#1512 午後の聖戦イベント、桜花防衛戦後半
グレイたちが激闘を始めた時、平安京に酒呑童子を中心にした妖怪の大軍団が押し寄せていた。対するは平安京にいる武士と陰陽師たちだ。
「全員ぶっ殺せー!」
「「「「おぉおおおーーー!」」」」
「雷轟であります!」
千影が雷轟を発動されて雑魚の妖怪たちを消し飛ばすが鬼側についた天狗たちが千影に襲い掛かって来た。最初に挑んで来たのは烏天狗たちだ。
「「「「影分身! はぁあああーーー!」」」」
「回転盾輪! はぁ!」
大天狗の錫杖で襲い掛かった烏天狗たちだったが千影が錫杖を回転されたところに攻撃したことで全員弾かれてしまう。その結果、影分身も消えて突撃した全員、雷炎槍錫杖に斬られて倒された。
「速いな。あの小娘。一斉にゆくぞ! 皆の者! 爆風波!」
「「「「爆風波!」」」」
今度は鼻高天狗たちが大天狗の羽団扇を一斉に振って来た。これを見た千影は前に出ると爆風波と爆風波の僅かな隙間を通り、接近した。
「何!?」
「三突星!」
羽団扇で千影の雷炎槍錫杖をガードしようとしたがそれは流石に無理だった。そして周囲にいる大天狗も装備は羽団扇のままだ。その結果、一気に千影が暴れるかと思ったが流石は天狗だ。千影の攻撃に対して体術で応戦してきた。
しかし千影の槍術が上回り次々倒していくが遠距離から獄炎と暴旋風が飛んできたところで一度距離を取る。
「そう簡単には崩されて貰えないでありますか…」
「当然じゃ。お主は天魔か? 何故人間の味方をする? 人間に守る価値などないことは分かっているだろう? 奴らは山を削り、山の生き物たちを苦しめる存在だ。儂らも悪じゃ。しかしどちらが悪か一目瞭然とは思わぬか?」
「確かに天狗や妖怪だけの話なら人間のほうが自然に対して悪かも知れません。しかしあなたたちはこの星を…世界を終わらせようとしている。それは全ての自然と生命を滅ぼすということなのですよ? あなたたちのほうが悪に決まっていると思うでありますが?」
「はっはっは! 何を寝ぼけたことを言っているのだ? 儂らが星を世界を終わらせようとしているじゃと? そんなことをするはずないではないか! 儂らは人間に天罰を与えるために戦っておるんじゃ!」
この瞬間、サタンは自分の計画を自分に味方している存在たちには人間と神に対する戦争だとしか伝えていないことが確定した。これを聞いた千影は溜息を出す。
「…何も聞かされていないのでありますな。人間に対する憎しみの感情だけ利用されるとはかつて天狗であったものとして恥ずかしく思うでありますよ」
「ふん…人間に味方するだけあって悪口だけは立派だな? まぁ、よい。お主の命はここまでのようじゃしの」
「「「「操り糸!」」」」
鞍馬天狗たちが空虚で隠れて千影に向かって操り糸を使用して来た。千影の全身が操り糸に絡まってしまう。この瞬間に天狗たちは勝利を確信したが千影は言う。
「舐められたものでありますな」
次の瞬間、全ての操り糸が切れると天狗たちの体はバラバラになってしまった。
「な…に?」
「あたしがお館様から頂いた糸はダマスカス鋼より作られた糸。その切断能力は通常の糸を遥かに超えているであります」
ダマスカスワイヤーで操り糸を切断してそのまま周囲の天狗たちまで切断してしまったのか。千影に対して糸勝負を挑んだことが間違いだったな。しかしこの戦場には敵は盛りだくさんだ。
「閃影! ほぅ…俺の斬撃を止めるか」
「夜叉でありますな?」
「いかにも。俺が求めるのは強者との戦いのみ。貴殿との一騎打ちを所望する!」
千影は夜叉の奇襲を雷炎槍錫杖で止めて弾くとお互いに構えを取る。すると別の夜叉が次々乱入して来た。その連続攻撃を千影は裁いて見せた。すると最初に襲い掛かった夜叉が叫ぶ。
「貴様ら! なんの真似だ! この娘と最初に戦ったのは俺だぞ!」
「ふん。お前の勝手なルールなど知った事か。この娘の命は拙者は頂く」
「やめとけってそういうのはさ。こういうのは早い物勝ちが一番だって」
「黙れ!」
サタン軍は統制が取れているようで取れていないところが弱点だな。軍を指揮するリーダーも軍師もいないからしょうがないんだろうけどさ。すると千影は全ての夜叉を空衝脚で吹っ飛ばした。すると千影は武器を原初海竜の太刀に変えると太刀を抜刀する。
「全員纏めてかかって来るでありますよ」
「言ったな?」
「もう取り返しはつかねーからな! 覚悟しろ!」
夜叉たちが一斉に千影に襲い掛かって来た。すると千影は最初に襲い掛かって来た夜叉の斬撃をあっさり上に弾くとそのまま刀を返して夜叉の頭から真っ二つに切断する。次に左から襲い掛かって来た夜叉の突きを身体を回転されて躱すと手刀を叩き込み、右から襲い掛かって来た夜叉の胴の攻撃は原初海竜の太刀で片手で受け取めると千影のパンチが夜叉の顔面に決まって起爆する。
爆発で怯んだことで原初海竜の太刀で腹を切ると蹴り飛ばした。すると手刀を喰らった夜叉が身体を回転されて斬撃を放って来たが千影は上に飛びながら体を反転されると手刀を喰らった夜叉の頭に踵落としが炸裂して爆発すると地面に落下した。
「やはり強い! 俺が待っていたのはお前か! 閃影」
最初に挑んで来た夜叉が嬉々として挑んで来たが千影は最初と同じように相手の閃影を止めると刀を弾いて一閃で夜叉の胴体を切断した。
「な…」
「力に自惚れすぎであります。そんな閃影を喰らってくれるのは戦闘慣れしていないものだけでありますよ」
空で千影が暴れている頃、地上でも動きがあった。空が飛べない鬼たちが次々アラネアが仕掛けたワイヤーや粘着糸、地雷蜘蛛や粘着蜘蛛の罠に引っ掛かり、大蜘蛛たちに倒されていた。
「お前ら邪魔だ!」
そう言って山を走って来るの巨大な蜘蛛の体に牛の顔を持つ妖怪である牛鬼だ。召喚獣にも登場する牛鬼だが、今回登場した牛鬼は山の半分くらいの大きさはある巨大な妖怪だった。
そんな牛鬼にとんでもない弓矢が飛んで来て身体が消し飛んだ。放ったのは源為朝だ。平安京を守護するのは源氏の役目ということで源の名を持つ武将たちは平安京の防衛に参加している。
彼らと鬼たちとは因縁があり、酒吞童子は嬉々として戦いを挑み、両軍が激突する。そこで鬼たちにとっては予想外の敵が乱入する。それが狐子率いる狐の妖怪たちだった。狐子が酒呑童子に襲い掛かる。
「どういうことだ! なぜ妖怪であるお前たちが人間の味方をする!」
「馬鹿な鬼たちね。平安京には伏見稲荷大社があることを知らないのかしら? あなたたちがしていることはあたしたちの領地への侵略行為よ。あなたたちを倒すのに動くのは当然でしょうが!」
狐子の言う通りで俺たちが動こうが動かまいがどっちみち平安京に妖怪たちが手を出した時点で狐妖怪たちとの戦いは避けられないことだった。てっきり知っていて侵略して来たと思っていたのだが、そうじゃないらしい。
狐妖怪たちの参加で一気に戦略差が縮まった。こうなると源の武将たちの個々の強さで上回るこちらが優勢となる。そして狐子と酒呑童子の対戦は狐子が優勢で戦闘が進んでいく。その原因は狐子の毒スキルだ。実は鬼たちは毒に耐性がないんだよな。基本的に脳筋タイプだから弱体化スキルを与えることは出来ても解除や耐性はほぼ持っていない。それが酒呑童子を苦しめる。
「おら! くっ!」
「ふふ…」
狐子は片足ステップを踏みながら挑発して酒呑童子は襲い掛かり、カウンターで妖刀解放した殺生刀が酒呑童子をじわじわ苦しめていく。すると流石に戦況不利の状況なので妖怪軍側がここで次々切り札を切った。
夜叉たちが切り札を使ったのを確認した千影も勝負を決める一手を繰り出す。
「原初海竜の太刀! 海竜解放!」
陸地と空中を意識した妖怪軍にこの一手は致命傷だ。しかし妖怪たちも切り札を止めに動いて来た。
「毛針! 麻痺毒!」
すると地上から無数の毛針が飛んで来てこれを受けた夜叉や天狗たちは麻痺となり、動きが止まった。毛針を放ったのはアラネアだ。千影はちゃんとアラネアの援護があることを分かった上でちゃんと切り札を使っていた。
タンニーンの出現を見た酒呑童子たちは勝負を決めに動いた。しかしここで異変が発生する。攻撃した人間や狐子たちの姿が霧となって消えたのだ。
「酒吞童子! これは!」
「そうか…てめーも俺たちの戦いに口出しするのかよ! ぬらりひょん!」
酒吞童子が叫ぶと木の上に老人の妖怪が現れた。
「ふぇっふぇっふぇ。もちろん人間側に味方するとも。人間がいなくなると儂は菓子を食べれなくなるのでな」
「ぬらりひょん! 伊吹颪!」
「妖怪技。五里霧中。儂の領域にいる限りお前たちの攻撃は当たらぬよ」
これがぬらりひょんの必殺技の効果だ。ぬらりひょんがいる場所から一定範囲内に幻術を発動される。その結果、全ての攻撃を外してしまうという恐ろしい技だ。しかも攻撃を受けて、その上でカウンターしても幻となって消えてしまうというチート技となっている。
何せ攻撃やそのダメージまで幻を見せているからこそ出来る技だ。これが最強の幻術使いの妖怪ぬらりひょんの力だった。そしてチェックメイトだ。
「「「「夜天魔楼撃!」」」」
クベーラたちが一斉に必殺技を使うが千影に攻撃が当たらない。全て霧となって外される。その結果、タンニーンが空を飛んでいる妖怪たちと地上にいる妖怪たちを飲み込んで勝負あった。しかしこれだと千影に呪滅コンボが発動してしまう。
「英雄技。晴明紋」
千影の足元に五芒星が展開されると呪滅スキルが千影ではなく五芒星に発動される。この結果、千影にダメージが発生しなかった。平安京には最強の陰陽師である安倍晴明も残っていた。そしてが晴明紋の効果は妖怪のスキルの無効化だ。
妖怪に対して使うとスキルを封印し、味方に使うと味方を対象に発動していた妖怪スキルを無効化する。対妖怪に特化した技だった。流石陰陽師と言うべきチート技だ。すると千影の隣にぬらりひょんが現れる。
「いい一撃じゃ」
「どうしてあたしたちの味方をしてくれたのですか?」
「お主たちの話を聞いておったからじゃよ」
「え!? あの場にいたんですか!?」
「ふぉっふぉっふぉ。まだまだ修行が足りておらんな。稲荷の嬢ちゃんは気付いておったぞ」
そう言われた千影は悔しそうな顔をしたが次には瞳の奧に炎が燃やしていた。まだまだ強くなる要素があることを知って燃えているらしい。そんな千影の様子を見て妖怪の未来はまだまだ捨てた物じゃないと思うぬらりひょんだった。
最後である桜花の都の防衛戦では大量の落ち武者ゾンビが都に押しかけており、虎徹がなんと一方向を任されており、見事に一人で防衛していた。落ち武者ゾンビは元々戦に関わっていたゾンビのためか通常のゾンビより集団戦を挑んで来たり、武術の心得があったりなど強いのだが虎徹の強さはその上を行っていた。
武器の多さもそうだが、筋力でも虎徹に勝てる落ち武者ゾンビはいない。そうなると一斉に襲われても虎徹は全員押し返していた。そして虎徹には数珠丸恒次がある。これがゾンビや妖怪たちに特攻なんだよね。それを全部見越して采配した聖徳太子は流石だ。
「あの虎に全部任せるのは流石にどうかと思いますが?」
「そう思いますか? 私は寧ろ彼の虎を止められる武将が果たしているのか疑問に思う程ですよ。あなたが疑問に思うなら神剣の力を持っている十拳剣まで持っている剣聖虎がどれほどの力を持っているか見物してきたらどうですか?」
聖徳太子にそう言われて聖徳太子を支えている官僚たちが虎徹の戦闘を見に行ったが完全にドン引きだ。かつて戦で共に戦った武士たちが空に次々飛び上がり、神波動で消し飛ばされる光景を見たら、そうなるのも当然だな。
すると虎徹の前に圧倒的な力を放つ天皇が着る黄櫨染御袍を着ている存在が現れた。これを見た官僚たちは彼のことを知っていた。
「あ…あれは!? まさか崇徳天皇」
「それにあの太刀は鬼丸国綱!?」
「鬼丸国綱が二本も!?」
「待て。向こうが持っている鬼丸国綱から禍々しい気配を感じるぞ」
これはもちろん崇徳天皇が持っているほうが本物の鬼丸国綱だ。鬼丸国綱は天皇家の太刀であり、それなのに不吉の太刀と言われている。その伝説から崇徳天皇が持っている事になったのだろう。
「桜花の天皇家は儂が滅ぼす…そこの虎よ。道を開けよ」
虎徹が苦しみ出す。これは言霊だな。しかし虎徹には通用しない。神剣十拳剣が輝くと言霊を無効化した。それを見た崇徳天皇は不愉快な顔をする。
「お前も天皇の言うことが聞けないのか! 儂はこの国の王だぞ!」
「ガウ…」
虎徹はそんなこと知るかって様子だ。そして虎徹は挑戦的に鬼丸国綱を向けて上下に動かした。自分が王になりたいなら実力で証明しろと言いたげだ。それに対して崇徳天皇は目が血走る。
「貴様ーーー! 天皇に対するその態度! 万死に値する! ひゃあああ! 王撃!」
崇徳天皇は怨霊なので浮きながら虎徹に襲い掛かって来た。しかしこの王撃を虎徹は簡単に受け止めた。そして弾き飛ばす。そこで斬撃を返すが後ろに下がって崇徳天皇は躱した。虎徹は追撃に出たが服から巻物が伸びて来て、虎徹を縛ろうとしたが虎徹は全て斬り裂いた。
更に追撃に出ようとした虎徹だったが崇徳天皇の英雄技で謎の黒い結界に閉じ込められそうになったことで危険を感じた虎徹は下がる選択をした。崇徳天皇が悔しがる様子から見て虎徹を倒せるだけの英雄技だったのだろう。しかし気持ちを切り替えて怨霊らしいスキルを使う。
「死の宣告! あはははは! これでお主の命は残り僅かよ!」
「ガウ…ガァアアアアア!」
「は?」
虎徹が全ての武器の力を解放した。その圧倒的な力を間近で見た崇徳天皇は動きが固まってしまう。それがまぁ、普通の反応だよな。しかしここは戦場だ。そして死の宣告を受けた虎徹は時間内に敵を倒さないといけない。そうなると虎徹も本気を出さないといけないだろう。
そして虎徹は一瞬で距離を詰めると倶利伽羅剣が崇徳天皇の体を縦を切り裂いた。その結果、崇徳天皇は燃え上がり炎上する。倶利伽羅剣もアンデッドに特攻の剣だ。更に五月雨斬りでズタボロにすると虎徹は崇徳天皇を蹴り落とす。
すると地面に落下した崇徳天皇の周囲に短刀が降って来て、虎徹の封滅の陣が発動した。これでスキルは封じられた。最後は三十日月を発動された虎徹の斬撃ラッシュで斬り刻まれて終わった。まぁ、崇徳天皇は虎徹を本気にされるべきじゃなかったな。
その後も落ち武者ゾンビたちは襲い掛かって来たが崇徳天皇を超える存在は現れず、虎徹は防衛に成功するのだった。




