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Elysion Online ~ドラゴニュートと召喚師~  作者: とんし
創星龍神とルシファー大戦
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#1444 悪魔の司令官とグシオン襲撃

俺たちが補給基地からシルファー領域に入ったのを確認している魔王がいた。彼の名はアガリアレプト。大奥義書で司令官の階級に位置している魔王だ。


「自分の配下を一部残して救援に向かったか…さて、どうするか。とにかくベリアルの奴に連絡だけは入れて置くか」


こうして俺たちがやって来たことがベリアルに伝わることになった。そしてアガリアレプトは敵の補給拠点に再度仕掛けるか考える。流石に俺たちの戦闘能力と黒鉄を見たら、仕掛けるのを躊躇するのは当然だ。


しかし俺たちがいなくなったということは補給拠点を叩く絶好の機会とも見える。


「厄介なのは六体の召喚獣…恐らく防衛に特化した召喚獣だろうが…オリハルコンゴーレムが邪魔だな」


「アガリアレプト様。俺にやらせてくれませんか?」


「グシオンか…確かにお前なら適任か。いいだろう。準備出来次第、あの拠点を破壊せよ」


「はっ!」


そして俺たちが完全に離れたことを確認してからグシオンによる補給拠点の襲撃作戦が始まった。最初に察知したのはやはり黒鉄だった。そして黒鉄が戦闘状態になったのを見て、セチアたちも敵襲が来たことを理解する。


「来たようですね…」


「皆さん、敵襲です。夕凪はんの周辺から離れないようにしてください」


「「「「は、はい」」」」


セチアが夕凪の甲羅の上に上がり、敵襲を千里眼で把握する。


「炎の馬に騎乗しているスケルトンナイト、炎のワイバーンに騎乗している炎の悪魔の部隊ですね…そして炎の騎士の姿をしている魔王…あれが指揮官ですね。黒鉄さん、攻撃開始してください」


セチアの指揮を聞いて黒鉄が攻撃を開始する。レーザーが敵の飛行部隊に襲い掛かるとミサイルが地上部隊に向かっていく。するとミサイルに向かって、グシオンが馬と共に向かって来た。


「ふん!」


グシオンが炎の剣でミサイルとぶつかるとミサイルが弾かれて、黒鉄に向かって来た。しかし和狐が貼った遮断結界がミサイルを防いだ。


「今のはモードレッドさんが使える反転スキルですか…厄介なスキルを持ってますね」


グシオンは伝説では召喚者に敵対するものの敵意を友好的な気持ちに逆転させることができると言われている。この逆転がこのゲームでは反転スキルになっているわけだね。


「恐れるな! 全軍突撃せよ!」


「「「「おぉー!」」」」


黒鉄のミサイルをグシオンが弾いたことで敵軍の指揮が上がる。逆にそれを見た味方は心配になるがその様子にセチアが目を細める。


「舐められたものですね…」


「全くどす」


「行きましょうか。和狐さん、ミール」


「はいな。セチアお姉様」


セチアたちが詠唱を開始している間にも敵軍は距離を詰めて来た。しかしここで地上部隊は地面から突然生えた木の根と突然地面から出現した水樹から放水される神水で流される結果となった。


もちろん襲い掛かったのはグシオンに対しても同じだったがグシオンの馬が空を走ることで回避した。しかし地上は神水の洪水で悪魔にとっては地獄のフィールドと化した。


「間欠泉」


「く!?」


更に間欠泉で空を走っているグシオンに水柱が襲い掛かった。


「水流の全てを永遠に反転出来ますか?」


グシオンが逃げを選択した時点で答えは出来ないと決まっている。反転スキルの判定は発動された一方向のみとなる。全方位のカバーは不可能だった。それに押し寄せる洪水を反転させても流れの激突により、波が大きくなり、水流が強い方向に波は流れてしまう。


だからこそグシオンはミールの洪水に対しては逃げを選択せざるを得なかった。しかしグシオンの部隊にはまだ空の部隊が残っている。彼らを指揮してグシオンはミールと補給拠点への攻撃を指示した。


しかし飛行部隊はミールに近付けない。ミールから放たれる日光と死針、寄生木が敵軍の突撃を妨害するとグシオンは強引な突撃を指示する。それに対してミールは大海壁で水の壁を作り出すと敵は神水の壁に突撃すると死ぬと考えて回避を選択したがここで水樹から生えた木の枝を樹海支配で伸ばすことでミールは敵を捕まえて、水中に引きずり込んで倒した。


流石に炎のワイバーンも泳げないからな。どうしようもない。ただグシオンはこの間に補給拠点に向かっていた。味方を囮した結果だが、補給拠点への攻撃がグシオンの任務だからミールを無視して補給拠点への攻撃を優先した判断は偉いだろう。


ただし背後からミールに日輪や波動技で狙われることになるけどね。これに対しては一方向からの攻撃なので反転で対処された。そしてグシオンが補給拠点に迫ると次の瞬間、部隊がぶっ飛ばされる。


「なんだ!? っ! 幻術か!」


セチアが事前に召喚しておいたフェレストガーディアンが現れた。しかしこれにはグシオンも疑問を持つ。


「どういうことだ…ずっと監視していてこんなものを呼び出す素振りは無かったぞ…どうやって召喚した?」


「どうやってと言われても最初から召喚してましたよ。ただし夢幻スキルであなたたちには見えないように細工はしましたけどね」


セチアが遮断結界を抜けてグシオンの前に現れて行った。それに対してグシオンはセチアに話しかけた。


「エルフ…お前の仕業か?」


「はい。私の名前はセチア。私たちの夫であるタクト様の指示です。あなたたちにここを攻撃させる訳には行きませんね」


「俺の名はグシオン。俺も我が王アガリアレプト様の指示でここに来た。悪いがお前たちの拠点は潰させて貰う!」


「あなたたちにそれが出来ますか? 私たちは強いですよ」


それを聞いたグシオンは全軍で突撃を仕掛けて来た。


「千本鳥居!」


「っ!? 反転!」


空から落ちて来た無数の鳥居の直撃を受けてグシオンの飛行部隊は次々ミールが作り出した神水の洪水に落下した。ただグシオンは反転スキルで落下して来た鳥居を上に返すことで突破した。和狐は遮断結界を夕凪に任せて自分は千本鳥居の準備をしていたのだった。


ここでグシオンはセチアに獄炎を纏った炎の剣でセチアに襲い掛かる。セチアの手にはエターナルマウニラバー。普通のエルフなら攻撃は決まるだろう。ただ進化したセチアにそんな甘い攻撃は通用しなかった。


「ぐぼ!?」


グシオンが袈裟斬りを狙ったが次の瞬間、セチアの姿が消えると腹にエターナルマウニラバーが練り込んでいた。そしてグシオンはぶっ飛ばされる。袈裟斬りは大振りの攻撃だからな。カウンターの格好な的だ。


しかしグシオンには反転スキルがある。本来なら反転スキルの効果でぶっ飛ばされるのはセチアのほうだったはずだ。それが出来なかったということはそれだけの速度のカウンターであったことと魔法使いであるセチアが杖で接近戦をして来るとは考えていなかったことを示している。


「お、おのれ! ッ!?」


「残像。は! やぁあああ! はぁ!」


グシオンは再び斬りかかったが次は残像で攻撃が外されるとまたセチアのエターナルマウニラバーに背中に一撃もらい、吹っ飛ばされると先回りされて、杖の連続突きを喰らい、そこから大振り攻撃でぶっ飛ばされた。


グシオンは完全に冷静さを失っているな。本来なら反転スキル持ちが接近戦で負ける事は早々ないはずだ。何せ攻撃してもその攻撃を反転されたら、体のバランスを崩すのは敵側になるからな。


ただ今回は逆にその接近戦の絶対の有利性を魔法使いであるセチアに崩されたことが相当プライドを傷つけてしまったらしい。だからムキになって剣を大振りして、反転スキルを使う事を忘れている。この時点でセチアはもうこの悪魔の力量を図ってしまった。


「こ、この! 俺をこけにしやがって! 超連携!」


ここで炎の馬と超連携を発動されて、青い炎の渦が上に上がって行くとそこからセチアに向かって来た。セチアの背後には補給拠点がある。セチアが逃げれば遮断結界にぶつかり、グシオンは遮断結界を突破するつもりだ。


「さぁ! どうする!」


「空間歪曲」


「何!?」


セチアは自分の目の前に空間歪曲を作り出すとグシオンは回避が間に合わずに空間歪曲の中に入ると出口は当然洪水へのダイブコースだ。ただグシオンの超連携が火力が高く、洪水を吹っ飛ばし、地面に炎の剣が突き刺さると水が元に戻る間にグシオンは離脱を図った。


「これで終わりと思いましたが威力は流石ですね。しかしこれで終わりにしましょう」


セチアが遅延魔法でストックしたゾディアックを展開する。


「やらせるか!」


「ヒヒーン!」


グシオンの愛馬が瞬転でセチアとの距離を一瞬で詰めたことでグシオンの攻撃が迫る。しかしグシオンの攻撃は同じく突然現れた和狐が白蔵主の錫杖で止めた。


「敵はセチアお姉様だけとちゃいますよ?」


「邪魔をするな! 反転!」


「金縛! 甘いどす。芭蕉扇! 爆風波!」


「どわ!? ッ!?」


グシオンは反転スキルで強引に和狐を逆にぶっ飛ばそうとしたが金縛で動けなくなった。これでスキルの発動タイミングが合わず、反転スキルは不発に終わる。反転スキルはこれが難しいのだ。物理攻撃など受けてからその攻撃を反転されないと反転される対象がおらず不発に終わる。


今回の場合だと和狐がグシオンの攻撃を白蔵主の錫杖で受けたことでグシオンにも攻撃した際に衝撃が発生している。それをグシオンは和狐にぶつけようとしたわけだが、和狐のほうが金縛スキルの発動が早く、グシオンの動きを止めたことで和狐が後ろに引いてしまったことで反転スキルの対象がいなくなってしまったという形だ。


そしてスキルの発動にはクールタイムがある。結果として和狐が取り出した芭蕉扇でグシオンは吹っ飛ばされて、セチアのゾディアックが発動した。


これで悪魔の部隊はグシオンを除いて全滅した。グシオンは愛馬を失い、ボロボロになりながらも生存していた。この辺りは流石に上位の魔王の配下の悪魔って感じだな。


「お、おのれ…もう許さん! 逆鱗! ぜぁあああああ!」


「動く事を禁じます」


「っ!?」


グシオンは発狂しながら和狐に襲い掛かったが和狐の言霊でグシオンの動きを封じられた。


「ゾディアックの直撃を受けて耐えたことは称賛してあげましょう。しかしこれで終わりです。ルーンスキル。これであなたはもう反転スキルを使う事はできませんね。頑張ったご褒美に私たちの日の光で焼き貫いてあげましょう」


「「日輪!」」


グシオンはセチアと和狐の日輪の光に包まれて消滅した。


本来ならグシオンは黒鉄を相手に相当有利な戦闘を運べるはずだった。そしてグシオンには遮断結界を突破するための秘策もあった。ただ黒鉄の不利さを理解して、黒鉄に雑魚処理を任せたセチアと和狐、ミールの強さが大誤算だったな。


「グシオンは負けたか…撤退する」


「アガリアレプト様! 次は俺に任せてください! このままでは他の魔王から何を言われるか分かった物ではありません!」


「言いたい奴には言わせておけ。俺たちの任務である襲撃は既に成功している。ベリアルにもあいつのお目当てが来たことは伝えたから何も言う事はないだろうさ。補給拠点の破壊は言わば評価を上げるための挑戦でしかない。分かったなら引くぞ。これ以上、俺の戦力を減らす事は許さん」


「「は!」」


こうしてアガリアレプトの指示よる補給拠点への破壊は失敗するという結果に終わるのだった。

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