#191 巫女の試練
俺が目を開けるとそこは中国の武陵源のような石柱が立ち並んでいる場所だった。俺が転移したのは、そのうちの一つで下は雲で見えてない。
「いかにも仙人がすんでいそうな場所やろ?」
「あ、稲荷様…と恋火?」
「…遅いです。タクトお兄ちゃん」
声をしたほうを見ると椅子に座った稲荷様と土に埋まった恋火がいた。
「えーっと…何してるんだ」
「仙人になるための修行です。土に埋まって、自然を感じているんです」
「そ、そうなんだ…」
巫女の試練じゃなかったのか?俺が疑問に思っていると恋火の感情が爆発する。
「他にも山から突き落とされたり、火炙りにされたり、滝に打たれたり、雷に打たれたり、火口に落とされたり、木にされたり、氷が浮いてる海に落とされたりしました…ふふふ」
恋火の目がやばくなってる。
「全部タクトお兄ちゃんが遅いのがいけないんです」
「ちょ、ちょっと待て! そこまで時間は経ってないだろ?」
「何言ってるんですか! 全部の修行で8年経ってます! その間、ず~っとご飯抜きでした! お腹ペコペコです!」
あー…これは…
「ふふ」
稲荷様、笑ってるよ…絶対この人が犯人だ。
「ご飯ならそこの木になってるじゃないか」
「…この状態では食べれません…取ってきて下さい」
仕方無いな。俺が恋火に言われ、取りに行くと景色が変わる。
「お兄さんかっこええなぁ」
「うちの尻尾、モフモフしてくれません?」
「ずるいわ。うちにもしてーな。お兄さん」
俺は九尾の時に見た巨乳お姉ちゃんたちに囲まれていた。服をはだけさせ俺に甘えてくる。俺も男だからこれは嬉しい。しかしこれが現実ならだ。
だが…うむ。俺だけ試されるのは癪だな。ここは恋火の修行の成果を俺自身も試してみよう。
「いいですよ。狐のお姉さんたち。特別に尻尾をブラッシングしてあげましょう」
俺はインベントリからブラシを取り出す。
『え…』
それを見て、狐のお姉さんたちは固まる。
「どうしたんですか? 結構評判いいんですよ。ささ、遠慮せずに」
自分たちから誘ったから狐のお姉さんたちはブラッシングされるしかない。
「あか〜ん…堪忍…堪忍して〜」
「ああ…そこは…あ、あきません…そこはぁ〜」
「そんな…優しく感じるところを〜…あぁ〜ん」
注意、尻尾をブラッシングしているだけです。狐のお姉さんたちは全滅した。さてと…
「これが修行の成果か? 恋火」
俺がそういうと景色が変わり、俺は空から落下する。そんなことをしても無駄だ。自由落下を楽しんでいると再び景色が変わる。
元の場所に戻ったと思ったら、美味しい料理が付いている木がたくさん現れる。俺に料理は通用しない。
すると今度は小判がなる木が出てくる。俺をなんだと思っているんだ?
そして元の場所に戻る。そこには成長した恋火がいた。
「え…えと…これは試練であたしは仕方無く…タクトお兄ちゃん…怒ってます?」
「全然怒ってないぞ。ただ恋火が俺をどう思っているかわかったからな…流石にショックだ」
俺を騙す試練なら恋火は最初の巨乳お姉ちゃんたちで一番自信があったことになる。
「ふぇ!? ち、違いますよ!? 稲荷様ぁ~」
「試験は合格や。夫婦喧嘩は愛の醍醐味どす。おきばりやす。ほな二人を帰すで」
「この状態で!? 何かタクトお兄ちゃんに言って下さいぃ~」
俺たちは現実に戻ってくる。
「お帰り! タクト! 恋火!」
「? どうかしたんですか? 二人とも?」
「恋火に淫らな幻術をかけられてな…」
「だから違いーーはっ!」
恋火がイオンとセチアに捕まる。
「恋火、お姉ちゃんたちとお話しましょうか?」
「そうですね。たっぷり聞かせて貰いましょうか?」
「違うんです! 稲荷様に試練でタクトお兄ちゃんを騙すように言われただけなんです!」
恋火が連れていかれている間にステータスを確認する。
名前 恋火 セリアンビーストLv30→シュラインビーストLv1
生命力 55→75
魔力 62→82
筋力 58→78
防御力 32→47
俊敏性 68→88
器用値 48→68
スキル
刀Lv13 二刀流Lv1 風刃Lv1 炎魔法Lv7 狐火Lv12→邪炎Lv12 狐火Lv12→忌火Lv12
気配察知Lv14 危険察知Lv13→危険予知Lv1 霊力Lv1 幻術Lv1 神道魔術Lv5
見切りLv1 俊足Lv1 妖術Lv2 血醒Lv5 料理Lv2 神降ろしLv1 獣化Lv1
やはり強いな。初見は危険予知と霊力か。和狐に話を聞くと危険予知は命の危険が発生した場合、一度のみその未来を見ることが出来るスキルらしい。暗黒召喚師が使ってたのはこれだな。
霊力は魔力を消費してバフや物を操ったりすることが出来るらしい。超能力といえばわかりやすいかも知れない。
そして和狐が恋火をフォローする。どうやら巫女の修行は仙人になるための前段階のものらしい。仙人になるには体内の陽と陰を完全調和しなければならないらしい。
恋火には陽の才能が強いので、巫女の状態で陰の才能を目覚めさせるために最大限の悪行を行わせたという話だった。
「悪趣味だな…」
「はい。でも、恋火は結局騙せなかったんですやろ?」
「いや、騙せたさ」
幻術を解かれた後、恋火は土に埋まっていなかった。つまりあの時点で俺を騙していたんだろうな。
「あの~もしかして恋火は何か罰を受けたりするんどすか?」
「安心しろ…俺は何もしないよ」
そう俺はね…
「悪いことをした子にはお尻ペンペンです!」
「えぇ!? タクトお兄ちゃん! お姉ちゃん! 助け」
「逃げ出してはダメですよ? 恋火」
これも修行だ…恋火。
「イオンちゃんのお尻ペンペンは痛いよ~」
リリーがお尻を触りながらしみじみ言う。
「ごめんなさい! ごめんなさい! にゃああああ!?」
その後、イオンのお尻を叩く音と恋火の悲鳴がキングコング砦に響き渡った。聞くのも可哀想なので俺は一階と外のゴブリンを解体して石ころを集めることにした。
名前 タクト 中級召喚師Lv14
生命力 48
魔力 95
筋力 34
防御力 23
俊敏性 34
器用値 69
スキル
格闘Lv9 蹴り技Lv16 杖Lv21 片手剣Lv18 投擲Lv4 高速詠唱Lv14
召喚魔術Lv27 封印魔術Lv3 錬金Lv14 採掘Lv14 伐採Lv17 解体Lv27→Lv29
鑑定16 識別Lv22 風魔法Lv20 火魔法Lv21 土魔法Lv22 水魔法Lv20
闇魔法Lv20 神聖魔法Lv3 雷魔法Lv21 爆魔法Lv20 木魔法Lv20 氷魔法Lv20
時空魔法Lv22 水泳Lv8 読書Lv8 料理Lv30 餌付けLv6 釣りLv14 シンクロLv9