#1476 タクトVSルシファー 後半
俺たちは真っ向からルシフェルに挑む。それに対してルシフェルは手をこちらに向けて来た。
「全波動!」
俺たちは全波動を躱す。やはり翼の色は全属性の解放を意味していたのか。しかしこれで俺たちは接近できる。
「神バリア! 魔神バリア!」
神と魔神のバリアを同時に展開できるか。そしてルシフェルはこちらに手を向ける。
「魔素支配! 物質化!」
とんでもない量の魔素が手から放たれて俺たちは魔素に捕まると地面に叩きつけられた。ロンギヌスでも大量の質量がある魔素が相手では貫けはしないか。
「傲慢門」
『やらせません! ハーミットテイル!』
『空間歪曲どす!』
「く…!」
ルシフェルは自身を象徴するスキルを使おうとしたが空間から現れた狐の尻尾に妨害される。ルシフェルはそれなら尻尾をロンギヌスで貫こうとしたが、尻尾は空間に引っ込んでしまいゴッドブレスがルシフェルに飛んできた。
これにはルシフェルも回避を選択する。しかしそこに投げられたロンギヌスが飛んできた。これをロンギヌスで弾いたが俺たちはルシファーの背後を背後を取った。
『ヴィーザルサンダル! 神威解放!』
「アースヘリヤ!」
「黄金装甲! くぅ!?」
俺たちの蹴りがルシフェルに炸裂するがルシフェルは自分の体を黄金に変化されて、ダメージを軽減させた。しかし俺たちは弾かれたロンギヌスを掴んでルシフェルに突撃する。すると仰向けで倒れているルシフェルがこちらを向くと、手に持った何かを大量に投げて来た。これは宝石!?
「宝石解放!」
「く!」
宝石の爆発に俺たちは包まれる。俺たちは突撃の勢いを止められず攻撃してしまうがそこにはルシフェルの姿はなく、ロンギヌスは虚しく地面に刺さってしまった。
「傲慢門!」
『させないって言いました! ハーミットテイル!』
『あかん! 恋火! 間に合いまへん!』
ルシフェルの傲慢門が発動する。それでもハーミットテイルはルシフェルに向かっているがここで異変が発生した。ハーミットテイルがルシフェルの横に外れたのだ。尻尾を操作しているのは恋火なのでこれはあり得ないミスだった。
『体の自由が!?』
『これは混乱の状態異常どす!』
『そんな私たちにそんな状態異常が通用するはずが』
「禊! 光化!」
みんなが混乱している中、俺は禊で状態異常を解除し、ロンギヌスで狙われた尻尾をギリギリのところで光化で逃げた。しかし光化で逃げた先を狙われる。
「変化!」
「ッ!?」
「は!」
「魔素化!」
俺は身体を小さくしてロンギヌスの突きを外させると逆にロンギヌスを突きを放つ。しかしこれは魔素化で逃げられた。俺は追撃せずに自分の異変を認識する。俺たちのステータスにあった加護と神との契約で得たスキルが消滅していた。これが俺たちが混乱の状態異常になった原因だ。
「加護と神の力の消滅と混乱が傲慢門の効果か」
「正解です。傲慢に落ちた人間を祝福するのは悪魔です。そして傲慢に落ちた人間を神は祝福しません。故に傲慢門を受けた者は理性を失い、神の信仰を失う。これが私の力です」
俺は武器のスキルを見ると武器だけは加護のみ無くなっている。これを見ると嫉妬門と比べるとだいぶ甘いスキルだな。
傲慢は調子づいて人を馬鹿にすることという意味となる。よく王様などの権力者や出世して地位が上がった人間がよく傲慢の欲に囚われる傾向があるだろう。確かに神話とか見ても悪い王様の味方をする善神は早々いないと思う。探せば見つかりそうだから可能性がゼロとは言えない。
何を持って良い王様か悪い王様か判断するところが難しい所になるだろう。傲慢の欲を持った王様と限定するならかなりの王様が囚われると思うからルシフェルの理論は破綻するかも知れない。
ルシフェルが俺たちにロンギヌスを向ける。
「これでもうあなたたちは最強ではなくなりました。勝負ありですね。それにしても子供の姿の自分を私に見せるとは中々酷い事をしますね? 誠吾」
「息子に頭突きする母さんに言われたくはないな。それに使えるものは何でも使え。勝負に卑怯は存在しない。勝つか負けるかそれだけが存在するというのが御剣家の教えだったはずだよ。だから母さんも頭突きをしたんでしょ?」
『お爺様!』
今、ルシフェルは自分の息子を不良に落としたお爺さんに向かって心の底から怒りの念を送るのだった。
「変化解除っと…それと母さんはやっぱり戦闘に向いてないね」
「そう思いますか?」
「思うね。甘い。あまりにも甘すぎる。神から授かったスキルが無くなったから勝負あり? 違うでしょ!」
俺たちがルシフェルに再度挑むとルシフェルは自分がやりたかった戦闘をする。
「雷雲! 黒雷!」
周囲に雷雲を発生させると黒雷を俺たちに浴びせる。しかし次の瞬間、俺たちの姿が消える。その瞬間、ルシフェルはロンギヌスを警戒する。
「部位獣化!」
『光閃!』
「ッ!?」
ルシフェルの目の前に現れた俺たちは両腕を九尾の手に変化されるとルシフェルの両翼に光速の爪が炸裂し、両翼を失ってしまう。激痛に襲われるルシフェルだったが爪を振りかぶった俺たちは無防備だ。しかし俺たちの上には俺たちが投げ捨てたロンギヌスと力を完全解放された神盾アイギスあった。
「全波動!」
ルシフェルは攻撃してもロンギヌスの攻撃は躱せる判断をした。
『火炎車!』
『エンジェルストライク!』
「おぉおおおおお!」
「ッ!?」
俺たちは全波動を受けながらルシフェルに突撃して、そのまま壁に激突する。
「くぅ! あ」
『ゴルゴネイオン!』
「しまっ」
「貫け! ロンギヌス!」
ゴルゴネイオンが決まっているから逃げる術はない。これで勝負ありだ。そう思うと貫いたルシフェルの胸から暗黒のオーラが噴き出した。流石にこれには俺たちは引く判断する。するとゴルゴネイオンが強制解除されてルシフェルは解放され、ルシフェルは服に隠されていたネックレスを取り出した。
「勝ったと思いましたか? 甘いですね。誠吾」
「父さんからのプレゼントか何か?」
「正解です」
満面の笑顔で言われましたよ。ゲームの世界でもラブラブしているようでほっとしたけど、過保護すぎだろ。父さん。
『妻に過保護というなら主も変わらないと思いますよ?』
『『うんうん』』
変なところで父との血の繋がりがまた証明されてしまった。これで振り出しに戻った、といってもルシフェルは翼を失い、俺たちは神の力を使えない状況である。どちらが優勢か微妙なところだが、俺たちのほうがまだまだ余力を残している。
確かに神の力の消滅は痛いけど、俺たちの強さの根本はそこじゃない。召喚師と召喚獣との融合した強さこそが俺たちの最大の力だ。それが消えていない以上、俺たちは全然戦える。
俺たちは再びロンギヌスを構える。
「フォールンロンギヌス! 神威解放! 伝説解放!」
「神槍ロンギヌス! 伝説解放!」
ここでルシフェルが持つロンギヌスと俺が持つロンギヌスとの明確な差が出た。ルシフェルが言う。
「例え善神であろうとも悪神に堕天させる神殺しであり、魔神を生み出す魔神製造の最強最悪の槍の力。味わってもらいますよ! 誠吾!」
「は! 神殺しの槍が魔神を生み出すとは笑わせてくれるな! 俺は俺の夢を邪魔する者は神であろうと魔神だろうと堕天使の女王だろうと魔神の王でも等しく殺してやるよ!」
「いいでしょう! では、ここで決着をつけましょう! 子が母に勝てないと証明してあげますよ!」
「来いよ! 親を超えるのが子供だってことを証明してみせる!」
お互いの両者が激突する。ここで戦闘を終えたみんながやって来た。
「まだ戦っているよな」
「加勢するぞ!」
「「「「だめー!」」」」
俺とルシフェルとの対決に加勢しようとしたみんなをリリーたちが止めた。
「タクトとむぐ!?」
リリーが失言しそうになったところをイオンが止めた。本当にイオンはリリー対するガードが固い。
「皆さんの気持ちは嬉しいですけど、この戦いだけは参加させるわけには行きません」
「どうしても加勢したいというなら私たちを倒してから行ってください」
「ど、どうする? マグラスさん?」
「どうすると言われても答えは決まり切っているだろ? この子たちを倒したら、幼女サモナーがどうなるか考えてみろ。俺たちは怒り狂っている最強のドラゴンとマザーシップに蹂躙されるぞ」
マグラスさんの言葉を聞いて、全員が加勢を止めたのは言うまでもない。
そして俺たちの戦闘の方は、やはり翼を失ったことでルシフェルは機動力が落ちている。しかしそれならルシフェルは空中戦を捨てればいいだけの話と言うことになり、ルシフェルは雷雲を展開しながら空を飛んでいる俺たちに牽制し続けている。
この雷雲のせいで俺たちが接近戦をすると後ろから雷に打たれる構図だ。しかし遠距離戦となるとこれはこれで問題が発生する。
「無波動! 流動! 堕天使魔法! フォールンストリーム! 惑星魔法! ヴィーナス! 夜天! 日輪! 魔神撃! 黒星!」
強力な遠距離攻撃のラッシュが飛んで来る。こちらも返しているが流石に神の力を失った影響がでかい。勝負を決めるなら速い方がいい。
『いくぞ! みんな! ここで決める!』
『『『はい!』』』
『フォックスフォース!』
『太極覚醒どす!』
俺たちのステータスがアップすると当然ルシフェルも対抗して来る。
「フォールンフォース!」
お互いの攻撃と移動の速度が急激に上がる。その戦闘の中、俺たちは槍の攻撃を捌かれて蹴り飛ばされてしまった。
「堕天使魔法! ブライトスターライト!」
『狐稲爆!』
天から紫の光線の雨が降って来る。これに対して魔法の発動と同タイミングで狐稲爆がルシフェルに降り注ぎ、両者が防御スキルを使いながらもダメージを負う。そして両者が地上で槍を構えて突撃する。この勝負で決着する。
「光速激突! 魔槍技! フォールンペネトレイター!」
ルシフェルが俺たちから逃げることを封して来た。これで俺たちは無限属性の力を放っているフォールンロンギヌスの必殺の一撃を受けて立たないと行けなくなった。
『さぁ! どう来ますか! 誠吾!』
「『『『はぁあああああ!』』』」
『っ!? 逃げない? そのままぶつかる気ですか!? それならこちらが勝つはず…何を狙って』
「攻撃を外せ! ルシフェル!」
『ッ!?』
ルシフェルの槍の突きのコースがルシフェルの意に反してずれる。光速激突が相手から逃げるスキルを封じるスキルだ。決して必中のスキルではない。だから俺たちは言霊を使ってルシフェルに攻撃を外させた。そして光速激突を使ったルシフェルもまた逃げる事は許されない。
結果、俺たちのロンギヌスがルシフェルを貫いた。そして追撃の爆心と紅炎が発動すると俺たちはそのままの勢いでルシフェルを壁に押し付けた。
「俺たちの勝ちだ。母さん」
「えぇ…あなたたちの勝ちですね」
俺たちが槍を抜くとルシフェルはルシファーの姿となって、地面に崩れ落ちそうになったが俺たちは支える。
「ふふ…こうして大きくなった息子に優しくされるというのは母親冥利に尽きますね」
そう言いながらルシファーの体は光となって消えて行く。そんな母さんに俺は言う。
「消えた母さんはどうなるの?」
「物語に重要な人物のデータは死んでも残るように設定されています。誠吾のお爺さんもきっとこの対決をどこかから見ているはずですよ」
まぁ、あの爺さんなら間違いなく観戦していただろうな。きっと俺の戦闘に色々いちゃもんを言っているに違いない。そもそもロンギヌスを使わずに刀で勝てとか侍の心を見せろとか言ってそう。
「じゃあ、母さんもそうなるんだ」
「えぇ。あなたと賢吾さんとの最悪最高の親子喧嘩を特等席で見せて貰います」
満面の笑顔を見せちゃって…心底幸せそうだ。それを見た俺はこのゲームが存在価値を改めて認識した。それでも人体実験はアウトだからどうしようもないけど、それでも未練を残した死者に一度だけ未練を解消するチャンスを与えることが悪とは俺には思えなかった。
そして俺と母さんとの時間は終わろうとしていた。
「もうそろそろ時間のようですね…誠吾。母親として成長したあなたに言っておきます。人は一人では生きて行けません。一人で背負い込まず愛する人、信頼できる仲間と一緒にあなたの人生を進んで行ってください」
「その言葉、心に深く刻み込んでおくよ」
「いい子ですね…後、誠吾の中にいる天使の子。ウリエルに伝言を頼んでいいですか?」
『は、はい!』
「サタンは私のように甘くはありません。それとあなたは私のようになってはいけませんと伝えて下さい」
ブランは驚く。俺もこの言葉には驚いた。それではまるでウリエルが堕天使になる可能性があるように聞こえたのだ。その疑問に気付いた母さんが言う。
「ウリエルは私の真似をすぐしますからね。ちゃんと私の口から釘を刺して置かない行けないんですよ。本当に可愛い子なんですから…彼女は」
それがルシファーの最後の言葉だった。ルシファーが消えるとアイテムを落とすとここで戦闘終了を知らせるインフォが来る。
『ルシファーの領地を解放しました』
『おめでとうございます! 四大魔王の討伐に成功しました。称号『傲慢の克服者』を獲得しました。これにより最後の魔王領、サタンの領地が解放されました』
『職業召喚師のレベルが上がりました。ステータスポイント6ptを獲得しました』
『職業召喚師のレベルが上がりました。スキルポイント6ptを獲得しました』
『ファリーダのレベルが40に到達しました。成長が実行可能です』
『ユウェルのレベルが60に到達しました。成長が実行可能です』
『アリナのレベルが60に到達しました。成長が実行可能です』
『燎刃のレベルが60に到達しました。成長が実行可能です』
『虎徹のレベルが60に到達しました。成長が実行可能です』
『ディアンのレベルが50に到達しました。成長が実行可能です』
『ストラのレベルが50に到達しました。成長が実行可能です』
『ジークのレベルが50に到達しました。成長が実行可能です』
『夕凪のレベルが20に到達しました。成長が実行可能です』
『リースのレベルが30に到達しました。成長が実行可能です』
『セチアの杖のレベルが50に到達しました。杖【マジックバスター】を取得しました』
『セチアの地魔法のレベルが40に到達しました。地魔法【コメット】を取得しました』
『セチアの神聖魔法のレベルが40に到達しました。神聖魔法【アルティメットブレス】を取得しました』
『リアンの人魚魔法のレベルが40に到達しました。人魚魔法【リターンオーシャン】を取得しました』
『和狐の空間歪曲のレベルが30に到達しました。空間歪曲の最大数が1増加しました』
『セフォネの空間歪曲のレベルが30に到達しました。空間歪曲の最大数が1増加しました』
『ファリーダの炎魔法のレベルが40に到達しました。炎魔法【コロナホール】を取得しました』
『ファリーダの暗黒魔法のレベルが40に到達しました。暗黒魔法【エターナルペイン】を取得しました』
『ファリーダの魔神技のレベルが50に到達しました。魔神技【デモンズフォース】を取得しました』
『ファリーダの魔神技のレベルが上限に到達しました』
『ダーレーの格闘のレベルが50に到達しました。格闘【コークスクリューブロー】を取得しました』
『ダーレーの蹴り技のレベルが50に到達しました。蹴り技【後ろ回し蹴り】を取得しました』
『ダーレーの空間歪曲のレベルが30に到達しました。空間歪曲の最大数が1増加しました』
『ダーレーの竜技のレベルが50に到達しました。竜技【ドラゴンフォース】を取得しました』
『狐子の仙術のレベルが50に到達しました。仙術【自然採気】を取得しました』
『狐子の狐技のレベルが50に到達しました。狐技【フォックスフォース】を取得しました』
『ルーナの疾魔法のレベルが40に到達しました。疾魔法【オキシゲンロスト】を取得しました』
『ルーナの炎魔法のレベルが40に到達しました。炎魔法【コロナホール】を取得しました』
『ルーナの地魔法のレベルが40に到達しました。地魔法【コメット】を取得しました』
『伊雪の棒のレベルが50に到達しました。棒【全攻旋風】を取得しました』
『伊雪の棒のレベルが上限に到達しました』
『ミールの槍のレベルが50に到達しました。槍【テンペストペネトレイター】を取得しました』
『クリュスの竜魔法のレベルが30に到達しました。竜魔法【オーシャンプレッシャー】を取得しました』
『月輝夜の戦斧のレベルが50に到達しました。戦斧【デストロイヤースマッシュ】を取得しました』
『月輝夜の魔神技のレベルが40に到達しました。魔神技【デモンズノヴァ】を取得しました』
『千影の暗黒魔法のレベルが30に到達しました。暗黒魔法【サクリファイス】、【ベルセルク】を取得しました』
『ルミの疾魔法のレベルが30に到達しました。疾魔法【ツイスター】、【オゾンホール】を取得しました』
『ルミの氷魔法のレベルが65に到達しました。氷魔法【オーロラベルト】、【パーマフロスト】を取得しました』
『ルミの時空魔法のレベルが65に到達しました。時空魔法【ハイパースペース】、【ディセラレーション】を取得しました』
『ルミの妖精技のレベルが20に到達しました。妖精技【フェアリーダンス】を取得しました』
『リースの時空魔法のレベルが65に到達しました。雷魔法【サンダーボルト】、【エレクトロニックレンジ】を取得しました』
『リースの時空魔法のレベルが65に到達しました。時空魔法【ハイパースペース】、【ディセラレーション】を取得しました』
称号『傲慢の克服者』
効果:全属性アップ(究)、光無効、状態異常無効、加護破壊
ルシファー戦で貢献度上位100人に贈られる称号。
俺たちはマリッジバーストを解除して、みんなのところに歩いて行くとみんなが笑顔で俺たちを見ると頷いて来た。どうやら俺が勝鬨を上げないといけないらしい。
「この勝負! 俺たちの勝ちだ! 倒すぞ! サタン!」
「「「「おぉおおおおお」」」」
こうして俺たちとルシファー軍との戦闘は終結したのだった。




