#1432 暗黒星竜戦
お盆期間の更新についてお知らせします。
13日から15日にかけて連続更新しようと思います。更新の時間はこの期間だけ朝の7時に変更します。お盆休みを少しでも楽しんで頂けたら、幸いです。
その更新が終わるとその後、一週間のお休みをいただいて更新再開するスケジュールで行こうと思います。更新再開の日にちは改めて15日の更新で予告いたします。
みんなが戦闘をする中、俺たちの戦闘も始まろうとしていたが暗黒星竜ダークマタードラゴンが要求して来る。
『待ってやろう。その代わりにお前たちの本気を我に見せよ』
「…どうする? にぃ?」
「…お言葉に甘えさせて貰おう」
ダークマタードラゴンを相手にマリッジバーストを使わせて貰える隙が出来るのかわからない以上、初手で邪魔されずに使わせて貰えるなら使用したほうがいい。
「「「マリッジバースト!」」」
暗黒の鎧に外が黒に内が赤のマントを着た竜騎士が降臨するとそれを見たダークマタードラゴンが狂喜乱舞する。
『ははははは! いいぞ! 実にいいぞ! カオスドラゴンの時に戦った頃より遥かに強くなっている! 竜殺しに数々の強者と戦って得た力を感じるぞ! それでこそ待った甲斐があるというものだ! 今こそあの時を遥かに超える最高の戦いを始めようではないか!』
「あぁ…見せてやるよ。今の俺たちの力をな!」
俺はそう言うと神剣エスカトンリープリングと神剣天羽々斬を取り出して、ダークマタードラゴンに向かっていくとそれにダークマタードラゴンも応えて、お互いに飛び出す形となり、ドラゴンクローと神剣エスカトンリープリングがぶつかり合う。
ぶつかった衝撃でお互いに弾け飛びと再びドラゴンクローと神剣天羽々斬がぶつかると飛び出した勢いが弱かったこともあって、ここから激しい接近戦となる。
『魔素刃!』
最初は小回りが効き、スピードも速い俺たちが優勢に動いたがダークマタードラゴンは腕や膝から魔素刃を展開してそれらを器用に使って俺たちの攻撃に対処して来た。やはりこのレベルのドラゴンとなると小ささ故の有利性に対して回答を用意しているな。
『お前たちの強さはよく分かった。もう準備運動はすんだろう? そろそろ行くぞ。星光放射!』
ダークマタードラゴンの全身から星の光が放たれると俺たちは目くらましをくらった形となってしまった。星光放射は衝撃放射の星バージョンスキルだな。
『次元圧縮!』
叢雲が覚えているスキルだ。これはやばい。
「時空切断!」
俺は圧縮されそうになった次元を斬り裂いて、スキルを解除したが次の攻撃が来る。
『ガンマレイバースト!』
俺たちはガンマレイバーストを避けきれずに直撃してしまった。というのも本来ならガンマ線スキルと超集束スキルを使って放つ技なので本来なら放つまでに時間が掛かるスキルなのだが、ほぼ時間をかけずに撃たれた。
『暗黒渦!』
『…冥波動』
『虚無壁』
俺たちが墜落した場所に暗黒渦が放たれるが流石にガンマレイバーストのダメージで怯む俺たちじゃない。空に飛び上がると冥波動で反撃したが虚無壁でガードされてしまった。
『…あなたも無限属性持つドラゴン』
『いかにも。我は星の終焉を司っている。終焉龍王様との違いは我は生き物の終焉は司っていないところだな。あの龍王様は星も生き物も文明も全ての終焉を司っている』
「なるほど。それで暗黒渦や圧縮を使えるのか」
『ほぅ…我が言葉だけでそこに気が付くとはな。相変わらず頭がキレることだ』
星の終焉と生き物の終焉は同じにはならない。生き物が絶滅しても星は残り続けることは他の星が証明している。人類が生き物がいないと思っているだけで宇宙人とか微生物とか存在している可能性はあるにはあるけどね。それでも星から生き物がいなくなっても星自体は残り続けることは間違いない。
なら星の終焉とは何かという事になるのだが、これはハイパーノヴァなどが該当している。星事態が爆発して星が無くなればそれは間違いなくその星の終焉と言っていいだろう。
しかしこいつが持つ能力は爆発ではない。星の終焉にはブラックホールに呑み込まれるという終焉もある。流石に通常の星がブラックホールの重力に捕まってしまったら、終わりだ。何せ光ですら抜け出すことが出来ないと言われているからね。
ダークマタードラゴンが持つ能力は恐らくこちらだ。こうなると星を消す無限の力と重力などの物理攻撃は警戒しないといけない。ただ暗黒物質とブラックホールが関係あるのかちょっと疑問。俺の知識の中では関係ないと思うんだけどな。
ここで戦闘が再開される。ダークマタードラゴンは両手に消滅弾を作り出して投げて来たので、俺たちは斬り裂いて接近戦をするが闇転移で逃げられる。すると遠距離からドラゴンブレスが放たれ、俺たちはこれを回避して、接近戦を挑もうとするが後ろに下がられながら星雨を使われ、これを逃げると拡散光線の死滅光線が使われた。
俺たちが光線を捌くと更に消滅弾と冥ブレスが飛んできた。俺たちも捌くと流石に遠距離で反撃に出る。
『ブラッティレイドボムなのじゃ!』
無数の蝙蝠がダークマタードラゴンに迫るが星雨で撃ち落とされた。しかしこれで爆煙で視界はない。
『魔神波動なのじゃ!』
爆煙を貫いて魔神波動が放たれたが外れる。俺たちの攻撃が来ることを読まれて、闇転移で逃げられたな。
『ドラゴンテイル!』
ここで俺たちの真上からドラゴンテイルが放たれた。俺たちは吹っ飛ばされるがただでは終わられない。
『魂抜きなのじゃ!』
ヴァンパイアグローブでダークマタードラゴンの魂を抜き取る。
『なんだ? これは?』
どうやら魂抜きスキルは知らないみたいだな。それなら好都合だ。
「ミーティアエッジ!」
『ぬぅううう!?』
俺たちがダークマタードラゴンの魂をミーティアエッジで斬り裂くとダークマタードラゴンにダイレクトにダメージが通った。
『なるほど…その我に攻撃を与えると我にも攻撃が通るというわけか。しかも防御スキルを使えないとはな。なかなか凶悪なスキルを持っているじゃないか!』
魂抜きスキルを理解したダークマタードラゴンは更に遠距離攻撃を徹底するようになる。黒雷に黒星、重力球など防御貫通のスキルと強力なスキルを使用して来る。これに対して俺たちも必死にスキルを返すがどちらもスキルの撃ち合いも決定打にならない。
こうなるとどうやって大技を決めるかがポイントになって来る。一番簡単で決めやすいのは冥府鎖による拘束だろう。どうするか考えているとダークマタードラゴンのほうから仕掛けて来た。
『暗転』
月明りが消えて、世界が真っ暗に包まれる。俺たちは精霊眼で警戒するがダークマタードラゴンの姿を確認することが出来ない。ここで俺たちも賭けに出る。
『現時点ではあいつの魔力も気配を感じない。ここは俺たちも勝負に出よう』
『…ん』
『どうするつもりじゃ? タクト』
俺は二人に説明すると急いで動き出した。この時間をどちらが有効に使えるかが勝負だ。暗闇が消滅すると空間からダークマタードラゴンが現れる。やられた。次元転移で別次元に移動して竜魔法の詠唱を許してしまったらしい。
『ゆくぞ。我が竜魔法! ダークマターポリューション!』
再び世界が闇に侵食されていくとここで俺たちの体に異変が発生する。俺たちの身体が黒く変色していくのだ。
「ライト!」
『…領域操作!』
俺たちの身体を照らしても闇は消えず、ノワが領域操作でなんとか出来ないか試したが無駄だった。そしてダークマタードラゴンが自慢げに説明して来た。
『我が竜魔法は死の宣告に近い能力だ。お前たちの身体が全て暗黒物質に呑み込まれた瞬間にお前たちの死は確定する。奇跡も蘇生も不死身も許さない消滅魔法だ。その代わりに時間が長いのが欠点ではあるがその間、必死に我の命を狙って来る生物の足掻きを味わうのも一興よ。それでも死を受け入れるか?』
「まさか。制限時間内にお前を倒せばいいだけの話なら願ったりかなったりだ。いくぞ」
『来い!』
「闇転移!」
『闇転移!』
俺たちが闇転移で攻めに出たが闇転移を返されて、攻撃が決まらない。相手は時間をかけていれば勝ち確定の状態だ。そりゃあ、まともな戦闘はしてくれないよな。これもまた立派な強さだ。ここまで俺たちがしたい戦闘をさせて貰えないことは珍しい。こういうのを経験すると本当に遠距離戦をもっと上手くなれればよかったと思うよ。
「神波動!」
『ぬ!?』
俺が斬撃を途中で止めてダークマタードラゴンが逃げた先に剣から神波動を放ったが逃げられてしまう。
『…部位竜化!』
『く…!? いい攻撃だ。しかしダメージが足りんな』
次はノワが部位竜化で尻尾を巨大な竜の尻尾に変えて逃げた先に尻尾の一撃を与えたがそこまでだった。その後も攻撃を続けてダメージを与えることはあったが単発だけで連続でダメージを与えさせてくれなかった。
気付けば俺たちの身体のほとんどは黒い染まっていた。
「くそ!」
『いい攻撃の数々だったが終わりだ」
俺たちの身体が全部黒く染まると闇と同化してしまった。そして魔法の効果が切れる。この瞬間を待っていた。
『この程度か…』
「そんなわけねーだろうが!」
ダークマタードラゴンに黒鉄のロケットパンチが炸裂する。
『がは!? なんだ!? これは!?』
『見たか! 妾の変身スキル!』
あの暗転の時間の時に俺たちは黒鉄に変身して、俺たちも次元転移をしていた。それなら今までダークマタードラゴンと戦っていたのは誰だったかという話になるがもちろんこれはノワが作り出したドッペルゲンガーだ。
ダークマタードラゴンが俺たちの足掻きを見たくて逃げに徹して攻撃をしてこなかったことで最後の最後までバレなかった。お陰で今の俺たちはダークマターポリューションの効果を受けていない。
『まだ終わっていないぞ!』
「そうだな」
俺たちは元の姿に戻るが俺たちは既に勝利をほぼ確信している。
「お前はさっき生物の足掻きを味わうのも一興って言ったよな?」
『…次はあなたが足掻く番』
『妾たちの全力をその身でしっかり味わうがいい! 行くぞ! 変身!』
セフォネが変身スキルを使用すると俺たちの身体が竜に変化する。そのドラゴンを見て、ダークマタードラゴンは驚愕することになった。
『な…第五進化の全ドラゴンが融合したドラゴンだと!?』
俺たちが選んだ変身は俺たちがシルフィと戦った時に戦闘することになったシルフィのマリッジバーストからの竜化を使用した姿だった。
セフォネはこれを経験していないから変身することは出来ないが俺とノワが経験しているので、俺たちのマリッジバースト状態ならこの変身は可能らしい。何せスキルが使える者が経験したものに変身することが出来るのが変身スキルだからね。
『こんなことがあり得るのか!?』
『…神速!』
『倍化! 半減!』
『がは!?』
俺たちの爪がダークマタードラゴンに炸裂するとダークマタードラゴンのステータスが半減する。その結果、そこからダークマタードラゴンをボコボコにしていく。速さでも硬さでも筋力でももはや勝てる見込みはない。
『闇転移! ッ!?』
闇転移で逃げるが逃げた先に六属性の遠距離攻撃を降り注いでくる。遠距離攻撃の手数でもこちらが上だ。
『ぬぅううう!? まさかこんな形で我が追い込まれるとはな。いいだろう! ドラゴンらしく戦ってやる! ドラゴンフォース! 逆鱗!』
俺たちに激しく連続攻撃をしたがタラスクの力とグウィバードラゴンの力で攻撃が全然通らない。そしてこちらの爪の一閃でダークマタードラゴンは物凄い勢いで吹っ飛び、山にめり込んでしまった。
『…冥府鎖。にぃ』
「あぁ。これで決めよう」
『『「ドラゴンブレス!」』』
『まさかこんな敗北を味わうことになるとはな…お前たちの強さ、認めよう。その強さを持って最強の魔竜と魔竜の龍王に挑むがいい!』
そういうとダークマタードラゴンに特大のドラゴンブレスが炸裂して、ダークマタードラゴンは消し飛ぶのだった。
これで全ての戦闘が終了したが全体的に見て結構苦戦した。俺たちもやりたい戦闘をさせて貰えなかったし、月輝夜も一度死んでいるからね。叢雲に至っては負ける可能性が非常に高い戦いとなった。それでもみんな勝てたことは大きな財産になっていくだろう。
ただここからの戦闘は今までの比ではない戦いになるだろう。俺はみんなを回復されつつ、話す。
「次の戦闘のクロウ・クルワッハは魔竜最強の存在にして、神竜の領域に到達した最強格のドラゴンだ。はっきりいうと誰が倒されもおかしくない。みんな、その覚悟を持っていてくれ。仲間が倒されて隙を見せたら全滅するつもりで戦おう」
「…ん」
「分かったのじゃ。しかしみなが頑張ってここまで来たんじゃ。絶対に勝つぞ」
セフォネも言うようになったものだ。その目から本気で勝ちに行く意思を感じた。そしてセフォネの言葉にみんなが同意するように雄叫びを挙げる。俺もそれに応える。
「あぁ。もちろんだ。いくぞ。みんな!」
こうして俺たちは邪冥龍王ディサピアードラゴンに挑むための最後の試練にして最大の試練に挑むために山登りを再開するのだった。




