#1436 邪冥龍王ディサピアードラゴン戦、前編
俺たちは遂に闇のドラゴニックマウンテンの山頂に到着すると地面というか山が暗黒に染まると地面から邪冥龍王ディサピアードラゴンが現れた。識別するとなんとついに龍王の識別に成功した。
邪冥龍王ディサピアードラゴンLv95
ボスモンスター 討伐対象 アクティブ
恐らく龍王全員のレベルがこれだろうな。ここでディサピアードラゴンが俺たちに話しかけて来た。
『邪竜と魔竜たちを倒し、よくぞここまで辿り着いた。余計な言葉は不要じゃ。我に挑む者を選ぶがいい』
「俺とノワ、セフォネで挑ませて頂きます」
『良かろう…最初は手出しせぬ。お主たちの全力を持って我に挑むがいい』
優牙も叢雲もここまで十分以上に戦ってくれた。出来れば月輝夜にもここで休んでほしかったけど、今考えるのはやめよう。というわけで再度ノワとセフォネのマリッジバーストを発動されて、竜騎士状態で両手にルーンノワールと神剣天羽々斬を構える。
『最初はその姿で成長を見せようというわけか? 儂は手加減せんぞ?』
『…こっちも手加減しないから大丈夫』
『ふん。クロウ・クルワッハと戦って得る者が大きかったようじゃな? 面白い。我、ドラゴンの冥界を支配する全ての闇属性のドラゴンの頂点に君臨する龍王、邪冥龍王ディサピアードラゴンなり。ドラゴニックマウンテン最後の試練に挑みし英雄とその仲間よ。全力を持ってこの山を制覇して見せよ!』
ディサピアードラゴンがそういうとクロウ・クルワッハを超える大量の冥気がディサピアードラゴンの下から湧き出した。それに対して俺たちの気を発動されるといきなり武器の全解放を行う。
「雷神蒼嵐波!」
『虚無壁!』
雷神蒼嵐波が無属性の壁に激突して消滅していく。本当に無属性は厄介な属性だよ。しかし連続使用は出来ない。
「雷神熱閃!」
俺たちの雷速の斬撃が放たれるとディサピアードラゴンはこれに対して手を伸ばして来た。受け止める気か?闇属性は土属性と違って、防御力は低い。いくらドラゴンでもこの攻撃は止められないはずだ。それでも手を伸ばして来たということは何か来る。
『全吸収!』
雷神熱閃の効果で刃が真っ赤に染まっていた神剣天羽々斬がディサピアードラゴンの手に触れた瞬間、元の状態に戻された。いや、それだけじゃない。神剣天羽々斬から発生していた気も消滅し、斬撃を放った勢いも無くなってしまった。
名前と効果から判断すると一つの技の効果を全て吸収してしまうスキルと見ていいと思う。そしてこの状況は俺が望んだ展開だ。俺たちはルーンノワールを素早く振るうとディサピアードラゴンの手を斬り裂いた。これで封印の状態異常が発生するはずだった。
『ドラゴンクロー!』
フリーだったディサピアードラゴンの片腕のドラゴンクローが俺たちに炸裂した。反撃は予期していたから回避行動はとっていた。しかし俺たちが見えていたドラゴンクローが急に伸びて来たので、対処不可能だった。
『…幻!』
偽物のドラゴンクローの動きを見せられて、回避行動を取った俺たちに対してディサピアードラゴンは本命の攻撃をしっかり後ろに逃げている俺たちを狙った結果、取られることが出来た。
『血は流れた! ゆくぞ! 生物創造!』
吹っ飛ばされて地面に着地した俺たちの地面に血が広がると無数のモンスターたちが現れて、ディサピアードラゴンに襲い掛かる。
『ほぅ…これがヴァンパイアの力か。とんでもない力じゃが、そんな獣の群れにやられるほど、龍王は甘くないぞ? 死霊創造!』
ディサピアードラゴンがいる地面が真っ黒に染まるとそこから無数のドラゴンゾンビたちが現れて、俺たちのモンスターと激突する。力では俺たちが召喚するモンスターのほうが圧倒的に上だ。しかし俺たちのモンスターは呪滅コンボが道連れスキルで倒されてしまった。
こうなるとコスパで完全に負けている俺たちがこんな戦いをしても損するだけだ。というか封印の状態になっていないな。恐らく封印にはなったがすぐに解除された形だな。
『ブラッティレイドボムなのじゃ!』
『影竜!』
『…冥波動!』
『冥ブレス!』
俺たちは切り替えてブラッティレイドボムを放つとディサピアードラゴンの影から現れた影竜にぶつけられて攻撃が通らなった。そしてこちらが冥波動を放つと冥ブレスでぶつけられた。するとこれは押し負けて回避すると死滅光線の拡散光線が放たれて俺たちは回避しながら命中する攻撃は剣で斬り裂いて対処する。
『黒死病!』
『…黒死病!』
ここで黒死病による黒い霧がディサピアードラゴンから放たれる。これに対してこちらもノワが黒死病を発動されるが規模で負ける。それを見た俺は自分の腹を斬り裂いた。
『血流支配!』
俺たちは黒死病の黒い霧に包まれるが先に俺たちを包み込んでいた血が黒死病の侵入を許さなかった。流石の黒死病の原因菌であるペストも液体に包まれた生物に接触感染することは出来ない。最も俺たちを包み込んだ血液にはペスト菌が入っているからこれは触れずに捨てるしかない。
黒死病に対応出来た俺たちだったが対処に時間をかけ過ぎたことでディサピアードラゴンが魔方陣を展開される。それを見た俺たちも魔方陣を展開する。
『竜魔法! ドラゴニックカースバイト!』
竜の魔方陣から多種多様な怨霊のドラゴンが俺たちに向かって来た。これに対してこちらも魔法を発動される。
『吸血鬼魔法! ブラッティソーンフォレストなのじゃ!』
血で作られた茨の蔓がディサピアードラゴンに巻き付いて出血させる。そして俺たちは無数の怨霊のドラゴンに噛みつかれて呪いと病気の状態異常を付与された。ダメージが発生するところからみてノワが最近覚えたドラゴニックカースミストの上位魔法とみていいだろう。
「斥力場! 霊体に物理法則は通用しないか」
『…なら存在ごと浮き飛ばすだけ』
『『ドラゴンノヴァ!』』
俺たちは逃げながら薬で状態異常を解除する。流石にスピードでは俺たちのほうが圧倒的に速い。しかし怨霊のドラゴンたちは何処までも追尾して来る。そこで逃げながらドラゴンノヴァをチャージして一気に吹き飛ばす事にした。
対するディサピアードラゴンも拘束してくる茨の蔓がうざくドラゴンノヴァで浮き飛ばすことにしたようだ。結果、距離は離れていたが両者のドラゴンノヴァがぶつかることになったがこれは距離が離れていたので、接触はあったが勝負にはならなかった。
ここで勝負は仕切り直しとなり、俺たちは接近戦を挑んだのだが、ディサピアードラゴンの見事な影創造に翻弄されることになった。
ディサピアードラゴンという巨大なドラゴンの影から影の刃が出て来たのだが、この刃が鞭のように動き回って攻撃して来た。いや、鞭よりも遥かに不規則で動く上に速さもあったので、俺たちは防戦一方となった。
『影死針!』
しかも逃げようとした俺たちに対してしっかり追撃までして来た。なんとか影縛りを返して距離を取る事には成功した。するとディサピアードラゴンが言う。
『影や闇に決まった形があると思っておるのか?』
『…決まっていない。影は作り出す物次第である程度、形は決まっているけど影そのものの形に決まりはない』
ビルの形だったり、人の形だったり影の形は物次第で変幻自在と言える。だからこそ影創造もまた作り出すものは既存の武器の形である必要性はない訳だ。これはもう影創造の理解度の差を完全に見せつけられてしまった。
そしてこれがディサピアードラゴンの対人戦対策だと理解出来た。自分は小回りは利かないが速く動く影で攻撃すれば何も問題はないわけだ。一応影分身やドッペルゲンガーと夢幻スキルを使って攻撃を仕掛けたが影の刃が増やされて対処されてしまった。
自分の巨体で作られる影を最大限利用している。現時点では全く隙が無い。ディサピアードラゴンは最初に言っていたようにドラゴンの世界における冥界神の立ち位置にいるみたいだから即死の危険性もあるから本当に戦い辛い。
『儂だけの影に気を取られていてよいのか? 影はいつもお前たちと共にある存在だぞ? 影竜!』
俺たちの影から影竜が飛び出して噛みついて来た。それを両手に剣で止めた。
「実力の差はよく理解出来たよ…だからここから本気でいかせて貰うぞ! ノワ!」
『…ん! 竜化!』
影竜を浮き飛ばして俺たちのドラゴンが再び降臨した。ここからが本当に勝負であり、ノワが試される最後の試練が始まろうとしていた。




