#235 アンデッド軍団来襲とスカルオルトロス討伐戦
夕飯とお風呂を済まし、いざ決戦時!ゲームにログインする。
まずは料理から。称号で料理バフが高い、俺が作る。
作った料理は牛挽肉を使った定番調理にチャレンジした。それがこれだ!
クリーム煮込みハンバーグ:レア6 料理 品質C-
効果:満腹度60%回復、2時間筋力アップ(大)、2時間魔力アップ(大)
牛肉のハンバーグをたくさん野菜と共に煮詰めたクリームソースで煮詰めた料理。
ドヤ顔をしているがまだパン粉や臭みを消すための赤ワインがないので、この料理は完成してはいない。それでも効果や出来栄えはなかなかだ。その結果…
『だら〜』
カウンターでリリーたちが大変なことになっている。イオンのような魚派、セチアのような野菜派関係なく同じような有様だ。
そしてプレイヤーも例外じゃない。
『私たちの分は?』
「あるわけないだろ…俺の召喚獣がどれだけいると思っているんだ?」
しかも大食いの!まぁ、冒険者ギルドに届けた牛肉を使っていたら、少しは残ったかも…
『美味しい〜〜〜!!!』
残るはずがないか…リリーたちの食べっぷりを見てそう思った。
それからセチアとの約束の野菜ジュースを作った。
にんじんとトマトの野菜ドリンク:レア3 料理 品質E-
効果:満腹度10%回復、1時間魔力アップ(中)
にんじんとトマトの野菜ドリンク。
わざわざバトルシップの食堂にあったジューサーで作成した。味見で飲んだが、現実と大差なかった。時間がなかったから完全に手抜きだが、それでもセチアは喜んで飲んでいる。
グレイたちにもあげていると突然フリーティアの上空を警戒していたホークマンの騎士が敵襲を知らせる。ゾンビはまだ見えていないはずだぞ!?
「敵襲! ディープレッド荒野方面からモンスターの大群がこちらに迫ってきてます!」
このタイミングは明らかにおかしいな…そして俺たちにとって決して忘れられない存在の名前が上がる。
「先頭にはスカルオルトロスを確認! 物凄い速度でフリーティアに迫ってきています!」
他にもスカルエレファントなども確認されたが最大の難敵はスカルオルトロスだろう。
「タクト」
「ガウ」
リリーとグレイが俺を見る。あぁ、分かってるよ。スカルオルトロスは俺たちの獲物だ!
「俺たちはスカルオルトロスを仕留めます」
「タクト君たちだけで大丈夫なの?」
ルインさんたちは俺たちが一度、負けていることを知っている。
「大丈夫です。今回は外での戦闘ですから」
狭い洞窟からノコノコ出てきてくれたなら喜んで全員でボコボコにしてやる。
「みんなはスカルエレファントを優先して倒してくれ。たぶんあれが一番厄介なはずだからな」
メル、ルインさんが賛同する。
「確かに城壁に突進でもされたら、城壁が壊れちゃうかも知れないね。というかそれを狙っていると思うな」
「でしょうね…ならとりあえず私たちはスカルエレファントを優先して倒すわよ!」
プレイヤーたちがそれぞれ動いて行く。指揮はルインさんに丸投げしよう。フリーティアの騎士たちも参加してくれるだろうが掲示板情報でNPCが倒したモンスターの経験値は俺たちに反映されないことがわかった。
なのでなるべく自力で仕留める必要がある。というわけで俺はルークたちを呼ぶ。
「なんですか? タクトさん。ま、まさか僕たちにスカルオルトロスと戦えとか言うつもりじゃ」
「そんなこと言うわけないだろ? あれは俺たちの獲物だ」
「で、ですよね!」
「だけど、みんなで最低スカルエレファント二体は倒せ」
召喚師たちが固まる。
『無理無理無理!!』
「全員で挑むんだぞ? それぐらい出来ないでどうするよ。それにサンドアントとの戦いでも結局第三進化になっていなかっただろ?」
『うぐ…』
実はあの戦いでもルークたちは第三進化になっていなかったのだ。ある意味、今日がラストチャンスと言える。なので頑張って貰いたいものだ。
じゃあ、俺たちは宿敵に会いに行きますか。
俺はヒクスに乗り、槍を構える。城壁にいたサラ姫様にお願いしておこう。
「スカルオルトロスですが、俺たちに任せてくれませんか?」
「え!? それは構いませんが、かなりの強敵ですよ」
「知っています。一度完敗している相手ですから。だからこそ俺たちが仕留めたいんです」
「なるほど…そういうわけならわかりました。ですがスカルオルトロスは城壁を超えてしまう可能性がある獣です。こちらに近づくなら攻撃しなくてはいけません」
「わかりました。絶対に近づけさせません」
リリーたちと共にスカルオルトロス討伐に向かった。
目視でスカルオルトロスを捉える。まずは俺からの挨拶だ!
「パイルバンカー!」
スカルオルトロスの二つあるうちの一つの顔の眉間にパイルバンカーが命中する。だが、相変わらず硬いな。でもスカルオルトロスの気を引くことには成功した。
スカルオルトロスが火弾を乱射してくるなか、ヒクスは全てを躱し、スカルオルトロスと距離を取る。そこで俺は改めてレギオン召喚をする。リリー、イオン、セチア、恋火、イクス、ノワ、リビナ、リアン、ブラン、ミール、伊雪、グレイ、虎徹、コノハ、チェス、白夜、ゲイル、優牙、黒鉄、サビク、リキュール、ぷよ助、ロコモコ、エアリー、狐子、ルーナ、ヒクス、ストラ、ディアンで挑む。
黒鉄が挑発し、スカルオルトロスがこちらに向かってくる。このメンバーに恐れず挑んでくるこいつは間違いなく強敵だ。だからこそ、こちらも容赦はしない。
俺たちに向けてスカルオルトロスが火ブレスを使ってくる。今の俺たちにそんなものは通用しないぞ!
『ぷよ助!』
ぷよ助の形が変形し、壁になる。ぷよ助に火属性攻撃は通用しないのだよ。そしてぷよ助には挑発の効果もある。
スカルオルトロスがぷよ助に噛み付きにかかるが物理攻撃もぷよ助には通用しない。進化したぷよ助はガルムやスカルオルトロスの天敵と言えた。
しかしスカルオルトロスも火属性だけではないらしい。紫の魔法陣が発生する。闇魔法か…させると思うのか?
「ルーンマジック!」
魔法を封じられて、スカルオルトロスは俺を睨みつける。おーおー、ひょっとして、怒ってるのか?でも攻撃できないだろう?それに俺を睨み付ける余裕があると思っているのか?
黒鉄必殺のロケットパンチが炸裂して、スカルオルトロスは怯む。ぶっ飛ばないだけ大したやつだ。しかし、これで詰みだな。
地中を移動していたサビクが現れ、スカルオルトロスを締め付ける。更にストラが上空からディアンも参戦して完璧に身体を拘束し、噛み付く。
それでも前足で抵抗しようとするスカルオルトロスにグレイたちも足に噛み付く、動きを完全に封じる。ロコモコの天の加護がスカルオルトロスを中心に発動しているので、効果大だ。
「えーっと…タクトさん? 私たちの出番がないのですが…」
イオンがそう言っている。その疑問は尤もだ。だけどね召喚したのにはちゃんとした理由がある。まず今回は集団戦、つまりレイド戦だ。全員でモンスターを倒した分だけ経験値が分配されるらしい。つまり召喚獣をたくさん出したほうが召喚師にとってはお得らしいのだ。
ファストの町、ドラウグルビーストとの戦いで俺は大損していたことになる。というわけで今回は遠慮は無用なのだよ。それにだ。
「今ならスカルオルトロスでスキル上げし放題だろう?」
全員絶句。イクスとノワ、リビナが言う。
「流石です。マスター」
「…ん。楽は大事」
「タクトのそういうえげつないところ、ボクは結構好きだよ」
理解してくれてありがとう。というわけでみんなで遠距離攻撃でスキルレベルをあげて、俺は30レベルが近い、火魔法と水魔法を中心に攻撃し、他のみんなも水属性を中心に攻撃する。セチアはアローレイン取得のために水属性の魔法弓を使用して貰っている。
しかしこの状態でも悪あがきをするスカルオルトロスは凄いな。猛火を発動され、グレイたちがやけどにされそうになるがロコモコとエアリーの祝福がこれを防ぐ。間に合わなかったら、俺がリフレッシュで回復させ、ブランが回復を担当した。
それを認識して、力ずくで俺に顔を向け、咆哮を放って来たが、ぷよ助ガード。咆哮が衝撃波なら衝撃吸収があるぷよ助にはこれも通用しない。
スカルオルトロスの最大の敗因は進化したぷよ助がいる俺たちと戦ったことだ。ぷよ助が進化していなかったら、アクアウォールで防ぐかセチアの水の精霊召喚を使うことになっていたからな。
止めはやはりリリーとグレイに任せた。
「光波動!」
「ガァアア!!」
光の波動と衝撃波の直撃を受けて、スカルオルトロスは倒された。おや、こいつは解体出来るみたいだ。一応解体してみよう。
暗性石:レア度6 素材アイテム 品質D+
暗黒属性を宿した石。武器の素材や魔石に使われる。
これは闇性石の上のやつだな。いいもの手に入れたぜ。さて、ルインさんに連絡をする。
「タクトです。スカルオルトロスを倒しました」
『一方的にいじめていたの間違いな気がするけど…お疲れ様。早速で悪いけど、情報にない敵がいるの。そいつらを頼めるかしら?』
「名前はなんですか?」
『スカルリノケロスとスカルディアーよ』
ディアーは可愛いなどにも使われる言葉だがこの場合は動物の意味だろうな。
「サイと鹿ですか?」
『えぇ。スカルリノケロスは硬くて魔法も矢も効果ない上に重戦士でも止めれなかったわ。ディアーは挑発スキルが通用しないみたいで、しかも速いのよ』
「わかりました。仕留めに向かいます」
俺は戦力を分けることにした。
「リリー、ノワ、ブラン、ミール、虎徹、黒鉄、サビク、ロコモコ、ぷよ助、エアリー、ルーナ、ストラ、ディアンでスカルリノケロスを仕留めてくれ」
「任せてタクト!」
「…ん。足止めは任せて」
「では、私は邪魔してくるゴーストたちの相手をしますね。黒鉄さんとぷよ助さんはロコモコさんとルーナさんの護衛をお願いします」
ブランの指示に黒鉄とぷよ助が頷く。そしてミールが補足する。
「私も落とし穴で時間稼ぎをしますね。虎徹さん、サビクさん、エアリーさん、ストラさん、ディアンさんはリリーお姉様と一緒にスカルリノケロスの相手をお願いします」
「ガウ」
『シャー!』
「あ、あれ?」
流石のリリーも自分の立場が完全に崩壊していることに気が付く。しかし直感で戦うリリーに指揮は厳しい。
「タ、タクト〜!」
「はいはい。相手はアンデッドで硬い敵だ。リリー、お前がみんなを引っ張るんだぞ?」
「う、うん! 任せて、タクト! みんな、行くよ〜!」
リリーが元気よくスカルリノケロスに向かっていった。その様子にイオンが不安そうだ。
「だ、大丈夫でしょうか? タクトさん」
「フォローもしっかりしているし、戦闘ならリリーに任せて大丈夫だ。俺たちは足が速いスカルディアーを仕留めるぞ。リキュールにはイオンとセチア。ヒクスには俺とイクスが乗る。恋火はグレイ、狐子と一緒にリアンの護衛を頼む」
「はい! 安心して歌ってください! リアンちゃん」
「ありがとう。恋火ちゃん。グレイさんたちもよろしくお願いします」
恋火は本当にいい子だと思う。グレイたちも護衛に嫌な顔しないからな。本当にみんな優秀だ。
「敵は足が速い。伊雪、コノハ、チェス、優牙。お前たちの風雪、羽投擲、氷結ブレスが鍵だ。スカルディアーの動きを止めてくれ」
「任せてください!」
「ホー!」
「「ガウ!」」
「リビナとゲイルは俺に白夜はイオンたちについてくれ。行くぞ!」
『おぉ!』
俺たちはそれぞれの獲物に向かっていった。
レベルアップは次回に持ち越しです。