#234 自然界の掃除屋とシルフィ姫様との密談
では、ぷよ助の進化先を見てみよう。
クリーンスライム
なんだ?この綺麗好きそうなスライムは…説明を見てみよう。
クリーンスライム…自然界の掃除屋と呼ばれているスライム。どんな汚染も浄化し、あらゆるものを捕食する力を持っている。スライム研究者の中にはこのスライムが存在していなければ世界はとうに滅びていたというものがいる。
なんていいスライムなんだ!現実世界に是非来てもらいたいスライムだな!多分水質汚染や土壌汚染、ゴミ問題をこのスライムは解消してくれる存在なのだろう。俺はこんないいスライムを知らないぞ!
ただ気になる一文があるとするならあらゆるものを捕食…それって服も対象だよね?
ふ…とにかく進化だな。
名前 ぷよ助 ブルースライムLv16→クリーンスライムLv1
生命力 46→66
魔力 0
筋力 0
防御力 67→87
俊敏性 25→35
器用値 25→40
スキル
捕食Lv19 防御Lv7 物理無効Lv10 変形Lv16 衝撃吸収Lv9
分裂Lv4 再生Lv9 挑発Lv1 腐蝕Lv1 水中行動Lv9 極寒ボディLv17
浄化Lv1 水属性無効Lv1 火属性無効Lv1
ぷよ助は色が変化しただけだ。なんというかさっき自然界の掃除屋と見たせいかぷよ助の色が宇宙から見た地球の青色のような気がする。
ぷよ助はより凶悪性が増したな。水属性、火属性が通用しなくなったのはでかい。そして浄化は恐らく毒などを直してしまうスキルだろう。どこまでが対象かはわからないが土壌汚染などを直せるなら腐蝕も直せそうだ。
俺は腐敗ゾンビ軍団とクリーンスライム軍団で是非戦わせてみたいと思ったが無いものをねだっても仕方がない。
俺が注目したのは挑発スキル…スライムに強制的に攻撃するってえげつないことこの上ないと思うんだが…特にリリーたちにとって、悪夢としか言えないだろう。
ぷよ助の進化が終わったので、リリーたちが待っている解体をするとしよう。結果がこちら。
牛乳:レア3 食材 品質D
ホルスタインから取れる乳汁。直接飲んでも美味しいが色々な加工製品を作ることが出来る。
牛肉:レア3 食材 品質D
牛のお肉。キメが粗く、赤身が多いのが特徴。また脂肪分が少なく、コクがあり濃厚なお肉。
まず牛乳だが、これはもう乳製品ならほぼなんでも作れると言っていいだろう。牛乳のゲットはそれだけ大きいものだ。しかもホルスタインのせいか一体の解体で大きい牛乳缶で手に入った。乳製品作り放題だな。
そして牛肉だが、説明から判断すると恐らく、恐らく部位はネックだな。残念ながらステーキにはあまり合わない部位だが、ひき肉として使われる部位でもある。牛挽肉はかなりでかいぞ。それにこのお肉は煮込み料理に使われるお肉でもある。料理の幅がだいぶ増えたと言っていいだろう。
リリーがリベンジしたがっていたが、サラ姫様から連絡が来る。夜のことで打ち合わせがしたいそうだ。まぁ、当然気にはなるよな。
というわけで一旦帰るか…無念だ。
「リタ」
リターンを唱えようとした草むらから黒毛の牛が現れた。
「モ!?」
それに気付いた黒毛の牛は草むらに飛び込む。逃がすかぁあああ!
「ブリッツ!」
稲妻が黒牛を捕らえ、草むらに落下する。ふ…仕留めたぜ。
しかし解体しようと探すがどこにも黒牛の姿がない。恋火に聞いてもどこにもいないらしい。う…嘘だろ…
「当たったよな?」
「「「はい」」」
これは酷い…恐らく草むらに逃げ込まれたらアウトなんだろう。あれを仕留めるにはノワやミールを連れてこないと無理だな…
改めてリターンで帰り、牛肉と牛乳を冒険者ギルドに届けると凄く感謝された。そのまま、サラ姫様のところに向い、改めて作戦の説明をする。
そして説明が終わると俺はシルフィ姫様に呼び出された。二人で話したいそうです。ドキドキしている俺はまだまだ修行が足りないな。
「召喚師のタクトです」
「どうぞ、お入りになってください」
「失礼いたします」
俺は中に入り、シルフィ姫様のところまで行く。
「大変な作戦中に呼び出してしまい、すみません」
「大丈夫です。後はやるだけですから。それに重要な話なんですよね?」
「はい。話はシンクロバーストについてです」
えぇ!?もしかしてシルフィ姫様から説明されるのか!?
「その様子ではやはり情愛の召喚師になられたのですね」
「はい。あのシンクロバーストはまだ使ってないのですが」
「面白半分で使えるものじゃないですからそれが正解ですよ」
まぁ、チート技は確定しているようなものだからな。俺から聞いてみる。
「シンクロバーストについて、何かご存知なのですか?」
「はい。こんな身体では無かったら、私も使えますから」
へぇ…そうなんだ。ちょっと待て…ということはシルフィ姫様は情愛の召喚師になったってことか?
「ふふ。お揃いですね」
くそ!可愛いし、なぜか滅茶苦茶嬉しいぞ!
「シンクロバーストは召喚師の切り札であり、我が国を象徴する技なんです」
「フリーティアを?」
「はい。建国王であるアラン・フリーティアも情愛の召喚師の道を選び、人間と召喚獣が互いに手を取り合う平和な国を作りたいという強い思いからフリーティアを建国したと言われています」
何気に初めて建国王の名前を聞いたな。
「そしてシンクロバーストは召喚師と召喚獣の絆があって、初めて使える技なのです」
俺はシルフィ姫様からシンクロバーストの説明を受けた。それを聞いて俺は絶句。シンクロバーストはとんでもないチート技だった。そしてそれに伴う代償も存在していた。
「使われるおつもりですね?」
「はい…使わずに負けるくらいなら俺は使う道を選びます。それに最近頑張ってばかりでしたから…そういう代償なら有効に使わせて貰いますよ」
「ふふ。タクト様は面白い人ですね。サラやアンリが懐いた理由がわかった気がします。案外シンクロバーストの代償にはそういう意味があるのかも知れませんね」
シルフィ姫様と俺の召喚獣の現状とスキル、そして今後の密談を楽しんだ俺は早めにログアウトする。いよいよ、ゾンビたちとの前哨戦が始まる。