表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Elysion Online ~ドラゴニュートと召喚師~  作者: とんし
キングコングの砦
196/1716

#185 フリーティア騎士団訓練試合③

第五試合


まずはサラ姫が剣を抜き、名乗る。


「フリーティア騎士団団長サラ・フリーティア。正々堂々、勝負を」


タクトも刀を抜き、名乗る。


「リープリングのリーダー。タクトです。本気で勝たせて貰います」


「えぇ。私もそれを望みます!」


「第五試合。始め!」


互いに剣を構えたまま、距離を縮める。


サラ姫はタクトの強さを認識する。


「(動いても体が一切ぶれてない…流石オリヴィエ様が称賛する人ですね…では、あなたの本気を見せて貰います!)」


剣の間合いに入り、サラ姫が先にタクトを攻める。この最初の攻撃で互いにサラ姫のほうが強いことを認識する。


自分の有利性を知ったサラ姫はタクトに猛攻を仕掛ける。サラ姫の猛攻の前にタクトはひたすら守る。そしてタクトのその姿がサラ姫の感情を刺激する。


「(あなたも私が女で姫だからと手を抜く人ですか! ならばもう終わりです!)」


「光剣!」


サラ姫の剣が輝き、光の速度の斬撃が放たれる。全員が決まったと思った瞬間、タクトの刀は光の剣を止めていた。


『な!?』


サラ姫の光剣を知っている全員が驚く。光の速度の斬撃は光剣を使えない人間には対処不可能な攻撃だ。それをタクトが止めたことは奇跡の所業だった。


タクトは止めた剣を弾き、間合いを詰めて、相手を一刀の元に斬り伏せる本気の斬撃を放つ。


「ッ!?」


この瞬間、サラ姫はタクトの本気の殺気を受けて、自分の認識の甘さを認識した。タクトはサラ姫と本気で戦っていない訳ではなかった。本気で戦っていないと思い込ませていたのだ。


サラ姫はスキルを駆使して辛うじて躱すことが出来たが、逆に使わなければサラ姫は死んでいた。


難を逃れたサラ姫が気を引き締め、再び光剣を使い、斬りかかるがまたしてもタクトは止める。光剣を連続で使用するが、全て防がれる。


奇跡は一度だから奇跡だ。二、三度続けばそれは最早必然だ。ブラスはこの異様な光景に信じられない気持ちで見ていた。


「ど…どうなっているんですか…あれ」


「言わんこっちゃねー。俺の忠告を無視するからそうなるんだよ…」


「ガルーは何が起きてるか分かるんですか?」


「あぁ。信じられんが姫さんの攻撃を予測してやがる」


ガルーの発言は正しかった。タクトはサラ姫様の太刀筋を全て予測して光剣の攻撃を防いでいた。


「予測、ですか?」


「そうだ。例えば光剣だが、いつどこにどういう攻撃が来るか分かっているならお前は光剣を止められるんじゃないか?」


「それは…出来ますね。光剣は振るわれると防げない技ですから…まさかそれを彼はしてるんですか!?」


「あぁ…しかもスキルを使わずにだ。予知系のスキルは一回限りだからな。間違いねーだろ」


ブラスが絶句する。


「人ですか? あの人」


「この場にいる全員がその疑問を持ってると思うぜ?」


この二人はまだタクトと戦っていないから冷静でいられるが、戦っているサラ姫は冷静ではいられない。


ガルーの言っていたことはサラ姫も気づいている。だからなんとかしようと攻撃の場所、タイミング、種類を変え、時に同じ場所に攻撃を加えるが全て予測される。


いつの間にかサラ姫は自分がタクトに操られている感覚に捕らわれる。そしてその心の隙をタクトは見逃さない。


タクトの猛攻が始まる。


サラ姫はタクトの攻撃を防御しようとした瞬間だった。タクトの斬撃がすり抜け、別の角度から斬撃が現れる。


「(な!?)」


サラ姫は回避するが鎧にタクトの斬撃が当たる。タクトが追撃するとサラ姫の目には三つの斬撃が映る。


首を狙った斬撃、心臓を狙った突き、腹を狙った斬撃だ。サラ姫様は咄嗟に光剣を使い、対処するが利き手を狙った本物の斬撃が飛んで来る。


それを辛うじて回避し、タクトの間合いにいてはダメだと判断したサラ姫はタクトから完全に距離をとる。


タクトが使った技は御劔流みつるぎりゅう 無幻(むげん)。その正体は殺気を篭ったフェイントで斬撃の幻を見せる技。幻の中に本命があるかも知れないし、全て幻かも知れない。


幻の斬撃を使った変幻自在の形の無い攻撃であることからこの名がついた。この技は相手にしか認識出来ない技なので周りからはサラ姫がタクトの攻撃に対して、おかしな防御をしているように見える。


タクトとサラ姫が再び斬り合う。しかしこの斬り合いでサラ姫はタクトの攻撃に対処してみせる。


「(殺気とフェイントで幻を見せるなら相手の刀のみ見れば対処できる!)」


それは正しい判断だった。しかし同時に罠でもあった。視線を狭めるということはそれだけ目の死角を作ると言うことだからだ。


「(姿が消えーーまずい!?)」


サラ姫は辛うじて防御する。しかしまだ脅威は続く。今まで斬り払われて終わっていた攻撃が斬り返される。死角攻撃を防いで安心したところに不意討ちの攻撃がサラ姫様の首を捉える。


だが、刀は光のオーラで止められていた。タクトは距離を取る。そしてサラ姫は審判に告げる。


「私の敗北です。参りました」


サラ姫は敗北宣言をする。


「え? あ、はい。勝者、タクト!」


リリーたちがタクトに拍手を送る。サラ姫は踵を返し、帰ろうとする。そんなサラ姫にタクトが話しかける。


「勝負はまだついていないでしょう? なぜ敗北を宣言するか聞かせて貰えますか?」


「…私はあなたの先程の攻撃で死んでいました。それだけのことです」


「そうですか…どうやら俺はあなたを買い被っていたようだ。正直失望しました」


タクトの言葉にサラ姫はタクトに怒りの目を向け、周りからはブーイングが起きる。


「いくらあなたでもその言葉は私に対する侮辱です!」


「あなたが俺を侮辱したから言ったまでです。俺は本気であなたを殺すためにこの刀を振るいました。なのにあなたは本気を出さず、負けを認める始末だ」


「この行為が戦士に対してどれ程の侮辱に匹敵するのかをあなたは知っているはずだ」


サラ姫は目を見開く。確かに自分は今まで女であることや、姫という立場が原因で本気で戦って貰えなかった。そんな彼らに自分がなんと言ってきたかを思い出す。


『あなたには失望しました』


サラ姫は剣と必要最小限のスキルでタクトと戦うと決めていた。最後のスキルは自分が決めたスキルに入ってないスキルを使ってしまったが故に敗北宣言をした。


なんて恥ずべき行為か…自分は本気で戦ってくれる戦士に対して最初から全力で戦わないことを決めつけていたのだ。自分が散々味わって来たことを自分がしてしまうとは滑稽にも程がある。


「英気!」


サラ姫から黄金のオーラが溢れる。圧倒的な力の権化が誕生した。


「申し訳ありません。私が間違っていたようです。仕切り直させて貰えませんか?」


その姿にタクトは笑みを見せ、刀を鞘に仕舞い構える。


「えぇ…是非とも本気のサラ姫様と手合わせ願います」


サラ姫も剣を構える。


「感謝します」


全力の自分の姿を見てなお、自分を殺すために挑んでくるタクトにサラ姫はただ感謝しかない。


審判はどうしていいか分からずにいるとサラ姫が言う。


「勝負は仕切り直しです。離れていなさい。死にますよ」


「ひゃ、ひゃい!?」


審判が慌てて、逃げ出す。


それを見たタクトは深呼吸する。


「ふぅ~…いきます」


「はい」


タクトの姿が観客からも見えなくなる。


「(死角じゃない。完全に自然と一体となることで姿を消す技ですか…見事です)」


サラ姫は剣を構えたまま、タクトの最高の攻撃を待つ。


そしてその時は来る。タクトの攻撃は正面の死角からの居合いだった。それを受け止めるサラ姫。しかし刀は流れ、サラ姫の首を狙う。


サラ姫はそれを躱し、剣を振り下ろす。タクトはそれを受け止めるが圧倒的な力の前に押し負けし、剣を持っていた右腕を失う。


勝負ありだが、サラ姫の腹にタクトは蹴りを入れる。だが黄金のオーラに阻まれる。


「(あなたは本当に…剣と利き腕を失ってもなお戦い続けるんですね…)」


サラ姫の剣が青く輝き、サラ姫の必殺技が発動する。


「エタニティー・フリーティア!」


天を貫かんとする蒼天の光剣がタクトに振るわれる。サラ姫の必殺技に対して、タクトは左手でカウンターを放つが光の速度の光剣には触れることが出来ず、完全に消し飛ばされるのだった。


「しょ、勝者! サラ・フリーティア様」


審判がそういうと騎士たちから歓声が起きる。


「お疲れさん。姫さん」


「大丈夫でしたか? 姫様」


「大丈夫だと思いますか? 彼とは二度と戦いたくないです」


ガルーとブラスは笑う。


「なぜ笑うんですか?」


「いえ、姫さんにはいい薬になったと思いまして」


「これからは部下の言葉をよく聞いて精進するこったな。剣術で完全に負けてたぜ?」


「ガルーに言われなくてもわかってます!」


三人がそう話しているなか、観客席にいる王族が話す。


「サラ…楽しそうでしたね。あなた」


「うむ。色々吹っ切れたようじゃ。あの者に感謝せねばな。サラはまだまだ強くなるぞ」


「負けず嫌いですからね…サラお姉様は」


「それにしてもあの者は本当に召喚師なのか?」


グラン国王のこの疑問はこの試合を見た全員が思ったことだった。


名前 タクト 中級召喚師Lv13


生命力 47

魔力  94

筋力  33

防御力 23

俊敏性 33

器用値 67


スキル


格闘Lv8→Lv9 蹴り技Lv15→Lv16 杖Lv21 片手剣Lv13→Lv18 投擲Lv4 高速詠唱Lv14 

召喚魔術Lv24 封印魔術Lv3 錬金Lv9 採掘Lv14 伐採Lv17 解体Lv25 

鑑定Lv13 識別Lv21 風魔法Lv20 火魔法Lv21 土魔法Lv22 水魔法Lv20 

闇魔法Lv20 神聖魔法Lv3 雷魔法Lv21 爆魔法Lv20 木魔法Lv20 

氷魔法Lv19 時空魔法Lv21 水泳Lv8 読書Lv8 

料理Lv30 餌付けLv6 釣りLv14 シンクロLv9


名前 リリー ドラゴニュート・クーラLv3


生命力 62

魔力  46

筋力  111

防御力 42

俊敏性 40

器用値 36


スキル


光拳Lv7→Lv8 飛行Lv7→Lv8 片手剣Lv22→Lv25 大剣Lv14→Lv17 縋Lv1 

連撃Lv3→Lv5 錬気Lv12→Lv15 光魔法Lv2 光波動Lv2 竜技Lv4→Lv5 竜化Lv5 

聖竜の加護Lv3


名前 イオン ドラゴニュート・エンベロープLv3


生命力 62

魔力  86

筋力  55

防御力 32

俊敏性 108

器用値 89


スキル


二刀流Lv24→Lv27 槍Lv1 投擲操作Lv6→Lv7 飛行Lv7 遊泳行動Lv11 

氷刃Lv12→Lv13 連撃Lv3 水魔法Lv2 蒼波動Lv1→Lv2 竜技Lv4→Lv5 

竜化Lv6 海竜の加護Lv2 料理Lv2

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
最新作『動物保護をしている少年は異世界で虐げられている亜人を救います』を連載開始しました。
以下のリンク先で連載中です。


動物保護をしている少年は異世界で虐げられている亜人を救います
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ