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#1521 嫁姑対決

最後の対決はフリーティアだ。ここには俺の母であるルシファーが攻め込んでいた。しかしルシファーは他の魔神たちとは違った。単独で現れるとフリーティア軍に対してシルフィとの対決を要請してきた。


「そんな要求飲めるはずがないだろう!」


サラ姫様はそういうがルシファーは断言する。


「シルフィ姫は私の要求を飲みますよ。あなたが本当にフリーティアの英雄の妻だと言うなら尚更ね」


「なんだと?」


「ふふ。私は妻の夫への愛は一番で無ければらならないと思っています。しかし困ったことに息子への母の愛も一番だと思っているんです。なので折角機会を頂けたならどちらの愛が一番か決めたいと思いました。これを受けてくれるなら私は戦っている間はフリーティアには手出ししません。ただここに攻め込んでいるサタンの軍勢は私では止めれませんので、そこは了承してください」


ルシファーのこの発言から魔神たちとサタンの軍勢は指揮しているわけじゃないことが判明した。ただこれはそれぞれ違うだろうな。レヴィアタンの場合は明らかにレヴィアタンと連携し、ベルゼブブも魔神たちはベルゼブブの指示に従っていた。これは自分の配下の魔神かどうかが影響しているんだろう。


「そんな要求飲めるはずがないだろう!」


「いいえ。サラ。その要求飲みましょう」


「シルフィお姉様!?」


「出てきましたね。フリーティアの第一王女」


ルシファーが近くに降りるとフリーティアの兵士たちが一斉に攻撃しようとしたがシルフィは手をそれを制した。ここでルシファーを攻撃したら、間違いなくルシファーの攻撃は兵士や町に向く。それに並みの人の攻撃がルシファーに通用するはずもないからシルフィは止めたのだ。そしてシルフィはルシファーに言う。


「私との対決ということは私の召喚獣全員と戦う事を意味していますがそれでよろしいんですね?」


「えぇ。最もあなたに全ての召喚獣を私に向ける余裕があればの話ですけどね」


シルフィは既に情報で聞いているが現在フリーティアに侵攻しているサタンの軍勢はなんと全方位からアバドンが二十五体確認されている。つまりアバドン百体とそれに率いられたサタンの軍勢がフリーティアに向かっているとう状況だ。フリーティアのプレイヤーたちは結構各地に散っている状況なので、この状況は大変よろしくない。


一応アーレイやミランダ、メルたち、満月さんたちがいるので戦力はいるんだけど、流石にアバドン百体はきつい。しかも無限湧き状態だしな。流石にシルフィの召喚獣も防衛に多少は回すべきだろう。それを理解した上でのルシファーの発言だった。


シルフィは自分の召喚獣を全て召喚するとエンシェントドラゴンの頭に乗り、他のドラゴンたちと共に空に上がっている。こうなるとやはり六体ドラゴンのマリッジバーストで戦う事になるよな。シルフィが全属性の竜騎士モードになる。


「この姿であなたを倒しましょう」


「それでこそ息子が惚れた女性です。あなたの愛の強さ。見せて貰いますよ」


こうしてルシファーとシルフィの嫁姑(よめしゅうとめ)対決がフリーティアの上空で勃発した。最初にお互い接近して魔素刃と星光刃が激突し、お互いに弾いて距離が開くとシルフィはドラゴンブレス、ルシファーは冥波動を放ち、空が爆発に包まれる。これはどうやら互角に終わったらしい。


そして両者は爆煙の中、飛び込むと煙の中で両者の斬撃の応酬が行われた。この応酬も攻撃のヒットはなし。ここでシルフィが死滅光線からの拡散光線を放ってきたので、シルフィは光吸収を発動して接近戦を挑んだ。しかしこれはルシファーの誘いだ。


「堕天使技! フォールンフェザー!」


ルシファーの羽が舞い散るとそこに突っ込んだシルフィは舞い散った羽から紫電の攻撃を受けて、麻痺になる。そしてシルフィは紫電の槍を構えてテンペストペネトレイターで突っ込んで来た。しかしシルフィも麻痺をエンシェントドラゴンが持つ状態異常回復で解除するとテンペストペネトレイターで突っ込んで来ているルシファーの下に潜り込みドラゴンクローを叩き込んた。そしてそこからドラゴンテイルに繋げてルシファーを地面に墜落させる。


これでルシファーに半減スキルが発動するがシルフィも状態異常を解除して対処する。どちらも本気で倒しに行っているな。現時点ではルシファーのほうがダメージを負っているが勝負は互角の展開だ。しかしこうなると倍化スキルがあるシルフィが有利となる。


どんどん筋力が上がって行き、スピードも上がって行く中、ルシファーに攻撃が届かない。これはルシファーの戦闘の上手さだな。攻撃を受け流すことが非常に上手い。これは明らかに父さんの仕業だ。そして圧倒的に自分が有利な状況で勝負を決めきれないシルフィ側が焦りを生んでルシファーに細かくカウンターを受けて、それがまた焦りを生む。


攻撃範囲が広くなる部位竜化した腕でルシファーをぶっ飛ばそうとしたシルフィだったがルシファーは下に潜り込んでシルフィの足を掴むとそのまま地面に急降下して地面に叩き尽きると更にシルフィの背中にデモングランドクラックが炸裂する。


悶絶するシルフィだが、すぐさま転がり、ルシファーの足を掴もうとした。これはタラスクの防御スキルがあってこそだな。普通なら背骨がやられている攻撃だ。


シルフィの攻撃を察したルシファーは空に逃げると紫電の槍を周囲に作り出すと武装射出で攻撃して来た。これに対してシルフィは払い受けると再び接近戦となり、シルフィがガンガン攻めてシルファーが受け流してはカウンターの流れとなる。


シルフィはそもそも接近戦タイプじゃないか。魔法や遠距離攻撃で相手を追い詰めていく魔法使いタイプだ。これがドラゴンのマリッジバーストを使うとどうしてもこういう戦闘を取ってしまうのがシルフィの弱点だな。


元々筋力と俊敏性が低くて日ごろ接近戦が出来ない上に倍化、半減などの接近戦が有利となるスキルが豊富にあるから接近戦を好んでいる感じだ。逆にルシファーは自分が慣れている戦闘をしているだけ。そうなるとやはり技術的な差はどうしても出て来るよな。


「一発当たりさえすれば…はぁあああああ!」


「堕天使技! フォールンサザンクロス!」


シルファーに拳を構えて突撃したシルフィが紫色の光の十字架に磔にされてしまう。これは初めて見る技だな。シルフィは力付くで抜けだそうとするがそんな甘い技じゃない。


「冥撃! 黒星! 魔神波動!」


シルフィーに冥撃が炸裂したことでフォールンサザンクロスは解除されたが続くゼロ距離からぶつけられた黒星でシルフィは爆発し、墜落しているところに更に魔神波動の追撃を受けてしまった。しかしこの攻撃を受けてもシルフィは立ち上がる。それを見たルシファーは感想を言う。


「流石にドラゴン六体となるとタフですね」


シルフィが息を大きく吸って吐くとルシファーに襲い掛かる。ルシファーは相変わらずシルフィの攻撃を受け流してシルフィが大振り攻撃をするとルシファーはそれに合わせてカウンターを狙って来る。しかしその瞬間、シルフィは羽を羽ばたかせて後ろに下がることでカウンターを外させた。そして遂にルシファーの顔面にドラゴンクローが炸裂してルシファーは巨大隕石が落下した衝撃波を地面に発生させる。


どうやらドラゴンたちがシルフィをいさめたらしい。そして俺の戦闘を思い出して見事なカウンター殺しを決めた。


「それでこそ…」


「はぁああああ!」


「冥府鎖!」


シルフィはルシファーに追撃しようとしたがルシファーはジャンプして攻撃を躱すとシルフィを冥府鎖で縛り上げた。しかしこれは倍化の効果で十分強化されたシルフィにとってはあっさり引き千切れるものだ。案の定すぐに引き千切れたがルシファーからすると時間はそれだけで十分だ。


「強化吸収。先程の一撃、お返ししましょう。デモンクラッシャー!」


シルフィはぶっ飛ばされるとフリーティアの城壁を破壊して、町も一直線に破壊していくと逆側の城壁まで破壊されて、地面に何度もバウンドする。それだけ戦闘が長引いて倍化の強化がとんでもないことになっていた証拠だ。


「私たちの強化を…」


ここで両者は回復魔法で体力を回復される。お互いに不屈で耐えたがこのまま戦闘を続けても不屈スキルが切れたタイミングで勝負が決する。そしてここからはルシファーのターンとなり、シルフィは守りを固めた。


流石に強化の差が出来てしまったので、この判断は妥当だ。そもそもシルフィはまた倍化で強化されて行き、ルシファーには強化手段はない。耐えればまた力の関係はシルフィが有利となることが分かっているシルフィは冷静だ。


ここからはルシファーとシルフィの追いかけっこのような戦闘だ。シルフィは魔法や遠距離スキルで牽制しながらルシファーと距離を取り、接近戦になると攻撃を躱すことに集中して、致命傷となりえる攻撃はしっかりガードしていく。


それでもやはりステータスで圧倒的に有利となったルシファーはガンガンさせてきたがシルフィを落としきれずに遂には自分の有利性を失った。


「はぁ…はぁ…なんてしぶとい…」


「はぁ…はぁ…タクトはどんな状況でも諦めることはしなかった人ですからね。妻の私が諦めるわけにはいかないんです。ここでもし諦めたら、私はタクトの隣に立てなくなりますから。それだけは絶対に嫌なんです! タクトのことを愛してしますから」


シルフィの言葉を聞いたルシファーは笑みを浮かべる。シルフィの言葉からは確かな愛があり、NPCがそれを学習して愛を叫んでいるこの状況が嬉しくてたまらない。こういうNPCの姿をこの世界に来てからずっと追い求めていたのが母さんだ。


このゲームの終わりの日に自分が追い求めたNPCの完成形が目の前にいる事実は誇らしくもあるだろうし、自分たちの努力は決して無駄じゃなかったと今、ここで証明されて救われた気持ちにもなった。しかしまだ勝負は決まっていない。


「よくぞ私を前にして言いました。では私も本気の姿となってあなたに答えましょう! 魔神化!」


「ドラゴンフォース!」


ルシファーがルシフェルとなり、シルフィはドラゴンフォースを発動される。


「核撃!」


「水爆!」


両者の攻撃が空で激突し、超爆発が発生し、 嫁姑対決はお互いに譲らない戦闘は続くのだった。

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動物保護をしている少年は異世界で虐げられている亜人を救います
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