#1514 道化師の魔神ルキフゲ・ロフォカレ
俺たちが各地で防衛している頃、魔神同盟本隊はルキフグスの都に攻め込んでいた。レオナルドダヴィンチの移動要塞四台、ノアズ・アーク五十隻、戦車三十台、戦闘機三十機に加えて各地の指折りの英雄たちにプレイヤーたちと言う過去最大級の大部隊だ。
その力は流石の一言で防衛に参加している大量の本気となっているデーモンロードや魔神たちを次々各個撃破している。空でも竜騎士や竜騎兵、ペガサスナイト、グリフォンナイト、闇のドラゴニュート、ホークマンたちに召喚獣たちが大暴れして制空権を取りに動いた。
そして遂に各自の攻撃が城壁に炸裂する。ルキフグス軍も大量のベヒモスの部隊などを用意していたが突撃をゴーレムやサバ缶さんたちのロボたちが止めると後は袋叩きにされて終わった。この状況にサバ缶さんは呟く。
「なんとか言うか少し過剰戦力でしたかね?」
「どうなんでしょうかね? 結局ルキフグスがどんな能力を持っているか分かりませんから油断しないほうがいいんじゃないでしょうか?」
「そうですね…城壁と町の破壊はもう時間の問題ですけど、ルキフグスの城からが本番でしょう」
サバ缶が言う通り、城壁を破壊して町の中に入って、城にみんなが向かっていく。しかしみんなが町に入ったタイミングでルキフグスが仕掛けて来た。
「魔神魔法、トリックサーカス」
この瞬間、みんなの視界がぐにゃぐにゃになるとみんなの視界に通路が歪に歪んでる三次元迷路の世界が広がる。いや、そこが問題じゃない。
「これはルキフグスの仕業ですか…ん?」
サバ缶がそういうと乗っていたロボも一緒に乗っていた仲間もいないことに気が付く。するとサバ缶さんの背後にルキフグスが現れて、言う。
「お気づきになりましたか? これが私の力です。魔神魔法トリックサーカス。一人一人を私の世界に閉じ込めて強制的に私との一対一を強制する魔法です。これであなたたちの人数をまず減らされて貰いましょうか」
「そんなのあり?」
サバ缶さんがそういうとサバ缶さんは無数のナイフに串刺しにされて、倒されてしまった。流石に兵器がない生産職じゃ、ルキフグスに勝てるはずないわな。えぐい魔神魔法を使うよ。
問題は他のみんなだ。それぞれがルキフグスと戦う中、ルキフグスの力が次々判明する。まずリサが速攻で倒そうとルキフグスに殴りかかった。
「魔神技サプライズマジック」
リサがルキフグスを殴るとルキフグスの服だけ残る。
「逃げ技!? どこに…んん? ッ!? む、虫ぃいいい~!? 嫌ぁあああ~!?」
ルキフグスの服から虫が現れ、リサの体にくっついた。その結果、リサは発狂する。まぁ、虫が体について嫌がらない人は極少数だろう。
「ッ!?」
「ほぅ…避けますか。流石三柱の神と契約した人間ですね」
リサが発狂して虫を払っているところに透明で無音のナイフが飛んで来て、リサが危険予知が発動してなんとか回避する。しかしこのサプライズマジックの力は虫だけではない。人それぞれで効果が違っていた。メルの場合は攻撃が外されて、背後に気配を感じて攻撃しようとした瞬間、背後にいたのは子供の頃の俺だった。
「え…」
「どうして僕のこと嫌っていたの?」
「ちが!? 嫌って…ッ!?」
「惜しいですね」
メルが弁明しようした瞬間、背後からナイフで襲われたがメルは前にジャンプして回避する。この他にアーレイが攻撃すると爆発したリ、シフォンが攻撃すると小さな蛇に巻き付かれたり、攻撃すると自分の周囲に魔方陣が出現して封印の状態異常になるなど本当に様々な嫌がらせが発生した。
つまりこれがサプライズマジックという技だ。相手からの攻撃を無効化した上で何かしらの嫌がらせが発生する技だった。
「この!」
「悪趣味!」
「それはそれは私にとっては最高の誉め言葉でございます。何せ私は道化師の魔神ですから」
みんながルキフグスと戦闘を続行する。
「はぁ!」
「影分身、身代わりでございます」
「この!」
「呪滅撃、呪滅封陣の効果を忘れておりますよ? 魔神技! トランプ手裏剣!」
攻撃すると影分身と身代わりで攻撃から逃げられた挙句、呪滅コンボが発動する。そして怯むとトランプが飛んで来る。嫌な未来が見えて躱すとトランプが地面に刺さるとまるで隕石が落ちた衝撃が発生してクレーターが出来る。そんなトランプ手裏剣あってたまるか。
「魔神技ルーレットボール!」
次はルキフグスの周囲に色が次々変化するカラーボールが回り出すとそれが飛んで来る。カラーボールに触れると色にあった煙が発生する。その結果、煙にあった状態異常になった。
「こんなお遊びに付き合うつまりはない。閃影!」
「魔神技スケープドール」
鉄心さんがルキフグスの体を斬り裂く。勝ったと思った瞬間、鉄心さんに激痛が発生して鉄心さんの胴体が斬れてしまった。そして斬られたルキフグスが煙となって消えると本物が現れる。
「おやおや。自分の腹を斬るとは遊んでおられるのかな?」
これは自分への攻撃を相手に返す技だね。しかも自分は無傷と来た。これらの技を見て、ルキフグスは完全にトリックスタータイプの魔神であることは確定した。その戦闘に誰しも振り回される。
「この!」
「あぁ…そこの地面にはプレゼントが埋まってますよ」
「ぐわ!? うおぉおおお!」
「魔神技スケープドール」
アーレイがルキフグスに襲い掛かろうとすると地面に設置された爆弾を踏んでしまい、爆発する。それでも強引に斬りにいくとスケープドールで自分が斬られてしまう。
「「「「どうすればいいんだよ!」」」」
みんなが同じことを叫ぶ程に嫌がらせ特化にも程がある。しかも人を小馬鹿にした戦闘のせいでみんな大切なことを忘れている。リサがルキフグスに接近戦を挑む。
「英雄技! インフィニティーラッシュ! おりゃりゃ! ふぇ?」
リサが無限に殴りまくるラッシュ技を使用するとルキフグスはリサの左右の手をあっさり止めてしまった。何が起きたのか理解出来ていないリサはルキフグスの蹴りが顎に炸裂すると天井に激闘し、墜落したところを更に飛び蹴りで地面にぶっ飛ばされた。
リサが起き上がろうとしたがピエロの足が視界に入った。そしてルキフグスの手がリサの頭に向けられていた。
「黒星」
「きゃあああああ!?」
「忘れているのではないですか? 私はサタン様より宰相の地位を頂いた魔神ルキフゲ・ロフォカレ。サタン様の右腕がルシファー様ならサタン様の左腕が私です。接近戦さえすれば勝てると思うのがそもそもの間違いないなのですよ」
速さもあるし、それぞれ武器も職種も違う人たちと互角かそれ以上に戦える戦闘技術の高さは本物だ。これが暗黒大陸の宰相ルキフゲ・ロフォカレの実力だった。
みんながルキフグスの一対一の勝負に苦戦する中、切り札を切った人から勝利して元の世界に戻っていく。流石に実力者たちはルキフグスに勝ったが元の世界に戻ったみんなが待っていたのは悪魔たちの大群と無傷の城だ。
「ちょっと待て…何人残っている?」
「まだ戦っている人がいるかもしれないから確定出来ないよ」
「ルキフグスの強さを考えると残れるのは少ないだろうな…魔法使いや召喚師たちは今のところ帰って来ていないが」
「ルキフグスの強さから考えると全滅もあり得るぞ」
召喚獣を召喚出来る召喚師たちは一対一を覆すことが普通に出来そうだが召喚した瞬間ルキフグスの魔神魔法チェインジングドールで人形に変えられてしまって一対一から逃れることが出来ていない。こうなるとマリッジバーストなどは使えない。そうなると流石に召喚師はきついだろう。
「こんなの僕たちに勝てるはずが」
「えぇ。ないでしょうね。召喚師は召喚獣がいて初めて真の力を発揮する。しかし私としてはそんなことより厄介な召喚獣が消えることが最優先事項なんですよ」
召喚獣は召喚師がいなくなると消えるからな。これはもう最初から召喚師がずっと抱えている弱点だ。それがここに来て最悪の形で狙われたことになった。
そして魔法使いたちもルキフグスはアサシンの戦い方を好んでいるからそれを逃げながら魔法を使うのはかなり難易度が高い。速さで上回れるなら距離が取れるんだけどルキフグスは速いからそれを許してくれる相手じゃなかった。
召喚師や魔法使いたちがルキフグスに勝つためには魔法使いタイプなのに格闘スキルや武器スキルを持って接近戦にステータスポイントを振った変人ぐらいしか勝つのは厳しいという結論がみんなの中で出る。誰の事を言っているのか丸わかりなんだよな。
そんなことはさておき魔法使いたちの全滅とかはぶっちゃけそこまで問題じゃない。これから悪魔の大群を倒して少数で城攻めすることはなるわけだが、みんなの強さを考えれば消耗はするだろうが突破は可能だろう。
一番の問題は切り札を使ってしまったことだ。その上で城の中にいるルキフグスと戦闘しないといけない。最悪また同じ魔法を使われたら、次は別の切り札を使うことになる。そんなことを繰り返されたらみんなからすると溜まった物じゃない。
みんなが暗い雰囲気に包まれる中、シフォンが叫ぶ。
「ルキフグスの魔法なら私が止めるから大丈夫です!」
「シフォンちゃん、出来るの?」
「封印剣があるので、出来ます。これでも精霊双剣士ですから。それにこんなことで諦めていたら、任せてくれたタクト君やリリーちゃんたちに顔向けできないよ」
シフォンがそういうとみんなの様子が変化する。すると鉄心さんが言う。
「そうだな…彼に託されたんだ。ここで我々が諦めてゲームオーバーになってしまったら、本当に顔向け出来なくなってしまう。大人の面目も丸潰れだ」
「大人だけやないでゲーマーとしても面目丸潰れやわ。何が何でも勝たなあかんな」
「その通りだ!」
みんなの前に次々各国の英雄たちやドラゴニュートたちのように戦闘に参加してくれた亜人たちが現れる。
「タクトは自国だけじゃない。多くの関係がない国を救ってきた」
「我々には彼に恩義を返す義務がある」
「あの者たちは多くの絶望を跳ねのけて来た。彼も同じ人間、我々に出来ないことはない」
「タクトの奴に自慢してやろうじゃねーか。お前がいなくても魔神の宰相を倒してやったぜってな」
「「「「おぉ(はい)!」」」」
心強い仲間たちの登場でみんなの暗い雰囲気が無くなる。しかし状況は変わっていない。人間たちの様子を城から見ているルキフグスが微笑する。
「ふふふ。いいですね。その希望に満ちている顔…私との戦闘でどのような絶望した顔をしてくれるのか楽しみですよ」
その後、みんなは町の悪魔たちを倒しつつ城壁を破壊して城の中に入る事となった。一方ルキフグスに負けたプレイヤーたちはそれぞれの町で蘇生して町の防衛戦に参加する。落ち込んでいる暇も反省している時間もないのが戦場だ。これのお陰で防衛担当の俺たちはだいぶ楽になるのだった。そんな俺にルークが提案して来た。
「俺が暗黒大陸に援軍として行ってくださいか…それは本気で言っているのか? ルーク」
「え…本気ですけど」
「ルーク…お前、それはねーよ」
「ですね」
烈風さんと雷電さんはその提案がどれだけ酷いことを言っているのか理解しているな。俺はルークに言う。
「負けて小心な気持ちになるし、戦略的に見れば防衛にみんなが回ってくれたから俺が行っても問題はない。けどな俺がここで援軍として向かうことはありえない。俺は今回、みんなを信じて攻略を任せたんだ。なのにここで俺が向かったら、どうなる? 俺がみんなを信じたことは嘘だったのか?」
「あ…」
「援軍として来られた側も信用されていなかったって事になるわな」
「いくらもうすぐ終わるゲームでこの戦闘は負けられない戦いだからとっても何でもしていい訳じゃありません。リアルなコミュニケーションが要求されるVRゲームだからこそ人間関係には細心の注意をしないといけないんですよ」
雷電さんにそう言われてVRゲームというジャンルを少し考えさせられた。ゲームの影響で悪い事件が起きたとか時々ニュースで出たりする。ゲームが現実にどこまで影響するか俺には分からないけど、VRゲームはより強く影響が出そうではあるよな。
結局俺は防衛を続けて、攻略成功のインフォが流れる。
『おめでとうございます! 道化魔神ルキフゲ・ロフォカレの撃破に成功しました』
『サタン城パンデモニウムが解放されました』
『職業召喚師のレベルが上がりました。ステータスポイント6ptを獲得しました』
『職業召喚師のレベルが上がりました。スキルポイント6ptを獲得しました』
『セフォネの氷魔法のレベルが80に到達しました。氷魔法【コキュートス】を取得しました』
『セフォネの時空魔法のレベルが80に到達しました。時空魔法【タイムフリーズ】を取得しました』
『ルーナの杖のレベルが25に到達しました。杖【マジックジャベリン】、【レジスト】を取得しました』
『ミールの杖のレベルが25に到達しました。杖【マジックジャベリン】、【レジスト】を取得しました』
『ルナの妖精技のレベルが40に到達しました。妖精技【フェアリーノヴァ】を取得しました』
ここでみんなは歓声を上げた。俺たちはホームに帰って、みんなが帰って来るまでにステータス操作を行う事にした。ステータスポイントは俊敏性に振って、残りスキルポイントはこれで78ptになった。
夕飯のためにゲームにログアウトした。俺がルキフグス戦で発生した被害を聞くのは夕飯後の事となる。




