#204 ガーベラグロウ討伐戦
初のタクトじゃないプレイヤーのみの戦闘回です。載せるか悩みましたがガーベラグロウの強さを知りたい意見もあったので、載せることにしました。
この回の話はタクトたちは知らない前提で話は進んでいきます。
タクトがイエローオッサ山脈で採掘している頃、ファストの町では、イベントの上位プレイヤーたちが集まっていた。彼らの目的は若木の森のボスであるガーベラグロウの討伐だ。
実はこれまで彼らは何度も挑戦しているのが、失敗に終わっている。理由の一つがリアルの都合でイベント上位プレイヤーが全員集まることが無かったためだ。だが彼らは土曜日を迎え、初めてイベント上位者30人のレギオンのフルパーティーで挑むことになった。
編成は重戦士10、戦士3、槍使い2、騎士4、忍者1、魔法使い5、弓術師2、聖職者3だ。
重戦士、戦士、騎士、槍使い、忍者は全員イベントで配布されたカースブレードとポイズンソード。更に忍者を除き、防具は鉄で固めている。
魔法使い5人は火魔法、爆魔法のレベルが高い5人が選ばれた。弓術師もレベルが高く、聖職者もイベントでヒーラーを立派にこなしたガチメンバーが集められた。
彼らは雑魚を倒しながら、昼過ぎにガーベラグロウのところに到着する。リーダーの騎士が全員に声を掛ける。
「イベントで活躍した上位プレイヤーばかりだから大丈夫だとは思うけど、攻撃パターンは覚えているな?」
『おう』
『はい』
「よし! じゃあ、行こうか。今日、俺たちがここのボス、ガーベラグロウを初討伐するぞ!」
『おぉ!!』
こうしてガーベラグロウとの対戦が始まった。
まず重戦士たちがガーベラグロウの攻撃範囲に入ると盾を構え、武技で蔓の攻撃を受ける。
『インパクトカウンター!』
自分たちが受ける攻撃を返し、ガーベラグロウは自分の蔓の攻撃を受ける。すかさず全員が攻撃範囲に入り、決められた陣形を取り、弓術師2人が猛毒の矢を放つ。
「「アローレイン!」」
猛毒の矢の雨がガーベラグロウに降り注ぐ。そして怯んでいるガーベラグロウに高速で忍者が迫る。
「ハヤブサ斬り」
ガーベラグロウにカースの状態異常が発生する。しかしガーベラグロウも黙ってはいない。蔓で忍者を狙う。
「任務完了、さらば」
忍者が印を結ぶ。忍者にガーベラグロウの蔓が命中し、木に叩きつけれるが次の瞬間、忍者の姿が丸太になる。有名な変わり身の術だ。
変わり身の術でダメージを無効化した忍者はすぐさま、パーティーに合流する。
「お疲れ様です。見事な仕事っぷりですね」
「報酬分の仕事はするさ。ここからは手出ししないぞ?」
「えぇ。大丈夫ですよ」
そこからは耐久戦となった。ガーベラグロウの攻撃を重戦士たちが変わりながら、防御する。そしてポイズンとカースの武器で攻撃を当て、回復を封じ、毒のダメージと植物特攻の効果でダメージを稼いで行く。
「「「エクスプロージョン!」」」
「「ヒートランス!」」
「「ペネトレイトアロー!」」
魔法と矢が炸裂するとガーベラグロウの生命力が半分を切りガーベラグロウは叫び声を上げる。
「攻撃パターン、変わるぞ! 聖職者、回復準備!」
「「「はい!」」」
リーダーが警告した瞬間、今まで蔓を振っていただけのガーベラグロウの攻撃が変化する。蔓が地面から次々出現し、挑発をしている重戦士に襲いかかってくる。
『シールドガード!』
捌く事が不可能な攻撃に対して、重戦士たちは守りを固めるしかない。
「エリアヒーリング!」
しかし聖職者の効果が高い範囲回復魔法を交互にかけ、ガーベラグロウの攻撃を防ぎ続ける。その間、魔法使いと弓術師が攻撃を加える。
攻撃を受けたガーベラグロウが息を吸い込む。
「毒ブレスが来るぞ! 範囲から離れろ! 槍使いは頼むぞ」
プレイヤーたちは一斉に毒ブレスの範囲から離れる中、槍使いの2人はガーベラグロウの左右から迫る。
「「三連星!」」
槍の三連突きがガーベラグロウに炸裂し、カースとポイズンが継続される。槍使い二人は見事なフットワークでガーベラグロウの攻撃を躱し、パーティーは再び、元のポジションに戻る。
それを繰り返し、残り僅かなところでリーダーが言う。
「最後のパターンにもうすぐ変わるぞ! 重戦士たちは円形陣形に! 後衛は中央で攻撃準備! 戦士、騎士、槍使いは俺に続け!」
ガーベラグロウが絶叫するとパーティーの全方位から蔓が地面から出現し、パーティー全員を標的に襲いかかってくる。
更にカーベラグロウは寄生木を乱射する。こうなると重戦士は後衛を守る壁にしかならない。必死に守り、魔法の詠唱の時間を稼ぐ。
それに対して戦士たちはとにかく突っ込む。この戦術になったのは以前別のパーティーで防御に徹して、魔法のみで攻略しようとしたが重戦士たちが持たなかったのだ。
結果、死ぬのを覚悟の特攻作戦という形になった。
何人か蔓に捕まり、投げられる中、数人がガーベラグロウに肉薄する。
「おらぁあああ!」
「死ねや! こら!」
罵詈雑言を放ちながらダメージを与えていく中、1人1人ガーベラグロウの蔓に捕まり、投げられていく。そして彼らが待ち望んだ瞬間が来る。
「「「エクスプロージョン!」」」
「「ヒートランス!」」
「「ペネトレイトアロー!」」
後衛の魔法が弓が炸裂し、ガーベラグロウは悲鳴をあげて、倒された。レベルアップのインフォが流れ、プレイヤーたちに勝鬨が上がる。
『若木の森のボス『ガーベラグロウ』が初討伐されました』
『初討伐された皆様に称号『若木の森の破壊者』を獲得しました』
みんながそれぞれ喜び合う中、リーダーの人たちを中心に話し合う。
「結局討伐して成功みたいだったな」
「称号でスキルポイントは全員に10も貰えたし、植物モンスターに特攻の効果もある称号だ。このレギオンに参加して正解だったぜ」
「それにしてもあの噂はなんだったんでしょうね?」
あの噂とは国からガーベラグロウの討伐を禁止されているという話だが、彼らはそれを信じていなかった。
「そんなん知るかよ。どうせ倒せもしない雑魚が流した噂だろ? 現に何も起きないじゃねーか」
「そうですよ!」
「そんなことより、さっさと解体してくれよ。リーダー」
「あぁ。この後は祝杯とガーベラグロウの素材のじゃんけん大会だな」
リーダーの男がガーベラグロウを解体する。
『我が長年の使命もここまで…願わくばこの地の自然が無事であることを祈る…』
ガーベラグロウがそういうと光となって、消える。
「あ、あれ? 素材は?」
リーダーがそういった瞬間、彼らの周囲に魔法陣が現れ、砕け散るとインフォが流れる。
『緊急クエスト『ゾンビ軍団、襲来』が発生しました』
そのインフォは彼らの幸せの時間の終わりを告げるインフォとなった。若木の森が突如暗雲に包まれる。
彼らがいきなり地面から現れた無数の手に捕まると地面からゾンビが次々出現する。
『ヒッ!?』
彼らは必死に抵抗するが、ゾンビは通常武器では倒せない。しかもそのゾンビは通常のゾンビではなかった。
ゾンビを倒すと紫色の煙が発生する。
「くっ…なんだ? この煙!」
「そんなこと言ってる場合か! 撤退! 撤退するんだ!」
「お、おい!? た、大変だぞ! 俺たちの武器の耐久値が見る見る減っていく!」
「な、何!?」
彼らの武器や防具が次々失われていく。
「くそ! ふざけんなよ!」
「な、何なんだよ! これ!」
「いや、来ないで…噛まないで…」
彼らはゾンビの大軍に次々噛み付かれ、死に戻った。
そんな中、一人、必死に逃げる者がいた。それは忍者だった。彼は冒険者ギルドで噂の事実関係を調べ、何か起きると考え、討伐したのと同時にレギオンから抜け、いち早く逃げ出していた。
「馬鹿な奴らだ。ちゃんと情報を調べずに行動するからそうなるんだ」
完全に逃げ切れると思った彼だが、突然背後から現れた何者かに利き腕を斬られる。
「ぐ…なんだ!?」
「ははぁ! 逃げ切れるとでも思ったか? ざんね〜ん〜で〜した。俺はお前のような愉悦を感じてる人間をいじめて殺すのが大好きなんだよ。お前の愉悦、俺にも感じさせてくれよ」
「な、舐めるな〜!」
忍者は戦いを挑むが、指を全部斬られ、足首、手首を斬られる。その度に目の前の存在は狂気に浮かべる。
「くそ! なぜ殺さない!」
「あぁん? それはお前が苦しむ姿が最高に楽しいからさ。お前も一緒にいた奴らの悲鳴を聞いて喜んでいたのと同じだよ」
そういうとそいつは忍者に薬をかけ、死にそうだった生命力を回復させる。
「な!?」
忍者の顔が絶望に染まる。
「あぁ、その顔が大好きなんだよな〜俺様は! ほら、もっと泣け、絶望しろ! 俺を楽しませろ!」
忍者が謎の存在に弄ばれて、死に戻った。
そして一部始終を空から見ていた存在がいた。そいつは以前タクトが戦った悪魔のネビロスだった。
「ははは! 全く人間というものは最高ですね! さぁ、約束の時です! 人間よ! パーティーを始めましょう!」
その宣言は人間とアンデッドの戦争の宣言となった。




