#269 イベント状況と食用油
翌日、学校では海斗たちがそわそわしていた。今日は予選最終日だ。学校が終わった後、順位ががた落ちしていないか気が気じゃないみたいだ。
イベントしている人は大変だね。
因みに現状ランクは変動しまくっているようだ。明日観戦する海斗に注目されている人を教えて貰う。
「まず個人戦だが、誠吾の予想通り忍者が猛威を振るってる。特に抜け忍って闇落ち職の忍者が独走している」
忍者の闇落ち職か…強そうだな。というか普通に闇落ち職が参加できるんだ。
「個人戦は闇落ち職同士や対闇落ち職の潰し合いになってる。通常の職種も純粋に強い人が集まってるな」
「ということは皆厳しそうなのか?」
「あぁ。個人戦は無理だからタッグに狙いを定めてる。タッグなら闇落ち職は参加するのが厳しいから、狙い目になってるんだよ」
なるほどね。あれ?
「闇落ち職で厳しいってことは参加できる闇落ち職がいるのか?」
「あぁ。知らないのか…暗黒召喚師だよ。奪った召喚獣を使って、タッグに出てる。もしイベントを見に来るならリリーちゃんたちには見させないほうがいいぞ? 召喚師や猛獣使いの掲示板であまりの酷さに大バッシングの嵐だ」
そんなに酷いのか…リリーたちは見たがるだろうが連れていかないほうがいいな。
「悪いな…教えて貰って」
「いいって。俺は美少女NPCを愛する男だからな! まぁ、お礼というならカンニングペーパーを作ってくれ」
最悪だな。しかし仕方無いな。
「わかった。伝説の秘密道具をやるよ」
「お! マジで!?」
海斗に数字が書かれた鉛筆をあげる。
「鉛筆サイコロじゃねーか! 俺も既に持ってるからいらねーよ!」
まさかこれに頼る人間がいるとは予想外だ。俺は偶然文房具店で目に留まり、つい衝動買いしてしまったものなのだが…
「新品だぞ?」
「見ればわかるわ! 値段ぐらい剥がせよ!」
やれやれ。贅沢な海斗には困ったものだ。
学校が終わり、食材を買い込みログインする。
今日はみんなで昨日収穫した野菜で色々する。最初は獣魔ギルドでリスト召喚。狙いはインプだ。中魔石をセットする。
「リスト召喚!」
……魔方陣無反応。失敗あるんだったね。ふぅ…まぁ、焦らなくても大丈夫さ。
農耕ギルドに向かい、専用の道具を買う。
買ったのはパルプ製造機、絞り機、蒸留樽、搾油機、発酵樽だ。
他に醸造樽もあったが俺は買えなかった。発酵樽は料理スキルの発酵と違いが発生するのか、気になったから買ってみた。違いがないなら買うことは無くなるな。
では、まずはサトウキビから始めよう。
まずはサトウキビを絞り機にセットする。そしてリリーがどうしてもやりたいということでハンドルを回す。
すると砂糖の原料になる汁が出てくる。
「タクト! これすごい! もっとやらせて!」
リリーが絞っていく中、砂糖を作った時と同じようにろ過装置で不純物を取り除いていく。そして砂糖の原液が出来るのだが、実はそれとは別で甘さが無くなった汁が残っている。おばあちゃんの本によると廃糖蜜と呼ばれるそうだが、前回気にせず捨ててしまったこちらに用がある。もちろん折角なので、砂糖も作るけどね。
この廃糖蜜に発酵スキルを使用する。
「発酵!」
効果がないがこれを蒸留樽に入れておくとバイオエタノールが作れるらしい。出来上がるのに3日かかるそうだ。気長に待つとしよう。
その後、リリーが大量に作ったサトウキビの絞りかすをパルプ製造機にセットする。そしてボタンを押すと白い植物繊維が作られた。鑑定してみる。
バガスパルプ:レア4 素材アイテム 品質D-
サイトキビ絞りかすで作成されたパルプ。紙の素材として使用される。
説明の通り紙の材料になるそうだ。紙と言えばネビロスが使っていた魔道書の素材だ。まさかサトウキビの絞りかすから作られるとは予想外すぎる。
ネットで調べたら、松でも作れるそうだ。デスペナから解放されたら、作ってみよう。これを大量に作り、保管していく。
他にもラム酒が作れるそうだが、お酒は未成年だから俺はゲーム規定で飲むことも作ることも出来ない。これは仕方ないだろうな。唯一料理に使う日本酒、ワイン、みりんは許可されているがこれは料理に使うときだけだ。飲むことは当然出来ない。
まぁ、お酒はルインさんたちに任せよう。
次はアブラナ。搾油機に菜種を入れて、手動で絞っていく。搾り取れたのがこちら。
菜種油:レア4 料理 品質D-
菜種から搾り取った食用油。独特の風味が特徴で炒め物から揚げ物まで様々な料理で使われる。
初の食用油が誕生した!これで一気に料理の幅が広がったことになる。
後は菜花として料理に使うだけだな。
最後はトウモロコシ。
これもサトウキビと同じ方法でバイオエタノールを作る。違いが出るのか楽しみだ。そしてサトウキビと同じように粉末化を使うとこれが出来た。
コーン飼料:レア度4 料理 品質D-
トウモロコシを粉末化し、飼料にしたもの。通常の飼料より人気がある。
ちょっとだけコーンスープの素を期待してたがやはり甘くないな。
コーン飼料をリキュールたちにあげてみたら、効果大だった。他の馬の視線が怖かったが、それぞれご主人様から貰って欲しい。
後はトウモロコシといえばやはりお酒かな。ビールやウイスキーで有名だ。これはルインさんたちにお任せだな。
では、早速菜種油の使い心地を試している。ワピチの鹿肉とユウナさんから貰ったキャベツを使って野菜炒めを作ってみた。
ニンジンとキャベツの野菜炒め:レア度3 料理 品質D+
効果:満腹度40%回復、2時間魔力アップ(中)
ニンジンとキャベツを菜種油で炒め、塩で味付けした料理。
ワピチの焼肉:レア度5 料理 品質D+
効果:満腹度50%回復、2時間筋力アップ(大)
ワピチの鹿肉を菜種油で焼き、魚醤で味付けした料理。
レア度や効果に変化は無さそうだが、品質は上がっていそうだな。味見しているとやはり油のあるなしでは食材の火の通りが全然違う。ただ塩で味付けした野菜炒めがこんなに美味しいとは、最初の頃を思い出すとようやくここまで来たかという気持ちになる。
後、野菜で気になるのは米、麦、大豆だな。今のところクエストはないがサトウキビを超えるクエストだろうな。
その後、時間から見てリープリッヒはリリーたちに任せ、俺はサビクとぷよ助と共にフリーティア近郊の浄化作業をしているとグールと出会う。
他のプレイヤーやNPCも浄化作業をしているからフリーティアから距離が開いたせいで出現したっぽいな。来たなら仕方がない。日頃のバトルが出来ない鬱憤を晴らせて貰おう!
ついでにレベル上げのため、新戦力を召喚する。セフォネとアステルだ。
「ふははは! 我が名はセフォネ! 魔王セフォネなのじゃ!」
テンション上がっているな。まぁ、初陣だし、仕方ないかもな。
「ところで我が主よ。夜ではないので、心配なのじゃが?」
まぁ、セフォネを使うなら夜だからな。
「大丈夫だろ。敵があれだし」
敵をみたセフォネが固まる。
「まさかあんなものを吸血しろとか言わぬよな?」
どうやらなんでも血を吸いたいとは思わないらしい。まぁ、グールは確かに噛みつきたくはないモンスターだな。
「これも魔王になるための試練だ。頑張れ」
「うぐ…魔王の試練と言うとは…し、しかし今回は我が手を下すまでもないのじゃ!」
まぁ、実際問題グール相手ならサビクとぷよ助で十分だろ。というわけでサビクとぷよ助に暴れて貰う。アステルも魔法攻撃で援護してくれた。それを見て、セフォネもやる気を出した。
「苦戦しているから手伝ってやるのじゃ。いでよ! 我が下僕よ! 影召喚!」
セフォネの影から丸っこい体に蝙蝠の羽を生やした謎生物が現れた。ノワの影召喚とは違うんだな。
「行け! 我が下僕よ!」
謎生物はグールに噛み付くと消える。え?攻撃とか受けたように見えなかったぞ?
「うむ! よくやったのじゃ!」
満足そうにしているという事はあれが仕様なんだな。
「もしかしなくてもだが、一回攻撃すると消えるのか?」
「そうじゃが?」
…召喚する意味あるのか?
「ぬ! 今、我が下僕を馬鹿にしたな! 言っておくがあやつは吾が外の世界を見るのに必須の下僕だったんじゃぞ!」
「ん? ということはさっきの奴と視覚を共有できるのか?」
「出来るぞ。因みに音は無理じゃし、自由自在に動かせるわけではない」
なるほど。シルフィ姫様の情報とかどうやって、見たか謎だったがこれを使ったんだな。しかし自由自在に動かせないだと?
「さっき動かしていたわけじゃないのか?」
「吾は下僕に命じただけじゃ。後はあやつが勝手に動く」
そこはちびノワと似ているのかな?ということはだ。シルフィ姫様のことを知ったのは偶然だったわけか…まぁ、そんな偶然そうそうないと思うけどな。
「とりあえずナイトメアを使ってみてくれ」
「任せるのじゃ!」
セフォネがナイトメアを使うとグールの一体が寝る。そして苦しみだし、生命力が減っていく。暫くするとグールが起きる。これがナイトメアか。悪夢にうなされる魔法ってことなんだろうな。残念ながらグールを倒せる火力はないみたいだ。
まぁ、ここで自分から吸血しろとは言わないでおいた。俺もセフォネの立場なら絶対に嫌だからな。
次々湧き出るグールを見ていて気付いたが、こいつら浄化されたところには踏み込んでこないようだ。つまり浄化された場所から攻撃すれば安全に仕留めることが出来る。
俺が戦闘を観察していると突如謎の風が発生する。どうやらグラトニーが来やがったみたいだ。今回はちゃんと作戦を考えたから前回のようには行かないぞ。俺はミールを召喚する。
「ミール! グラトニーを落とし穴に落としてくれ」
「わかりました!」
「サビク、ぷよ助! 撤退だ! 引くぞ!」
作戦といっても現状戦えないから安全に撤退する作戦だ。
俺の指示でサビクがぷよ助を回収して、戻ってくる。俺たちは逃げ出すが吸い寄せられる。相変わらずえげつないが今回は吸い込まれないぞ!
突如吸い寄せられる風が止む。ミールがうまくやってくれたみたいだ。流石に落とし穴に落ちては遠い地面にいる俺たちを吸い込むことは出来ないだろう。
後はフリーティアに逃げ込むだけだ。
「…なんとも格好悪いと思うのじゃが?」
「そういうことはグラトニーに吸い込まれてから言ってくれ。言っとくが相当の恐怖体験だぞ」
「う、うむ。こういう戦いも必要じゃな!」
ご理解して貰って何よりだ。俺も出来れば格好良く決めたいが現状こうするしかないんだよな。俺たちはなんとかフリーティアに逃げ込んだが、ミールとセフォネを使った結果、戦闘したことがリリーたちにバレた。
しかもミールとセフォネが抜けてお店が大変だったらしい。それは悪いことをしたな。ちょっと反省。
俺は生産作業を終えた後、テスト勉強のため、ログアウトした。
名前 イオン ドラゴニュート・エンベロープLv13
生命力 63
魔力 106
筋力 60
防御力 33
俊敏性 138
器用値 109
スキル
二刀流Lv27 槍Lv4 投擲操作Lv8 飛行Lv9 遊泳行動Lv12
氷刃Lv14 連撃Lv5 水魔法Lv16 蒼波動Lv3 竜技Lv8
竜化Lv7 海竜の加護Lv5 料理Lv12→Lv15
名前 セチア ハイエルフLv12
生命力 53
魔力 143
筋力 47
防御力 36
俊敏性 39
器用値 143
スキル
杖Lv14 魔法弓Lv19 鷹の目Lv9 射撃Lv11 木工Lv17
採取Lv24→Lv28 調薬Lv12 刻印Lv5 宝石魔術Lv2 宝石細工Lv2
風魔法Lv7 火魔法Lv17 水魔法Lv24 土魔法Lv13 闇魔法Lv1
神聖魔法Lv6 雷魔法Lv3 爆魔法Lv2 木魔法Lv16 氷魔法Lv5
樹魔法Lv9 ハイエルフの知識Lv22 精霊召喚Lv7 料理Lv12→Lv15
名前 恋火 シュラインビーストLv10
生命力 77
魔力 95
筋力 95
防御力 48
俊敏性 109
器用値 75
スキル
刀Lv18 二刀流Lv1 風刃Lv4 炎魔法Lv11 邪炎Lv12 忌火Lv21
気配察知Lv21 危険予知Lv20 霊力Lv2 幻術Lv2 神道魔術Lv5
見切りLv6 俊足Lv7 妖術Lv2 血醒Lv6 料理Lv12→Lv15 神降ろしLv1
獣化Lv2
名前 和狐 シュラインビーストLv7
生命力 78
魔力 108
筋力 48
防御力 40
俊敏性 100
器用値 102
スキル
扇Lv10 舞踊Lv10 投擲操作Lv10 邪炎Lv10 忌火Lv13 気配察知Lv13
危険察知Lv13 封印魔術Lv12 幻術Lv10 炎魔法Lv6 神道魔術Lv16
妖術Lv10 裁縫Lv14 革細工Lv12 料理Lv17→Lv19 血醒Lv5 神降ろしLv1 獣化Lv2
名前 セフォネ ヴァンパイアLv1→Lv6
生命力 18→20
魔力 20→25
筋力 14→15
防御力 10→12
俊敏性 10→12
器用値 20→25
スキル
吸血Lv10 夜目Lv10→Lv12 影潜伏Lv10 影召喚Lv10 隠密Lv10
暗黒魔法Lv1→Lv2 夜不死Lv10
名前 サビク ユルルングルLv3
生命力 79
魔力 44
筋力 58
防御力 42
俊敏性 64
器用値 48
スキル
噛みつきLv21 巻き付きLv14 薙ぎ払いLv3→Lv7 鉄壁Lv3
猛毒Lv19 熱探知Lv13 水中行動Lv1 雷魔法Lv3→Lv5 水魔法Lv3→Lv5
土移動Lv4 雨乞いLv8 水ブレスLv3→Lv5 蘇生Lv2
名前 ロコモコ ハピネスシーフLv8
生命力 104
魔力 69
筋力 11
防御力 89
俊敏性 48
器用値 40
スキル
飛行Lv6 体当たりLv3 危険察知Lv11 逃げ足Lv3 育毛Lv14→Lv15
採乳Lv14→Lv15 耐寒Lv1 幸福Lv8 祝福Lv8 守護Lv4
光魔法Lv3 天の加護Lv10
名前 アラネア 土蜘蛛Lv7
生命力 46
魔力 55
筋力 52
防御力 28
俊敏性 34
器用値 86
スキル
噛み付きLv6 格闘Lv1 粘着糸Lv18→Lv19 柔糸Lv13→Lv14
鋼糸Lv25→Lv26 罠設置Lv20 糸察知Lv6 毒ブレスLv3
土潜伏Lv3 投擲Lv4 土魔法Lv1 呪いLv1 妖術Lv1
名前 ぷよ助 クリーンスライムLv3
生命力 70
魔力 0
筋力 0
防御力 91
俊敏性 36
器用値 42
スキル
捕食Lv21→Lv24 防御Lv10 物理無効Lv12→Lv15 変形Lv24→Lv25
衝撃吸収Lv11 分裂Lv13 再生Lv19 挑発Lv3→Lv5 腐蝕Lv3→Lv5
水中行動Lv9 極寒ボディLv19→Lv20 浄化Lv15→Lv17 水属性無効Lv1
火属性無効Lv3
名前 エアリー ズラトロクLv8
生命力 84
魔力 50
筋力 52
防御力 32
俊敏性 65
器用値 45
スキル
角擊Lv18 登攀Lv4 危険察知Lv14 跳躍Lv10
疾風Lv15 木魔法Lv3 光魔法Lv12 採乳Lv11→Lv12
守護Lv5 祝福Lv6 蘇生Lv1 狂戦士化Lv2
名前 アステル フェアリーLv1→Lv3
生命力 20→22
魔力 35→39
筋力 15
防御力 20
俊敏性 30→34
器用値 22→26
スキル
飛行Lv1→Lv3 竪琴Lv1 舞踊Lv1 魅了鱗粉Lv1 風魔法Lv1→Lv3
木魔法Lv1→Lv3 幻術Lv1