#1522 サタン城パンデモニウム
みんなが激闘を開始しようとしている頃、俺とリリーたち、恋火、イクス、和狐、ブラン、セフォネはルキフグスの城に向かうとルキフグスの城の地下にあるデモンズゲートを通って、サタンが支配する冥界に転移する。
転移した場所はサタンの城パンデモニウムの中だ。つまり敵の本拠地の中を飛び込んだ形となる。そうなるとルキフグスの敗北を知っているであろう悪魔たちは当然デモンズゲートの前で待ち伏せしていた。しかしそれぐらいはこちらも予想している。
「「「「デモンクラッシャー!」」」」
「カラミティカリバー!」
「流水乱舞!」
「雪月花!」
「王撃!」
一斉に魔神たちが襲い掛かってきたがゲートから現れたリリー、イオン、恋火、燎刃が返り討ちにした。しかしそれで怯む魔神たちじゃなかったがそれぞれ武器を持って襲い掛かって来たがイクスの狙撃で撃ち抜かれる。それで怯んだ敵をアリナが斬り刻んでいくとユウェルがドラゴンホイールを使用して次々魔神たちを引きながらぶっ飛ばしていく。
だが流石にサタンの城にいる魔神たちは一筋縄ではいかないらしい。転がるユウェルに対して巨体の魔神が金剛装甲を使用するとなんと素手でユウェルを掴んで、ユウェルの移動も回転も止めてしまった。そしてユウェルを持ち上げて、パイルドライバーの態勢を取り、飛び上がる。
「パイルドライバー!」
「わぁあああああ!?」
「…影竜」
「何!? ぐわ!?」
ここでノワの影竜がユウェルを掴んでいる魔神に噛みつくと逆に地面に叩きつけた。これでユウェルが解放されると神籠手ユウェルバスターを装備して巨体の魔神をぶっ飛ばした。しかしユウェルがいる場所は俺たちに近いがユウェルは完全に孤立してしまっている。
なんとかしようとリリー、イオン、恋火、アリナ、燎刃が突撃するがそれぞれ魔神に攻撃を止められてしまう。ファリーダのレベルには到達していないがかなり育っている魔神たちだな。しかもちゃんとリリーたちのタイプに合わせた敵をぶつけているようだ。
「仕方ないのぅ…行くぞ。ノワ」
「…ん。にぃをお願い。イクス、和狐」
セフォネとノワが転移でユウェルの援護に向かった。それを見たのかデモンズゲートの後ろに隠れていた魔神たちが一斉に襲い掛かって来た。イクスが撃つが流石に数が多く、体のタフだ。何より俺を必ず暗殺すると言う意志を感じた。
「遮断結界! 狐稲爆!」
和狐が遮断結界を展開して突撃した敵を強制的に押しかけすと尻尾を振って、狐稲爆が放たれる。それでもナイフを遮断結界に何度でも叩きつける魔神たちはかなり狂気だな。そんな彼らはジェノサイドユニットに換装したイクスに斬り刻まれて倒される。
「「ミーティアエッジ!」」
そしてリリーたちも次々魔神を倒していく。やはりレベルの差と武器の差があり過ぎて、リリーたちの相手としてはやや不足だな。ミーティアエッジの連撃に対してリリーの場合は攻撃が重すぎて、対処が追い付かず、イオンの場合は早すぎて防御しきれていない。
今のリリーたちに対してやや不足というのはかなりレベルが高いってことになるんだけどね。その証拠に武技の使用中のところを背後からしっかり狙っている。最も狙われることが分かっているからそこはみんなフォローに動いているけどね。
ここでユウェルたちとも合流してそれぞれ連携しながら魔神を倒していく。本当にみんな集団戦が上手くなった。自分が苦手な相手に対してすぐに得意な人に対処を任せる動きとその判断速度が滅茶苦茶速い。ここまでの冒険でのステータスには表示されない経験値はここまで高くなっているんだな。
俺が感心していると最後の一体をアリナがフェンリルレイピアで貫いて倒したところで今いる場所から階段を上がっていると階段の上から次々魔神たちがやって来る。流石サタンの城だな。数が半端ない。それは廊下に出ても変わりはなかった。
全体的に部屋も廊下も広いんだが、限られた空間であることは変わりない。そうなるとやはり火属性が強い。火炎もそうだが猛爆からの逃げ場がない。ダメージ覚悟で突っ込んで来ているがそれだと返り討ちで終わるんだよな。
戦闘している魔神たちを見て思ったが魔神たちはリリーたちに対して属性の有利性を取れていないな。空を飛んでもアリナの気流支配に対抗出来ていないし、筋力勝負でも恋火たちに勝てていない。ファリーダが見たら、悲しくなる惨状だろうが通常の魔神だと闇以外の属性の有利性はそこまで高くないのかも知れない。
そんなことを考えながら廊下を進んでいくと巨大なドアが見えて、広い空間に出るとそこには階段があった。作りから判断するとお城のエントランスホールっぽいな。あのでかいドアは恐らくパンデモニウムの出入り口だと思われる。そうなると俺たちが通って来たデモンズゲートがあった場所は地下とに言うことになるのかな?
俺の予想が正解だと分かったのは二階に上がり窓から外を見たことで分かった。するとここでリリーがある物を見つけてしまう。
「外は氷の世界なんだね! タクト! ん? ひっ!?」
「どうした? リリー?」
「タクト! 外の上を見て! 氷の中に巨人がいるよ!」
リリーに言われて外を見るとそこは凍った地面と壁が広がった世界だった。そしてリリーが言っている存在は氷の壁の中にいた。そこには巨人たちが氷の中で更に鎖で縛られていた。しかもその巨人たちの目が動いていた。確かにこれをいきなり見るとビビるだろうな。
「ひっ!? ぷ」
「ふふ。可愛いですね。リリー」
「も、もう! アリナちゃん! 真似しないでよ! イオンちゃんも可愛いとか言わないで! リリーは強いんだよ!」
二人にリリーが弄られていると魔神たちがまた襲い掛かって来たが不機嫌なリリーにぶっ飛ばされる。暗殺を狙うタイミングが最悪だったな。
パンデモニウムがあるこの冥界の名はがこのゲームの氷魔法の名前にもなっているコキュートスで確定だろう。ギリシャ神話では巨人たちの戦争ギガントマキアーで負けて落とされた巨人たちが封じられた場所であり、ダンテの神曲ではルシファーが封印されている場所となっている。ダンテの神曲ではルシファーはサタンのことを指しているので、コキュートスにサタンの根城があるのは不思議じゃないな。
俺たちが進んでいくと目の前に巨体な穴が現れた。そしてその巨大な穴がある場所は外に繋がっており、外の魔神たちと悪魔たちが一斉に襲い掛かって来た。
「「ハーミットテイル!」」
「ドラゴンウイング! 神角! 空振! 星虹! 突撃なの!」
「お供します! ドラゴンウイング! 焼尽!」
「外だー! ここなら思いっきり戦える!」
恋火と和狐が尻尾で襲い掛かって来た敵を尻尾で貫くと城の壁にぶつけるとアリナと燎刃が取り出し、アリナは敵を吹き飛ばしていき、燎刃が通った場所では爆発が起きる。そこにリリーたちまで激突していく。
そんな戦闘をリリーたちがしている状況で俺は穴の下を見る。
「この穴はなんだ? 明らかに建物を壊しているが」
「そうどすな。というかここから一気に上とか登れそうやけどいいんどすやろか?」
確かに三階とか四階に続く廊下が見えている。まるで建物にミサイルか何かが落ちて来たようだが、イクスがこの穴の正体を教えてくれる。
「この穴はウロボロスドラゴンを解放する際に使用された砲撃の跡である可能性が極めて高いです。マスター」
ここからあのとんでもない攻撃を放ったのか。しかしなぜそんなことをしたのか謎だ。するとイクスが解答する。
「恐らく城の中に隠す形で兵器開発をしたのではないでしょうか? 外に配置すれば見えてしまいますし、兵器開発の施設を作ればそれもまた警戒されます。その点、城の中なら気付かれることはありませんし、不意打ちを確実に付けると思われます」
「確かにな。自分の城を捨て駒に使ったのか。凄い事をするな」
お陰でミカエルたちは後手に回ることになったんだからサタンの作戦を大成功という訳だ。
「となるとこの下に兵器があるのか?」
「はい。残骸をデウス高性能ヘッドギアで確認しました。どうやら一発限りの兵器だったようですね」
まぁ、サタンからするとパンデモニウムもとんでも兵器ももはや必要がない状況だからこんな一手を講じたんだろう。
「となると俺たちの向かう先は何処になるんだ? 玉座も下手したら、吹っ飛んでいそうだし、下に行っても兵器はない。目指す場所は下と言うことになるんだろうが城を探索するべきか? サタンのところに向かう為の何か見つけるかも知れないから探索するしかないか」
「了解です。マスター」
そんなわけで俺たちが魔神たちと戦いながらパンデモニウムの探索をしたが綺麗に何もない。流石にサタンの城で宝箱とか何もないということはあり得ないと思うので、砲撃で全部吹き飛んだ説が濃厚だな。やっていることがえぐすぎだろ。父さん。
こうなるともうパンデモニウムには何もないと言う事になる。何かヒントがあるとするならダンテの神曲でルシファーが封印されている場所だ。俺たちはミカエルと連絡を取り、サタンがエデンの創造神の一撃を受けて墜落した場所を教えて貰った。やはりパンデモニウムがその場所ではないらしい。そんなわけで俺たちは冥界コキュートスの探索を開始することになった。




