#168 ポイント相談とエリア解放イベント
三人が王城に向かうのをお見送りする。そしてこっちを見るプレイヤーたちに声をかける。
「何をしているんだ?」
「えーっと。お店を開かないのかなと思いまして」
「そうそう。決してNPCとの密談が気になったとかそんなことないから!」
「ちょ、お前!?」
「えーっと。彼女のセリフはなしで」
雷電さん、それは無理だろ。チロルのやつ、こういうの苦手なんだな。
「そうか。お店はルインさんが開く予定だからその時に来てくれ」
俺が店に入ろうとすると四人が止めに来る。
『ちょっと待った〜!』
「なんだよ。俺はレベル上げに新しいクエストにと忙しいんだよ」
『新しいクエスト!?』
全員の目が光った気がする。
「言っとくがさっきの三人とは無関係だぞ? 冒険者ギルドで普通に受けられるやつだ」
四人ががっかりする。
「タクト君が冒険者ギルドのクエスト受けるなんて珍しいわね」
ルインさんたちが来た。お!
「皆さん、クラスチェンジしたんですね。おめでとうございます」
「お陰様でね。多分私たちのサーバーの人たちはみんなクラスチェンジしたと思うわ」
「タクト君はイベント結果ぶっちぎりの一位だよね」
「お陰様でね」
「真似しなくていいわよ。イベントや報酬のことで相談したいから中で話しましょう」
「はい」
『お邪魔しまーす!』
なんで彼らは入ってくるんだろう。
全員の第一声がこれだ。
『小さくなってる?』
「小さくなってるわけじゃないよ!」
「訂正を求めます!」
リリーとイオンがそういうがセチアが言う。
「お二人共、自分たちのことをそう言っていたじゃないですか」
「「うぐ…」」
まずはリリーたちのことから話しますか。
「竜化の代償ね。まぁ、これぐらいのものじゃないとバランスが取れていないのかもしれないわね」
「むしろちょっと甘め?」
「それは今後のことがあるからだと思うわ。今回の報酬で竜の卵があったから近いうちにドラゴンが登場するかも知れないわ」
そうなると普通のドラゴンのほうが強いということになるわけだな。
「タクト君はカプセルに届いたわよね?」
全員が聞き耳を立てる。君たちね…野次馬根性丸出し過ぎるだろ。
「はい。最後のロボ出現トリガーを踏んだポイントで交換出来ました。お陰でレベルアップは無かったんですけどね」
「あれにはそれだけの価値があったんでしょ? あれはなんだったのかしら?」
全員を見渡し、チロルを見る。
「すみません。かなりデリケートな話でちょっと公開出来ません」
「あれ? 私を見て判断された?」
「当然だろ…さっきも言えなかったみたいだし、相当ヤバいもんなのか?」
「最悪、俺たちは国とギルドの縁を切って、無人島生活をすることになりますね」
『えぇ!?』
全員が驚くが実際そうなっていてもおかしくなさそうだったもんな。
「そこまで危険なものだったの?」
「はい。もちろんそうならないために先ほど手を打ちましたからたぶん大丈夫だと思います」
「それならよかったわ。じゃあ、この話は話せるようになったら、話してちょうだい」
「約束します」
次に他のポイントについて話す。
「中級火炉と中級鍛冶師のハンマーを交換するのね」
「はい。ヘーパイストスには必要なものだと思いますし、俺たちもいい武器が欲しいですからね」
「しっかりしているわね。それで残り7600の使い道を悩んでるのね?」
「はい。属性石にするか他のアイテムにするか悩んでます」
「そうね。私が薦めるならまずはインベントリの拡張、中級金庫ね。気になっているのがキャンプセットね」
そんなものがあったか。確かにインベントリの量を増やせるのはありがたいな。100ptで10増えるみたいだ。中級金庫はお店持ちだからお金やアイテムをより多く保管できるのは確かにありがたい。3000ptするがこれは冒険者ギルドでも売られているものだ。
謎のキャンプセットは俺も気になった。全員、フィールドでログアウト出来るアイテムなんじゃないかという話だった。因みに3000pt。
俺が悩んでいるとチロルが爆弾を投下した。
「タクトさんはブラシを交換しないんですか? 召喚獣用のブラシがあるんですよ」
お店にいる召喚獣たちが超反応をした。全然気が付かなかった。あ、亜人種用と召喚獣用のブラシがある。どちらも1500pt。
『じ〜』
全員からの視線攻撃。そんな顔しなくても交換するよ。グレイたちにご褒美なかったからな。
結局ブラシ2、キャンプセット、残りの1600はインベントリの拡張に使った。で、早速ブラシの効果を試す。
「最初はリリーから!」
というわけでリリーの髪の毛をブラッシングしてあげる。
「うわ〜……」
リリーが口を開けて、目を細めている。やめると正気に戻る。グレイも召喚してやると目を細めて、ゴロンとなる。
「クゥーン…」
こんな声を出したグレイは初めてだな。
「あんなにかっこよかったグレイちゃんがここまで堕落してしまうなんて…」
「恐るべし、タクトさんのブラッシング攻撃」
なんだその情けない攻撃は!?因みにこの攻撃をイオンにしてみた。
「ふにゃ〜……」
猫化した。セチアにしてみる。
「あぁ…ダメです…これは…あぁ〜」
身悶えた。犯罪臭がするからやめてほしい。恋火はリクエストで尻尾にすると。
「すぅ…すぅ…」
寝落ちした。効果は抜群のようだ。
で、どうなったかと言うと全員をブラッシングしながら話を続ける。現在はコノハをブラッシングしているが、目を細めて気持ちよさそうにしている。
「戦功ポイントは本気で悩んでます。ステータスオーブで黒鉄の俊敏値を上げたいと思っているんですけど、他におすすめとかありますか?」
「ヘーパイストスに拘るなら、鉄鉱石とか下の方にあったわよ?」
なんですと?確認すると発見した。200ptで交換できるみたい。イクスの武器の200に届いた!これをすると残り21000pt。恋火の武器などのことも考えて50交換して、残りは黒鉄の俊敏値に決まった。
早速ヘーパイストスに武器依頼をした。恋火の鉄の片手剣と俺の鉄の片手剣だ。
「プレイヤーが武器やスキルスクロールに行ってるのに鉱石と召喚獣にポイント使うなんてタクト君らしいわね」
俺が話し終えるとメルたちが来る。今日はみんな早いな。そこで俺は約束を思い出した。しまったな…忘れていた。しかしこれをあげるわけにはいかない。どうするか…いいのがあったね。
「そういえばお礼に装備の約束だったな」
「ん? 確かに言ったがイベント報酬をくれるのか?」
「そんなわけないだろ。ちょうどいいクエストを見付けたんだよ。これあげるから約束はなしな」
『クエスト?』
全員がクエスト見ると驚く。
『エリア解放イベント!?』
ん?みんな驚いているがどうしたんだ?俺が首を捻っているとルークが説明してくれる。
「こういう新しいエリアが解放されるクエストはエリア解放クエストって呼ばれているんです」
なるほど。確かにクリア出来たら新しい所にいけるな。だがそれがどうかしたのかな?
「こういうクエストは特別で報酬がいいのが特徴なんです」
確かに鉄製の武器は現状いい報酬だろう。
「そっか。じゃあ頑張ってクリアしてくれ」
「ちょっと待て。タクトは参加しないのか?」
「クエストあげたんだから参加しないのが普通だろ?」
「それはそうなんだが…」
ケーゴがいい淀む。レッカが言う。
「タクトが協力してくれないと約束とは違うんじゃないかな?」
「それだと俺まで報酬をもらっちゃうだろ?」
レッカもそれは確かにおかしいことに気が付く。そこでユーコが言ってくる。
「じゃあ、私の剣と鎧で」
「なぜ二つも上げないといけないんだ?」
「タクト君の三人への愛はその程度のものなの!」
「じゃあ、この話は無しだ。最強の武器が手に入るまで待っててくれ。このクエストは俺一人で行ってくる」
『待った~!!』
全員に止められた。なぜ?
「こういうイベントはみんなで協力するものなのよ。タクト君」
「そうなのか?」
『そうです!』
お、おう。みんながそういうならそうなんだろうな。まぁ、運営イベントでみんな協力しあったんだ。このクエストでも協力しあえばいいか。
「じゃあ、この場のメンバーで決まりですね!」
ルークがそういうがさっきと話が違うぞ?
「みんなじゃないのか?」
「たぶんこれは依頼クエストだから誰でも受けられるわ。攻略情報を上げれば問題ないはずよ」
そういうものなんだね。じゃあ、この場のメンバーで頑張りますか。
名前 黒鉄 ロックゴーレムLv9
生命力 53
魔力 0
筋力 61
防御力 61
俊敏性 10→21
器用値 10
スキル
素手Lv11 防御Lv20 挑発Lv15 物理耐性Lv19 採掘Lv6 投擲Lv3
ちょっと補足します。本文にはあえて書きませんでしたが、ルインたちが必死に止めているのは初回のクリア報酬があると考えているからです。