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#1524 星喰魔神サタン

サタンが墜落した場所に俺たちが近付くと噴き出す魔素が変化する。星の光が大量の魔素に混じり出して来ると地震が発生すると空気まで振動し、俺たちはとんでもない威圧と悪寒に襲われるがみんなが気合いの声を挙げて、威圧と悪寒を弾き飛ばした。


そして遂にこのゲームのラスボスにして俺の父さんが穴の中から這い上がって来た。俺はその巨大な姿に絶句する。サタンの姿は人型ではなく、一番近い敵だとテュポーンだな。身体は全体的に真っ黒で所々紋様のような光の線が体に走っている。


顔は父さんの面影が全くなく、赤い目にデーモンの角があるだけだ。背中には十枚の蝙蝠の羽と上半身から下半身にかけて無数の触手が発生している。はっきり言って相当気色悪い。死んだ父との再会がこんな姿なんてギャグの領域を飛び越えて全く笑えない。とにかく識別しよう。


星喰魔神(ほしぐいまじん)サタンLv100

ボスモンスター 討伐対象 アクティブ


ここでサタンが初めて目の前で言葉を発する。


「よくここまで辿り着いた! しかしまだまだゲームの基本を理解出来ないな! 誠吾よ! ボス戦になる前にマリッジバーストを使わなかったのは大きなミスだぞ!」


うん。声は父さんのものだな。それが分かってホッとした。姿だけでなく声まで違っていたら、父さんと認識出来る自信がない。


「ミスとか言うならそっちのほうだろ…なんだよ。その姿。死んだ父と再会したら謎の気色悪い生命体の姿で再会することになった息子の気持ちを少しは考えてくれよ」


「う…それは…私は悪くないぞ? 文句があるならキャラデザ担当に言ってくれ。このゲームの中では一キャラクターである私には拒否権がないのだからな。その証拠に星の核の一体化したら、強制的にこの姿にさせられたのだ」


それはそうか。まぁ、星と一体化したラスボスとしてのサタンとなるとこういうデザインになってしまうのかも知れないな。しかし父さんは疑っているようだ。


「みんなは私に何か恨みでもあるのか?」


「そりゃあ、あるでしょ」


父さんたちの計画にゲームの運営さんたちは巻き込まれたと言ってもいい。社長さんも父さんの計画に乗りはしたけど、罰せられるのは社長さんだけで恐らく父さんたちは刑罰とか受ける事はない。何故なら父さんたちを人として定義することが出来ないからな。それなら人を裁く法律が適応できるはずがない。もしそれをするなら法律改正は必須となるだろう。そして今回の問題が出てから法律改正しても父さんたちが対象になることは無いから結局無罪で終わると法律に無知な俺は予想する。


そのことを考えると今まで父さんたちが結構無茶な要求とかしていそうだし、少しぐらい嫌がらせをしても許されていいと俺は思う。


「即答するんだな…息子がそんな冷たい人間に育って父さんは悲しいぞ」


「そりゃあ、両親が早死にしたら冷たい人間にもなるだろうさ」


「う…息子の言葉のナイフがぐさぐさ刺さる」


「折角文句を言える機会を貰えたんだ。好きなだけ言いたいことを言わせて貰うさ」


俺の言葉を聞いたサタンは笑みを浮かべると魔素が増幅すると俺も創星近衛を抜いて構えを取るとリリーたちも武器を構える。


「確かにこれは生きているからこそ出来ることだな。しかし私的には息子と遊ぶほうが好みだ」


「だろうね。時間もないし、始めようか。最強最悪の親子喧嘩を」


「違いない。行くぞ!」


「みんな! これが最後の戦いだ! 俺たちの全力でサタンを倒す!」


「「「「おぉ~!」」」」


俺たちとサタンの戦闘が始まった。まずサタンは最初に自身の触手を伸ばして来た。これを見た俺たちはそれぞれ斬り裂くことで対処するがすぐに強化復活で元に戻った。溶断などで斬ってもダメみたいだ。これは状態異常回復だな。


再び襲い掛かって来る触手に対して俺たちは回避すると触手から黒い真珠みたいなものが無数に現れると真っ赤に染まっていくと放射熱線の拡散光線が放たれた。これに対してもそれぞれ対処していくと地面から無数の触手が()えて襲い掛かって来た。これは苗木スキルかな。


「どうした? 誠吾! 逃げてばかりでは勝負にならないぞ!」


『イオン、アリナ。いけるな?』


『はい!』


『いつでも行けるの!』


俺とイオン、アリナの姿が消える。


「流水乱舞!」


「ミーティアエッジ!」


「時空切断! 無限乱刃! はぁあああー! 無限刃! 原子分解! 閃影!」


俺たちは触手を次々斬り落としながらサタンとの距離を詰めてサタンの体を斬り裂き、俺の斬撃はサタンの首を斬り落とした。そして俺たちのこの動きにリリーとノワ、ユウェル、燎刃が合わせる。


「天涯両断!」


「ブレイブサラマンドラ! 雲耀! 猛爆!」


「「王撃!」」


リリーと燎刃がサタンの体をバツの字に斬り裂いた。リリーの斬撃で体が切断され、燎刃の斬撃で爆発と炎の竜がサタンに巻き付き、燃えが上がる。最後にノワとユウェルの王撃が分かれたサタンの体を吹き飛ばした。


並みの敵なら終わりだが、ラスボスがこんなあっさり倒されるはずもないよな。案の定魔素が集まるとサタンの体が復活する。


「勝ったと思ったか? 私は素の状態でも無限属性を有している。そこに更なる星の核からのエネルギー供給を貰うことで無限再生の再生能力が高速化しているのだ。倒す事は容易ではないぞ? 回復無効も封印も今の私にはいかなる状態異常も通用しない。これがこの星と一体となった魔神の力だ」


これは俺たちが装備に付与している再生速度上昇とかの効果の最上位能力をサタンが受けている状態って感じだな。話を聞いた感じやはり星と融合しているサタンは倒すことが不可能な無敵な状態になっているとみて良さそうだ。これに対しては既に攻略法が示唆されている。恐らくアザトースの呪いを封印した呪霊玉を使えば無敵状態は解除される。問題はどうやって使用するかだな。普通に接近して使わせてくれるほど甘くはないだろう。


「そうかよ! っ!?」


「タクト! でやあああ!」


俺がサタンの体を斬り裂くと傷口から触手が出てきて、俺を縛ろうとして来たがリリーが切断してくれて助かったと思ったが斬られた触手が動いてリリーに襲い掛かったがアリナが爆風波で吹き飛ばしてくれた。


そしてこの間にイオンたちがサタンに攻撃してくれるがダメージがすぐに回復してしまうどころが謎のバフが次々サタンに付与される。


「ははははは! 力がどんどん漲ってくれるぞ! 空振!」


俺たちはサタンが腕を振っただけで吹っ飛ばされてしまう。


「何が起きているの!? タクト!?」


「サタンが世界中に触手を地面から生やしてみんなを襲って強化吸収スキルでみんなに付与された強化を自分に与えているんだ。生命力も魔力も吸収しているからこのままだと本当に無敵だな」


無限叡智で知った情報をリリーたちに伝えるとリリーたちの顔が恐怖に染まった。それはつまり今まさにフリーティアやここにいないみんながサタンに襲われていることを意味している。早くサタンの星との融合を解除しないとみんなが持たなくなってしまう。なので俺たちはサタンに再び襲い掛かった。


しかし次から次へと襲い掛かって来る触手に接近がなかなかできない。明らかに接近を嫌っているな。まぁ、俺たちの動きを見れば今の自分に対する攻略法を既に有している事とその条件が接近であることは容易に想像つくか。


「どうした? そんな調子では世界は守れないぞ! もたもたしていくうちに次々人が死んでいくぞ! 誠吾!」


「本当はそんなこと言いたくない癖に…ラスボスの人選は完全にミスっちゃったな。社長さん。森羅万象!」


サタンが息を大きく吸い上げると俺がサタンの首を跳ねてブレスを阻止した。俺には父さんが心を痛めながらみんなやNPCを襲っている気持ちが少しだけ理解出来た。プレイヤーたちは自分が作ったゲームを最後までプレイしてくれた人たちであり、NPCたちは自分が作った言わば子供だ。それを倒す事に心を痛めない人がいるのだろうか?俺は少なくとも心を痛めるな。


「大技なんて簡単に使わせるはずないだろう?」


「そうだな。魔神ブレス! 死滅光線! 黒雷!」


サタンは首の状態で魔神ブレスを放って来た。これは空にいる俺に向けられたので、被害はない。そして躱した俺に目から追撃の死滅光線、角から黒雷が放たれたが死滅光線は斬り裂いて黒雷は吸収する。


『みんな、頼む』


「光龍王解放!」


「水龍王解放!」


「…闇龍王解放!」


「土龍王解放!」


リリー、イオン、ノワ、ユウェルの龍王解放が発動する。


「おぉ! これが四体の龍王の力か! 面白い! 受けて立ってやろう! デモンズノヴァ!」


「「「「いけぇええええええ!」」」」


サタンのデモンズノヴァと四属性の龍王が激突すると接戦を制して四属性の龍王がサタンに直撃するとサタンの全身が閃光に包まれると大爆発する。これで邪魔な触手は一旦壊滅した。仕掛けるならここだろう。


「神槍ロンギヌス! 伝説解放! 英雄技! イコーリティ・ロンギヌス!」


俺が神槍ロンギヌスで突撃する。さぁ、この攻撃をどうするよ。父さん。


「甘いぞ! 誠吾! 部位竜化!」


俺が突撃しようとしたサタンの胸からウロボロスドラゴンのような顔が現れると大きな口で俺を噛み砕いした。


「タクト!?」


「流石ですね。タクトさん」


「えぇ。食べられる前に剣のルーンを使用して技のコースを変えるとドラゴンの牙に技を当てる事で技を解除しましたね。お陰で神障壁の展開を間に合わせました」


燎刃の言う通りで俺はなんとか噛みつきからも食べられることからも回避しつつ、サタンの体内に侵入できた。やはりサタンは俺たちの攻略法が何なのかまでは知らなかったみたいだね。


「これで終わりか? 誠吾?」


「終わりなわけないだろう?」


「ッ!?」


「神槍ロンギヌスを餌に使った甲斐があったぜ。これが俺たちの切り札だ」


俺はアザトースの呪いが封印された呪霊玉を投げつけて封印を解除するとサタンの体内でアザトースの呪いが広がっていく。


「な、なんだ!? これは!? ごわぁあああああ!? は、腹が痛い!? 会社の会議で上役たちの前でプレゼン中に腹痛を起こした時を思い出す!?」


あぁ…途中でトイレに行けないやつね。例えにそれが出て来るのが社会人だな。俺は満員電車で経験した。トイレまで到達不可能で詰んでいたんだよな。なんとか途中下車して間に合わせるほどにあの時はやばかった。


サタンの異変はサタンが地面に生やした触手たちにも発生する。気色悪く動き回ると急に止まり、星の光となって消えて行った。そして地面からサタンの体に対して赤雷が発生する。


「ぐぅううううう!? 身体が!? 私の身体が操作不能だと!? 何をしたーーーー!? 誠吾ーーーーー!?」


本体は羽ばたき、天井にぶつかると地表への穴が開いて更に天へと上昇していく。これが異星の神に発生する星からの拒絶反応か。こうしてサタンは宇宙空間に行き、リリーたちはサタンの体内にいる俺を思い出して慌てて宇宙に上がって行く。


「ぐぅううううう!? 腹が!? 私の腹が爆発するぅうううううー!? あぁあああああーーー!?」


宇宙空間で巨大なサタンが大爆発する。その結果、宇宙空間に残ったのは人姿のサタンと俺だった。凄く変な形だがこうして俺は父さんと本当の意味で再会を果たした。

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動物保護をしている少年は異世界で虐げられている亜人を救います
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