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Elysion Online ~ドラゴニュートと召喚師~  作者: とんし
ゾンビ襲撃
220/1718

#207 ファストの町撤退戦と腐敗ゾンビの恐怖

とりあえず敵を全滅させたことで冒険者ギルドのNPCたちが冷静になり、対応するために行動を開始した。まず各ギルドには緊急時のためにギルド同士転移できる魔法陣が設置されているらしい。


しかしどうやら正常に機能しないみたいだ。そこで懐かしい人たちが来る。


「モンスター共を見て、あたしのところの転移魔法陣を確認したが封じられてたよ」


「獣魔ギルドもダメでした」


あ、錬金ギルドのお婆ちゃんと獣魔ギルドのハリセンのお兄さんだ。


「恐らくアンデッドどもが地脈を乱しているのが原因だね」


「地脈ですか?」


「ん? お前さんは確かサーベルタイガーを街中で連れ回していた召喚師かい」


覚えていてくれたことは嬉しいがその覚えられ方は嫌だ!


「お久しぶりですね。スカルバットたちを全滅させたのはあなたでしたか…少し見ない間に随分成長しましたね」


「頼りになる仲間のお陰ですよ」


『えへへ(ふふ)〜』


はっきり言って和狐がいなかったら、間違いなく被害が出ていたな。


「それで地脈というのはなんですか?」


「マナの流れのことさ。ここらのマナの流れはガーベラグロウが管理していたからガーベラグロウがいなくなったことでここらの魔法陣は使えなくなったみたいだね。魔力を使う魔法ならまだ大丈夫みたいだけどね」


つまり召喚魔術や錬金術が使えないわけか…ならもう時間がないな。


「俺がフリーティアに繋がるワープゲートを開きます」


二人が感心する。


「この町にいたから使えるとは思ったけどね…」


「あなたの驚異的な成長に驚いてばかりです。しかしそれが現状最善の策でしょうね」


「あたしは先にワープさせてもらうよ。フリーティアにこの危機を伝えないといけないからね。グラン国王陛下なら他国にこの危機を知らせてくれるだろうからね」


「わかりました。では彼の護衛は私が引き受けます」


お!まさかハリセンのお兄さんの戦闘が見れるのか?めっちゃ楽しみなんだけど。そしてフリーティアから来たみんなも俺の護衛に参加してくれる。しかし問題が発生する。NPCたちだ。


「この町を捨てるしかないのか?」


「俺たちは戦うぜ!」


「馬鹿言うんじゃないよ!」


お婆ちゃんが一喝する。


「あんたらはさっきのモンスター相手に一体何ができたね? ビビって泣き叫ぶことしかできなかっただろう? 相手はこの街を簡単に飲み込むほどのゾンビたちの群れだ。勝ち目がないことくらい理解出来ないのかい」


「お婆ちゃん、この町、捨てちゃうの?」


子供がお婆ちゃんに聞いてくる。


「生き残るためなら仕方ないのさ…でも生きていればこの町に帰って来れるさ」


お婆ちゃんの言葉に町人たちが賛同する。


「そうだな…生きていればやり直せるよな」


「そうよ! この町を立て直すためにも今は生きましょう!」


『おぉ!』


「わかったら、早く逃げるんだよ。坊や頼んだよ」


俺は坊やか…まぁ、仕方ないか。


「はい! ワープゲート!」


俺がワープゲートを開くと次々町人が避難を開始する。その中には魚屋のおじさんや料理バトルをした貴族もいた。お前、亜人嫌いじゃなかったのか?


すると錬金術師のNPCが俺に何かを持って来てくれる。


「MPポーションです! 使ってください!」


あ、いや。確かに魔力が持たないとは思うけどさ。


リリーとセチア、ルインさんたちが祈っている。君たちにはエントラストを使う優しさはないのか!


救いの神は誰もいなかった。結果俺は現在、くそまずポーションを30飲むという拷問を受けている。おかしいな?いいことしているはずなのに…なんで拷問受けてるの?


「ゾ、ゾンビどもがすぐそばまで来てるぞ!」


「いよいよ来ましたか…では私も戦わせて貰います。来なさい! カーバンクル!」


お!初見のモンスターだ!現れたのは額と尻尾に宝石がある。イタチみたいな獣タイプの召喚獣だった。


そのカーバンクルはお兄さんを無視して、俺のところに来るとローブの匂いを嗅ぐと俺の肩まで登ってきて、体を摺り寄せてくる。可愛いぞ。


「私の召喚獣を取らないでください!」


怒られた…そんなことを言われても。


「きっとタクトはんから美味しい料理の匂いがしたのが原因やと思います」


まぁ、匂い嗅いだから間違いないんだろうな。だとすると俺はこう答えるしかない。


「餌なら後であげるから今は戦ってくれ」


俺がそう言うとカーバンクルは耳をたて、下に降りるとシャドーボクシングを始めた。


「未だかつてないほど、やる気を出しているんですが…」


「タクトさんはNPCの召喚獣まで餌付けしてしまうんですね!」


チロル! 確かにそんな風になってるけど、わざわざ言わなくていいだろう!


すると目視でゾンビが確認できるところまで来た。


「避難が終わるまで死守するわよ!」


『おぉ!』


すると真っ先にゾンビに襲いかかった子がいた。花火ちゃんだ。


「一番槍はあたしが貰ったわ! 擬似竜化!」


お!擬似竜化覚えたのか。赤い尻尾と赤い翼が追加される。


「消し飛べぇええ! 竜技! ドラゴンクロー!」


花火ちゃんの手に宿ったドラゴンが爪がゾンビたちに振り下ろされ、消し飛ぶ。流石の威力だな。


「ふふん! どうよ! タクマ」


「凄いぞ! 花火!」


確かに凄い…相手がアンデッドでなければな。復活したゾンビが花火ちゃんの足を掴む。


「な!? 何、こいつら!? ヒ!? 気持ち悪い! あたしに触るな! 猛火!」


花火ちゃんに触っていたゾンビどもは燃えるが、一向に離さない。というか群がってる。そして花火ちゃんに異変が起きた。急に倒れてしまった。


「リリー!」


「うん!」


「接近戦はダメです!」


何!?お兄さんが説明してくれる。


「腐敗ゾンビは触れたもの全てを腐蝕させてきます。服も武器も体もです! カーバンクル!」


「キュイ!」


カーバンクルが空を飛ぶと宝石が光り、レーザーが放たれ、花火ちゃんに集まっていたゾンビが全滅した。カーバンクル、強いな。


「花火!」


タクマが近寄ろうとするがお兄さんが止める。


「いけません! 腐敗ゾンビは倒しても腐蝕臭をばらまき周囲の物を腐らせます!」


「そんな…でも花火が!」


「召喚石に戻すんです! そしてすぐに召喚し直して治療してください!」


「わ、分かりました!」


花火ちゃんの治療はミライが担当したから大丈夫だろう。それにしても厄介極まりないゾンビだな。


「遠距離攻撃は大丈夫なんですよね?」


「はい。腐蝕は武器や防具の耐久値を減らしてきますので、魔法が基本です」


「ブレスで防げませんか?」


「ご存知だと思いますが一度しか防げませんね」


ふむ、ブレスで防げるならたぶん大丈夫だな。


「先程は和狐の祓いを使ったのですが有効でしょうか?」


「効果はあります。しかし仕留めるには時間がかかるでしょうね…腐敗ゾンビは通常のゾンビより強いですから」


なら同じ戦法はダメってことだな。


「リリー、敵を頼めるか? 聖竜の加護があるならたぶん大丈夫だ」


「任せて! タクト!」


「他のみんなは遠距離攻撃だ! 和狐、町の通路の一つを結界で封じられるか?」


「大通りは無理どす。小道なら1つ防げると思います」


「ならやってくれ。通路一つ封じるだけでだいぶ違うはずだ」


「お任せどす」


冒険者ギルドに繋がる道はまず目の前を通っている大通りが1つ。冒険者ギルドの前に続いている小道が2つだ。まず大通りを左右2箇所を止めなければならない。小道は1つ和狐が結界で防いでくれた。後をどうするかだ。


考えているとセチアが提案してくる。


「タクト様、ウッドブレスなら木の周りにいる人たちを腐蝕から守れますが、どうしますか?」


完全に忘れていた。そんな魔法があったな。俺が満月さんたちを見ると頭を下げてくる。そうなるよな。


「やってくれ。設置場所は大通りの真ん中だ」


「分かりました」


俺が指示を出すとセチアが大通りの真ん中にブレスを常時発動させる木が出現する。そして満月さんたちも動く。


「この木の周囲に敵を引き付けるぞ!」


『おぉ!』


レッカとルインさんも指示を出す。


「魔法は動きを封じるものやゾンビを吹き飛ばす魔法を中心に! 倒せなくていいんだ!」


『わ、わかりました!』


「神官は一列に並んで浄化魔法でゾンビを倒して」


『は、はい!』


プレイヤーが総出で大通りのゾンビを迎え撃つ。


そしてもう一つの大通りのゾンビたちにリリーが大技を出す。


「グランドスラッシュ!」


リリーが大剣をフルスイングするとゾンビどもがまとめて消し飛ぶ。腐蝕が放たれるがやはり聖竜の加護があるリリーには効果が無かった。


「この道はリリーが通さないよ!」


本当にリリーは頼もしくなったな。この町にいると本当に実感する。


「彼女だけではきついでしょう。私とカーバンクルが援護に回ります。残りの小道をお願いします」


となるとイクスはエネルギーの心配があるからイクスを代えて俺は恋火を呼び出す。


「分かりました。恋火、ブラン。二人で小道のゾンビを倒してくれ。恋火は忌火だ。ブランは天輪だ。二人とも、接近戦はするなよ? 武器が壊されるぞ」


「わ、分かりました!」


「承知しました」


俺たちの時間稼ぎが始まった。まず目が付くのは、リリーとカーバンクルコンビ。時間稼ぎどころかゾンビを全滅させそうだ。


カーバンクルの宝石から放たれるレーザーがゾンビどもを根こそぎ倒していく。ゾンビどもがカーバンクルに接近しようとしてもリリーが消し飛ばす。前衛後衛のいいコンビだな。


一方で苦戦しているのはプレイヤーたちだ。神官の浄化魔法には範囲魔法もあるみたいだが、それを使えるのはイベントでアンデッドが出た遺跡にずっと住み着いて浄化魔法を使っていた一部の神官のみという話だ。


そしてその範囲魔法も広域じゃない。何とか魔法使いたちがゾンビどもを足止めしているが、それは一時凌ぎにしかならない。最大の問題は近接戦が封じられたことだ。満月さんたちが非常にやりにくそうにしている。それでも引かないあたりは流石だと思う。


みんなの頑張りでなんとか避難は完了した。


「避難完了です!」


「わかったわ! 全員、ワープゲートへ!」


「リリー! こっちの敵を光波動で消し飛ばしてくれ!」


「任せて! タクト!」


だが、ハリセンのお兄さんがそれを止める。


「それは私たちがやりましょう。カーバンクル! シトリンノヴァです!」


「キュキュイ!」


カーバンクルの尻尾が黄色の宝石に変化するとその宝石から暖かい黄色い光が放たれ、光を浴びたゾンビどもが消え去っていく。俺は確信した。カーバンクルは第四進化以上の存在だな。


「私たちがあんなに苦労したのに…」


「なんか虚しくなってきた…」


メルとリカがそう言うが、生き残った腐敗ゾンビが沸いてくる。どうやら小道にいたゾンビには光が届かなかったみたいだ。


プレイヤーたちが慌ててワープゲートに入り、最後に俺とハリセンのお兄さんがワープゲートに入り、撤退は完了した。そこでクエストクリアのインフォがくる。


『緊急クエスト『ファストの町人を避難させよ』をクリアしました。報酬は緊急クエスト『ゾンビ軍団、襲来』後に配布されます』

『リリーの大剣スキルのレベルが20に到達しました。大剣武技【シールドブレイク】を取得しました』

『ブランの盾スキルのレベルが5に到達しました。盾武技【リペル】を取得しました』


しかし俺たちが最初に訪れたファストの町はゾンビの町になってしまったのだった。


名前 タクト 中級召喚師Lv18


生命力 48

魔力  101

筋力  35

防御力 25

俊敏性 37

器用値 75


スキル


格闘Lv9 蹴り技Lv16 杖Lv22 片手剣Lv18 槍Lv4 投擲Lv7 

高速詠唱Lv17 召喚魔術Lv28 封印魔術Lv3 騎手Lv8 錬金Lv17 

採掘Lv18 伐採Lv17 解体Lv32 鑑定Lv20 識別Lv25 風魔法Lv22 

火魔法Lv21 土魔法Lv22 水魔法Lv24 闇魔法Lv20 神聖魔法Lv5 

雷魔法Lv22 爆魔法Lv22 木魔法Lv22 氷魔法Lv21 時空魔法Lv27→Lv33 

水中行動Lv2 読書Lv8 料理Lv33 餌付けLv7 釣りLv16 シンクロLv9


名前 リリー ドラゴニュート・クーラLv6


生命力 62

魔力  50

筋力  120

防御力 42

俊敏性 42

器用値 39


スキル


光拳Lv8 飛行Lv13 片手剣Lv26→Lv27 大剣Lv18→Lv20 鎚Lv6→Lv7 連撃Lv5 

錬気Lv16 光魔法Lv2 光波動Lv2 竜技Lv6 竜化Lv5 聖竜の加護Lv3


名前 セチア ハイエルフLv3


生命力 50

魔力  116

筋力  41

防御力 36

俊敏性 37

器用値 116


スキル


杖Lv14 魔法弓Lv6→Lv8 鷹の目Lv2→Lv3 射撃Lv1→Lv2 木工Lv12 採取Lv18 調薬Lv8 

刻印Lv3 宝石魔術Lv1 宝石細工Lv1 風魔法Lv7 火魔法Lv13 水魔法Lv15 

土魔法Lv13 闇魔法Lv1 神聖魔法Lv1→Lv2 雷魔法Lv1 爆魔法Lv1 木魔法Lv16 

氷魔法Lv1 樹魔法Lv6→Lv9 ハイエルフの知識Lv13 精霊召喚Lv6 料理Lv8


名前 恋火 シュラインビーストLv2


生命力 75

魔力  82

筋力  81

防御力 47

俊敏性 90

器用値 70


スキル


刀Lv13 二刀流Lv1 風刃Lv1 炎魔法Lv7 邪炎Lv12 忌火Lv12→Lv14 

気配察知Lv15 危険予知Lv14 霊力Lv2 幻術Lv1 神道魔術Lv5 

見切りLv1 俊足Lv1 妖術Lv2 血醒Lv5 料理Lv8 神降ろしLv1 獣化Lv1


名前 イクス エクスマキナLv25→Lv26


生命力 39→40

魔力  39→40

筋力  39→40

防御力 39→40

俊敏性 39→40

器用値 39→40


スキル


機人兵装Lv5→Lv6 解析Lv4 探知Lv11→Lv12 換装Lv2 リンクLv4 魔力充電Lv4


名前 和狐 シュラインビーストLv3


生命力 76

魔力  96

筋力  46

防御力 40

俊敏性 92

器用値 94


スキル


扇Lv10 舞踊Lv10 投擲操作Lv10 邪炎Lv10 忌火Lv10 気配察知Lv12 

危険察知Lv12 封印魔術Lv10 幻術Lv10 炎魔法Lv5 神道魔術Lv12→Lv15 

妖術Lv10 裁縫Lv10 革細工Lv10 料理Lv14 血醒Lv5 神降ろしLv1 獣化Lv1


名前 ブラン エンジェルLv11→Lv14


生命力 20→21

魔力  28→30

筋力  22→24

防御力 20→22

俊敏性 29→30

器用値 28→29


スキル


飛行Lv1 盾Lv1→Lv6 槍Lv1 挑発Lv1→Lv6 光魔法Lv3 光輪Lv2→Lv4 天使の加護Lv3


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最新作『動物保護をしている少年は異世界で虐げられている亜人を救います』を連載開始しました。
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動物保護をしている少年は異世界で虐げられている亜人を救います
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