#1445 ベリアルとの再戦
俺たちはアーレイたちの救援に向かっている時、アーレイたちはベリアルとアガリアレプトの配下であるブエルの部隊、更にシルファーの堕天使部隊の三部隊に挟まれる形で襲撃を受けていた。
「はっはー! 少しは強くなっているがまだまだよえーな! お前ら!」
「はぁあああ!」
ベリアルが暴れているとサラ姫様がベリアルに単独で襲い掛かった。
「おっと…お前はあの時のフリーティアの姫さんか?」
「あの時の屈辱、忘れたことはない! ここで今度こそお前を倒す!」
「は! やれるもんならやってみろよ!」
「サラ! やめろ! くそ! こいつら! 邪魔するな!」
アーレイはベリアルの配下の悪魔に邪魔されてサラ姫様の元に向かえないでいると二人の戦闘が始まった。しかし勝負は一瞬でついてしまう。サラ姫様の剣を金剛装甲で固めた腕でガードしたベリアルは力でサラ姫様の剣を弾き飛ばしてサラ姫様はバランスを崩すと蹴りでぶっ飛ばされてしまった。
「前回と違っていい鎧着ているじゃねーか。こりゃあ、なぶり殺しがいがあるな」
「やらせるかよ! がは!?」
ガルーさんがサラ姫様の助けに入り、ベリアルの背後から奇襲を仕掛けたがベリアルに躱されて逆に膝蹴りのカウンターを貰うと殴り飛ばされてしまった。
「雑魚のおもりは大変だな。おい」
「く…!?」
「ガルー!?」
ガルーさんが石化していく。これがベリアルの力だ。この石化能力で周辺の召喚獣や人間が次々石化させられていた。もちろんみんな神の加護などの状態異常対策は持っているメンバーだ。それを無効化してベリアルは石化させているわけだね。
このゲームにおいてベリアルは相当にレベルが高い魔王であることは間違いない。ベリアルが率いている部隊もアーレイを足止め出来るほどの実力者だ。
ただベリアルの部隊は統制が取れていない。あくまで個々の実力が重視されている魔王軍みたいだ。これはベリアル自体が部隊を指揮するのが苦手な証拠だろう。
「は! っ!?」
「神の武器なら俺様の首が斬れると思ったか?」
月読の契約者である侍ちゃんがベリアルの背後から居合斬りで首を狙ったが金属音が響いて刃が止まる。月読は冥府神だ。触れるだけでも死に直結する武器なんだけど、ベリアルには通用しなかった。その結果、頭を掴まれ、地面に叩きつけられると蹴り飛ばされて、ルシファー領域の特徴である白い建物に激突した。
「「マリッジバースト! はぁあああ!」」
次はルークとチロルが襲い掛かった。ルークが魔法剣で斬りかかるがやはり攻撃が通らず、チロルは強烈な打撃ベリアルに与えたが逆にカウンターを貰いそうになり二人は距離を取ると必殺技の構えを取る。
「獣技! ガオンキャオン!」
「ガンマレイバースト!」
二人の必殺技がベリアルに直撃したがベリアルは普通に立っていた。
「ははは! ぬるい! ぬるすぎるぞ! お前ら! おら! おら!」
二人はベリアルの拳に襲われたがルークは魔法剣でチロルは籠手でしっかりガードしたがそれでも吹っ飛ばされてしまう。そしてベリアルはサラ姫様を見ると姿が消える。
「やらせるかよ! 俺の大好きな女性に手を出すな!」
「あん? それならよ」
「が!? ぐ!? だ!?」
「守れるぐらい強くなってから言えよ。雑魚が」
サラ姫様の守りに入ったアーレイだったがベリアルのアッパーで剣を弾き飛ばされると腹に連打を受けて、魔拳でサラ姫様のところにぶっ飛ばされて、サラ姫様に激突して二人ともぶっ飛ばされた。
「ガァ! ッ!?」
「お前の牙はあぶねぇけどな。獣に噛まれるほど俺様は間抜けじゃねーぞ!」
チロルのフェンリルがベリアルに襲い掛かったが牙を片腕で止められるとフェンリルは持ち上げられて、地面に叩きつけられると蹴りばされてしまった。
「やぁあああ!」
「お。速いな。小娘。なかなかやるじぇねーか」
「英雄技! シルフィードミーティア!」
次はシフォンが襲い掛かり、ベリアルに斬撃を当てるがダメージはほぼなく、ベリアルの拳がシフォンに迫るが残像で回避するとカウンターを決めた。そしてベリアルはすぐさまシフォンに襲い掛かったがベリアルの拳を次々シフォンは躱して、大振りされた拳の心眼で確定回避すると距離を取って、必殺技を放った。
空に無数のシフォンの姿が現れるとシフォンたちが一斉にベリアルに突撃していき、ベリアルは拳から気弾を放ったが直撃したシフォンは風となって消える。それは拳をぶつけても変わらず結果としてベリアルを斬り刻むことになった。それを見ていたミランダがベリアルに覇撃を放ち、魔法使いたちによる魔法が降り注ぎ、ミランダは距離を取る。これらの直撃は受けたがベリアルはまだピンピンしていた。
ダメージが通らないはずはないのだが、圧倒的な防御能力と回復能力のせいでダメージが通っていないという錯覚をみんなに与えていた。そんな時だった。空に展開されているシルファーの堕天使軍に遠方から無数のブレス攻撃が飛んできた。
それに対して堕天使軍団はシャッスルランパードと遮断結界を展開して、攻撃を防いで来た。流石にルシファーの部隊となるとこの程度のブレス攻撃には対処して来るな。
そして俺たちのブレス攻撃を見たベリアルは狂気の笑顔を浮かべてブレスが飛んできた方向を見る。
「来たか! っ!?」
「やぁ!」
「てめぇはあいつのお気に入りのドラゴニュートだな?」
「リリーだよ!」
リリーが光速激突でベリアルに突撃して永劫光輝を叩きつけると腕でガードされる。その攻撃の衝撃波でベリアルがいる地面が大きく地割れが発生する。しかしその一撃でベリアルの腕がひび割れる音が聞こえた。
それを見たベリアルは反撃のパンチを放つ。リリーは後ろに飛びながら回避するがベリアルは手から消滅弾を放って追撃に出る。
これに対してリリーは飛行しながら回避するとベリアルが拳を構えて突っ込んでい来る。これに対してリリーの永劫光輝を構えて前に出る。
「デモンクラッシャー!」
「ドラゴンクロー!」
両者が激突すると衝撃で両者の距離が空き、リリーは永劫光輝を構え直してベリアルと相対した。
「いい攻撃してくれるじゃねーかよ。おい。ッ!?」
「流石にサタンの手前まで来ると雑魚敵でも十分強いな」
ベリアルがとんでもない力を感じて歓喜して振り返るとそこにはファリーダとセフォネとマリッジバーストした俺の姿があった。
「はっはー! 今日はやる気満々じゃねーか!」
「お前が強くて厄介な魔王であることは遠目から見て確認出来たからな。潰せるならここで潰しておくべきだと判断した」
俺たちは遠目から石化されたティアマトやジャバウォック、ゴッドオーガ、第五進化のドラゴンたちなどが確認することが出来た。流石にこれを見てベリアルのやばさを認識出来ない人はいないだろう。
そして俺の周囲にイオンたちドラゴニュート勢力が集結すると空では恋火たちが堕天使軍に襲い掛かっており、グレイたちは別の魔王軍に襲い掛かった。
「嬉しいこと言ってくれるじゃねーか。てめぇに俺様を止められるのかよ! 魔拳! ッ!?」
「おせぇ」
ベリアルが俺たちに拳を放ってきたが俺たちはその拳を片手で止めた。そしてカウンターを放つ。
『魔拳! 爆心!』
「ん?」
俺はこの瞬間に違和感に襲われた。一瞬力が抜けて俺たちが纏っている気が揺らいだように見えたのだ。
それはともかくとしてベリアルの攻撃はとんでもないんだけど、ドラゴニックマウンテンで散々ドラゴンたちの攻撃を味わって来た俺たちからするとベリアルの拳に恐怖を全く感じなくなってしまった。
「いい拳をくれるじゃねーか! おい! ッ!」
「ドラゴンホイール!」
「ぬぅううう! おら!」
ユウェルがドラゴンホイールでベリアルに襲い掛かるとベリアルは受け止めようとするとユウェルのパワーに押されて行き、建物に押し付けられたがここでようやくユウェルの回転を止めることが出来てユウェルを蹴り飛ばしたが次の攻撃が来る。
「海錬刃!」
いつの間にかビルの背後に回っていたイオンが一天四海を抜くと水の刃がビルをまるでウォーターカッターで切断する鉄板のように斬り裂いていく。そしてベリアルの首を捉えたが流石に切断まではいかなかった。それでもベリアルの首に斬り傷は与えた。
「てめぇ!」
ベリアルはビルに飛び込み、イオンに襲い掛かったがイオンはベリアルの大地を砕くほどの拳を回避するとベリアルにカウンターで腹を斬り裂き、そこから連続で斬り刻んだ。ダメージは少ないがベリアルにまた斬り傷を与えている。
イラついてすれ違い様に斬り裂いたイオンをベリアルが追撃するために振り返ると次の瞬間、リリーと燎刃が武器を振りかぶっており、ベリアルは咄嗟に腕で防御しようとしたがベリアルの防御をぶち抜き、リリーと燎刃の攻撃でベリアルの両腕が飛ぶ。
しかし全力の大振り攻撃だったので、リリーと燎刃は隙だらけとなってしまった。ベリアルが蹴りで反撃しようとしたがそこにアリナが龍王刀天翔の突きがベリアルの胸に炸裂して爆風波でベリアルを吹っ飛ばすことで二人を助けてくれた。
「ぐぅ!? なんだ? こいつら? 力の上がり方が異常だぞ!?」
そりゃあ、ドラゴニックマウンテンの報酬で全ステータスが300も上がっていれば異常だろうさ。ベリアルのは戦闘慣れしていることが伺える。恐らく発言からリリーたちの立ち位置とそこから援護に来る時間まである程度、計算していると見ていい。
そのベリアルの計算が狂うほどに全ステータスの300アップはこのゲームでは大きいのだ。そして俺はここまでの戦闘とみんなが苦戦しているのを見てベリアルの能力について確信した。
確かに全ステータス300アップは凄い強化だけど、獲得した称号でステータスが上がりまくっているプレイヤーたちのほうがずっとステータスでは上だ。それは俺自身のステータスが証明している。
武器の性能もみんなが使っている武器と比べても大差ない。それなのにリリーたちはベリアル相手にここまでの力の差を見せつけた。その要因は間違いなくベリアルの能力のせいだろう。俺が感じた違和感と合わせて考えられる可能性は一つだけだ。
「お前は力は神の能力の無効化だな?」
「さてな。自分の力を敵に教える馬鹿なんていないだろうが」
「結構いる気がするけど、まぁいいや」
みんなの武器は大体オリハルコンがベースで神の力を宿している武器か神の武器が最強武器となっている。俺の想像通り、神の能力の無力化がベリアルの力なら神と契約し、神の武器を使っているみんなにはぶっ刺さりだろうな。
リリーたちが使っている武器はユウェルが作り、龍王たちの力が宿ったドラゴンの武器だ。だからベリアルの能力をある程度、避けることが出来て有利に立てたんだろう。
神の能力の無効化についてはベリアルの伝説に思いつく伝説はない。ただベリアルの神話には神と悪魔の裁判という話がある。これはイエス・キリストとベリアルが裁判で戦うという話だ。結果はベリアルの敗訴だったんだけどね。
それでも力での勝負ではなく、口での勝負をするという極めて珍しい話だ。この裁判がベリアルと神が対等の立場になった瞬間ではあるからそれが神の能力の無効化になったと考えるのは強引な解釈かな?
「悪いがお前はここで仕留めさせて貰うぞ」
「はっ! 面白れぇ! やれるもんならやってみろよ! 魔神」
「そこまでです。ベリアル様」
ベリアルがとんでもない魔素と魔力を放ち、真の姿になろうとした時だった。俺たちとベリアルとの間にルキフグスが現れた。
「邪魔をするな! ルキフグス!」
「続きは夜で十分でしょう。もう他の部隊の戦線は崩壊しております。ここは一度ご自分の領地に撤退してください」
「うるせぇ! 俺様に命令するな!」
「…」
「っ!?」
今、ベリアルが引いたぞ。するとベリアルは冷静さを取り戻す。
「くそ! 分かったよ! てめぇの言う通りにすればいいだろう?」
「ご理解頂きありがとうございます。というわけです。人間の皆さん。ここは引かせて貰いますね」
リリーたちが襲い掛かろうとしたが俺が手で制する。
「勝手にしろ。ただ同じ手が通用すると思うなよ?」
「そうでしょうね。私としてはその状況になっただけで作戦を立てた甲斐があったというものです。それではみなさん、失礼します」
そういうとベリアルとルキフグス。それに恋火たちが戦っていた部隊が転移魔法で消えた。
「どうして止めたの? タクト?」
「あのベリアルがルキフグスと会話している時に一瞬怯んでいた。ベリアルが放った力もアスタロトを超えている気がしたしな。この両者がいる状況で戦いになる事は避けたかったんだよ。ほぼ間違いなく石化している人たちを巻き込む戦闘になるしな。そっちのほうがこちらは痛手だ」
「なるほどー」
頷くリリー見て、全員が理解していないなと思う顔をしたのは言うまでもない。
ベリアルの様子から見てルキフグスの実力はベリアルを超えている。そして俺が恐怖したところはルキフグスから殺気とか怒気とかを感じなかったのだ。それなのに激昂しているベリアルを顔だけで引かせる実力はかなりのものと見ていい。
その後、みんなの治療をしつつ、石化も解除してみんなが攻略していた町を取り敢えず占拠することには成功した。
ただ問題は夜に控えているルシファー戦だ。今回の一件からみて、俺たちがルシファーの城に攻め込むと背後や左右から魔王たちから襲われる可能性が高まった。最悪の場合、シルファーとベリアルたちが共闘してくる可能性まで考えられる。
「どうなるのかな?」
「戦力を分けるのが現実的だろうな。シルファーの攻略と同時に最低でもベリアルとアガリアレプトの領域に攻め込むのがいいと思う。そうすれば奇襲する余裕は無くなるだろうからな。ただ今回の襲撃はルキフグスが俺たちにそれを強制させて来る作戦だったと見ていい。あえて相手の作戦に乗るのか、別の作戦を立てるのかそこは夕方の会議で決定しないといけないな」
俺としては正直これしか打つ手がないと思う。さて、どうなるかな…とにかく俺の任務は一旦終わりだ。一度、ホームに戻ってログアウトしてから創星龍神に挑むとしよう。




