#1489 タクトVSゼウス
俺たちはマリッジリングを天に掲げる。
「「「「マリッジバースト!」」」」
俺とリリー、イクス、ファリーダのマリッジバーストが発動する。オリュンポス山に降臨した俺たちの姿はまず頭の左右にはファリーダの角があり、おでこから宇宙の角が生えていた。耳はエクスマキナの耳となっており、頬には赤い紋様が描かれている。
そして体は何故か上半身の真ん中は裸で赤い紋様があり、上半身の左右と下半身は機械となっており、ドラゴンの尻尾と背中から生えているドラゴンの翼も機械化されており、ドラゴンの翼は宇宙の光を放っていた。
俺たちの姿を見た奇跡で復活したゼウスが言う。
「全く…メティスにテューポーンを相手にした後にこんな化け物と戦わさせられるとはな…少しは老人をいたわったほうがいいぞ?」
「テューポーンと一対一で勝ったあなたにそんな心使いは不要でしょう」
俺は両腰にある旭光近衛と創星近衛を抜く。それを見たゼウスもケラウノスとハルパーを両手に構えると先に仕掛けて来た。
「神技! ゴッドフォース! ぬん!」
「おら!」
両者が空で激突し、その後激しく武器の連打戦となった。ケラウノスとハルパーの形が普通の棒と剣の形をしていないから厄介ではあるけど、パワーと武器さで俺たちは超えている。
しかもメティスが苦戦したゼウスの未来を呼んだような動きにも俺たちは対応出来ていた。これはゼウスが量子演算などのイクスのスキルを使っていることは確定したかな。
それでも俺たちと対等に戦えているのはゼウスの力量があってこそだ。ケラウノスで俺たちからリーチ差を取りつつ俺たちの攻撃はハルパーと格闘技でフォローしている。あっさりケラウノスを手放して拳に切り替えたかと思ったら、ケラウノスを帰還で戻して追撃して来るところは本当に上手い。
「ぬぅうう! 全波動! 星核! 星核!」
接近戦では不利と分かったのか手加減無しの遠距離攻撃が来る。しかし俺たちは遠距離戦に付き合うつもりはない。全波動を躱して星核をぶった斬り距離をガンガン詰めていくとイクスが反応する。
『マスター! わたしたちの頭上! 宇宙空間に次元転移を感知! 狙われています!』
何かの兵器か!
「金縛り! 神鎖! 冥府鎖!」
動きを一瞬止められて、その間に神鎖で縛られそうになったが動けるようになった瞬間に神鎖を俺たちは全て切断すると追加の冥府鎖が来た。それを切断していると頭上に現れた何かの魔力が一気に上昇した。
「神技! ジュピターカノン!」
頭上から魔導砲が落ちて来た。イクスの武器も間に合わない。
「虚無壁!」
虚無壁に緑色の魔導砲が直撃し、俺たちのところだけ無効化し、虚無壁の範囲外の攻撃は地面に落下し、大爆発が発生すると竜巻が発生した。風属性の魔導砲みたいだな。ずっと狙われるのは厄介だ。先に潰しておくしかないな。
「次元転移!」
俺たちは宇宙に転移するとそこにはプラネットデストロイヤーのような緑色の謎の金属と黄金で作られた兵器があった。
「無限刃! はぁあああああ!」
俺がぶっ壊そうとすると次元転移で逃げられる。
「逃げれるわけないだろうが! 次元崩壊!」
俺が創星近衛を振ると空間がひび割れ、次元の狭間が現れる。するとそこには次元の狭間に吸い込まれているゼウスの兵器の姿があった。このままでも壊れそうだが念には念を入れよう。
「無限刃!」
俺はゼウスの兵器を破壊した。すると宇宙空間に次々同じ兵器が出現して俺たちに狙いを定めて来た。武装創造か。これを大量に作り出せるのは反則だな。
「全部壊すぞ! リリー!」
『うん! ドラゴンダイブ! ドラゴンクロー! やっちゃえ! タクト!』
俺たちは一つの兵器に突撃して破壊するとドラゴンクローで次々破壊していく中、ゼウスの兵器は魔力のチャージを続けていた。そして壊し損ねた兵器から再び魔導砲が放たれるとビームが曲がり、俺たちを追尾して来た。必中で狙ってやがるな。しかもここにゼウスがいない所を見ると遠距離狙撃や千里眼を使っていそうだ。
「無波動! 無波動! 無波動! 無波動! 面倒だ! 根こそぎ潰すぞ!」
『イエス、マスター! 引力支配、発動します。ファリーダ』
『任せなさい! 暗黒渦! 全部消し飛びなさい! デモンズノヴァ!』
俺たちは魔導砲に押し勝つと引力支配で兵器を一か所に集める。そして暗黒渦で飛び込めてから接近するとデモンズノヴァで全ての兵器を消し飛ばした。そして宇宙空間から勢いよくゼウスに向かって落下していく。
『王撃!』
「王撃!」
両者の王撃が激突すると俺たちが押し勝ち、ケラウノスは弾かれるとゼウスは王撃の直撃を受けて地面に落下する。そして俺たちは追撃に出たが斬った瞬間、ゼウスの姿が消えた。脱出スキルか。
「ゴッドクラッシャー! 武器破壊!」
「は! 無限属性の武器に武器破壊が通用すると思っているのか? おら!」
「く! ぬ!?」
「霹靂閃電!」
「神盾アイギス!」
ゴッドクラッシャーを受け止め、弾いた俺が霹靂閃電で仕掛けると神盾アイギスがゼウスの前に現れて、攻撃を防がれてしまった。神盾アイギスは元々ゼウスが持っていた盾だからな。使われるのは当然か。
「時空切断! 巨大化!」
「無限化!」
『デモングランドクラック!』
巨大化されたハルパーの斬撃を俺たちは無限化で無効化して強烈な蹴りを放つとゼウスは神盾アイギスで防いで来る。この鉄壁の守りを突破しないと俺たちは勝負を決めきれないな。
『ホーミングレーザー。次元アンカー。発射します』
俺たちの翼からホーミングレーザーが放たれ、ゼウスに炸裂すると次元アンカーがゼウスの足を捕まえて俺たちは振り回すとゼウスを地面に叩きつけた。するとゼウスは神盾アイギスとハルパーを手放して次元アンカーを掴むとケラウノスを手元に戻した。
「神技! ケラウノス・スリアンヴォス!」
次元アンカーを掴まれて俺たちは逃げれない。
『ドラゴンフォース!』
『デモンズフォース!』
『DEMバースト、炉心暴走。発動します』
俺たちからとんでもないオーラが発生すると創星近衛の一振りで投げられたケラウノスはあっさり弾かれる。
「なんじゃと!? ッ!?」
次の瞬間、ゼウスの目の前に炉心暴走の効果で体が真っ赤に発光している俺たちの姿が現れるとゼウスの両腕が一瞬で斬り落とされる。それを認識したゼウスは後ろに下がると俺たちの手から武器が弾かれる。ルーンウェポンと同じ効果があるスキルを使われたな。確かにここで武器を封じないと詰みだが、もうゼウスにはわかっているはずだ。この状態の俺たちにはもう勝てない。ここからは地獄だ。好き放題に俺たちの力を使わせて貰うぞ。
『ブレッシングブレイク! 爆拳! シャイターン・ラッシュ!』
「おらおらおらおらおら!」
『逃げます。右方向です。マスター』
『ドラゴンテイル! 部位竜化! 部位竜化!』
俺たちのブレッシングブレイクの拳が炸裂してゼウスの強化が消えると同時にゼウスに爆発と紅炎が発動するとそこからシャイターン・ラッシュに繋げたが空気化で逃げられる。しかし逃げてもイクスが逃がさない。俺たちはドラゴンテイルでゼウスをぶっ飛ばすと腕を機械化されたドラゴンの腕に変化されて、地面に押しつぶしてから元に戻して次は機械化されたドラゴンの足で押し潰そうとしたが今度は魔素化で逃げられた。
その後もゼウスは炎化、砂化、液状化を駆使して辛うじて逃げ回るが俺たちが追撃を止める事はない。そしてゼウスが霊化を使うと俺は言う。
「これでその手のスキルは品切れなんじゃないのか? お前が持つ全能のスキルは全てのスキルの中でも最強クラスのスキルだろう。でも万能じゃない。一度全能スキルで使ったスキルは再使用までかなりのタイムラグがあるんじゃないのか?」
全ての能力が使えるという意味の全能だが、それが無限に使われるとは誰も言ってはいない。そもそもそんな出鱈目なスキルをこのゲームが許可するとは思えないしね。そしてゼウスはこの戦闘で全能スキルで使用したであろう自分が持っていない属性のスキルを連続使用はしていないことから俺はこの弱点に確信を持っている。
こうなるともう一方的にボコボコに殴る展開となり、ゼウスが使用する防御スキルが次々俺たちの手で破壊されていくとゼウスもギリシャ神話の主神としての意地を見せて来た。
「ゴッドクラッシャー! 儂は負けんぞ! 儂こそが神々の王! 全知全能の最強の神じゃ! お主たちごときに負けていいはずがない!」
お互いに殴り合う展開となったが明らかに俺たちへのダメージは軽微だ。
『そんなこと言っているから負けるんだよ! ドラゴンクロー!』
「ごふ!? っ!?」
ドラゴンクローがゼウスの腹に決まり、ゼウスは天高くぶっ飛ばされる。ゼウスにはもう不屈も奇跡もない。勝負を決めよう。
『あなたのその自信と驕り。あたしたちが跡形もなく消し飛ばしてあげるわ。そうでしょう? イクス』
『デストロイヤーユニット、展開。全武装、ロックオン完了。マスター』
『『『『デウスイフドラゴニックバースト!』』』』
デストロイヤーユニットの全火力と口からのドラゴンブレス、目からの放射熱線が放たれ、ゼウスに炸裂する。勝負ありかと思ったがイクスが警告を発した。
『まだ生きてます! マスター!』
ゼウスの生命力は一残っていた。起死回生か!
「神技! ケラウノス・スリアンヴォス!」
『換装解除! マスター!』
「部位竜化! ふん!」
大逆転を狙ったゼウスのケラウノス・スリアンヴォスだったがイクスは素早く武装を解除すると俺たちの手が機械化されたドラゴンの腕となり、ケラウノス・スリアンヴォスを掴んで止めた。俺たちは感電するけど、これでもう本当に終わりだ。
「デモンクラッシャー!」
最後は俺たちの拳がゼウスに炸裂してゼウスは地面に落下して転がると言う。
「まさかこの儂が二度も負ける事になるとはな…やはりドラゴンは神の天敵と言うわけか。儂の負けじゃ」
ゼウスがそういったことで勝利を知らせるインフォが来る。
『特殊クエスト『ゼウスの試練』をクリアしました。称号『星天の攻略者』を獲得しました。報酬を選択してください』
称号『星天の攻略者』:難易度SSSSS
効果:星と名がつくスキルを持つ者からのダメージ半減、星と名がつくスキルを持つ者に対してダメージ2倍
ゼウスに勝った者に贈られる称号。星の力を持つ者に対して圧倒的な力を発揮する。
ここでゼウスが起き上がるとアテナとヘラが現れた。
「見事に負けちゃったね。お父様」
「流石アテナちゅわんが目を付けた人間じゃわい。格好悪いところを皆に見せてしまったな」
「何言っているのよ。テューポーンと戦った後の連戦だったのよ? 格好よかったに決まっているじゃない」
「へ、ヘラ!? そ、そうかのう? 儂、格好よかったかのう? うへへ。やっぱりヘラが一番の儂の妻じゃ!」
ゼウスはデレデレ状態となり、ヘラに抱きつく。その裏でヘラが悪い顔を見せていたところを俺たちは見逃さない。
『『『こわ』』』
なんというか完全に俺たちを出汁に使って、ゼウスのポイント稼ぎをしたな。本当に怖い女神だよ。さらっとメティス戦を排除しているところもえげつない。
「お父様、報酬報酬」
「おっと。そうじゃったわい。欲しいのはケラウノスでいいんじゃな?」
「はい」
俺はゼウスから神棒ケラウノスを受け取った。早速鑑定してみる。
神棒ケラウノス:レア度10 棒 品質S+
重さ:10 耐久値:14000 攻撃力:7000
効果:雷属性アップ(究)、魔獣殺し、竜殺し、巨人殺し、神殺し、魔神殺し、神気、星気、怪力、万物破壊、領域破壊、防御無効、神速、光速激突、神障壁、天候支配、電磁支配、荷重支配、気圧支配、気流支配、電磁場、溶断、溶接、避雷針、超充電、超電磁、雷光、雷光刃、雷鳴、電子分解、火山雷、石化雷、蒼天雷、氷雷、神雷、黒雷、電弧放電、大雷霆、大雷轟、荷電光線、雷波動、神波動、全波動、荷電球、星核、大気震、星震、次元震、神撃、天変地異、帰還、奇跡、伝説解放、神威解放、加護破壊、耐性無効、巨人の加護、勝利の加護、ゼウスの加護
全知全能の神ゼウスが所有している最強の武器。雷の形状をしている棒で天候を操り、投げられたケラウノスは全属性の雷が降り注いで電熱で世界を焼き滅ぼす威力を誇る。また雷属性の神の武器の中では最強の武器と言われている。
能力的にはトリアイナより少し強い感じだね。そしてヴァジュラは下の武器だと認定されました。インドラさん、涙目だ。個人的にはゼウスとインドラは結構似ていると思っているのだが、流石に全知全能には勝てないって感じだろうな。インドラさん、どんまいです。
これで俺たちはホームに帰った。テューポーンに勝利報告をすると約束を果たしたということで契約続行してくれるらしい。ただ封印石召喚はこのままだと使えないんだけどね。これはしょうがない。約束とケラウノスが手に入ったことを喜ぼう。
そのケラウノスだが、伊雪が装備することが決まった。インドラと繋がりがあるし、伊雪の火力不足の不安もケラウノスなら払拭できるだろう。その分、棒の形状が特殊過ぎるから本当に投擲武器として使うことがほとんどになりそう。
「ありがとうございます! お父さん! お姉様たち! 使いこなせるように頑張ります!」
伊雪がウキウキしている姿を見たら、頑張った甲斐があったと思えた。さて、これで俺たちの今日の予定は概ね終了した。残すは十八時六分六秒に開始されると思われているウロボロスドラゴンとアポカリプスビーストとの対決だ。なのでここでログアウトして、夕飯を食べることにした。




