#170 ゴブリンの森攻略会議と冬の到来を告げる者
リープリッヒで作戦会議をする。
「森に隠れているゴブリンアーチャーをどうやって攻略するかだよね」
メルが話す。俺もそう思う。その為にはゴブリンアーチャーのことを知る必要がある。
「ルーク。ゴブリンアーチャーのことを教えてくれ」
「はい。とは言っても普通に弓スキルを覚えるだけですが」
「夜目や鷹の目はないのか?」
「はい」
ルークがはっきり答える。それが事実ならライトを使わずに夜に進軍すればいいという話になる。
「そんなに甘いとは思えないわね…」
「昼だけ難易度が上がるなんて考えられないですね」
「つまりライトを使わなくても矢が撃たれるわけか」
それだと寧ろ危険度はあがるだろうな。ライトが使えないのはそれだけできつい。
となると昼に攻略ということになるが。
「範囲魔法を使いたいけど、相手は森の中。効果は望めないね…まさかこんな戦略戦を挑んで来るとは思わなかったな」
「あぁ…交互に壁呪文を使って接近出来ないか?」
「不可能じゃないと思う。ただ接近出来てもあの距離の射撃ならアーチャーは木の上にいると思う。地面にはファイター、上からアーチャーじゃ詰んでるよ」
だよな。あんな戦術をしてきたんだ。必ず他のゴブリンもいるはずだし、接近対策も当然あると判断したほうがいいだろう。
魔法も矢も接近戦も出来ない。ならどう攻略するか…
「正攻法を封じられたなら絡め手しかないな」
「タクトには何か考えがあるみたいだね」
「考えというか現状を打開できそうな召喚獣やテイムモンスターに心当たりがある」
全員がこちらを向く。
「リリーは知ってるよな? 矢も魔法も効かない召喚獣を」
「あ! ゴーストだ!」
うん。正解だ。
「ゴーストやスピリットは夜にしか行動できないが物理攻撃は効かず、特殊な光魔法以外はほぼ通用しない特殊な召喚獣だ。しかもゴーストには憑依スキルがあり、敵に乗り移り、操ることが出来る」
俺の発言にメルとレッカが意見を言う。
「そんな厄介なモンスターがいるんだね…でもそれなら確かに行けそうだね」
「ですね。でも、敵を操って敵を崩すなんて、相変わらずタクトはえげつないね」
悪かったな!こんな考えしか浮かばない脳ミソで!
「テイムモンスターはなんですか? タクトさん」
雷電さんが聞いてくる。おっとそうだったね。そのテイムモンスターは俺の宿敵だ。
「テイムモンスターはミーアキャットだ。こいつは地面の中を移動して、敵を落とし穴に落とすスキルがあるはずだ。流石のゴブリンも地中はノーマークだろう」
「そんなモンスターがいるんですね。確かに有効そうです。どこにいたんですか?」
「ディープレッド荒野だ。ゴーストもそうだな。どちらも夜に見つけたよ」
ルインさんが言う。
「だとするとこのクエストはディープレッド荒野に行ったことがあるタクト君に受注されたのも納得ね」
「ディープレッド荒野の難易度は高いですか?」
「俺は夜にしか行ってないが間違いなく高い。ゴーストみたいな特殊な奴もいるし、スカルオルトロスには殺されかけたよ」
『…』
全員絶句。まぁ、オルトロスと聞いて戦いたいやつはいないだろうな。
「あー…これは俺もディープレッド荒野に行く流れか?」
烈風さんがそういうと雷電さんが言う。
「当然でしょう? 仲間じゃないですか」
「いーやーだー! 死ぬだろ!? これ!?」
うむ。せめてフォローしておくか。
「大丈夫です。スカルオルトロスは洞窟の奥にいたから外には出てこないはずです」
「そこは断言してくれよ!」
烈風さんと雷電さんが言い合いをしている中、達観しているルークたち。
「僕らはタクトさんに識別させて貰えばいいですから、楽ですね」
なるほど。それでか…でもね。君たちは忘れている。
「俺は今、持ってないぞ? レギオン召喚の時にいなかっただろうが」
『あ…』
「というわけで頑張ってくれ」
悲鳴が鳴り響く。
「ちょ、待ってください。いないなら召喚してくださいよ」
「俺は今日の召喚を終えてるんだぞ?」
『う』
「明日、試してもいいが、召喚に成功しない可能性もゼロじゃないんだぞ?」
『うう』
頑なに行こうとしないな。宜しい。ではそんな君たちに朗報です。
「スピリットは合成召喚でフェアリーになるんだよな」
『行ってきます!』
ちょろいな。メルたちとルインさんたちは苦笑いだ。
作戦会議が終わり、俺はログアウトする。
夕飯を食べ終え、夜の狩りに出発する。ユグさんとハルから木と薬草のオーダーがあったので、伊雪のレベルアップがてらトレントの森に向かう。
そういえば最近薬の開発をしていないな…ハルさんの話によるとワントワークではすでに普通に飲めるポーションがあるそうだが、ここで手に入れるためには作るしかないとのこと。
ならそれに少しでも貢献するとしますか…
トレントの森に行くメンバーは虎撤、ゲイル、リキュール、ルート、伊雪だ。
トレントの森を探索しているとルートが何かを見つける。
シカLv10
テイムモンスター 討伐対象 ノンアクティブ
キラーン。鹿肉、ロックオン。10匹ほどいるがこちらに気付いていない。
「仕留めるぞ。俺とリキュールで先制攻撃。俺が沼に沈めるから、虎撤たちは沈めたシカを仕留めてくれ」
リキュールが疾風で加速し、そのままの勢いでシカの一団に突っ込む。鹿1匹が見事にリキュールの角に貫かれていた。
しかしそれを見たシカが逃げ出す。逃がさないって!
「ボトムレススワンプ!」
泥沼に落ちるシカたちに虎撤たちが襲いかかる。虎徹とゲイルはシカの首に噛みつく。虎徹とゲイルがいつもより好戦的に見えるのは気のせいか?
ルートは体がでかいから泥沼でも体が入り、シカを締め付け、噛み付いている。伊雪はせっせと雪玉攻撃。
無事にシカを仕留め終えて、レベルアップ。そして伊雪の進化だ!
雪精
アイスゴーレム
ん!?予想外の進化先がある。とりあえず見てみよう。
雪精
雪の妖精。冷たい空気を発生させ、冬の訪れを告げる存在。雪国では神聖な存在として扱われている。
アイスゴーレム
氷で作られたゴーレム。魔法に対して強いゴーレムでアイスゴーレムのパンチは敵を氷結する効果がある。
むむ。ど、どうする?魔法に強いゴーレムってめっちゃ欲しいんだが…むむむ…しかし俺は守護氷精と戦ったからな…彼女が仲間になるなら物凄く頼もしいんだよな…
よし、決めた!
名前 伊雪 スノーマンLv8→雪精Lv1
生命力 24→32
魔力 18→30
筋力 20→22
防御力 20→22
俊敏性 4→30
器用値 20→28
スキル
素手Lv1→氷刃Lv1 雪投擲Lv1 防御Lv1→氷装甲Lv1 物理耐性Lv1→魔法耐性Lv1
雪潜伏Lv1 氷魔法Lv1 風雪Lv1
伊雪が可愛い妖精さんに大変身した!
姿は白髪のロングヘアーに青い目。氷の耳に氷の羽がある妖精さんだった。服装はなんと着物を着ていた。着物の柄は白を基準にされていて、雪精らしく感じる。
さて、進化も終わったし、解体する。
鹿肉:レア度4 食材アイテム 品質D
シカのお肉。高タンパクで低脂肪なのが特徴。早めに血抜きをしっかりしないと固く臭いお肉になってしまう。
キター!というわけで忠告通り、水に浸して血抜きをする。後は帰ってからゆっくり料理してやろう。
俺のテンションが上がっていると伊雪が俺の後ろに回り込む。なんだ?
突如俺のうなじに冷気が当たる。これはダメだ!ぞわっとした!
あ、伊雪の奴の笑ってる。こいつめ…悪戯好きの性格だったのか!
伊雪を戻すかわりにセチアを呼び出して、薬草集めをする。
「二人で薬草を集めるのは久しぶりですね」
「確かに花畑では恋火がいたからな」
「はい。なので今日はたくさんわがままを聞いてもらいますから、覚悟してください」
なんてこったい。まぁ、セチアも普段リリーたちに遠慮しているところがあるからな。今日はじっくり付き合ってあげよう。
その後、セチアが散々くっついてきて甘えてきた結果、あまり薬草取りは捗らなかった。セチアが満足してくれたみたいだからよしとしよう。
最後に伐採するため、ゲイルに代えて、孤子を召喚。折角なので新しい魔法を試そう。
タイムボムはどうやら地面や物に爆発する魔法陣を設置する魔法みたいだ。この魔法陣に起爆する時間を設定することが出来、現時点で最大30分だ。十分すぎる時間だろう。
檜を切り倒すとトレントが現れる。
トレントの進路上にタイムボムを地面に設置。爆発まで3秒前。トレントが魔法陣を踏む前に起爆し、トレントは倒れこむ。
ミスった…難しいな。エクスプロージョンは威力がありそうだから後にしよう。
「シック!」
果たして木でも病気になるのか?なりました。だが、変化がないな。他の魔法も試してみるか。
「ギルティーソーン!」
魔法陣から茨が出現し、トレントを拘束する。そして茨のトゲがトレントに刺さると毒にする。更に継続ダメージまで発生している。えげつない魔法だな。
最後の魔法を試そう。
「エクスプロージョン!」
トレントが爆発し、お亡くなりになった。こんなにも威力がある魔法なのか?普通にトレントが爆発しただけのように見えたが…病気のせいか?
任務は完了したからシックを自分に試してみる。すると咳が止まらなくなり、頭がフラフラする。あ〜、ウザったい状態異常だ。そしてそれだけじゃなかった。ステータスを見ると全てのステータスが大幅に減少していた。
これはダメだろ!?デスペナ状態になっているぞ!?クリアで治すとステータスも戻る。間違いない、この状態異常は今後絶対脅威になるな。
その後、セチアの頼みで檜を2本ゲットし、トレントはセチアたちに任せた。ルートが縛り、虎徹が噛み付き、セチアと孤子が火魔法と狐火で燃やし、リキュールが貫く。俺の出番ないな。まぁ、それだけみんな強くなってきたってことだろう。
素材も十分集まったところでリターンで戻ることにした。
名前 タクト 中級召喚師Lv10
生命力 44
魔力 88
筋力 31
防御力 22
俊敏性 28
器用値 63
スキル
格闘Lv7 蹴り技Lv14 杖Lv21 片手剣Lv10 投擲Lv3 高速詠唱Lv13
召喚魔術Lv23 封印魔術Lv3 錬金Lv9 採掘Lv14 伐採Lv15→Lv17 解体Lv23
鑑定Lv13 識別Lv20 風魔法Lv20 火魔法Lv21 土魔法Lv22 水魔法Lv20
闇魔法Lv20 神聖魔法Lv2 雷魔法Lv21 爆魔法Lv20 木魔法Lv20
氷魔法Lv19 時空魔法Lv19 水泳Lv8 読書Lv8
料理Lv30 餌付けLv6 釣りLv14 シンクロLv8
名前 セチア エルフLv27
生命力 33
魔力 84
筋力 24
防御力 20
俊敏性 21
器用値 84
スキル
杖Lv13 弓Lv6 木工Lv10 採取Lv12→Lv14 調薬Lv8 風魔法Lv7 火魔法Lv10→Lv12
水魔法Lv14 土魔法Lv13 木魔法Lv15 樹魔法Lv6 エルフの知識Lv12→Lv13 精霊召喚Lv5 料理Lv2
名前 虎徹 サーベルタイガーLv13→Lv14
生命力 35→36
魔力 2
筋力 58→60
防御力 35
俊敏性 29→30
器用値 24→25
スキル
噛みつきLv14→Lv15 爪撃Lv16→Lv17 跳躍Lv14→Lv15 夜目Lv9→Lv11
強襲Lv11→Lv12 威嚇Lv9→Lv10
名前 ゲイル ライガーLv10→Lv12
生命力 28→30
魔力 42→46
筋力 42
防御力 21→22
俊敏性 48→54
器用値 22→23
スキル
噛みつきLv14→Lv16 爪撃Lv14→Lv16 威嚇Lv9 夜目Lv8→Lv10 挑発Lv7→Lv9 雷魔法Lv14
名前 リキュール 一角馬Lv7→Lv9
生命力 28→30
魔力 2
筋力 29→30
防御力 18→20
俊敏性 47→51
器用値 36→38
スキル
角撃Lv8→Lv10 蹴り技Lv3 突進Lv8→Lv9 乗馬Lv19→Lv20 疾走Lv12→Lv14
名前 狐子 野狐Lv6→Lv7
生命力 22→23
魔力 36→38
筋力 32
防御力 13→14
俊敏性 32
器用値 22→23
スキル
噛みつきLv7 気配察知Lv7→Lv8 火魔法Lv8→Lv9 夜目Lv5→Lv7
狐火Lv9→Lv10 妖術Lv2 幻術Lv5 憑依Lv2
名前 ルート キングコブラLv2→Lv5
生命力 38→44
魔力 16→19
筋力 31→35
防御力 19→21
俊敏性 27→28
器用値 26→28
スキル
噛みつきLv2→Lv4 巻き付きLv4→Lv6 毒Lv2→Lv4 熱探知Lv2→Lv4 毒液Lv3→Lv5