#1519 夜の聖戦イベント、アヨーディヤー防衛戦
ここまでは中央大陸の戦いを見て来たがサタンの攻撃を行われているのは中央大陸だけではない。桜花はもちろんのこと暗黒大陸でも戦闘は勃発している。魔神討伐同盟の本拠地があるエステルではアスタロトが率いる魔王部隊の強襲を受けており、プレイヤーたちが応戦している状況だ。
ここでも激戦が続いているがやはり戦力を集中すると他の場所が弱くなるところを突いて来る。狙われたのは梅雨イベントでお世話になった村とラーマが王をしている都アヨーディヤーだ。
梅雨の村ではバエルが現れたがゲイルとロコモコ、エアリーが派遣されているので、苦戦はするだろうが大丈夫だろう。
一方アヨーディヤーに現れた魔王はインドラジットだった。インドラジットは次々猿のセリアンビーストたちを蹴散らしてとんでもない速度でアヨーディヤーに迫っている。
「出てこい! ラーマ! ラクシュマナ!」
完全にこの二人の私怨で動いている。本来なら武将としての才覚がある魔王のはずだが、見る影もない。部隊を放置しての単独行動。これはかなり酷いが蘇生前提ならこういう動きもありではあるんだろう。実際にインドラジットのせいで防衛網はボロボロとなっているからな。
そしてそんなインドラジットに弓矢が飛んで来る。インドラジットは受け止めて弓矢を折ると弓矢が飛んできた方を見る。そこにはラーマの姿があった。
「ラーマ!」
「これ以上の被害は私が許さないぞ! インドラジット!」
両者が激突する。しかしこの組み合わせはラーマが不利だ。しかしインドラジットの天敵であるラクシュマナはルキフグスとの戦いで既に亡くなっている。だからこそラーマを出すしかなかったと言えるのだが、両者が激突するとやはりラーマが負けてしまう。
接近戦からインドラジットの蹴りがラーマの腹に炸裂して吹っ飛ばされたラーマにインドラジットが覇撃で迫る。そんなときにインドラジットの体が雷に貫かれた。
「これは…インドラの雷!?」
「いいえ! 違いますよ!」
「がは!?」
インドラジットを吹っ飛ばしたのは伊雪だ。手にはケラウノスがある。同じ主神クラスの雷だから間違えるのも無理はないのかも知れない。
「君は確かタクトの」
「はい。お父さんの指示でここに来ました。あなたはお父さんの大切なご友人です。こいつの相手は私に任せてください。あなたたちの町を守るためにあなたの力がきっと必要なはずです」
「分かった。頼む!」
このゲームにおけるラーマは基本的には弓が強いからな。弓は平地でも十分に力を発揮するがやっぱり城壁という壁があったほうが一番力を発揮しやすい。ましてやラーマの弓の一撃はとんでもないからインドラジットのようなイレギュラーでもいない限りは防衛戦はかなり盤石な形となる。
そのことを本人も理解しているためかラーマはあっさり引く。当然ラーマのこの行動に怒るのはインドラジットだ。
「待てよ! ラーマ! この雑魚が! 俺様に殺されやがれ!」
「あなたの相手は私だけで十分です」
「天女風情が…俺様の邪魔をしてるんじゃねーよ!」
インドラジットが伊雪に襲い掛かるがインドラジットの攻撃を伊雪はケラウノスで払うとインドラジットの腹にケラウノスが迫ったがインドラジットは後ろに飛んで躱す。そんなインドラジットに向かって伊雪は言う。
「天女風情に後ろに下がっていいんですか?」
「てめぇ…殺す!」
「出来る物ならやってみてください。お父さんからこのケラウノスを授かった私の力…あなたで試させて貰います!」
伊雪とインドラジットの勝負はインドラジットのほうが筋力は上でスピードも攻撃の手数もインドラジットのほうが上だった。しかしインドラジットの攻撃は悉く伊雪に捌かれる。本来のインドラジットならもっと苦戦しただろうが武器をただぶんぶん振るだけのインドラジットじゃ、伊雪の守りを突破出来はしない。
伊雪は基本的にカウンターを狙うタイプだからな。攻撃を受け流しては躱せること攻撃はしっかり躱して一瞬の隙が生まれると鋭い突きが飛んで来る。これが伊雪の戦闘だ。この戦闘に苛立ちを募らせるのがインドラジットだ。
「くそったれ! 大雷轟!」
「避雷針! 無駄ですよ。あなたの雷は私には通用しません」
「チッ…あぁ…分かったよ。それなら徹底的に殴り殺してやるよ!」
「あなたにそれができますかね?」
インドラジットが全ての腕に剣を装備して伊雪に襲い掛かって来る。伊雪は必死に攻撃を受け止めるが流石にパワーで押される。するとここでケラウノスを真上に弾かれてしまう。完全に勝ったと思ったインドラジットは大振りすると次の瞬間、伊雪が逆に懐に入って来て肘打ちをインドラジットに決めた。
俺がよく使う技だ。そして伊雪はインドラジットの顎に掌底を決めるとゼロ距離から太極波動を放つ。流石のインドラジットも吹っ飛び、地面に墜落すると伊雪の天雨が降り注いだ。これを剣で全て斬り裂いて距離を詰めて来るが伊雪の手にケラウノスが戻っており、再び両者の接近戦となる。
そしてやはり伊雪が押される展開となるとインドラジットも同じ手は使わない。今度はナーガパーシャを使った拘束を狙って来た。しかし伊雪は天の披帛で蛇の縄を逆に縛って拘束を止めた。その結果、インドラジットの攻撃のテンポが止まったことでケラウノスの全波動が至近距離からインドラジットに放たれた。
なんとか剣を交差されてガードを取ったが、インドラジットの剣が砕けて、インドラジットの体を焦げている。
「ちっ…インドラの槍と同じ武器を使いやがって、うざったい」
「この槍にも勝利の加護がありますからね。あなたの勝利の加護を打ち消してあなたに確実にダメージを与えます」
「あぁ…お前の強さはよく分かった。だがな。自力で勝利の加護を得た者と武器で勝利の加護を貰っているものとの差を教えてやるよ!」
ここからインドラジットの猛攻が始まる。今まで大振り攻撃や余計な事をしたりと余裕を見せていたインドラジットが徹底した剣を使った接近戦だけ意識して攻撃して来た。
伊雪がインドラジットの攻撃に対応出来ていないことを十分理解した上での選択だ。そしてこの選択は正しい。伊雪は押されっぱなしとなり、防御が追い付かず、インドラジットにぶっ飛ばされるのが増えて来た。
「おらおらおらおら! どうしたよ! さっきまでの威勢は! あん?」
今まで伊雪にガンガン攻撃を当てていたインドラジットの攻撃が連続で外れる。伊雪はその場を動かず、氷華の指輪をインドラジットに見せるとインドラジットが凍り出すが流石に氷結はさせてはくれない。インドラジットは下がって状態異常を解除するが次の瞬間、伊雪のケラウノスの投擲が飛んで来て、これをガードしようとしたがケラウノスが直撃して、インドラジットは地面に落下する。
運勢支配のえげつない所が出たな。攻撃を外させたのも防御を外させたのも運勢支配によるものだ。インドラジットくらいの魔神でこんな初歩的なミスするはず無いからな。
「てめぇ…妙な能力を使いやがって」
インドラジットの腹には風穴が開いていた。流石に電子分解、溶断、溶接を加えた雷速の投擲には流石のインドラジットも耐えられなかったが、ただ腹に風穴が開いたからといって戦いを止めるインドラジットではない。
「魔神技! メーガナーダ・サティー!」
悪魔や戦いに参加していた羅刹たちが消滅してインドラジットの体に吸収されて以前と同じように巨大化すると風穴も無くなってしまった。これを見た伊雪を切り札を切る。
「神棒ケラウノス! 伝説解放! 神威解放!」
神棒ケラウノス(伝説解放、神威解放):レア度10 棒 品質S+
重さ:10 耐久値:21000 攻撃力:11000
効果:神棒技【ケラウノス・コスモス】、神技【ケラウノス・スリアンヴォス】、雷属性アップ(究)、魔獣殺し、竜殺し、巨人殺し、神殺し、魔神殺し、神気、星気、怪力、万物破壊、領域破壊、防御無効、神速、光速激突、神障壁、天候支配、電磁支配、荷重支配、気圧支配、気流支配、電磁場、溶断、溶接、避雷針、超充電、超電磁、雷光、雷光刃、雷鳴、電子分解、火山雷、石化雷、蒼天雷、氷雷、神雷、黒雷、電弧放電、大雷霆、大雷轟、荷電光線、雷波動、神波動、全波動、荷電球、星核、大気震、星震、次元震、神撃、天変地異、帰還、奇跡、加護破壊、耐性無効、巨人の加護、勝利の加護、ゼウスの加護
全知全能の神ゼウスが所有している最強の武器。雷の形状をしている棒で天候を操り、投げられたケラウノスは全属性の雷が降り注いで電熱で世界を焼き滅ぼす威力を誇る。また雷属性の神の武器の中では最強の武器と言われている。
これが神棒ケラウノスの完全解放した姿だ。伊雪の背後にゼウスが現れる。
『儂の力、あの雷の魔神に教えてやれい』
「はい!」
「は! てめぇに俺様は殺せるのかよ! 魔神技! インドラジット・ラッシュ!」
インドラジットのラッシュ技が伊雪に襲い掛かるが伊雪は必死に耐えてる。巨体となってスピードが落ちてくれるならいいんだが、インドラジットの場合は速度が落ちずに拳のサイズが純粋に大きくなっているからガードしにくいんだよな。
その結果、伊雪はぶっ飛ばされてしまう。そしてインドラジットは構えを取った。
「魔神波動! 超集束! 死ね!」
四つの腕で作った魔神波動の力を一つに集めて伊雪に向かって放った。それに対して伊雪の場所からとんでもない稲妻が発生する。
「神技! ケラウノス・スリアンヴォス!」
投げられた神棒ケラウノスと魔神波動が激突すると魔神波動を神棒ケラウノスは貫いていき、インドラジットに炸裂するとインドラジットは放電で丸焦げとなる。そして伊雪は神棒ケラウノスを手元に戻してゼウスが誇るとある伝説の再現をする。
「あなたに見せて上げます。宇宙を滅ぼす雷を。神棒技! ケラウノス・コスモス!」
伊雪は力をチャージする。その間に正気に戻ったインドラジットが伊雪を止めようと攻撃してきたが流石に遅かった。伊雪が神棒ケラウノスを天に掲げた瞬間、フィールド全体が雷に包まれて、敵全てが感電し、破壊される。
これがゼウスの宇宙を破壊出来る雷だ。見ての通りフィールド全てを対象にした全体攻撃技で耐えられた者がいないせいで即死なのかただ純粋に威力がバカげているだけなのか判断が付かないな。恐らく後者だと思われる。
俺との戦いで使わなかったのは技のチャージ時間のせいだな。動けないみたいだし、これはかなりきつい。ただそれを耐えた先にこんなとんでもない技があるならやるだけの価値は十分にある。
ケラウノス・コスモスが炸裂したことでこの戦いは終わったが問題なのはやはりこれからだ。フィールドの全体攻撃なのでサタンの塔も破壊出来たがすぐさま復活して再びインドラジットが現れた。こうなると伊雪の切り札を使わないとインドラジットを止められない。ここでの戦闘も激化していくのだった。




