#239 消えた死霊の獣と魔法剣誕生
翌日、海斗によると帝国の城壁が大量のアンデッドモンスターの襲撃を受け、崩壊。
帝国は国民を城の地下に避難させたが、町中が腐敗ゾンビに占拠されてしまったらしい。
しかし、城壁を突破された後、ドラウグルビーストに魔方陣が出現し、姿を消したらしい。それはヴェインリーフでも同じだそうだ。
ドラウグルビーストが居なくなったことで現在進行形で腐敗ゾンビの掃討作戦中なんだそうだ。
尤もプレイヤーは腐蝕で装備をやられ、ほとんど役立たずな有り様らしい。
「はぁ…今の俺…姫委員長にレベル抜かれているんだぜ…」
「そういえば姫委員長たちも参加してたのか…どうだったんだ?」
「あたしたちはスカルエレファント討伐に参加してたわよ?」
「うん! たくさんのプレイヤーと一緒にだけどね」
それでもスカルエレファントを倒せたせいか自信がついたように見えるな。対してこいつは…
「俺もフリーティアに行かせろよ…そしたらレベルが上がってうはうはパラダイスだったのに…」
掲示板では今までのフリーティアでの戦闘が楽々レベルアップイベントと呼ばれているらしい。
何せ参加するだけでレベルが上がるのだ。そう言われても仕方無い。ただ検証してる人たちによると経験値の分配に差があるのは確実なんだそうだ。
イベントに参加するだけして何もしない人とイベントに率先して参加してる人と差が付くのは当然だろうな。
まぁ、海斗からしたら、何もしていない人に経験値が貰えること自体が不満みたいだ。
海斗の愚痴を聞きながら、学校を終えた俺はスーパーで買い物を済ます。今日と明日がイベントのピークだ。しっかりご飯を食べて、気合いを入れないとな。
買い物を済ませた俺はゲームにログインする。
そして下に降りるとセチアとヘーパイストスが待っていた。
「「完成しました!」」
遂に魔法剣が完成した。
俺はヘーパイストスの鍛治場に向かうとそこには一本の深紅の刃の片手剣があった。
鍔のデザインは竜の翼になっており、中央にはセチアが作ったスカーレットオーブが有る。柄の部分は黒く、刃にはエルフ文字の刻印が刻まれている。
これがセチアとヘーパイストスが作った魔法剣か…早速鑑定してみると名前がない。あれ?
「名前がないみたいだが?」
「その剣はタクトさんの剣ですから名付けるならタクトさんが適任だとセチアさんと決めたんです」
くっ…俺は今、猛烈に感動している!
しかし剣の名前か…西洋剣のデザインだから日本語は変だな。ならば名前はこれがいいかな。
「スカーレットリング…なんてどうだ?」
俺がそう言うと魔法剣から火の粉が溢れだし、周囲を明るく照らした。
「この魔法剣がタクト様の名前は気に入ったようですね」
「ですね。タクトさん、手に持ってあげて下さい」
「あぁ」
俺が手に持つと予想外に軽く剣を振りやすい。鑑定してみるとその正体がわかった。
スカーレットリング:レア度8 魔法剣 品質B
重さ:35 耐久値:100 攻撃力:40
魔法剣効果:火属性アップ(超)、詠唱破棄
宝玉効果:灼熱、魔法再使用時間短縮(大)、宝玉解放
刻印効果:重量軽減
ルビーの宝玉を組み込んだ炎の魔法剣。他の火の魔法剣を遥かに凌ぐ性能を有している。
剣の鍔にはクラン『リープリング』のエンブレムが焼入れされている。
なんじゃこりゃ…そりゃ凄いものが出来上がるとは思っていたがこれはめちゃくちゃだ。
今までの武器とレベルが違い過ぎるぞ。というか杖いらないんじゃないか?
「それは場合によりますね。スカーレットリングの場合ですとスピード勝負、火属性系統の魔法なら杖より強くなります。ただ他の属性の魔法なら杖のほうが火力が出るはずです」
火属性特化だもんな…そう言うことになるのか。とはいえ強力であることに変わりはない。
何はともあれだ。
「これからよろしくな!! 相棒」
俺の言葉にスカーレットリングが火の粉を出して答えてくれる。
それじゃあ、相棒の性能を試しに行こうかと思ったがセチアが止める。
「杖なども完成しました。確認してみてください」
すげー…本当に全部完成してる。
松の杖:レア度6 杖 品質C-
重さ:30 耐久値:70 攻撃力:30
追加效果:火属性魔法アップ(大)
松で作られた杖。火属性魔法と相性がいいことで知られている。
楓の杖::レア度6 杖 品質C-
重さ:25 耐久値:65 攻撃力:25
追加效果:女性限定魔法攻撃力アップ(大)
楓で作られた杖。女性と相性がいい杖で甘い香りと美しいブラウンで人気がある。
楓の弓:レア度6 弓 品質C-
重さ:25 耐久値:65
追加效果:女性限定矢の攻撃力アップ(大)
楓で作られた弓。女性と相性がいい弓で甘い香りと美しいブラウンで人気がある。
松の矢:レア度6 矢 品質C-
重さ:15 耐久値:40 攻撃力:30
追加効果:火矢適正(大)
松で作られた弓矢。燃えやすいため、主に火矢として使われる。
楓のリラ:レア度6 竪琴 品質C-
重さ:20 耐久値:65
追加效果:支援効果アップ(大)
楓で作られた手に持つことが出来る小型の竪琴。ハープより音量が出ない難点があるが、何処でも持ち運べるのが利点。
どれも効果がでかいな。楓は女性適性の素材なんだな…そう言われると納得してしまうから不思議だ。
「凄いな…よく全部完成させたな」
「魔法剣は作り方を説明しているだけでしたし、お店の手伝いをせずに、ずっと作っていましたから」
「それだけ頑張ってくれてくれたんだろう? ありがとうな。セチア」
「ふふ」
セチアの頭を撫でてあげると嬉しそうに笑う。
「ヘーパイストスも魔法剣、ありがとうな。大切に使わせて貰うよ」
「はい!」
そして一階に戻ると子供になっている和狐がロコモコのローブを抱きしめ堪能していた。
「…和狐?」
和狐の尻尾がビクッと跳ね昔のロボットのように首をこちらに向ける。
「タ、タクトはん…えーっと…これはその…」
お姉ちゃんの和狐にもこういう一面があるんだな。それだけロコモコのウールが反則なんだろう。
「ロコモコさんのローブが完成しましたので、着てみてください!」
誤魔化そうと必死だな。俺はそれに乗ってあげる。
「ありがとう。大切に使わせて貰うよ」
「はい!」
まずは鑑定してみる。
ハピネスシープのローブ:レア度7 重さ10 耐久値80 防御力40
追加效果:耐寒(極)、状態異常耐性(大)、氷魔法軽減(大)、天の加護
幸福羊のウールで作られたローブ。状態異常に強く、天の加護により装備者に神聖属性を付与する。
着心地も合わさり、装備者を幸福にする。
状態異常耐性ってことは全部対象ってことか?強すぎだろ…まぁ、早速着てみると前から和狐、後ろからセチアに抱きつかれた。な、なんだ!?これがロコモコローブの効果か!?
「…いつも恋火たちが最初に堪能してズルいどす」
「今日は私たちが最初に堪能させてくださいませ」
いや、そう言うことなら何も言えないが…リリーたちがそれを発見して、俺に飛び付いてきてごちゃごちゃになった。
決戦間近なのにここは平和だな。しかしいつまでも堪能してる訳にはいかない。せっかく作ってくれた装備だテストしないわけにはいかないな!
それと切り札は多いほうがいい。ということでドワーフの里でイクスの武器素材を買い込み、バトルシップに向かった。
名前 セチア ハイエルフLv9
生命力 52
魔力 134
筋力 46
防御力 36
俊敏性 38
器用値 134
スキル
杖Lv14 魔法弓Lv16 鷹の目Lv8 射撃Lv8 木工Lv12→Lv16
採取Lv22 調薬Lv12 刻印Lv4→Lv5 宝石魔術Lv2 宝石細工Lv2 風魔法Lv7
火魔法Lv16 水魔法Lv24 土魔法Lv13 闇魔法Lv1 神聖魔法Lv6
雷魔法Lv1 爆魔法Lv2 木魔法Lv16 氷魔法Lv3 樹魔法Lv9
ハイエルフの知識Lv17→Lv18 精霊召喚Lv6 料理Lv8
名前 和狐 シュラインビーストLv3
生命力 76
魔力 96
筋力 46
防御力 40
俊敏性 92
器用値 94
スキル
扇Lv10 舞踊Lv10 投擲操作Lv10 邪炎Lv10 忌火Lv12
気配察知Lv12 危険察知Lv12 封印魔術Lv12 幻術Lv10 炎魔法Lv6
神道魔術Lv15 妖術Lv10 裁縫Lv12→Lv14 革細工Lv12 料理Lv14 血醒Lv5
神降ろしLv1 獣化Lv2