#1463 ルシファーの城、前編
城前を完全に制圧した俺たちは休憩を挟んでいると城門の外で動きがあった。ゴエティアの魔方陣が上空に展開されるとそこから翼を持つ炎の牡鹿が現れた。
フルフルLv72
通常モンスター 討伐対象 アクティブ
いよいよ名持の悪魔が現れたな。
「ヴェ~!」
フルフルが空を飛びながら叫ぶと火山雷が召喚獣たちに降り注ぎ、更に暴旋風を発動された。そしてこちら側の本陣、つまりシルフィやリリーたちがいる所を目掛けて突撃する。その際に焼尽を翼から発生させて、地面に降り注ぐと次々爆発した。
「迎撃してください!」
「その必要はありませんよ。シルフィ」
「セチアちゃん?」
「あいつの相手はエアリーさんがします」
セチアがそう言うとエアリーが突撃し、真っ向からぶつかり合うと大爆発し、お互いに吹っ飛ぶ。これを見たフルフルは身体を溶岩のように発光する。炉心暴走だね。流石に火属性の鹿が相手じゃ、エアリーは相当きついな。
しかし誰もこの勝負に口を出すことは無かった。エアリーが勝つことをみんなが分かっているようだ。そしてフルフルの突撃が来る。これに対してエアリーは斥力場を展開する。フルフルは斥力場を受けて、突破出来ずに弾け飛ばされると完全にバランスを崩してしまった。それを見逃すエアリーではない。
エアリーが突撃するとそのまま外の城門にフルフルを角で捕まえた状態で突撃するとフルフルは地面に落下する。すると神雷が降り注ぎ、更に神撃が落とされると最後は星座魔法のカペラが発動してエアリーが倒しきるのだった。
この勝利を確認出来た俺たちはここからは名持の悪魔たちとの勝負が待っているという認識を持つと同時に、城の周辺に味方を配置することを決定した。これにはミカエル、ウリエル、ラファエル、ガブリエル以外の天使の軍勢が引き受けてくれた。俺からは切り札を使ってしまった虎徹とミール、ルミが防衛に参加してくれる。
こうして準備を整えた俺たちは扉を開けて城に入った。目の前に広がった光景は大広間と二階に続く大きな階段だった。城の構造上、ルシファーは恐らく上にいるだろうから攻略を進めるなら階段を上がっていくことになるだろう。
当然、それを邪魔するように大広間には進行を防ぐように各国の兵士NPCだ。もちろんレギオンによる憑依だろう。そしてこのNPCの中にはエルフやドワーフ、ホークマン、セリアンビースト、ドラゴニュート、天使、人魚の姿があった。
それだけなら問題はない。悪魔と戦って、負けてしまったとかいくらでもいい方に予想できる。しかし彼らの首には奴隷の首輪が付けられていた。これを見てしまうと彼らに何が起きたのか容易に想像出来てしまう。
「またあんなものを!」
「恋火…気持ちは痛い程、分かるけど、今は落ち着きや」
「は、はい。お姉ちゃん」
俺たちの中で一番辛いには和狐だろうに…和狐もまた精神的にかなり成長しているね。みんなが落ち着いたをみて、俺は結論を言う。
「奴隷として売られた彼らを魔王たちが買ったってことだろうな」
奴隷商人と魔王たちとの繋がりは確かに薄っすらと伺わせる話があった気がする。まさかこんな形で出て来るとは思わなかったな。するとガルーさんが舌打ちをして言う。
「ちっ! こいつら、奴隷を買っただけじゃないみたいだぜ。奴隷の子供を買って育てやがったみたいだ」
確かに奴隷の首輪が小さい者がいる。彼らはガルーさんが言うように育てられた子供たちってことになるだろう。それを見たサラ姫様が言う。
「元を辿れば私たち人間がした罪…フリーティアの王女として引く事は出来ませんね」
「つーわけだ。ここは俺たちに任せて、お前たちは先にいけ」
「我々の同胞もいますから私たちも参戦します」
各国の騎士団がこの場を受け持つこととなった。なんとも豪華な戦いになるぞ。そしてその戦いには当然アーレイとレッカ、ミランダ、帝さんたちが参加してくれて、俺たちを先に進ませてくれる。
そう思った時、俺たちに向かって上から水練刃が放たれた。これを躱すと放たれた方向を見るとそこには魔導書を手に持ち、青い杖と眼鏡を装備したボサボサの短髪青髪の堕天使がいた。
クロケルLv74
通常モンスター 討伐対象 アクティブ
ゴエティアに登場する堕天した元能天使だ。これはあれだな。恐らく彼らがルシファーと共に堕天した天使の勢力という設定と見て良さそう。実際のルシファーの神話では堕天した天使の明確な名前の表記はなかったはずだ。
それをゴエティアに登場する堕天使たちをルシファーと共に堕天使した天使たちとしてこのゲームでは登場させたんだろう。
そんな彼が大袈裟なリアクションを取りながら言う。
「あぁ! 何という事だ! まさか人間が同じ人間だけでは飽き足らず、他の種族に対してこんな卑劣なことをするとは! これは最早人間を創造した神の罪と言えるでしょう! そうは思いませんか? ラファエル様」
「クロケル…それは」
どうやらラファエルとクロケルは知り合いみたいだな。伝説上ではそういう繋がりは書かれていないがこのゲームではクロケルは見る限りでは水属性みたいだし、同じ水属性のラファエルと繋がりがある設定にしたんだろう。
ラファエルが答えに詰まっているとミカエルが代わりに答えを返す。
「それは確かに人間の罪と言えるでしょう。しかしあなたたちにそれを指摘する資格は無いでしょう? 同じことをしているではないですか!」
「これはこれはミカエル様。それは心外ですね。私たちは天使らしく彼らの望みを叶えて上げているだけですよ。見捨てられた彼らの気持ちは同じです。彼らが望んでいるのは復讐! 自分たちを犠牲にして平和を謳歌している者たちに対しての復讐なのですよ! それを叶えてあげる私たちは彼らにとって救いの神と言えるでしょう!」
どうやら口が上手いタイプのようだな。そんな奴に俺は言う。
「あ、そう。先に進むぞ。みんな」
「「「「はーい」」」」
俺たちが走り出すと大広間にいるNPCたちを飛び越えて、階段を昇っていく。それを見たクロケルが慌てる。
「おい! 貴様! 私の話を聞け!」
「叫んでるよ。タクト君」
「無視無視。だって、この話って救いの神になれて良かったね。これで終わりじゃん。話す価値もなければ足を止めるのも馬鹿馬鹿しい」
「「「「た、確かに…」」」」
彼らが復讐をしたいならすればいいんだよ。サラ姫様たちはその復讐に付き合ってくれると言っているんだ。だったら、俺たちがここに残る意味はないよね?これが俺の結論。人間が罪深い生き物かどうかなんて天使に言われなくてもみんな分かっていることだよ。その罪を償うために行動することが出来るのもまた人間なんだ。それが分かっていないこいつとは会話したくないね。
「き、貴様! 私の話が馬鹿馬鹿しいだと! 死ぬ覚悟は出来ているんだな!」
クロケルが俺に向かっていると横からスナイパーライフルの銃弾が飛んで来て、慌てて回避するとブルーフリーダムのリーダーがクロケルの上に現れるとエクスカリバーで斬りかかると杖でガードされた。
ブルーフリーダムのリーダーの攻撃を止めたところは見事。しかしまだ銃弾は残っている。銃弾は階段の手すりに当たると二階の左側に配置されている手すりに当たり、クロケルに向かっていく。相変わらずえぐい跳弾技術だよ。
それを認識したクロケルは躱すがその瞬間に力が緩んだことでブルーフリーダムのリーダーの攻撃が決まって、地面に墜落した。そしてブルーフリーダムのリーダーがみんなと合流する形で着地する。
「彼の相手は僕たちがします」
「頼む」
「ラファエル」
「ええ。わたしくもこの戦いに参加いたしましょう。先に行ってください。ミカエル、ウリエル、ガブリエル」
こうして俺たちは先に進むことが出来るのだった。




