#1515 ルキフグス戦の被害と蘇った魔神軍
夕飯でクリスマスケーキとローストチキンを佳代姉たちと食べて、クリスマスを祝う。そこでゲームの話が出なかったので、何かが起きたことは察した。しかし楽しいクリスマスパーティーでそういうことを言うべきじゃないと佳代姉たちも思ったから言っていないと思うので、俺もゲームの話を無視してご飯が美味しいとか学校での楽しい話を佳代姉たちと話して最後にお互いに用意したクリスマスプレゼントを渡して、楽しい家族のクリスマス会は終わった。
そしてゲームにログインしてからメルから報告を受ける。
「スカアハ師匠が死んだ?」
「うん…城の中で現れたルキフグス直属の魔神で仮面魔神って魔神がいてね。魔神技で精神誘導効果がある仮面を取り付けて来る魔神でね。クーフーリンが操られちゃって、クーフーリンを止める為に戦ってゲイボルグに貫かれた状態で仮面を解除したの…」
「クーフーリンは大丈夫そう?」
「絶叫して大暴れしていたけど、今は落ち着いているかな? 今回フェルグスもルキフグスに倒されちゃってクーフーリンに第一騎士団長を指名されていたから大変だと思う」
フェルグスさんもやられたのか。仮面魔神の餌食になったのは関羽と張飛が戦い相打ちになったり、孫策と周瑜が戦い相打ちになったりするなど多大な損害が出た。俺と関わりが深い所だとモルドレッドとランスロットが仮面で操られて、ガウェインとパーシヴァル、ケイ、トリスタンと相打ちとなり、ブリュンヒルデが仮面に操られてシグルドさんと戦い、シグルドさんが命を落とした。その後、ブリュンヒルデさんはルキフグスと戦い、倒されている。
「シグルドさん…本気で戦わなかっただろうな」
「そりゃあ、そうだよ。愛する妻に剣を向けるような人じゃないからね。そして幸せの夫婦関係を壊されて黙っていられるブリュンヒルデさんじゃなかった。でもその怒りさえルキフグスの策略でね。偽物を攻撃して暗殺されちゃった」
その光景が目に浮かぶな。他にも桜花では近藤勇、土方歳三、沖田総司、上杉謙信、武田信玄が倒され、暗黒大陸ではラクシュマナ、中央大陸ではローランがルキフグスに倒された。ルキフグスが最初に使った魔神魔法トリックサーカスの被害からすると魔神同盟は壊滅的な被害を出す結果となった。
その中には獣魔ギルドマスターのカインさんや錬金ギルドマスターのニュートンさんとはじめとする禁呪を扱える者の名前があった。アウラさんとネフィはお留守番を任されていたので、無事だったがカインさんはもしかして予期していたのかもしれない。
そして天使たちも四大天使とメタトロン、サンダルフォン以外は全滅するという結果となってしまった。これは寧ろこの六人が天使の中でもひと際強かったという証明だな。ここでメルが聞いて来る。
「一応みんなからタクト君にメッセージとカインさんから手紙があるんだけどどうする?」
「もちろん見るし聞くよ」
「じゃあ、まずスカアハさんからね。『これから私に起きる事は気にするな。お前は私たちが生きたこの世界を救うことだけ考えろ』だって」
「はは…スカアハ師匠らしい」
俺が落ち込むことを予想して俺にこんなメッセージを残したんだと分かる。次はシグルドさんとブリュンヒルデさんだ。
「シグルドさんは『こんなことをする奴らを許すな』、ブリュンヒルデさんは『私がどれだけ罪深いことをしてしまったとしても私たちが生きたこの世界をなかったことにしないで下さい』だってさ」
悪いのは二人を戦わせたルキフグスと仮面魔神とかいう奴らだ。俺の言葉は届かないかも知れないけど、ブリュンヒルデさんは悪くないと伝えたいな。
最後にカインさんの手紙を見る。これは戦闘終了後に見つかったものらしい。別空間に移動させられても解除されれば元の空間に戻される。そこを利用して死ぬ間際に残したんだな。わざわざこの手紙は念話で書き込める特別な手紙らしいし、やはりカインさんは自分がこの戦いで死ぬことを予期していたとしか思えないな。俺は手紙を見る。
『フリーティアがずっと目指してきた未来はサタンを倒した先にある。今更君に言うまでもないとは思うけど召喚師と召喚獣との愛と絆の力は無限大だ。それをサタンの馬鹿に教えてやってくれ』
これもカインさんらしいな。なぜカインさん獣魔ギルドのギルドマスターになったのかよくわかる。ただ禁呪スキルを持っている。強い召喚獣がいるだけじゃない。召喚師と召喚獣のことを死ぬ間際まで考えられる人がギルドマスターになったことは英断だったんだと俺は思う。
この他にも俺の背中を押す英雄たちの言葉が伝えられた。俺は目を閉じて、死んでしまった英雄たちに黙祷すると絶対にサタンに勝つという思いを新たなに目を開ける。
「ルキフグスの城はどうなっているんだ?」
「制圧完了しているよ。それとこれがコキュートスの鍵。これでサタンの根城であるパンデモニウムに行けるよ。ヘルズゲートはルキフグスの城の地下にあるからこの鍵は渡しておくね」
「サンキュー」
俺はメルからコキュートスの鍵を受け取る。これでパンデモニウムに行くことが出来る。最ももうそこにはサタンの姿はないだろうけどな。その後、俺たちは軽い会議をする。戦力が思った以上にいなくなってしまったことで防衛をどうするか問題が発生したのだ。すると会議中にサタンから仕掛けられた。報告が来る。
「緊急報告! 暗黒大陸の海にレヴィアタンが出現しました!」
「ウィザードオーブから緊急報告! サタンの塔から魔神マモンと魔神バロールが現れたとのこと! 進行方向は魔神マモンがウィザードオーブの首都! 魔神バロールがユグドラシルに向かっているもよう!」
「ライヒ帝国より緊急報告! 魔神ベルゼブブが出現! 進行方向は北! エリクサーラピスに向かっています!」
「フリーティアより緊急報告! 魔神ルシファーが出現しました!」
母さんまで蘇生させるのかよ。この他にもアスモデウスがパラディンロード、ヴェインリーフにはアザゼル、桜花にはアスタロト、ワントワークにはベルフェゴールが報告される。この他にも俺たちがかつて戦った魔王や魔神たちが次々各地に出現した。
まるでサタンがいるところに行かせないようにするために町などを狙っているかのようだ。
「残っている戦力だけでこんな戦力に対処するのは難しいですよ!」
「いや、私たちは勝利条件はサタンの討伐なんじゃないかな? つまりタクト君がサタンを倒すまでの時間を稼げばいいだけだ」
「あ、それはそうかもしれませんね。いや、でもそれもきついですよ」
「心配ないですよ。サバ缶さん。私たちも防衛に回りますから」
みんながセチアを見るとセチアが俺に許可を求めて来た。
「ユグドラシルをほっとけませんから行かせてくれませんか? タクト様」
「私もアクアスが心配です。ライヒ帝国からエリクサーラピスに向かうならアクアスは通り道ですから」
「私もサンドウォール砂漠に回るわ。砂漠の神たちじゃ、信用ならないからね。リリーたちは当然として恋火、イクス、和狐、ブラン、セフォネはタクトについて行きなさい」
「それがいいと思います。レヴィアタンの相手は私たちがします」
みんなそれぞれ防衛に参加を表明した。確かに戦力不足の状況で今まで倒して来た各魔神を倒すにしても守るにしても大変だからな。グレイたちに聞いてみるとそれぞれが防衛に志願した。
「わかった」
俺は急いでスキアーの成長を実行する。
『スキアーの成長が完了しました。星気、寒無効、極寒ブレス、月食、斥力場、重力場、覇撃、捨て身の一撃を取得しました』
これで最終決戦の準備は整った。
「みんな、頼むぞ。アロマ、タクマ。黄龍の仙樹封印杖と千魔悪龍の封印杖を託しておく。上手く使ってくれ」
「「はい(おう)!」」
「よし…ここからは時間との勝負にもなって来る。俺たちは少数精鋭で急いでパンデモニウムに向かうぞ」
「「「「おぉー!」」」」
俺たちが部屋を出るとメルが残りのメンバーに言う
「私たちも急いで防衛側の編成を済まされて、防衛に向かいましょう。タイムリミットは今日の零時です。私たちゲーマーの力をこのゲームの運営に見せて上げましょう!」
「「「「おぉー!」」」」
こうして俺たちは最後の戦いへと向かうのだった。




