#253 侯爵豪邸の地下
翌日、のんびり朝食を食べる。だって、急いでも意味ないもん。
ゲームにログインするとみんないなかった。ですよね~。
さて、俺もMPポーションを買って、浄化作業をするか…するとイクスが俺に忘れていたことを教えてくれた。
「マスター、この家の地下を確認していませんがどうしますか?」
確かに上ばかり確認して、下はまだだったな。というわけで確認しにいく。
地下に続く螺旋階段を降りていく。雰囲気出てるな。
「モンスターとか出て来そうですね」
「イオンちゃん、怖いならリリーに抱き付いても」
「結構です」
バッサリだな。そんな会話をしていると目的地に着いた。俺は暗くて見えないが見えている恋火、リビナ、和狐が警戒する。
「タクトお兄ちゃん…」
「ここ…やばいよ…」
「何かの儀式をしてはった所みたいどす」
儀式?恋火たちに火を付けて貰うとそこには血の魔方陣が書かれていた…おいおい、勘弁してくれ。
「ふぅ…通報だな」
というわけでサラ姫様に通報する。暫くするとブラスさんが部下を連れて来てくれた。
「すみません…どんなものか分からなくて」
「何も触らず、呼んでくれたのは正しい判断です。では、確認させて貰いますね」
「お願いします」
ブラスさんたちを案内する。
「これは…見たことがない魔方陣ですね…誰か知っている者はいますか?」
「見たことないですね…召喚魔方陣に似ていますが」
「悪魔が使う魔方陣にも似ているぞ…ほら、こことか」
色々意見を交換するが結果は謎。というわけで一番詳しそうな人を呼ぶ。その人は呼んだ瞬間に来た。
「僕、参上! やっと仕事から解放された~」
カインさんが猫姿で登場した。
「これも仕事では?」
「書類仕事じゃないならウェルカムさ! さぁ、ロマン溢れる謎の魔方陣に案内してくれたまえ!」
テンション上がってるな。しかしこの人以上に頼れる人がいないのは、事実だ。
カインさんに魔方陣を見てもらうと即答する。
「これは意味がない魔方陣だね!」
『えぇ〜!?』
ここまで期待させて、そんなオチ!?ふざけんな!
「かなり昔の魔方陣なのは間違いないよ。多分召喚魔方陣が完成する前のものだね。召喚魔方陣に似ているのも、悪魔が使う物に似てるのがその証拠だよ」
「そんなものがどうしてここに?」
「さぁ? ここの侯爵家は建国したときから続いていた家だけど、これは建国前のものだからね。案外、価値があるものと思って王様に黙って独占していたんじゃない?」
うーわー…色々がっかりすぎる。
「じゃあ、消したりとかして大丈夫なんですね?」
「大丈夫だけど、一応昔のものだから価値はあるよ?」
マジで!?じゃあ、地面ごと取り替えか…ん?ちょっと待てよ…それっておかしくないか?
「あの…そんな大昔にこんな石の床とかあったんですか?」
「え? それはあったはずだよ」
「こんな地下も作る技術もですか?」
「流石にそれはないね。この地下を作ったのは侯爵だよ」
なら決まりだな。
「この魔方陣は多分ブラフですよ」
『え!?』
「ど、どういうことかな?」
カインさんも興奮気味だ。
「だって、この床と周りの作りは同じですよ?」
ブラスさんが納得する。
「確かにそうですね…つまりこの魔方陣はわざと昔のものに偽造したものってことですね」
じゃあ、なんのためにそんなブラフをしたのかだな。
「…怪しいのは床の下ですかね?」
「だと思います」
「許可してくれるなら僕がなんとかしよう。どうする?」
やる気満々な癖に…ここまで来て、引き下がる訳にはいかないさ。
「お願いします」
「よしきた!」
カインさんが猫の姿のまま、前足からレーザーを出し、床を切断する。そして霊力で床を浮かす。するとそこにはボロボロの木の扉があった。ビンゴだな。
みんなでテンション上がっているとカインさんとブラスさんに通信が来たみたいだ。
「ネフィ!? ま、待ってくれ! 今、良いところなんだよ!」
「姫様!? すみません…調査は難航してまして…いえ、魔方陣の調査だったのですが…え!? 姫様が来るほどのものでは! 大丈夫です。お任せください!」
二人とも必死だな。
「大丈夫ですか? 忙しいなら俺たちだけで」
「大丈夫! だから一緒に行こう!」
「大丈夫です! ですから一緒に行きましょう!」
必死だな。まぁ、ここでおあずけはないよな…あ、みんなにメッセージ送って置かないとな。
『ホームの地下に謎の扉を発見した。探検に出発する』
これでよし。では探検に行こうか。