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Elysion Online ~ドラゴニュートと召喚師~  作者: とんし
復興と決闘イベント
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#280 タクトの仮説と暗黒召喚師の狙い

俺はみんなを見渡す。


「みんなに話がある。これは俺がずっと考えていた仮説なんだが、意見を聞かせて欲しい。今回の決闘にも関係がある話だ」


「何かしら? タクトの仮説は少し怖いんだけど…」


全員が頷く。怖いって酷くないか?


「内容はこのゲームの流れについてだ」


「シナリオってこと?」


メルがそういうがそういっていいのかわからない。とにかく話すことにした。


「まず俺たちは最初に若木の森でガーベラグロウに出会った。ガーベラグロウが守っていた封印がなんだったのかわからないけど、仮にドォルジナスが封印されていたとする」


「まぁ、可能性的には低いと思うけどね。それで?」


シルフィ姫様の犯人がドゥルジナスだから確かに可能性は低いだろう。しかし悪魔たちの関係は未だにわからないからわかりやすいように仮定にした。


「次に俺とルインさんがネビロスと出会った。そのあとはイベントでアスタロトと戦い、その報酬の中にガーベラグロウを倒しやすい武器があった」


「そのあとはガーベラグロウが倒されて、ゾンビが現れて、それを撃退したんだよね」


メルが話してくれた。そこでレッカが俺が言いたいことに気が付いた。


「なるほど…タクトはつまり運営イベントやワールドイベントは全部ゲームのシナリオの流れで作られていると言いたいんだね」


「そうだ」


すると烈風さんと雷電さんが話す。


「ちょっと待て。それは流石に言い過ぎなんじゃないか?」


「確かに流れはそうなっていますがガーベラグロウはプレイヤーが倒したんですよ?」


確かにそうだ。しかしレッカが言う。


「シナリオなんていくつもあるもんじゃない? いずれにしてもガーベラグロウの討伐がワールドイベントに設定されている以上、いつかはすることになったイベントだったことは間違いないよ」


そうなんだよな。まぁ、ネビロスが何か企む流れだったんだろう。


「話を戻すぞ。みんなには事前に話したが俺はイベントで魔法剣とイクスを使ったことで色々な国がフリーティアに圧力をかけている。その中にはライヒ帝国も入っていた」


ルインさんが慌てる。


「ちょ、ちょっと待って!? まさかタクト君…今回の決闘って」


「はい。俺はライヒ帝国が魔法剣、イクス狙いで起こしたことだと思ってます」


「それは流石に考えすぎよ」


ルインさんに呆れられる。だよな…俺も馬鹿らしい仮説だと思う。しかし俺もただの予感で言っているわけじゃない。


「ルインさん…なぜライヒ帝国で行われたイベントで闇落ち職が参加出来たと思いますか?」


「え? それは運営イベントだから誰でも参加出来るようにするのは当然よ?」


うん。みんなが平等に参加するのは当たり前かも知れない。しかし問題がある。


「指名手配されているのにですか? しかも暗黒召喚師は堂々とコロッセオの外で騒いでいましたよ?」


「あぁ。それなら運営イベント中は闇落ち職の指名手配が解除されたみたいだぞ」


アーレイが教えてくれる。俺も冒険者ギルドであいつらの指名手配がないことを確認した。だからこそあいつらはイベント中はライヒ帝国内で行動できた。となるとおかしな点が出て来る。


「暗黒召喚師の決闘の内容は明らかにおかしいと思わないか?」


『え?』


全員が何処かわからないようだ。


「まず一つ、場所がライヒ帝国であること。運営イベントが終わった後にライヒ帝国のコロッセオが使えるのはどう考えても変だ」


「確かにそうだね。普通なら指名手配されているんだから捕まっちゃうはず…」


シフォンの言う通り、捕まらないとおかしい。しかしコロッセオを指定しているということは今でも指名手配は解除されていることを意味している。そんなこと普通はありえない。


「更に向こうの要求も変だ。リリーの要求は変じゃないが魔法剣は明らかに変だ」


「別に変じゃないだろ? プレイヤーならみんなが欲しいぞ」


アーレイの言葉に一部が頷く。当然頷かない人がいる。与一さんたちやミライは上げない。使えないからだ。


「暗黒召喚師は素手で戦闘をしている。アロマの決闘で確認したが、恐らく召喚獣の能力を無効化する能力が関係している」


暗黒召喚師は天撃が放たれた時、自分が狙われたと思って、両手をかざした。あれがスキル発動の条件で間違いないだろう。


「恐らくは素手でスキルや召喚獣に触れないと無効化出来ないんだろう。逆に言うと素手じゃないと召喚獣に特攻などが発動しないと考えられる。これは推測になるけど、もしこれが事実なら武器を持っての戦闘は相性最悪になるだろうな」


「その推測だが、掲示板でも指摘されていたぞ。暗黒召喚師はみんな素手で戦闘しているのは間違いないみたいだ」


烈空さんの掲示板情報を教えてくれた。まだ推測だが、全員が武器を使わないなら、やはり怪しいだろう。


「そうだとしても報酬に選んでも変じゃないわよ。売ったりしたら、凄いお金になるわよ?」


「誰に売るんですかね? 普通のプレイヤーにですか? 俺は普通のプレイヤーよりお金を持っている人に心当たりがありますよ」


ルインさんを含めた数人が気が付く。


「まさかライヒ帝国に魔法剣を売るつもりってこと!?」


「正確にはライヒ帝国が暗黒召喚師に依頼をした感じだと思います。俺相手に戦って、魔法剣とイクスを手に入れて欲しい感じではないかと」


アーレイが言う。


「ちょっと待て。あいつらの狙いは魔法剣とリリーちゃんだろ?」


「イクスに勝てる自信が無いんだよ。決闘のルールでは武器の変更は禁止されているが既に装備されているものは禁止されていない。イクスは相手からしたら、どんな装備で来るかわからない敵だ。しかしそのイクスに勝てる可能性がある存在はいる」


「それがリリーちゃんなわけだね…リリーちゃんを奪った後にリリーちゃんを解放するためにタクト君は再び戦いを挑む。そこで暴走されたリリーちゃんとイクスちゃんを戦わせて、止めを自分が刺すつもりってこと?」


メルの推理に頷く。すると満月さんが話す。


「それは勝つ事が前提だぞ?」


「そうですね。だから必ず勝つ方法を取ってくると思います」


「そんな方法があるんですか?」


与一さんが聞いてくる。それがあるんだよな。最悪の邪道の手が。


「あります。スポーツの試合で最悪の勝ち手段…審判の不正です」


『ッ!?』


これには全員が絶句する。当然だろうな。


「これでPKではなく、わざわざライヒ帝国のコロッセオを指定してきた理由に説明がつきます。PKは俺から反撃をくらうリスクが伴うが審判の不正なら勝利は確定的だ。どちらを選ぶかと言われたら、後者だろう」


今して思えば、あのドゥルジナスの登場と発言は俺にヒントを与えるための演出だったんだろうな。この流れから話を予想するとガーベラグロウを倒して捕まった人たちを助けたのはドゥルジナスの可能性が高くなった。


もっと言えば、闇落ち職たちの後ろにはドゥルジナスがいる可能性が高くなったと言える。


疑問点があるとすれば、この場合ならイクスが相手でも勝てるということだ。こうなると暗黒召喚師は単純にリリーが欲しいだけに思えてきたな。


するとルークが言う。


「え!? それが事実なら本当に勝てませんよ!? どうするんですか!?」


ルークの言う通り、このままだと勝ち目がない。だからすることは決まっている。


「策には策で対抗するのが筋じゃないか?」


「何をするつもり?」


ルインさんが本当に恐る恐る聞いてくる。俺は堂々と言う。


「ライヒ帝国と取引をしようと思います」


『えぇー!?』


俺の発言に全員が驚いた。恐らくこれが俺が勝つための唯一の手。こちらにはイクスという最強の切り札がある。取引はこちらが有利だ。後はこちらがどんな提案をするかだ。


暗黒召喚師の召喚獣解放条件は決闘もしくはPKによる暗黒召喚師の撃破だ。俺が暗黒召喚師に勝てば召喚獣たちは解放されるだろう。しかしそれだけで終わらせるつもりは俺にはない。


喧嘩を売ったのはあいつらだ。そしてリリーたちを狙った。許せるはずがない。あいつらが知らないというのならもう一度、教えてやる。俺は大切なものをものを守るためならどんな手段でも使う人間だということを。


俺はみんなに作戦を伝えた結果、ドン引きされるが闇落ち職を放置するわけにも行かず、みんながそれぞれ協力して貰えることになった。

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