#169 乗り物襲撃とゴブリンの罠
というわけで早速フィールドに向かう。俺のメンバーは恋火、コノハ、白夜、優牙、サビクだ。そこにメルたちとルインさんたち。これで17人。残りは13人だ。
ルーク、チロル、烈風さんが2体ずつ召喚獣を出して、猛獣使いの雷電がテイムモンスター3体となった。
まず、キングコングの砦にたどり着かないと話にならないので、最初は偵察に向いている。飛行系やウルフ系が選ばれた。
「安心感あるよね~」
「うん…これならきっと大丈夫だよね?」
「二人とも安心しないの。お荷物になったりしたら、ダメよ」
「「が、頑張ります」」
ルインさんが気を引き締めるとユーコさんが言う。
「まぁ、このメンバーなら大丈夫でしょ! 楽勝楽勝」
「そうなんだ。じゃあ、ユーコはキングコングの相手頑張ってね。私、猿アレルギーだから」
「普通にイベントで戦ってたじゃん!?」
「ユーコにはわからないよ…あの猿のエロ顔の恐怖が」
どうやらメルはキングコングに狙われたらしい。普通の猿にも捕まっていたし、散々なイベントだったのかも知れない。
「まぁ、今回は頼れるナイト様がいるから大丈夫でしょ」
「だってよ。ケーゴ。がんば」
「お前が俺に話を振るのか!? というかお前が頑張らないと約束が違うからな!」
「俺、猿と戦ったら死んでしまう病なんだよ」
「ネタが古いわ! というかお前も猿と戦っていただろうが!」
「さっき発症したんだよ」
「そんなわけあるかぁ」
あるから言っているんだけどな。
さて、そんな下らない話をしながら進んでいくと、森を抜け、草原に出る。向かいにはまた森が続いている場所でウルフたちが一斉に警戒する。
「タクトお兄ちゃん…何か来ます」
恋火も警告する。
「みんな戦闘準備!」
「前に出ます」
「お願い。気を付けてね」
「はい。みんな、やるぞ」
全員が返事をして、戦闘体勢を取る。
メルたちとも視線で合図し、お互い別れる。下手に関わると連携が壊れるからな。
さて、何が来るかな?と思っていたら、がらがらと何か音が聞こえてきた。
「これは…嫌な予感がするな」
そして嫌な予感が的中する。現れたのはゴブリンだが、なんと馬車に乗っている。
しかも1台だけじゃない。
「4…いえ5来ます!」
恋火が正確な数を教えてくれる。助かる。だが馬車5台は多いな…しかも馬車にたくさん乗ってるゴブリンは恐らく…
ゴブリンたちが弓を取り出す。やはりアーチャーか!
「まずいわ! 壁呪文を早く!」
ルインさんも壁呪文を指示する。だが僅かに間に合わない。
「ホー!」
するとコノハ率いる鳥部隊が一斉にアーチャーを攻撃した。コノハ、最高!
『アースウォール!』
複数の土壁が出現した。これで弓は怖くない。だが相手の馬車も優秀だ。攻撃魔法を撃ったが馬車にダメージを与えられなかった。
こうなったら、クラッシュさせるしかないな。
そう思ったときだった。どうやらみんな思考回路は同じみたいだ。
『ボトムレススワンプ!』
みんなイベントでレベルアップしたんだな。ボトムレススワンプを使えるようになっていてもおかしくはない。ただこれは俺も考えたけど、たぶん悪手なんだよな。
ルインさんたちが続けて攻撃するが泥沼に沈んだ馬車は厄介だ。魔法は効かないし、泥沼に落ちるのを恐れて、ウルフたちもどう行動するべきか迷ってしまっている。
こうなってしまったら、仕方無いな。
「白夜、お前なら馬車に乗り移れるな?」
「ガウ!」
「よし、サビクは白夜に乗せてもらえ。恋火と優牙は厳しいか」
「…はい」
二人して垂れ耳になる。
「出来ないならいいよ。相手が馬車で来るからどかしてやるだけだ。ゴブリンたちの相手は任せるぞ」
「はい!」
「ガウ!」
それは俺はルインさんたちに話す。
「向かってくる馬車をスリップさせます。危ないかもしれないので、気をつけてください」
「わかったわ!」
「みんな! 事故ったゴブリンたちを狙うよ!」
その通りなんだけどさ。物凄く悪者な気がするな。
白夜がサビクを連れて泥沼に沈んだ馬車に飛び移る。アーチャーたちは白夜を狙うが風を纏った白夜には通用しない。
そして見事な大ジャンプで馬車に乗っていたゴブリンに噛み付き、サビクも噛み付く、猛毒にすると白夜は泥沼に放り捨てる。
「あ、チャンス」
「あいつを狙え!」
すかさず泥沼に落ちたゴブリンをルークたちが狙う。それを見た白夜は次々放り捨てる。サビクはゴブリンアーチャーを締め付け、噛み付いている。あれは逃げ出せない。
するとレッカが来る。
「ごめん、泥沼の馬車頼める? 馬車のクラッシュは僕がするからさ」
「了解」
流石にメルたちは飛び移れないか。ケーゴなら出来そうだが、矢を回避しながらは無理だろうな。どうやら白夜たちの戦いは済んだので、ポジションチェンジする。
レッカが以前見せたアースウォールの利用法で馬車をクラッシュさせる。
放り出されたゴブリンアーチャーが見たのはルインさんたちとルークたちの笑顔だ。
『いらっしゃい』
みんなが杖でゴブリンをボコボコにしている。だがゴブリンの悲劇は終わらなかった。
俺に馬車が突っ込んでくる。俺はレッカと違ってそんなことをする必要がないのだよ。
「スリップ!」
馬と馬車が氷で滑り、偶然馬車がゴブリンとルインさんたちに向かう。
『にげろー!!』
プレイヤーたちは逃げ出すがタコ殴りにあったゴブリンたちは動けない。馬車の大クラッシュに巻き込まれる。
これは酷い…しかも無事のゴブリンは優牙を含むウルフたちに囲まれている。アーチャーでは助からないな。
最後の一台も俺を狙ってきたので、滑らせてクラッシュ。メルたちと恋火が仕留めて、戦闘は終わった。
ゴブリンたちを倒した俺たちは集まる。
「被害はありましたか?」
「大丈夫よ。流石に馬車にはビックリしたけどね」
それはごめんなさい。ああなるとは予想外だった。
「さっきのはなんだったんだ?」
「ゴブリンが多くて上手く識別できなかったけど、恐らく図書館で書かれていたゴブリンライダーが馬車を運転していたんだと思います」
「ライダーで馬車かよ…酷いな」
烈風さんの言う通りだな。
「ユグ、馬車は使えそう?」
「ダメ! 触ることが出来なかった! 解体で手に入ればいいけど」
ルインさんは馬車狙いか。でもゴブリンを解体して馬車ゲットはないよな。
みんなで解体すると全部石ころ。
「喧嘩売っているわね」
その意見には賛成する。でも石ころから魔石作れるんだよね。
「編成はどうしますか? 流石にあんなのが次々来られるとウルフ編成は危ない気がしますが」
「それなんだが、戦うために来たわけじゃないから」
俺がそう言うと視線を感じて振り返る。だが何もいない。
「どうかした? タクト君」
「何かいる…たぶんシーフだ」
俺がそういうと全員が警戒する。
「サビク、何かいる。見付けてくれ」
俺がそういうとサビクが迷わず、進んでいくと突然サビクにナイフが投げられる。サビクは躱す。
「そこだ!」
レッカがレーザーを撃つと被弾したシーフが姿を表し、向かい側の森に逃げ出す。ウルフたちやコノハたちが止めを刺そうとしたとき、グレーウルフたちが吠える。
これはヤバい!?
「罠だ! 召喚獣たちを戻せ!」
『え?』
突然のことでほとんどのプレイヤーが反応出来ない中で恋火たちは反応した。
恋火たちが戻ろうとしたことで他の召喚獣たちも僅かに反応した。これが救いだった。
森から弓矢の雨が召喚獣たちに降り注ぐ。
「危ない!」
「矢だ! 戻れ!」
召喚獣たちが一斉に戻る。だが反応が遅かった召喚獣たちに次々矢が当たり、召喚石に戻る。
くそ!やられた!まさかこんなことをしてくるとは思わなかった!
シーフはわざと発見され、森に潜んでいるアーチャーの攻撃範囲に召喚獣たちを誘い込んだんだ。
「っ!? もう一度!」
「ダメだ。恋火」
「え!? どうしてですか!?」
焦る恋火を宥める。気持ちはわかる。俺だってシーフだけでも仕留めたい。だけど無理だ。ルインさんが話す。
「あいつを仕留めにいけば、あの矢の雨が来るわ」
「壁を作りながら接近しても無理だろうね。壁が持たない」
「ソーサラーがいる可能性もありますよね?」
「ファイターもいるだろうな」
この意見に全員が賛成し、撤退が決まる。だがその前に俺が恋火に聞く。
「敵の数はわかるか?」
「わかりません…どうしてでしょうか?」
やはりかゴブリンたちがいるならウルフたちが察知するはずだ。恋火の質問にルインさんが答える。
「恐らく気配察知を妨害するアイテムを装備してるとかだと思うわ」
「そんなぁ…」
恋火の耳が垂れる。ショックなんだろうな。俺は恋火の頭を撫でる。
「敵の情報を掴んだんだ。誇っていい。帰って作戦を練ろう」
「は、はい!」
その後、リターンで撤退して作戦会議することになった。
名前 白夜 ホワイトタイガーLv11→Lv12
生命力 30→31
魔力 32
筋力 39→40
防御力 25→26
俊敏性 40→42
器用値 25
スキル
噛みつきLv14→Lv15 爪撃Lv13→Lv15 跳躍Lv8→Lv9 夜目Lv9 威嚇Lv7 風魔法Lv13→Lv14
疾走Lv11→Lv12
名前 優牙 ホワイトウルフLv9→Lv10
生命力 29→30
魔力 21→22
筋力 31→32
防御力 30→31
俊敏性 35
器用値 24
スキル
噛みつきLv15 気配察知Lv12 夜目Lv9 水化の牙Lv14
名前 サビク ブラックマンバLv5→Lv6
生命力 42→43
魔力 12→13
筋力 28
防御力 16
俊敏性 29→30
器用値 23→25
スキル
噛みつきLv10→Lv11 巻き付きLv7→Lv8 猛毒Lv9→Lv10 熱探知Lv6→Lv7