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#1504 午前の聖戦イベント、サキュバス領地

ここは暗黒大陸にあるサキュバスの国。この国は本来ならサタンの庇護下にあり、本来ならサタンの軍勢に襲われる所以は全くないのだが、今回の聖戦イベント開始時にサタンから最後通告が行われた。


「人間の味方をするかサタンの味方をするか選べ。返答がない場合、人間の味方をする道を選んだとして貴国とその国民を壊滅させるですって」


「サタンって結構暴力的な性格をしている人だったの?」


リビナの疑問に魔王リリスが答える。


「まさか。そんな魔王が強大な魔王たちに暗黒大陸の統治を任せるはずないでしょ? 最初から自分が全部支配して終わり。そうじゃないかしら?」


「そ、それはそうかも知れない…じゃあ、サタンはどうして暗黒大陸をこんな形で支配したの?」


「これは想像の話でしかないけど、まず一人で全てを支配することは出来ないと考えたからでしょうね。私も魔王していて思うけど、国を統治するって大変なことなのよ? それを暗黒大陸全域ですることになることを考えると正直ぞっとするわね」


リビナもシルフィの大変な様子を知っているので、これには理解を示した。


「それと…来たわね。話の続きはサタンの軍勢を退治してからでいいかしら?」


「それだね。それじゃあ、ボクは最前線に行って来るよ」


「よろしく頼むわね」


こうして二人の話し合いが中断されるとリビナはハーベラスとスキアーを連れて出陣する。


サキュバス領地が地震に襲われると地面が割れて、大噴火が発生する。そこからアバドンと共に悪魔たちがあふれ出していた。これに対してサキュバスたちは打って出る。悪魔とサキュバスの戦闘だと基本的な戦闘では悪魔に分がある。


しかしサキュバスには魅了特化という強みが悪魔たちに刺さるので、サキュバスと悪魔の戦争だと戦況は拮抗する。ただ今回は普通の悪魔との戦いではないため、状況は異なる。それでも戦況はある程度予想通りに進む。


「「「「パフューム・ビウィチ! ラストアローレイン!」」」」


「「「「ぎゃああああ~!?」」」」


「「「「チェーンエクスプロージョン! ナパーム! ディメンションボム! デトネーション!」」」」


「「「「きゃああああ~!?」」」」


「今だ! 殺せ!」


「堕落! 魅了吸収!」


遠距離戦ではお互いに魔法や必殺技、波動技を駆使して戦闘することになる。ただ魔法戦は悪魔たちのほうが亜種多様な魔法を扱う上に魔力も悪魔のほうが高いので、遠距離戦ではサキュバス側が負けてしまう。


そうなると悪魔たちはサキュバス相手に接近戦を挑んで来ることになるのだが、サキュバスに接近すると堕落の餌食だ。そして魅力吸収の効果で生命力を回復しつつ、悪魔たちと戦闘を繰り広げる。


悪魔たちは数で押し切ろうとしてくるがサキュバス相手に数では有利性は取れはしない。全員魅了に囚われて、それで終わりだからな。ただそれでも悪魔たちは狂ったように押し寄せて来た。流石にこの悪魔たちの姿にサキュバスたちは嫌悪感を示した。


完全に魅了を受けようと特攻しているだけに見えるし、悪魔たちのスケベな顔を見れば一目瞭然だ。最もそんなことをしなくてもサキュバスたちはこの手の事は敏感に察知するからもはや疑いようがない。しかしこれは彼女たちにとっては好都合な事だ。サキュバスたちに余裕が見えた時だった。一体のサキュバスに悪魔とは異なる男が転瞬で現ると魔拳でサキュバスを吹っ飛ばした。


「誰!?」


「堕落! ッ!?」


「魔王の俺にそんな攻撃が通用すると思っているのか? コークスクリューブロー!」


「きゃあああああ~!? がは!?」


「ぎゃははは! あのサキュバスは俺が頂くぜ~!」


吹っ飛ばされたサキュバスたちに悪魔が集まる。その姿にサキュバスたちが恐怖を感じた時だった。


「インフィニティスワンプ!」


悪魔たちが鞭で吹っ飛ばされる。現れたのはリビナとリビナと同じキスキル・リラたちだ。


「ほぅ…あいつがサタン様が言っていた召喚師に召喚されたサキュバスか?」


「君は魔王というか魔神だね?」


「いかにも。最もサタン様に生み出されて日が無くてな。まだ名前すら貰っていない新参の魔神だ。俺は性欲には興味が無い。俺が求めるのは強者との戦いのみ。一つ手合わせ願おうか?」


この瞬間、サタンが悪魔や魔神を生み出す悪魔創造と魔神創造スキルを持っていることが確定した。サタンが創造の力を有するのか正直微妙なところだった。悪魔がどこから生まれるのか色々な説があるからね。


「確かにサタンは賢いみたいだね。君のような脳筋をサキュバスの相手に選んだことは正しい判断だと思う。君に暴れられても面倒みたいだから相手してあげるよ」


「楽しみだ!」


そういうと魔神がリビナに襲い掛かって来ると思った瞬間、別の剣を持った魔神が乱入し、リビナに襲い掛かる。しかし攻撃されたリビナは幻となって消えた。


「ちっ…おっと! おいおい。俺は味方だぜ?」


「こいつは俺の獲物だ。勝手に手を出すな」


「は! やなこった。こういうのは早い者勝ちだろ?」


「貴様!」


「「ッ!?」」


二人の魔神が揉めているとリビナの拳が両者に腹にめり込むと仲良く吹っ飛ばされる。


「ボクの目の前で仲良く喧嘩するなんて随分余裕だね?」


「は! たかがサキュバスが調子に乗るな! バスターカリバー! ッ!?」


剣を持つ魔神が斬りかかったがリビナの左手にいる白蛇が刃に噛みついて刃を止めると右手の白蛇が魔神の足に噛みついて魔神を宙づりにするとそのまま振り回して、地面に叩きつけた。


「たかがサキュバス相手に頭から地面に突き刺さっておいて恥ずかしくないのか? ボクがよく知っている魔神がこれを見たら、たぶんこんな雑魚は魔神じゃないわって言うね」


「は! ぬ!?」


今度は格闘タイプの魔神が地面を踏みつけると姿が消えてリビナに拳を放って来たが、リビナは拳を手で止めた。


「そういうのよく知っているからボクには通用しないよ? デモンクラッシャー!」


「が!? 馬鹿な…魔神である俺が格闘戦でサキュバスに負けるだと!?」


「君たちね…若すぎるんだよ。最強種になって自分が最強だと思い込んでいるでしょ? 世界はそんなに優しくないよ? 少しだけボクが教えてあげるよ。世界の強者の戦闘をね」


リビナがそういうと二人の魔神はリビナに果敢に挑んで来たがリビナの拳と手から伸びる爪に白蛇たちの攻撃と防御を前にして全く歯がただずにボコボコにされて、最後は白蛇に首を噛み千切られて終わった。これはもう戦闘経験不足に加えてレベル差も圧倒的に付いている戦いだった。


リビナの圧倒的な強さを目の当たりにした悪魔たちだったがそれでも狂ったようにリビナに襲い掛かって来る。


「そういうのはタクトだけでいいから。君たちは夢すら見れずに消えなよ。デモンズノヴァ!」


リビナがデモンズノヴァで消し飛ばすとここでアバドンがリビナの上に現れるとカラミティカリバーで奇襲を仕掛けて来た。リビナはこれに対して回避するとアダルトリリィウィップでアバドンの体を鞭で叩きまくるとアバドンはリビナのほうを向くと獄炎を吐いて来て、リビナは距離を取りながら、獄炎を躱した。


「流石にこいつの相手はごり押しは無理かなぁ」


「オォオオオオオ!」


「ほいほいほいほい! そんな攻撃当たらないよ~」


アバドンの攻撃をリビナは躱すと的確にアダルトリリィウィップで叩いて行く。それでもアバドンは必死に攻撃を続けていくと急に倒れ込んでしまう。


「ありゃりゃ~。ダメだよ? 自分の体の異常くらいは把握しないとね」


アダルトリリィウィップの恐ろしい所が反映されたな。耐性無効と加護破壊で出血や魅了毒などの状態異常になっており、痛覚無効のせいで恐らくアバドンは自分が鞭で叩かれているという認識を持っていなかった。いや、気付いていたが計算が狂ったというべきかな?


倒れたアバドンは全身傷だらけになっていた。状態異常を治そうとしていたメフィストフェレスもいたがアダルトリリィハートの状態回復無効で治すことが出来なかった上に空間歪曲から現れたリビナの白蛇に逆に襲われる結果で終わった。


しかし戦場はリビナがいる場所だけではない。既にリビナを無視して悪魔の大群がサキュバスの国の首都に向かっている。リビナも苗木スキルを使用してなるべく多くの敵を倒そうとしているがそれには限界がある。だからこそ俺はリビナの他にも仲間の派遣を決めたのだ。


「サキュバスの女王は俺が頂くぜ!」


「いいや俺だ!」


勢いづく悪魔たちだったが彼らはこの後、地獄のどん底に落とされる。悪魔たちは突然発生した砂嵐に巻き込まれる。次の瞬間、一緒に進軍していたアバドンは地面に潜んでいる強大な敵を認識して空に逃げ出すが遅かった。


「シャー!」


スキアーが地面から飛び出すと逃げるアバドンより速く体の大きさを活かして、アバドンに容赦なく大きな口で噛みつく。アバドンも大剣で牙を止めようとしたが上の牙を止めるだけに留まり、下の牙が刺さるとアバドンは石化していく。そしてスキアーはあっさり石化したアバドンを噛み砕いてしまった。これがウロボロスとなったスキアーの初陣だ。


そして長い体で戦場を見渡したスキアーは大きな口を開くと巨大な赤褐色の球体を作り出すと悪魔たちが止めるよりも早く凶星が放たれ、アバドン二体が必死に止めようと黒星などを使用したが全く止めることが出来ずに逃げを選択した。次の瞬間、地面に凶星が激突すると首都が消し飛ぶほどの大爆発が発生すると共にキノコ雲が発生する。


「シャーーーーー!」


スキアーが雄叫びを挙げると悪魔の軍勢の蹂躙が始まる。スキアーが暴食を発動されると次々悪魔たちがスキアーの口の中に消えていく。まるでゴミを吸引する掃除機のようだ。流石にアバドンたちは吸引されることはないがスキアーの体に一生懸命攻撃を仕掛けるがスキアーは見向きもしない。


ダメージを与えてもすぐ回復されている状況だったら、そりゃあ敵の数を減らした方が良いに決まっている。それでもうざく感じたのかスキアーの怪力を使った尻尾の一撃が飛んで来ると防御したアバドンが遥か遠くに飛ばされて、まるで隕石が落下したかのような土煙を発生される。


そしてスキアーはここで嫉妬門を発動されると嫉妬門で発生した手に次々悪魔や魔神、魔王たちが捕まりなすすべなく倒される。するとスキアーはもっと自分の力を試したのか目や鱗から光線を放って悪魔たちを蹂躙し出す。


「オ…オオオオオ!」


ここで一体のアバドンが果敢にスキアーに挑んでいくとスキアーが口を開けた瞬間、アバドンの顔が消滅する。次元捕食だ。しかしこの程度ではアバドンは倒せない。魔素化で部位破損は治すことが可能だ。ただそれをスキアーは見越していた。


魔素化を使用してしまったアバドンはスキアーの魔素吸収によって口の中に吸い込まれてあっさり倒されてしまう。これで悪魔たち全員が魔素化を使用した瞬間、食べられることを認識する。


「おいおい…なんだよ…こいつ」


「こんな化け物がサキュバスの国にいるなんて聞いてないぞ…ここにはサキュバスしかいなくてやりたい放題出来るんじゃなかったのかよ…」


「む、無視しようぜ! 街の中ならあの怪物も下手に攻撃出来ないはずだ!」


確かにスキアーの弱点は高火力と巨体故に防衛向きではない。そこに気が付いて、サキュバスの首都に攻撃することに切り替えたことはいい判断だ。最も城門を守っているのはハーベラスだけどね。


ハーベラスは封鎖スキルで城門への攻撃を封じると押し寄せる悪魔たちは餓狼スキルで全員食べてボコボコにしていた。


当然アバドンとの戦闘も発生しており、武器を振るうアバドンにハーベラスは先に襲撃して武器を振るう手に噛みつき、更に別の肩と首にも噛みつき、爆発と紅炎でアバドンを燃やした。これに対してアバドンは尻尾の針でハーベラスの腹を狙うがこれはハーベラスの尻尾の蛇が針に噛みついて阻止する。


しかしパワーで負けているのかハーベラスはアバドンに振り回れる。だが、ハーベラスは噛みつきを止めることが無かった。するとアバドンはデモンクラッシャーをハーベラスの横腹に叩き込むと流石のハーベラスも悶絶して口を離してしまうと下腹に蹴りが決まって、次元震で吹っ飛ばされてしまった。


ここで勝負は仕切り直しとなったがアバドンは遠距離戦で有利を取ることが出来ず、アバドンの黒星を走り回って躱すハーベラスに再び噛みつかれる。このしつこさがハーベラスの接近戦の特徴だ。正直筋力で負けている相手に使う戦術としてはあまり賢い戦術ではないがハーベラスも馬鹿じゃない。


ハーベラスのあまりのしつこさにアバドンが強引にハーベラスを地面に叩きつけようとした時だった。ハーベラスが霊化で消えるとアバドンを真上から押し倒すと噛みつく。アバドンは完全にうつ伏せ状態で噛みつかれたこととなり、尻尾もハーベラスの尻尾の蛇に噛みつかれて使えない。


こうなるとアバドンも同じように逃げるしか選択肢はないが魔素化はハーベラスが魔素支配があるので、使えない。そうとなるとアバドンの選択肢としては砂化を選択することになるのだが、ハーベラスは甘くなかった。


魂探知で正確に砂化したアバドンの動きを見切ると溶ブレスで砂を溶かしてチェックメイトにした。ハーベラスも武器を持った大きい敵と戦い馴れている。その上、強くなったハーベラスには灰燼もあるので、武器に噛みついて耐久値を減らして砕く戦闘も見せていた。


アバドンだけでなく、魔神たちもハーベラスに戦いを挑んで来たがハーベラスの三つ首と尻尾の蛇たちによる側面と背後、真上のカバーを突破出来ずに返り討ちにする。本当にみんな攻撃だけでなく防御も本当に上手くなったと思うよ。


今回の戦闘だとスキアーとハーベラスは結構重労働することになった。何せ最終的には全方位から攻め込まれることになったからな。ただそこで活躍したのが闇転移だ。これのお陰でハーベラスとスキアーは押されている戦場に手分けしてすぐに向かうことが出来たことが本当に大きかった。


そしてサタン軍は結局ハーベラスの封鎖による守りとスキアーの圧倒的な殺戮性能とサキュバスたちの魅了による時間稼ぎの前にサキュバスの首都の内部に攻撃出来ずに負けることになるのだった。



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最新作『動物保護をしている少年は異世界で虐げられている亜人を救います』を連載開始しました。
以下のリンク先で連載中です。


動物保護をしている少年は異世界で虐げられている亜人を救います
― 新着の感想 ―
「遠距離戦ではサキュバス側が負けてしまう。」 「そうなると悪魔たちはサキュバス相手に接近戦を挑んで来ることになるのだが」 一瞬で矛盾してませんか?
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