#276 美食の町ドノスと上級生産クエスト
翌日、海斗たちから恨まれたが俺しか行けないんじゃ、どうしようもない。料理をがんばって欲しい。
テストは終わった俺は早速美食の町ドノスに向かう。
メンバーは公正なじゃんけんの結果、イオン、リアン、和狐、ブラン、伊雪となった。まだ自制が効くメンバーでよかった。
『ううううう』
リリーたちが涙目でこちらを見ている…気持ちはわかるが全員は連れていけないし、諦めてもらおう。
冒険者ギルドでチケットを見せると馬車が到着する。早っ!?と思ったら、その理由に絶句する。冒険者ギルドの前には一頭の翼を持った白馬がいた。
間違いなくペガサスだ。まさかこんな形でネタバレを食らうとは予想外すぎる。ちなみに識別は出来なかった。いや、もう誰がどう見てもペガサスだから!
因みに馬車も王族が乗りそうな馬車だ。ペガサスにはあっているが俺たちにはあってない…場違い感、半端ない…俺たちは案内に従い馬車に乗るとペガサスが出発する。
道中、お菓子やジュースを貰い、イオンたちは幸せそうだ。行儀良く食べてて偉い。リリーたちなら絶対に取り合いになっている。
俺は馬車の外を見るが、下は雲だ。やはり情報は貰えないか…仕方ないので、お菓子のクッキーを食べる。
「うま!?」
これはアーモンドパウダーを使っているな…アーモンドの風味とバターの風味がマッチしていてサクサクの食感が堪らない…いい仕事してるぜ。
俺は現実でも食べたことがないレベルのお菓子を堪能し、美食の町ドノスに到着する。
美食の町ドノスは一言で言うと高層ビルとお菓子の家が混ざり合った町だった。イオンたちのテンションがマックスだ。
「タクトさんタクトさん! あの茶色い建物はなんですか?」
「チョコレートフォンデュファウンテンだな」
イオンが聞いてきたのは東京タワーレベルのチョコレートフォンデュファウンテンだ…現実だとまずありえない。因みに同じ建物でチーズ、抹茶、ミルク、ストロベリーがある。チョコも複数ある。恐らくチョコの種類が違うんだろうな。
「タクト先輩! あの舟はなんですか?」
「刺身の舟盛りだな」
リアンが気になったのは高級旅館の夕食で出てくるような刺身の舟盛りだ。ただし家規模のデカさだ。肝心の刺身が生に見えるんだが…大丈夫か?
「主! あの純白の城はなんですか?」
「ウェディングケーキだと思う」
ブランが見つけたのは規模がまさしくウェディングケーキの城だ。これも生に見える。せっかくのケーキが腐らないか心配だ。
「お父さん! あのサビクさんみたいなのはなんですか?」
「ソフトクリ-ム。って伊雪? 流石にサビクは違うだろ」
伊雪が見つけたのは家規模のソフトクリ-ム。これだけは現実でもこういう看板のお店とかありそうだと思った。
すると和狐が言う。
「タクトはんは本当に物知りどすな」
「それほどじゃないと思うが」
しかしケーキやソフトクリームは気になる。ケーキのスポンジは薄力粉、デコレーションにはホイップクリーム。ソフトクリームにはバニラエッセンス、生クリームが使われているはずだ。これは欲しい。
その後俺は招待して貰った料理ギルドに向かう。料理ギルドがどんなところか気になったがこの町で一番大きいビルだった。意外だと思ったがビルの中に入ると納得する。
ビルの中は料理場と食材置き場になっており、多くの料理人が料理をしていた。まるで料理人の専門学校だな。俺の勝手なイメージだが…
どうやら上に行くにはエレベーターを使うようだ。何気にゲーム初のエレベーターだったわけだが、当然イオンたちも初めてだ。初めてのエレベーターに驚き、抱きついてくるイオンたちに笑みを浮かべているとイオンたちに怒られた。
そして屋上に到着するとそこには俺が知っている人がいた。
「ようこそ。美食の町ドノスへ。三ツ星シェフのタクトシェフ。ファストの町での料理コンテスト以来ですね」
「覚えててくれたんですね。お久しぶりです。グラスシェフ」
彼はファストの町で料理コンテストをした際の審査員の一人だった人で、美食の町ドノスの五ツ星シェフと言っていた人だ。この人が登場するのは当然だな。
「もちろんですよ。よく頑張りましたね。こうしてあなたを美食の町ドノスへ招待できたことは大変喜ばしく思います」
五ツ星シェフにそう言われるとやはり照れるな。
「しかしここは言わば料理人を始め、生産職たちにとって、新たなスタートラインとなる場所です」
「どういうことでしょうか?」
「ふふ。ここでは様々な食材がありますが、それを買うことができるのはその試練を突破できたものだけです。そして料理人としてはシェフの昇格試験がいつでも受けれる場所なんですよ」
試練はクエストのことだろうな。言い方からすると難易度が高そうだ。そして昇格試験はそのままランクアップすることができる試験だな。
「どうしますか? 今すぐにでもチャレンジすることも出来ますよ?」
俺の答えは決まっている。
「申し訳ありませんがもう少し腕を上げてからチャレンジしたく思います」
俺はまだ四ツ星シェフの領域に到達していない。オリジナル料理を完成させ、自分が求める四ツ星シェフに到達したと思ったときにチャレンジしたい。
「ふふ。あの時のことからしっかり学んでいるようですね。では、何かドノスで困ったことがあれは私に聞いてください。大抵はここにいますので」
「ありがとうございます」
俺たちはその後、ドノス観光する。しかしほとんどの料理を食べることが出来ない拷問を受ける。理由が料理に使われている食材が俺たちが知らないものが含まれているからだ。
グラスシェフが言っていたスタートラインという意味がよーくわかったよ。これらの料理を食べるためにはクエストを受けるしかないわけだ。
早速俺がピックアップしたクエストがこれだ。
依頼クエスト『田んぼの稲を死守せよ』:難易度A
報酬:米の苗
稲を食べに来るモンスターから稲を守って欲しい。
依頼クエスト『小麦畑を死守せよ』:難易度A
報酬:小麦の苗
小麦を食べに来るモンスターから小麦を守って欲しい。
依頼クエスト『大豆畑を死守せよ』:難易度A
報酬:大豆の苗
大豆を食べに来るモンスターから大豆を守って欲しい。
まずはこの3つは外すことは出来ないだろう。難易度Aは既にクリア済みだ。そうゾンビイベントだ。無理だね!
あれ規模の難易度で田んぼや畑なんてどんなモンスターが来るのか怖すぎるわ!
他にも気になったものがある。
依頼クエスト『コーヒー豆を収穫せよ』:難易度B
報酬:コーヒー豆の苗木
死の森にあるコーヒー豆を収穫してきて欲しい。
依頼クエスト『茶畑を死守せよ』:難易度B
報酬:チャノキの苗
チャノキの葉を狙うモンスターから茶畑を守って欲しい。
依頼クエスト『カカオの種子を収穫せよ』:難易度B
報酬:カカオの苗木
死の森にあるカカオの木からカカオの種子を収穫してきて欲しい。
依頼クエスト『バニラを収穫せよ』:難易度B
報酬:バニラの苗木
氷姫の森にあるバニラを収穫してきて欲しい。
俺はコーヒー派だ。しかしミントと難易度が違いすぎだろ。なんで死の森なんて名づけられている場所まで言って収穫しないといけないんだ?
そしてバニラは絶対寒いところに収穫しに行かないと駄目なんだろうが、たぶんそんなところには咲かないだろ…バニラアイスが欲しかったら、極寒地帯に行けと言われているだけな気がする。
因みにチャノキはお茶の葉の植物名。紅茶にも使われていたがチャノキの変種アッサムチャが作られ、他にも変種が各地で作られ、そのまま作られた地域名が紅茶の名前になった。
食べ物はこんなところだ。他にも野菜や果物、木や草などあったがそれはまたの機会だな。
他にも気になったものがある。それがこれ。
依頼クエスト『貿易船を護衛せよ』:難易度A
報酬:ナイロン
貿易船を護衛せよ。
依頼クエスト『運搬馬車を護衛せよ』:難易度A
報酬:ポリエステル
荷物を積んだ運搬馬車を護衛せよ。
言わずと知れた衣服の素材だ。そう…決してスク水の素材ではない。
「? どうかしましたか? タクトさん」
「い、いや。なんでもない…とりあえずクエストは見たし、ワープゲートにも登録できたから一旦戻ろうか」
『はーい…』
イオンたちは詰まらなさそうだ。まぁ、楽しみの食事がクッキーだけだったから、仕方ないかもな。それにしてもスク水が頭を過ぎり、イオンを見てしまうとは…しっかりしないといけないな。
明日もテストだ。しっかりテスト勉強してから寝よう。




