダメージが入るらしい。ただしスキルを取得し、スキルを使ったほうがダメージは増すという話だ。
さらにダメージについて、落下ダメージや水中ダメージなどがある。
落下ダメージは家の二階から飛び降りたらダメージが発生するというものだ。高度により、ダメージが大きくなるという設定らしい。ペガサスに乗って空を飛んでいて、落馬したら、助からないってことかな。普通にトラウマレベルだと思うが、トラウマにならないようにブラックアウトするようになっているそうだ。
水中ダメージも同じだ。水中に潜っていると発生するダメージ。つまり水中で息が出来ないことを示しているダメージだな。ただし泳ぐためのスキルや魔法、装備、アイテムで軽減や無効化できるらしい。
次にスキルについてスキルの区分は大きく分けて六種類あるらしい。
基本スキル
行動に補正がかかるスキル。
例:素手、水泳など。
武技スキル
武技が使えるようになるスキル。
武器を普通に使用するだけでスキルレベルは上昇していく。
例:片手剣、杖など。
生産スキル
生産技能が使えるようになるスキル。
スキルを使用するだけでスキルレベルが上昇していく。
例:採取、伐採、採掘、鍛冶など。
魔法スキル
魔法が使えるようになるスキル。
スキルを使用するだけでスキルレベルが上昇していく。
例:火魔法、風魔法など。
限定スキル
職種などで限定に覚えるスキル。
スキルを使用するだけでスキルレベルが上昇していく。
例:召喚魔術、錬金術、忍術、闘気など。
特殊スキル
特殊な条件を満たして解放される上記区分に属さないスキル。
スキルを使用するだけでスキルレベルが上昇していく。
これらのスキルにはオートと手動で使用されるものがあるらしい。全部オートでよくないかと思ったがダメなんだろうな。特殊スキルに例がないのはネタバレになるからか?
そしてスキルの獲得にはスキルポイントという物を使うそうだ。最初は25ptあり、レベルアップやクエストの達成などで増やすことが出来るらしい。色々考えて消費しないと欲しいスキルがゲット出来ない可能性もあるということだな。
さらに解放されたスキルなら、なんでも覚えることが可能らしい。これにより、魔法使いでも剣で戦えたりするらしいがステータスの関係で厳しいところがあるだろう。
次は武技の説明。これは俗に言う武器を使って放つ必殺技だ。武技スキルに区分されるものはそれぞれ武技があるらしい。ただし、よく似ている武器で同じ武器技を使うことがあるそうだ。
武技の利点は技を放つ時間が少ないこと。魔力を消費することがないそうだ。時間については大技になるほど、時間がかかったりするそうだ。いきなり必殺技を撃たれたら、堪らないよな。
欠点はある程度決まった動きになるらしい。当然だな……何も知らない人が達人の技を使えたら変だからな。後は武技名を叫ばないといけないらしい。人によっては恥ずかしいかもしれない。
次は気になる魔法スキル。これには詠唱時間がある。弱い魔法は短く、強い魔法は長くなる。また詠唱中は動けず、攻撃を受けるとキャンセルさせる仕様らしい。
強力な反面、スキが多いスキルといった感じか。最初に魔法の種類は風、火、土、水、光、闇の6種類。これに加えて、杖の武器が無属性となるそうだ。
後はモンスターなどにも属性が存在しており、それぞれ弱点となる属性があるそうだ。内容は以下の通りである。
風は水に強い。
水は火に強い。
火は土に強い。
土は風に強い。
光と闇は両者弱点。
無属性は弱点無し。
この関係も大体ゲームのお決まりだな。この他にも魔法にはそれぞれ特徴もあるそうだ。例えば火魔法は攻撃魔法が多く、光魔法は回復などの補助、闇魔法は状態異常にするものが多いらしい。
次はクエストについてだ。このゲームは基本的にフィールドを解放して行きながら、様々なクエストを受けて、お金やアイテムなどの報酬を得ていく典型的なVRMMOという話だ。このクエストはキルドに所属し、受けることが出来るらしい。
クエストの種類は以下の五種類だ。
討伐クエスト……モンスターを討伐するクエスト。
依頼クエスト……モンスター討伐以外のクエスト。失敗しても受けなおすことが出来る。中には受けなおすことが出来ないクエストも存在している。
特殊クエスト……特殊な条件で発生するクエスト。強制的にクエストを受けさせられることがある。さらに受けなおすことが出来ないクエストも存在している。
運営クエスト……運営側が開催するクエスト。参加するかどうか選ぶことが出来る。
ワールドクエスト……運営クエストとは別で全プレイヤーが関わる大規模クエスト。強制参加。
なんか凄いクエストがあるな……ワールドクエストってなんだよ。
次にシステムの話だ。
まずは怯みシステム。クリティカル判定の攻撃、武技およびスキルの失敗などで怯むことになる。怯むと数秒動けなくなる。この怯みシステムがあるせいで武技やスキルは迂闊に使えないだろうな。
さらにチェインシステム。これは連続攻撃時に発生するダメージボーナスだ。攻撃が続けば続くほど、ダメージが加算されるらしい。前の怯みシステムを有効に使って、行うシステムだな。
次は食事システム。これは満腹メーターというものがあり、時間経過、戦闘、移動の際に減っていくものなんだそうだ。
これが無くなると空腹状態となり、ステータスのダウンと倒れて動けなくなるらしい。つまりフィールドで空腹になると終わりというわけだな。
これについては食事を摂ることで回復をすることが出来る。それと満腹でも食事を摂ることは出来るらしい。その場合にはリスクは無し。肥満を気にせず、食事を楽しめということだな。
重要なのは経験値システムについてだ。これはパーティー内で分配されるらしい。つまり数が多いほど、個人に貰える経験値は少なくなるようだ。さらに戦闘で死んだ際は経験値は入らず、スキルを使用した経験値のみ入るらしい。
「パーティーを組んでいた人が死んだ場合、その経験値はどうなるんだ?」
《生き残った人達に経験値が分配されます》
なるほど。死にすぎる人はずっと置いてけぼりを食らうわけか。なかなか厳しいルールだな。他にも生産をすると経験値が貰えるらしい。
次はフレンドシステムについてだ。これはフレンドコードというプレイヤーに与えられたコードを他のプレイヤーに教えて、メールやチャットが出来るようになるシステムのこと。自分達だけでは冒険は出来ないので、結構お世話になるシステムだろうな。
次がトラブルの解決法としてある決闘システムについてだ。決闘システムは事前に決闘の申請をして、決闘フィールドという決闘専用のフィールドで戦闘が出来るシステムだ。決闘フィールドには野生モンスターは侵入出来ないらしい。また決闘で相手を殺した場合は死亡扱いにはならないそうだ。
そして決闘とは別で用意されているPKシステム。PKはプレイヤーキラーの略称で要はプレイヤーを殺害する行為のこと。
利点は倒したプレイヤーのアイテムと所持金を貰えること。欠点はあまりしすぎると要注意人物として指名手配などされたりするそうだ。
因みに悪さをして衛兵NPCなどに捕まると牢屋に入れられ、出されるまで何も出来なくなるらしい。
さらにこのPK行為は中学生以下はすることもされることも禁止されていた。まぁ、これは当然だろうな。厳しいところだと大学生でも禁止なところがあるほどだ。
最後に死んだ時のペナルティ、通称デスペナについてだ。まずステータスが全て1となる。回復にはレベルに応じて、時間がかかるようになっているそうだ。さらに手持ちのアイテムがランダムに消滅する。レア度が高いものが無くなったら、凹みそうだ。
これでシステムの説明は終わりだ。
続いて召喚師の説明。
召喚師は召喚魔術を使用し、召喚獣を召喚する職業。召喚獣の召喚は一日一回。さらに召喚獣の召喚は失敗するケースがある。成功率は召喚魔術のスキルレベルに依存。初回は確定らしい。
しかし制限厳しくないか!? だって、ずっと失敗したら、ずっと一体ってこと? 流石にそれはないだろ……。何か救済のシステムがあるのかな?
そんなことを考えていたがさらに注意点があるらしい。
『一度召喚した召喚獣は召喚しなおすことが出来ません。また召喚出来る召喚獣の数にも制限が存在しますので、よく考えて召喚を行うようにしてください』
ランダムの召喚な上に制限あるの!? いや、無いと無限に召喚獣が増えるからそれはそれで困ることになりそうだけど……かなり心配になる。とりあえず召喚は制限をよく考えて、行えということだな。
召喚獣の種類は大きく分けて二種類。動物系召喚獣と亜人種の召喚獣だ。これについての説明はそれだけだった。例を出したらつまらないってことか。言っても良いのに。
召喚獣についてはそれぞれ性格が存在しているらしい。甘えんぼうがいたり、ぶっきらぼうがいたりするわけだ。基本的には召喚師の言うことを聞いてくれるそうだが、時には聞かないこともあるらしい。そういう時はちゃんと教えるように言われた。教育も召喚師の役目というわけだな。
さらに警告を受ける。
『召喚獣の虐待や嫌なことをすると召喚獣が逃げ出したり、暴走して襲いかかってきたりしますので、ご注意ください』
禁止にはしないんだな。俺は禁止にしたほうがいいと思ったが、そういうルールなら仕方がない。とりあえずする気はないからな。
それと召喚獣のデスペナについてだが、ステータスダウンは発生するが、アイテムのデスペナは発生しないらしい。それと召喚師が先に死ぬと召喚獣は自動的に消えることになっているそうだ。つまり俺が死んだ瞬間、敗北が確定するわけだな。
これで召喚師の説明は終了した。次はいよいよ召喚だ。